学習院女子中等科は、東京都新宿区にある女子中高一貫校です。
学習院は歴史も古く、皇族が通う学校としても知られていますが、今回はその中でも学習院女子中等科について、学校の特色、偏差値や倍率などの受験情報、そして入試問題の傾向と対策についてご紹介します。
目次
学習院女子中等科の特色
学習院女子中・高等科では「その時代に生きる女性にふさわしい品性と知性を身につけること」を教育方針とし、「本物に触れる」「過程を大切にする」「表現力を身につける」を授業・学習の在り方として掲げています。
「正直と思いやり」を学校生活の基本とし、委員会や部活動、行事などにおける生徒の自主性も重視し、生徒に幅広い経験をさせる教育に特徴があります。
学校の沿革
1847年に京都に学習所が開講され、1877年には東京の神田錦町に華族学校が開設、「学習院」の校名が定まりました。
1885年に学習院から分離、華族女学校が開設されたのち、1906年には学習院と合併、学習院女学部となっています。
1947年に新制の学習院女子中等科、1948年に新制の女子高等科が開設され、現在に至ります。
学校生活とカリキュラム
中等科における一部科目の少人数制授業、高等科の進路別の選択授業など、中高一貫校ならではの充実したカリキュラムが編成されています。
なかでも中等科の英語は、海外在留歴・英語学習歴を踏まえ、帰国生・既習者・初習者の3クラスに分け、少人数授業を行うなど、各生徒の英語力に合わせた効果的な授業が行われています。
また、中等科の数学は週4時間のうち2時間を代数(計算・関数など)の学習とし、数学の基礎を重視した少人数制による授業を展開しています。
行事と部活動
クラブ活動は11の運動部、20の文化部、3つの同好会があり、各クラブ・同好会で専任教員の顧問やコーチによる指導が行われています。
また、各種行事も幅広く、球技会、遠足、修学旅行、運動会、八重桜祭(文化祭)から、中1のお茶会、中等科の百人一首大会、さらには学習院の男女高等科と筑波大学附属高校との附属戦(運動部中心)まで、バリエーション豊かな行事が特徴です。
施設
各普通教室・各特別教室、各校舎をはじめ、図書館、総合体育館、第二体育館、グラウンド、バスケットコート、テニスコート、バレーコートに至るまで、様々な施設環境が整っています。
進学先
女子中等科の卒業生は、ほぼ全員が学習院女子高等科へ進学します。
また、女子高等科の2023年の卒業生の45%が学習院大学、43%が他大学などへ進学しています。
他大学への進学状況を見ると、国公立大学7名のほか、上智大学12名、慶應義塾大学23名、早稲田大学10名など、難関大学も含めた進学実績が見られます。
交通アクセス
電車
- JR山手線・西武新宿線「高田馬場」駅下車、徒歩約20分
- 東京メトロ副都心線「西早稲田」駅下車、徒歩約3分
- 東京メトロ東西線「早稲田」駅下車、徒歩約10分
バス
- 池袋駅東口から「池86系統・渋谷行」で「学習院女子大学前」下車、徒歩3分
- 渋谷駅東口から「池86系統・東池袋四丁目行」で「早大理工前」下車、徒歩3分
- 新宿駅西口から「早77系統・早稲田行」で「早大理工前」下車、徒歩3分
- 高田馬場駅前から「高71系統・九段下行」で「学習院女子大学前」下車、徒歩3分
学習院女子中等科の受験情報
試験日
- A入試:2024年2月1日(木)
- B入試:2024年2月3日(土)
募集人数
- A入試:女子約90名
- B入試:女子約40名
試験科目と配点
科目 | 試験時間 | 配点 |
国語 | 8:45〜9:35(50分) | 100点 |
算数 | 9:50〜10:40(50分) | 100点 |
社会 | 10:55〜11:25(30分) | 60点 |
理科 | 11:40〜12:10(30分) | 60点 |
偏差値
学習院女子中等科の偏差値は80偏差値でみると次の通りです。
- A入試:57
- B入試:62
倍率
2023年の実質倍率は次の通りです。
受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 | |
A入試 | 224名 | 104名 | 2.15倍 |
B入試 | 181名 | 49名 | 3.69倍 |
学習院女子中等科の学費
入学金 | 300,000円 |
年間授業料 | 698,000円 |
維持費 | 282,000円 |
父母会費 | 13,000円 |
合計 | 1,293,000円 |
※2023年度の金額となります。
学習院女子中等科の入試問題と対策
算数
試験時間は50分、配点は100点満点です。大問は7問で、大問1〜2が計算問題、大問3以降が応用問題という構成になります。
頻出分野は図形、速さ、規則性などがあり、幅広く出題されています。また、解答は計算式・考え方を記述する形式ですので、十分注意しなくてはなりません。
早い段階からこうした形式に慣れておき、採点者に式・考え方がしっかり伝わるよう、過不足なく記述する力を鍛えましょう。
過去問演習はもちろん、似た形式の問題演習も徹底し、書き方のコツをつかんでおく必要があります。
また、記述式のため解答に時間がかかるほか、各設問で計算や考え方が複雑な問題もあるため、決して時間的な余裕があるわけではありません。
例えば作図問題のような時間のかかる問題も見られるので、作業系の問題も含めて速く正確に解き進める力が求められます。
過去問演習などを徹底し、時間配分の感覚をしっかり磨いておきましょう。
国語
算数同様、試験時間は50分で配点は100点満点となります。大問は2問で、小説文などの読解問題が1問、漢字が1問という構成です。
読解問題の設問形式は記述式がほとんどのため、まず記述対策を徹底する必要があります。また、文章の難易度はそこまで高いわけではありませんが、記述が多い分時間がかかるので、時間配分に注意しなくてはなりません。
特に小説文がよく出題される傾向があり、場面・心情の変化を読み取るのに時間がかかる可能性もあります。読みやすい文章だとしても決して油断せず、速く正確に読解することを心がけましょう。
また、記述問題では字数制限がなく、自分の言葉で説明する形式のため、設問自体の難易度は高くなります。
与えられた設問の意図をしっかり読み取り、本文と照らし合わせ、自分の言葉で過不足なくまとめる練習を積み重ねることが大事です。
さらに、漢字の問題は20問程度となり、問題数が多いので、こちらもしっかり対策しておく必要があります。
ケアレスミスは絶対に避け、確実に得点源になるよう、トレーニングを重ねておきましょう。
社会
試験時間は30分、配点は60点満点です。大問は4問で、地理・歴史・公民分野(時事問題含む)からバランスよく出題されます。
設問形式は適語記入問題が多いほか、選択肢問題や記述問題も出題されています。まず適語記入問題にしっかり対応できるよう、各用語を正確に覚え、漢字で答えるべき箇所は誤字脱字のないようにしましょう。
また、記述問題は知識だけでなく思考力が問われるような問題も目立ちます。
過去問演習をはじめ、普段の問題演習では記述式の問題にも多く触れ、記述力に加えて思考力・考察力をしっかり鍛えておくことが重要です。
さらに、試験時間は30分で短いため、時間的な余裕は少ないです。思考力が必要な問題、さらには直近の情勢を踏まえた時事問題など、時間のかかる問題も目立つので、正確さに加え、スピードもしっかり意識するようにしましょう。
理科
社会と同じく、試験時間は30分で配点は60点満点となっています。4分野からまんべんなく出題され、大問は4問で構成されます。
設問形式は選択肢問題や適語記入問題のほか、記述問題や計算問題、作図問題なども出題されています。
また、試験時間も30分で短いため、社会同様に時間的な余裕は少なくなります。
まず基本知識を正確にしたうえで、計算問題や記述問題などの演習を重ね、時間のかかる問題でもスピーディーに解き進めるよう、実力を磨いておきましょう。
特に実験に関する問題などは、与えられた資料・データから情報を正確に読み取り、考察していく力が求められます。
短い試験時間の中でテキパキ情報を処理していく能力が問われるので、単なる知識で対応することはできません。
基礎の部分を確実に理解することは大前提としたうえで、日頃から問題演習を重ね、それぞれの問題をしっかりと自分の頭で考えながら解くよう、学習を進めることが大切です。
学習院女子中等科の過去問
学習院女子中等科合格のために必要なこと
学習院女子中等科の試験問題は、記述式の問題をはじめ、やや時間のかかる設問が目立ちます。
国語の記述問題はもちろんのこと、算数でも計算式・考え方を記述する問題が出題されるほか、社会や理科でも記述問題が見られます。
こうした傾向に注意し、基本知識をおさえることは大前提としつつ、記述式の問題にしっかり対応できるよう、問題演習を重ねて実力を鍛えていきましょう。
思考過程を記述する力、自分の言葉で物事を説明する力などが求められるので、日頃からしっかり意識し、学習に臨んでください。
このような傾向は単なる知識では歯が立たないので、なるべく早い段階から対策を進めることが重要になります。
各科目の傾向に合わせ、問題演習を重ねて実戦的な力を磨いていきましょう。