中学受験では、やはり偏差値が一つの目安となります。
志望校・併願校を決める際には、お子さんの偏差値と学校の偏差値を照らし合わせ、検討を進めていく一方で、小学校低学年の偏差値は気にするべきなのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、中学受験の講師経験から、小学校低学年の偏差値が持つ意味や特徴、意識すべきポイントについてご紹介していきます。
目次
小学校低学年の偏差値はどの程度意識すべき?
中学受験では偏差値が重要な目安となります。
もちろん偏差値だけで全て判断することは好ましくありませんが、子どもに合った志望校を決める際に、どうしても偏差値は考慮せざるを得ないでしょう。
ただし、偏差値を考慮するといっても、どの学年から偏差値を意識すべきなのかという問題があります。
特に小学校低学年の偏差値は意識するべきなのか、気になる方も多いでしょう。
結論から言うと、小学校低学年の偏差値は、「目安にはなるが、あまり神経質に考える必要はない」と言えます。
次に、順を追ってそのポイントを整理していきましょう。
小学校低学年の偏差値が持つ3つの意味
小学校低学年の偏差値について、
- 中学受験における偏差値の重要性
- そもそも偏差値とは何か?
- 小学校高学年と小学校低学年での捉え方の違い
の3点をふまえ、小学校低学年の偏差値が持つ意味について、順を追って整理してみましょう。
1.中学受験における偏差値の重要性
中学受験における第一志望校は、一般的には6年生の8月までに決めておくことが望ましいです。
9月から過去問を解き、対策を進めていくケースが一般的なので、8月までには第一志望校を絞っておく、という流れになります。
また、併願校は9月中に決めておくことが好ましいでしょう。
さて、第一志望校や併願校を決める際には、子どもの希望のほか、もちろん学力面も考慮しなくてはなりません。
その際に、偏差値も重要な目安となるわけです。
偏差値が重要視されるのはいつから?
つまり、小学校6年生における偏差値が重要な意味を持つことは間違いありません。
また、一般的には小学校4年生あたりから受験勉強を開始するケースが多いため、小学校4年生から偏差値を考慮していき、最終的に小学校6年生の8月に第一志望校を決めるという流れになります。
このように考えると、小学校4年生あたりから偏差値を徐々に考慮していく必要がある一方で、小学校低学年から中学受験に向けた勉強を開始するケースもあります。
その際には、小学校低学年の偏差値も考慮しなくてはならないのでしょうか。
この点については、先ほども述べたように、「小学校低学年の偏差値は目安にはなるが、あまり神経質に考える必要はない」ということになります。
これは、小学校低学年から受験勉強を開始しているケースも例外ではありません。
2.そもそも偏差値とは?
ここで、偏差値の意味について一度整理しておきましょう。
試験における偏差値というのは、「ある試験を受けた人の中で、自分がどのくらいの位置にいるのか?」ということを表します。
例えば、自分の得点が平均点と同じ場合、偏差値は50になります。
平均点より高い得点なら偏差値は50より上になり、平均点より低い得点であれば偏差値は50より下になります。
具体例を挙げて整理してみましょう。平均点が70点の試験で70点をとった場合、偏差値は50となります。
偏差値と試験得点との関係性
一方、平均点が40点の試験で40点をとれば、同じく偏差値は50です。
つまり、「70点とることができた。高得点だ。」と思っても、平均点が70点であれば偏差値は50なのです。
一方で、「40点しかとれなかった。」と思っても、平均点が40点であれば偏差値は50になります。
そのため、偏差値というのは、試験を受けた人の出来具合に左右されることになります。
試験問題が簡単で多くの受験生が高得点をとっていれば、自分が高得点をとっても偏差値はそこまで上がりません。
一方で、試験問題が難しくて多くの受験生の得点が低ければ、自分の得点が低くても偏差値が上がる可能性があります。
このように、偏差値は自分の立ち位置を客観的に示すデータとなります。
例えば、ある試験で70点をとったとしても、周りの受験生と差をつけているかどうかはわかりません。
平均点が70点の試験であれば、70点をとっても平均的な学力ということになり、周りの受験生と差をつけているとは言えないでしょう。
この場合は偏差値50ということになりますが、70点という得点に加えて50という偏差値を見ることで、自分の立ち位置を客観的に知ることができるわけです。
70点という得点だけを見ても、実際に自分がどの位置にいるのか、周りの受験生と差をつけているのか、客観的にはわかりません。
一方で、偏差値50という数値を見れば、自分の客観的な立ち位置・レベルがわかります。
3.小学校高学年と小学校低学年での捉え方の違い
小学校高学年で模試を受ける場合、周りの子ども達は本格的に受験勉強を開始しています。
ここで偏差値が高ければ、本格的に受験勉強をしている子ども達の中で、優位に立っていることを意味します。
高学年での偏差値の捉え方
つまり、小学校高学年における偏差値は、「自分と同じように受験勉強を本格的に行っている子ども達の中で、自分がどの位置にいるのか?」ということを客観的に示す指標となるわけです。
一方で、小学校低学年で模試を受ける場合、周りの子ども達が本格的に受験勉強を開始しているとは限りません。
もちろん、同じように低学年から受験勉強をしている子ども達の中で模試を受けるわけですが、全員が全員、本格的に受験勉強を開始しているかはわかりません。
小学校高学年になれば、周りの子ども達もある程度本格的に受験勉強をします。
しかし、低学年のうちは、子どもによって受験勉強の進み具合には大きな差があります。
そのため、小学校低学年の偏差値は、「自分と同じように受験勉強を本格的に行っている子ども達の中で、自分がどの位置にいるのか?」ということを知る目安としては、少し弱いのです。
低学年での偏差値の捉え方
さらに、小学校低学年の偏差値をあまりに気にしすぎることは、かえって危険な側面もあります。
低学年での偏差値で全て決めてしまうことは、子どもの伸びしろを無視してしまうことにもなりかねないからです。
低学年で偏差値が低くても、受験勉強をコツコツ続けた結果、高学年になって偏差値が上がったというケースは多いです。
この場合、当初の志望校よりもっとレベルの高い学校にチャレンジすることもできるのです。
小学校低学年のうちは、今後の伸びしろを十分に期待できます。
低学年の偏差値だけで判断しすぎず、長い目で考えることも大切なことです。
このように考えると、小学校高学年と小学校低学年では、偏差値に対する捉え方が少し異なります。
小学校低学年の偏差値は、あくまで現時点での学力の目安として捉えることが大切であり、今後の伸びしろは十分に期待するべき、ということになります。
先ほど「小学校低学年の偏差値は目安にはなるが、あまり神経質に考える必要はない」と述べたのも、こうした背景によるものです。
低学年の偏差値は目安として捉え、意識しすぎないようにしよう
偏差値は、子どもの学力と志望校のレベルを照らし合わせる際の重要な目安です。
特に小学校高学年になって志望校・併願校を決める際に重要な意味を持ち、自分の客観的なレベルを示すものとなります。
一方、小学校低学年の偏差値は、受験における自分の位置を知る目安としては少し弱くなります。
もちろん偏差値は目安の一つですが、小学校高学年の偏差値とは捉え方が若干異なります。
また、小学校低学年は今後の伸びしろを十分に期待できるので、偏差値が上がる可能性は十分に秘められています。
そのため、低学年の偏差値だけで全て判断してしまうことは危険でもあります。
小学校低学年の偏差値はあくまで目安として捉え、その時の偏差値だけを意識しすぎないようにしてください。
子どもの今後の伸びしろを期待し、小学校高学年の受験勉強につなげていくという意識が大切です。