子どもを大学まで行かせたいと考えている親御さんは多いと思います。
しかし、大学を卒業させるにはいくら必要なのでしょうか?
今回は国立、私立、公立、医学部に分けて、子どもが大学に入学してから卒業するまで必要な学費についてご紹介します。
目次
国立大学の学費
入学初年度に掛かる学費
国立大学の学費には「標準額」というものがあります。
これは国が定める金額で、それぞれの国立大学はこの標準額をもとに学費を設定します。
大学によって設備費などが異なりますが、標準額を基準として学費を考えることができます。
国立大学の入学初年度に掛かる学費を、標準額(平成27年度)をもとに算出すると、81万7800円とすることができます。これは、標準額の授業料が53万5800円、入学金が28万2000円で、これらを合計したものになります。
初年度の学費
入学金 | 年間授業料 | 合計 |
28万2000円 | 53万5800円 | 81万7800円 |
国立大学の授業料は平成17年から標準額の引き上げは行われておらず、53万5800円のままで推移しています。
さらに、入学金は平成14年から変わらず、28万2000円となっています。これらの金額は今後も値上げがないものとされています。
また、これらの金額は昼間部のものですが、夜間部では、授業料は26万7900円、入学金が14万1000円となり、入学初年度に掛かる学費は合計40万8900円です。
国立大卒業までに必要な学費
上記で見た標準額をもとに4年間で掛かる学費を算出します。
まず、授業料53万5800円×4で214万3200円となり、4年分の授業料となります。さらに入学金28万2000円を加えて242万5200円となり、4年間で掛かる学費とすることができます。
卒業までの総学費
入学金 | 4年間の学費 | 総学費 |
28万2000円 | 214万3200円 | 242万5200円 |
同様の計算方法で夜間部の4年間に掛かる学費を算出すると、121万2600円となります。
ただし、これらはあくまで標準額をもとにした金額です。
大学によってはさらに設備費や保険料等がかかることが考えられます。昼間部では多めに見積もって300万円程度と考えておくことが無難といえます。
出典:
・国公私立大学の授業料等の推移
・国立大学等の授業料その他の費用に関する省令
私立大学の学費
入学初年度に掛かる学費
私立大学の学費は、授業料、入学金、施設設備費に分けて考えることができます。
文部科学省の調査「平成26年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果」によると、私立大学の授業料(平均)は86万4384円、入学金が26万1089円、施設設備費が18万6171円となります。
これらを合計した131万1644円が、入学初年度に掛かる学費となります。
初年度の平均
入学金 | 授業料 | 施設設備費 | 合計 |
26万1089円 | 86万4384円 | 18万6171円 | 131万1644円 |
このうち授業料は3年連続で増加していますが、入学金は3年連続で減少、施設設備費は2年連続で減少しています。
これらを合計した入学初年度の学費は、2年連続の減少となります。初年度の学費全体としては減少傾向にありますが、授業料は増加傾向にあることが特徴です。
私立大卒業までに必要な学費
上記で見た金額をもとに4年間で掛かる学費を算出します。まず全体の平均から見ます。
授業料に施設設備費を足した金額は105万555円です。105万555円×4で420万2220円となり、4年分の授業料と施設設備費とすることができます。
ここに入学金の26万1089円を足した金額446万3309円が、4年間で掛かる学費となります。
卒業までの総額費の平均
入学金 | 4年間の学費 | 総学費 |
26万1089円 | 420万2220円 | 446万3309円 |
私立大学の文系と理系による学費の違い
私立大は文系か理系かで金額に違いが見られます。そちらも紹介します。
入学金 | 年間授業料 | 施設設備費 | 総学費 | |
文系 | 24万2579円 | 74万6123円 | 15万8118円 | 385万9543円 |
理系 | 26万2436円 | 104万8763円 | 19万34円 | 521万7624円 |
その他 | 27万0233円 | 95万1119円 | 23万7196円 | 502万3493円 |
その他は家政、芸術、体育、保健系になります。
この統計データをみると文系か理系かで必要な学費は大きく異なることが分かります。
出典:平成26年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果
公立大学の学費
入学初年度に掛かる学費
公立大学は、地域内出身者と地域外出身者で入学金が異なるという特徴があります。
公立大学の学費は国立大学と同じく授業料、入学金に分けて考えることができますが、ここでは公立大学の平均値で算出します。
平成28年度の公立大学の学費の平均値は、授業料が53万7809円となり、入学金は地域外で39万3426円、地域内で22万9584円です。それぞれ合計して入学初年度に掛かる学費を算出すると、地域外では93万1235円、地域内では76万7393円となります。
先ほど見た国立大学の入学初年度の学費81万7800円(標準額)と比較すると、地域外は高く、地域内は低くなります。
初年度の学費
入学金 | 授業料 | 合計 | |
地域内 | 28万2000円 | 53万7809円 | 76万7393円 |
地域外 | 39万3426円 | 53万7809円 | 93万1235円 |
夜間部の学費の平均値は、授業料が30万1375円、入学金は地域外で21万1500円、地域内で12万3375円です。それぞれ合計して入学初年度に掛かる学費を算出すると、地域外では51万2875円、地域内では42万4750円となります。
先ほど見た国立大学(夜間)の入学初年度の学費40万8900円(標準額)と比べると、いずれも高くなっています。
卒業までに必要な学費
上記で見た金額をもとに4年間で掛かる学費を算出します。
授業料53万7809円×4で215万1236円となり、4年分の授業料となります。
さらに入学金を加えて4年間で掛かる学費とすると、地域外で254万4662円、地域内で238万820円となります。先ほど見た国立大学の4年間の学費242万5200円(標準額)と比べ、地域外は高く、地域内は低くなります。
卒業までの総学費
入学金 | 4年間の授業料 | 総額 | |
地域内 | 28万2000円 | 215万1236円 | 238万820円 |
地域外 | 39万3426円 | 215万1236円 | 242万5200円 |
同じく夜間部での4年間の学費を算出すると、地域外で141万7000円、地域内で132万8875円となります。先ほど見た国立大学(夜間)の4年間の学費121万2600円より、いずれも高くなっています。
医学部の学費
国立
国立は先ほど見たように、基本的には標準額で判断することができます。
卒業までの6年間で掛かる学費を算出すると、授業料53万5800円×6で321万4800円、さらに入学金28万2000円を加えて349万6800円になります。
私立
私立の場合、大学によっても異なりますが、文部科学省の調査「平成26年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果」によると、医学部の授業料は254万7939円、入学金は129万9019円、施設設備費は101万4002円となります。
これをもとに卒業までの6年間の学費を算出すると、6年間の授業料と施設設備費の合計が2137万1646円、ここに入学金を足して2267万665円となります。
国立と私立の医学部の学費の違い
入学金 | 6年間の授業料 | 総額 | |
国立 | 28万2000円 | 321万4800円 | 349万6800円 |
私立 | 129万9019円 | 2137万1646円 | 2267万665円 |
国立と比べると、私立は非常に高い学費となることが特徴です。
最後に一人暮らしをした場合はどれくらい掛かるか
一人暮らしをした場合、大学生活に掛かる費用も増える傾向があります。学費ではありませんが、親としては支払わなければいけない費用ための紹介します。
独立行政法人日本学生支援機構の「平成26年度学生生活調査」によると、大学昼間部(国立、私立、公立の平均)で居住形態が「下宿、アパート、その他」に区分される学生は、支出合計212万9900円のうち、生活費が103万9000円、学費が109万900円となります。生活費の占める割合は約49%となります。
同じ区分で居住形態が「自宅」に区分される学生の場合、生活費の支出に占める割合は約24%です(生活費39万8000円、学費127万9100円、支出合計167万7100円)。
生活費の違い
住居形態 | 年間生活費 | 学費 | 総支出 |
自宅 | 39万8000円 | 127万9100円 | 167万7100円 |
下宿、アパート、その他 | 103万9000円 | 109万900円 | 212万9900円 |
一人暮らしの場合、実家暮らしと比較すると生活費で64万1000円も差があることになり、4年間では256万4000円もの違いが生じます。この生活費については、学費とは別に考慮する必要があります。
出典:平成26年度学生生活調査