子どもに虫歯が出来てしまったら!歯医者の治療法と虫歯にしないための予防法

歯を磨く子供お子さんが「歯がしみる」と言った時や、子どもの歯が黒いかも?そう思った時、経過をみますか?それとも、早速歯科医院を受診しますか?

虫歯は、虫歯菌による感染症です。感染症といえば、風邪やインフルエンザや、おたふく(流行性耳下腺炎)etc…があります。

致死性の高い感染症もありますが、発症したのち、自己免疫力や回復力で回復する事もありますが、では虫歯の場合はどうなのでしょうか。

この記事では、虫歯ができてしまった時の治療方法や、家庭で出来る虫歯予防に必要なことを歯科衛生士の筆者が詳しく説明していきます。

なぜ虫歯になると歯はしみるの?

歯とは、神経を中心に、黄色味を帯びた象牙質が周りを覆い、さらにその周りを半透明の硬い組織であるエナメル質が覆う組織です。

エナメル質は、生えたての時は、酸に弱い結晶構造です。海藻等の食品に含まれるフッ素に触れることによって、徐々に、硬くて酸に抵抗力のある結晶構造に変わります。

脱灰と再石灰化のバランスが崩れると虫歯になってしまう

口の中は普段、中性です。

しかし、食事により糖質を摂ることによって、口の中の細菌が酸を産生します。

すると、口の中は食事を摂り始めてすぐから、酸性に傾きます。

そして、エナメル質に含まれるカルシウムイオンとリン酸イオンが溶け出し、マイクロ単位の凹凸が歯面に出来ます。

これを、脱灰と言います。その後、唾液の力よって、食後30分頃から口の中は中性に戻ります。

中性になると、溶け出したカルシウムイオンとリン酸イオンが、再び歯質に吸収され修復されます。これを、再石灰化と言います。

口の中の、この脱灰と再石灰化のバランスが崩れた時、歯は虫歯になります。

歯がしみる!その仕組みとは

食事をとる事で、歯に付着した歯垢(細菌の塊)が酸を出し脱灰が起きます。

脱灰が続く事で、歯質が溶けて穴があき、神経に刺激が伝わるようになります。

冷たいものや甘いものを食べた時に、弱い痛みが発生します。これをしみると感じているのです。

虫歯の治療方法!歯科医院の治療と家庭で出来ること

歯科医院での虫歯の治療方法

虫歯の治療には、次の5段階があります。症状に合わせて治療が進められます。

  1. 脱灰(初期虫歯)の再石灰化を促進させ、修復させる。
  2. 虫歯がエナメル質の表層程度なら、虫歯の進行抑制する薬の塗布する。又は、オゾン照射し、歯を削らずに殺菌する。
  3. 虫歯がエナメル質から象牙質に進行しているなら、削って詰める。又は、いわゆる銀歯を被せる。
  4. 虫歯が大きく歯の神経まで進行しているなら、神経を取り除く。
  5. 歯の根っこまで、虫歯が進行している場合、抜歯する。
歯医者を嫌がる子供

家庭で出来ること

家庭で可能な治療は上記の『1.脱灰の再石灰化を促進させ、修復させる』程度ですが、再石灰化にはフッ素が重要になります。

フッ素には、の3つの働きがあります。

  1. 再石灰化の促進
  2. エナメル質の強化
  3. 歯垢内の細菌による酸産生能の抑制

フッ素は、再石灰化を促進するだけでなく、エナメル質の耐酸性の強化と歯垢内の酸産生能を抑制もするので、虫歯の予防としての効果も高いです。

家庭で出来る!虫歯を予防するためにするべき3つのこと

虫歯予防のために歯を磨く子供虫歯は、マイクロ単位の凹凸から始まっているものであり、中に入り込んだ虫歯菌を自分で掻き出したり殺菌する事は、現時点では出来ません。

ですが、虫歯を予防する事は可能です。

キシリトール配合の食べ物に「スクロース」は含まれていないか確認しよう!

虫歯の始まりに関与するミュータンス菌は、砂糖(スクロース)を代謝することにより、酸を産生します。

しかし、ミュータンス菌はキシリトールを取り込む事は出来ても、それを代謝する事は出来ません。

つまり、エネルギーに出来ず活動力が弱まります。また、菌内に溜まったキシリトールが酸の産生を阻害します。

キシリトール配合の飴やタブレットやガムを購入する時に、成分表をみてスクロースも一緒に含まれていない事を確認して下さい。スクロースがあると、虫歯菌は喜んで、酸を産生します。

ちょこちょこ食べと口の中に残りやすい食べ物に気をつけよう!

殆どの飲食物には、砂糖が含まれています。人は、砂糖が含まれている物を美味しく感じます。

また、砂糖はエネルギー効率が良いので、砂糖を生活から排除する事は不可能です。

飲食回数が多いと、菌による酸が産生される機会が多くなります。

つまり、ジュースを回数分けて飲んだり、一口サイズのお菓子をちょこちょこと食べたりすると、その分虫歯のリスクは上がります。

また、口に残りやすい食べ物(例:飴、グミ、キャラメル、スナック菓子、チョコレートetc…)は、口の中に留まる時間が長くなる分、脱灰時間も長くなり、虫歯のリスクが上がります。

普段からフッ素配合の歯磨きで虫歯予防を強化!

子どもは口が開いていることが多いため、口の中が乾きやすいです。

唾液には、中性に保つ作用、抗菌作用、再石灰化作用、歯の保護作用があるので、口の中は唾液には満たされている方が良いです。

また、就寝中も極端に唾液量が減ります。就寝前に歯磨きせずに寝てしまうと、食べカスを代謝して歯垢の中の細菌が活動し酸性になります。

しかし、唾液量が減っているので、中性に戻すことも、再石灰化をする事も時間がかかります。

その間に虫歯は進行してしまいます。

この様な時にエナメル質が、酸に対して強かったら、そう簡単には虫歯は進行しません。

普段からフッ素配合の歯磨剤や洗口液、ジェル等を活用することにより強化しておきましょう。

虫歯の徴候が出たら早めに受診をしましょう

現時点では、虫歯は、初期虫歯である脱灰はフッ素を用いて再石灰化を促進させ修復する事が可能ですが、それ以上虫歯が進行している場合は、歯科医院での治療をお勧めします。

早いうちに受診した方が、削らない治療が可能な事があります。

また、フッ素の活用をお勧めしてきましたが、歯科医院では家庭で使えるフッ素濃度の9倍である、9000ppmの高濃度フッ素ジェルを塗布できます。

虫歯は予防方法が確立されている感染症です。

歯は治療によって削れば削るほど寿命が縮まります。削らなくてもいいように、予防の段階から、早めの受診をお勧め致します。