通塾にかかる費用と合格実績の違い!大手4大中学受験塾の分析結果とは

中学受験塾に通う小学生

中学受験のためには、塾に行くことがほぼ必須と言っても過言ではありません。

では、お子さんをどこの塾に通わせればいいか悩んでしまう親御さんも多くいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、代表的な中学受験塾である、サピックス、日能研、四谷大塚、早稲田アカデミーの四大塾のそれぞれの特徴、通塾にかかる費用と合格実績の違いについてご紹介していきますので、塾選びの参考にしてみてください。

サピックス・日能研・四谷大塚・早稲田アカデミーの特徴とメリットデメリット

まず、大手の中学受験塾とされる4つの塾についてそれぞれの特徴・メリットデメリットについてみていきましょう。

サピックス

最難関校~難関校に強い学習塾で、中学受験塾の中では実績の面でトップといわれている塾です。

特徴は、進度が速く、テキストの難易度が幅広くカバーされている点です。

超難関校の実績が多いため、「成績下位の子が見捨てられるのでは」という懸念を時折目にしますが、そういうことは決してありません。

成績下位の子にも、そのお子さんの難易度に合わせた授業や宿題を出してくれますし、一人ひとりの特徴を理解してくれる面倒見の良さもあります。

ただ、宿題の量が多く、周りに超難関校を目指すレベルの高いお子さんが多いので、「ついていけないかも」「成績下位ばっかりで嫌だな」とストレスを感じるお子さんには向いていないかもしれません。

サピックスでは割り切る強さも必要

サピックス内で成績下位(サピックス内偏差値でたとえば40前後)だとしても、一般の小学生の中では断トツで成績上位です。

サピックスに優秀な子が集まりすぎているので「優秀な子の中で」下になるだけです。

そして、サピックス偏差値が40でも、中堅校に合格しているお子さんは多いです。

たとえ成績下位になっても、授業で言われたことをきっちりこなしていけば、受験に打ち勝つ力は確実に得られます。

サピックスの授業内容も講師陣の力も、中学受験塾のトップに立っているだけの力を持っています。

プリント整理をきちんとしておこう

サピックスのデメリットは、復習において問題の取捨選択が必要な点でしょう。

テキストには簡単な問題からかなり高難度の問題まで載っておりますが、すべての問題を解く必要はありません。

クラスごとに、レベルに応じた問題が指定されるので、それを解けばよいのですが、間違ってしまうと時間のロスや混乱の元になります。

もうひとつのデメリットは、プリントの整理が大変なことです。

テキストは授業ごとにばらばらの小冊子になっており、学校の教科書のようにまとまった本のようにはなっていません。

そのため、ファイリングしないとプリントの山ですぐに部屋が埋もれてしまいます。

日能研

難関校~中堅校に強いといわれている学習塾で、特徴は、幅広い中学校に対応できて、かつ比較的マイペースに勉強が進められる点です。

ほかの塾と比べて宿題が多くないため、マイペースに勉強していきたいお子さんには向いていると思われます。

復習を中心としたカリキュラム

復習中心で、同じ内容を育成テストなどで繰り返すため、学んだことがお子さんに定着しやすいようになっています。

家庭学習しやすいように、テストの答案用紙はテスト直後からデジタルで確認できるようになっていますし、解説が丁寧な点も良い点のひとつです。

「記述力模試」があり、中学受験において採点配分の大きな記述問題の力が伸ばしやすいです。

また、講師とは別の「学習アドバイザー」がいて、お子さん一人一人に合わせた指導をしてくれます。

忙しい先生の時間をもらうのは気が引けてしまいますが、アドバイザーでしたら、気兼ねなく相談もしやすいですね。

デメリットは、進度が遅いといわれる点です。

進度がゆっくりだと、受験直前期に演習問題をこなせる時間が減ってしまうので、受験する中学校によっては演習を増やすための工夫(たとえば、家庭講師を雇うなど)が必要になるケースがあるかもしれません。

四谷大塚

難関校~中堅校に強い学習塾で、特徴はテキストやテストの実績と、「予習」も含めた学習サイクルです。

サピックスや日能研は復習中心の塾ですが、四谷大塚は学習サイクルに「予習」を取り入れています。

予習し、授業を受け、週例テストで理解度を確認し、復習で定着させるという流れを伝統的に用いています。

復習中心の塾の場合、授業でもテストでも「初めて見る問題」ですので、「初めて見る問題に取り組む力」を培うことができます。

予習にはそういった良さはありませんが、四谷大塚では予習から復習まで一連の流れをこなすことで、その分野をマスターしやすい仕組みになっています。

テキストがわかりやすくまとめられている

さらに、四谷大塚の「予習シリーズ」というテキストは、非常に完成度が高く、中学受験用の数ある塾テキストや参考書の中で、最高の出来だと評判です。

カラーで、かつ丁寧にわかりやすくまとめられており、解説も詳しく、他塾でも参考に使っている生徒がいるという声を聞くほどです。

しっかりとこれで予習しておけば、授業についていけず落ちこぼれてしまう心配はほとんどないと言ってもいいでしょう。

また、6年生で実施される「合不合判定テスト」は受験数も多く、合格判定の信頼度が非常に高いです。

他塾のテストだと、どうしてもその塾生に偏ってしまいますが、「合不合判定テスト」は他塾の多くの生徒が受験するテストです。

テスト問題の内容だけでなく、偏差値や合否判定も信頼性が高いです。

予習をしっかりやっておくこと、スケジューリングをしっかり立てる必要がある

四谷大塚のデメリットは、予習が重要だからこそ、予習をしっかりやっておかないと授業がわからなくなる危険性があります。

復習中心の塾よりも、四谷大塚では「予習」というワンステップが加算されますので、家庭学習のスケジューリングをしっかり立てる必要があります。

また、クラスの人数が多めのせいか、面倒見があまりよくないという口コミもたまに見ます。

また、予習シリーズには掲載している問題数が少ないため、演習が多くできないという心配があります。

早稲田アカデミー

近年、難関校への合格実績を増やしている塾です。特徴は、面倒見が良いので、お子さんが熱心であればあるほど成績が伸びやすいことです。

早稲田アカデミーといえば「体育会系」です。

講師陣が熱くエネルギッシュ!教室がアットホームな雰囲気

体育会系のノリが苦手なお子さんはいるかもしれませんが、生徒との距離も近い分、講師も熱心に寄り添ってくれます。

また、早稲田アカデミーには通称「回診電話」と呼ばれる、講師から親御さんへの定期連絡があります(校舎により頻度は異なるそうです)。

学習方法やテスト結果、それに受験校などについて個別相談ができます。

とにかく宿題が多い!多いからこそメリットも大きい

少しでも多くの問題を解き続けることで知識が定着しやすくなるというメリットがあります。

宿題で出された内容は、校舎によりますが講師が内容をチェックして個別指導もしてくれるので、面倒見のよさという点では、4校の中では早稲田アカデミーに軍配が上がると思われます。

デメリットは、熱心なノリが合わないお子さんには通塾自体が負担になる可能性があること、また、早稲田アカデミーは校舎による差が大きいと言われること、この2点でしょう。

塾を決める前に、近隣の早稲田アカデミーに行って雰囲気を見ておくとよいかもしれないですね。

中学受験塾の合格者数と合格率

年間の通塾費用は?費用を考える時に気をつけるべき点

各学習塾のホームページには、月額授業料などが掲載されています。

しかし、その金額に12を掛けた金額が、年間の塾代だと考えてはいけません。

なぜならば、ここには春期や夏期講習、特別講習などの金額が含まれていないからです。

季節講習などを含めた年間費用は、4校に関してはホームページで公開されていなかったため、追加金額を加味して年間の塾代を計算したサイトを引用してご紹介します。

この金額は、我が子の中学受験経験のある筆者が実際に払った金額と比較して、おおよそ同額になります。

 4年生5年生6年生
サピックス62万77万138万
日能研48万70万109万
四谷大塚62万75万116万
早稲田アカデミー65万101万152万

(※引用元:中学受験ポータル「【完全比較】中学受験4塾の3年間費用一覧表/サピ・日能研・四谷・早稲」)

これらの塾代とは別に、受験直前期には過去問題集や受験費用などにお金がかかります。

入学金も早めに振り込みが必要ですし、学生服などの購入も必要になります。

6年生でかかる金額は塾代金の1.5倍くらいと考えておきましょう。

各塾の合格実績!〜2022年度の実績〜

各塾のホームページで2022年3月末に発表された合格者数(一部抜粋)を下表にまとめました。

抜粋したのは、例として関東の中学校で、どれも一般偏差値70以上の超難関~難関校です。偏差値順に並べてあります。

 サピックス日能研四谷大塚早稲田アカデミー
筑波大学附属駒場10432836
開成28343108114
渋谷教育学園幕張378104158168
桜蔭187266766
聖光学院237427971
麻布学園192697286
筑波大学附属65284238
豊島岡女子27873120132
女子学院128446383
栄光学園113672827
武蔵65354662
駒場東邦199542949
東京都立小石川361233
慶應義塾普通部141174071
慶應義塾中等部136103147
雙葉57252744
早稲田22459188196
海城24865153104
渋谷教育学園渋谷265569575
浅野25912013580
千葉県立千葉28125228
早稲田実業51135271
早稲田大学高等学院 中学部51123763
市川548115285250
163849072
浦和明の星女子470206279276

(※引用:サピックス日能研四谷大塚早稲田アカデミーの2022年合格実績より)

上表より、偏差値70以上の超難関~難関中学校の実績はサピックスが圧倒的に多いことがわかります。

たとえば偏差値トップを誇る筑波大学附属駒場中学校の合格者数では、サピックスでは他塾の数倍以上で独走状態です。

一方、たとえば難関校である市川中学校では、やはりサピックスが圧倒的に強いものの、そのほかの3塾もそれなりの合格実績を残していることがわかります。

特筆すべきは、早稲田アカデミーの早稲田や慶應義塾系列への合格実績です。

早稲田や慶應義塾系列を志望校として考えているお子さんは、体育会系が合えば、早稲田アカデミーを第一候補としてよいかもしれません。

まとめ

四大塾のサピックス、日能研、四谷大塚、早稲田アカデミーには、どれも塾独自の特徴があります。

超難関校や難関校を目指すならサピックス。

マイペースでも確実に学力を伸ばしたいなら日能研。

しっかりと書き込まれたテキストを使いたいなら四谷大塚。

熱い指導で早稲田や慶應系列を目指したいなら早稲田アカデミー。

塾によって受験までにかかる費用も、先生の指導の仕方も違いますが、どこの塾にもメリットデメリットはあります。それらをふまえてお子さんに合う塾を見つけてあげましょう。