中学受験の志望校選びに悩むご家庭は多いですよね。
また、ようやく志望校を決めても、長い受験勉強の間に、「本当に〇〇中学で良いの?」と再び悩み始めた、なんて話もよく聞きます。
そこで今回は、実際に2人の子どもの中学受験を経験した筆者が、我が家の経験から得た志望校選びのポイントをご紹介したいと思います。
目次
中学受験の志望校選びで大切なこと
皆さんは、中学受験の志望校はどのように決めるのが一番良いと考えますか?
また、よそのご家庭や、これまで中学受験を経験したご家庭が、どのように志望校を決めたのか、その志望校にした決め手は何だったのか気になりますよね。
そこでここでは、中学受験の志望校選びで大切なことや、実際の経験からご紹介します。
中学受験の志望校選びの基準と優先順位
中学受験の志望校選びで良く言われる基準に
- 共学か男子校・女子校か
- 偏差値
- 進学実績
- 校風や教育方針
- 通学時間
などがありますが、どれを優先すべきなのでしょうか。それは、ご家庭によって違います。
「中学受験をするからには絶対に大学附属!」というご家庭もあれば、お子さんの性格から課題や補習がきめ細やかな面倒見の良い進学校を選ぶご家庭があったりと色々です。
大切なのは、色々ある基準の優先順位を親子で納得して決め、中学を選ぶ方針を明確にしておくことです。
志望校を選ぶ上で気をつけたい2つのこと
ただし、親子で納得できたとしても、注意したい点が2つあります。
それは、「偏差値重視の考え」と「通学時間」です。
中学受験では、ことあるごとに偏差値が登場し、合格率も偏差値で示されるなど、常に偏差値を意識する環境に置かれるため、少しでも偏差値が高い学校に目が行きがちです。
しかし、偏差値が高い学校が必ずしもお子さんにとって「良い学校」とは限りません。
そのため「偏差値が高い」という理由で受験を考える場合でも、他の学校と同様に必ず学校を見に行くようにしてください。
また、「通学時間」はお子さんと十分に話合う必要があります。
通学、授業、部活動、帰宅後に宿題・課題、と、中高生はとても忙しいものです。
どんなに良い学校と思えても、片道2時間もかかるような学校は、6年間毎日通うことを考えると、慎重に考えた方が賢明です。
中学受験の志望校選び~我が家の場合
一例として、我が家の中学受験の志望校選びの経験をご紹介します。
我が家には3つ違いの姉妹がいて、2人とも中学受験を経験し、結果的に同じ学校(片道1時間)に進学しています。
ですが、志望校を決定する経緯は、姉妹で少し違いました。
長女の場合
長女は自ら中学受験を志望し、自身の受験校に以下の条件をだしました。
- 通学は片道1時間半以内
- 自分が通ってもいいと思える学校以外は受験しない
- 全落ちしたら地元中に行く
そこで、自宅から通える範囲で親子とも気になった学校や、塾の先生に勧められた学校など計8校を4、5年生時に見て回りました。
面白かったのは、御三家や最難関といわれる偏差値の高い学校でも、「〇〇中は通ってもいいかもしれないけど、△△中は絶対ない」とハッキリ言ったことでした。
たしかに、親である筆者も、楽しそうに笑い合う在校生に娘の姿が重なる学校と、娘がそこにいることを全く想像できない学校と明暗が分かれました。
これが、いわゆるフィーリングなのでしょう。
結局、長女は自身が納得できる学校のうち、通学時間や学力から3校に絞り、塾から練習に受けるように勧められた埼玉の学校を含めた4校に出願しました。
次女の場合
一方、次女は親の勧めで中学受験をすることになったのですが、
- 制服が可愛い学校
- 受験するからには地元中には絶対行きたくない
との条件をだしました。
大変だったのは、次女の志望校選びです。
地元中には絶対行きたくないという次女でしたが、成績がなかなか安定しなかったため、平均偏差値から10以上低い偏差値の学校も見て回りました。
いわゆる安全圏の学校ですが、実際に見に行くと、子供の反応も良く、親の視点からも我が子を預けてみたいと思える学校でした。
まさに、偏差値ばかりが基準にならないことの良い事例です。
結局、次女はこの学校と姉の通う学校を含む計6校に出願しました。
親子で意見が合わない状況を避ける方法!
筆者の知人家庭では、チャペルが素敵な某ミッション系の学校をお子さんにあえて見せなかったという方がいます。
なぜなら、娘さんがそのチャペルや学校の雰囲気を絶対に気に入ってしまうのがわかっていたから、と。
自分の娘さんには伸び伸びとした学校を望んでいた親御さんは、勉強面がとても厳しいと有名だったその学校を見せないことで、お子さんを上手に誘導したのです。
このように、親御さんが強く望む学校の基準があれば、その基準にあった学校群の中でお子さんが選べるように誘導するのも一考です。
例えば、大学附属のみ、男子校・女子校のみなど、ご家庭で優先したい基準がある場合は、その基準を満たす学校をお子さんと見て回ります。
いくらお子さんが通う学校といっても、まだ小学生のお子さんの判断だけに委ねるわけにもいきませんし、そもそも親御さんの教育方針あっての中学受験でもあるはずです。
その点で、親御さんの教育方針に合う学校群の中からお子さんが選べるように誘導すれば、親子で意見がぶつかることも少なくなりそうです。
何が一番大切? 迷ったときのアドバイス
ご家庭の方針やお子さんの希望を検討し、ようやく決めた志望校。
それでも受験本番まで「本当に〇〇学校でよいのか」と再び悩むこともあると思います。
我が家も、一度決めた志望校を再検討すべきかと考えたこともありました。
そんなとき、最終的に親の私たちが頼った判断基準は、
「その学校で我が子が楽しそうに過ごす姿が想像できるか」でした。
これまで志望校選びの基準や優先順位の話をご紹介しておきながら、「最終的に感覚頼み?」と驚く方もいるかもしれませんが、学校を見て回ると、不思議と我が子がその学校で楽しめそうか否か、なんとなく感じるものです。
その感覚(フィーリング)をつかむためにも、志望校選びでは実際に学校に足を運ぶことは必須です。
中学受験の志望校選び~学校見学のポイント
中学校を見る機会は、文化祭・体育祭、学校説明会や学校公開(オープンスクール)など色々ありますが、筆者のおすすめは、より普段の在校生や先生の様子に近い状態が見られる「学校公開(オープンスクール)」です。
そこで次から、学校見学のポイントをご紹介します。
5年生までに色んな学校を見に行こう
まず、4・5年生のうちに、志望校になりそうな学校はできる限り見ておいてください。
なぜなら、受験生となる6年生は、平日の通塾に加え、土日も特別講座や模試などで予定が埋まり、学校見学する時間をとるのが難しくなるからです。
また、少しでも気になる学校は、親御さんだけでも見ておくことをおすすめします。
自宅からの距離が遠すぎて通学が現実的でない学校は別ですが、「学力が及ばなそう」、「子ども(親)が気に入らなそう」などの心配は、見学の段階で気にしなくて良いと思います。
実際に行ってみて「やっぱり良かった」、「思っていたのと違う」などが確認できることも収穫の1つですし、色々な学校を回っていると、志望校に求める条件や優先したい基準が整理されてきます。
学校見学で見るべきポイント!
学校を見に行くときは、「楽しむ気持ち」と「評価する気持ち」を忘れずに、“見るべきポイント”を逃さず見て回ることが大切です。
我が家では、学校見学の際、以下の5点を特に注視しました。
- 教室…棚やロッカーの周り、机の脇にかかっている生徒の持ち物など
- 下駄箱やトイレ…古くても清潔感があるか
- 校舎・廊下…極端に狭い・暗い・臭いなどないか、掲示物など
- 在校生…制服の着方、授業態度、授業で使っている私物、座り方、靴の履き方、スマホの扱い、行き合うときの挨拶など
- 先生…生徒との話し方、立ち居振る舞い
これら全てに“完璧”を求めるのではなく、“良い加減”で「我が子に合っているか」を重視しました。
また、案内役の在校生がいたら、部活動や通学時間など、なんでも良いので直接質問してみることもおすすめです。
上手に答えられる生徒さん、緊張しながらも一生懸命説明しようとしてくれる生徒さん、と、色々ですが、わずかな会話からも、在校生の雰囲気や様子が生で感じられ、非常に参考になります。
他にも、友達と談笑する在校生の姿、授業を受ける在校生の姿勢、先生と生徒の会話の様子なども注視してください。
「目の前の在校生の姿が、後の我が子の姿で本当に良いか」
きっと、この答えが見えてきます。
志望校選びに悩んだら、中学受験を決めた理由に立ち返ってみよう!
今回は、中学受験の志望校選びについて、本当にこの学校でよいのか悩んだときのアドバイスを筆者の経験からまとめてみました。
実際にまだ通っていない学校の良し悪し、お子さんとの相性を推し量るのはとても難しいことですが、ご家庭が中学受験を決めた理由に基づいて、志望校選びの判断基準の優先順位を明確にすることで、その悩みを最小限にすることは可能です。
そして親子ともに納得した志望校を選ぶためにも、ぜひ気になる学校は実際に見に行くようにしてください。