転塾の判断は慎重に!転塾を決める前に家庭で考えておくべきことと転塾先を決める時の注意点

塾で勉強する小学生

今通っている塾に疑問を持ったり、指導方針などで合わない部分があるとき、塾を変えたいと考えるお子さん・親御さんは多いでしょう。

ただ、転塾はお子さんの負担も大きいので、安易にいきなり転塾するのは好ましくありません。

転塾するかどうかは転塾のメリット・デメリットも踏まえたうえで慎重に判断し、ベストな選択となるよう親子で話し合って決める必要があります。

ここでは、塾講師の経験から転塾を検討する際に注意すべきこと、転塾を決める前に考えておくべきことや転塾先を決めるときのポイントなどを整理していきます。

転塾する場合もそうでない場合も、親子にとって最適な選択にするため、ぜひ参考にしてみてください。

希望した環境と違うからと転塾は安易に決めないように!

塾に通っていると、いろいろな理由で塾を変えたいと思う場合もあるでしょう。

例えば塾の教育方針と合わない、クラスや先生に馴染めない、もっとハイレベルな塾にしたい、あるいはもっとのびのびした塾で勉強したいなど、いろいろな理由があるかと思います。

ただ、希望した環境と違うからといって、すぐに転塾したり塾を頻繁に変えたりするのは好ましくありません。

確かに、塾に入ったら想像していた環境と違ったなどのケースもあるかと思いますが、その瞬間にすぐ転塾を考えるのは良いこととは言えないのです。

あまりに頻繁に塾を変えてもお子さんの負担が大きくなるだけですし、お子さんの学力アップにつながるわけでもありません。

転塾を考えるときは、本当に転塾が必要なのか、今の塾に残って問題を解決できないか、転塾するにしてもそのタイミングはいつが良いかなど、いろいろな観点から慎重に考える必要があります。

転塾を考えるということは不思議なことではありません

お子さんの性格や各ご家庭の教育方針などを踏まえ、あまりにも塾と合わない状態が続けば転塾を検討するのも当然でしょう。

合わない塾を無理やり続けさせるのも好ましくないですし、そこで転塾を検討することは何もおかしな話ではありません。

すぐに塾をやめたり頻繁に塾を変えたりするのは好ましくないですが、転塾そのものは別に不思議な話ではないので、そこは柔軟に考えていただければと思います。

転塾は慎重に!転塾をするメリットとデメリットを整理しておこう

転塾を検討する際には、まず転塾のメリット・デメリットをきちんと整理しておく必要があります。

安易に転塾する・しないを決めるのではなく、メリット・デメリットを踏まえて慎重に判断しなくてはなりません。

モチベーション・やる気が向上!転塾のメリット

お子さんの性格やご家庭の教育方針と合った塾に転塾できれば、それだけ希望に沿った環境で学習が進みます。

子どもの学力レベルに適した授業、子どもの性格に合った先生の指導などを通じ、転塾をきっかけに学力がアップすることも多いです。

例えば、集団塾が合わなかった子どもが個別指導塾に転塾したケース、逆に個別指導塾が合わなかった子どもが集団塾に転塾したケースなど、子どもの性格に合った環境に変われば、それだけ効率良く勉強も進みます。

学力や性格面で適した授業にたくさん出会えれば、子どものポテンシャルを一気に引き出すことも可能でしょう。

さらに、転塾は子どもにとっても心機一転、新たなスタートとなるもので、新しい環境の中でモチベーションがぐっと上がるケースも見られます。

このように、転塾はただ単に塾を変えるだけでなく、モチベーション・やる気の向上や学力アップにつながることも多いのです。

転塾しないほうがよかった!?転塾のデメリット

一方、転塾をしたからといって、子どもやご家庭の希望が全て叶うわけではありません。

転塾前に時間をかけて調べ、お子さんの性格などを踏まえて最適な塾を選んだつもりでも、想像していた環境とは違ったというケースはあり得ます。

こればかりは非常に難しい問題ですが、絶対に全ての希望が叶う保証はなく、このあたりは臨機応変に対応する必要があります。

また、事前の調べが甘く、安易に転塾先を決めてしまえば、それだけ後悔する可能性は高まります。

最悪の場合、新しい塾は以前の塾よりもっと子どもの性格に合わなかった、むしろ転塾しないほうが良かったなどのケースも考えられます。

慎重に転塾先を選んだ場合でも全ての希望が叶うとは限らないのですから、安易に転塾先を選べばもっとリスクは高まるのです。

だからこそ、転塾を検討するときは各ご家庭の方針やお子さんの性格などを踏まえて慎重に選ぶ必要があり、可能な限りリスクを減らすという考え方が大事になります。

成績が伸び悩む子供

転塾を決める前に考えておきたい3つのこと

ここまでの話を大前提として、以下、転塾を検討する際の注意点について整理していきます。

まずは転塾を決める前に考えておきたいことからお話しします。

転塾する場合もそうでない場合も、最適な選択ができるよう、あらゆる観点からポイントをおさえておきましょう。

1.本当に転塾すべきか、問題点を洗い出す

本当に転塾すべきなのか、まずは現状の問題点を洗い出す必要があります。

なぜ今の塾では合わないのか、どこが問題なのか、一度整理してみてください。

このあたりの分析を甘くして安易に転塾する・しないを決めると、次の塾で後悔するおそれもあります。

まずは冷静に問題点を分析し、転塾の有無を慎重に決める必要があります。

子どもの性格や家庭の教育方針を再確認する

そもそも塾というのは、子どもの性格や家庭の教育方針と合った塾に通うのが理想です。

このあたりは塾に通う前にきちんと調べる必要がありますが、残念ながら塾に入ってから気づくこともあり、想像していた塾と違っていたなどの事態も見られます。

この場合、お子さんの性格や各ご家庭の教育方針をもう一度確認し、今の塾とどこが合わないのか、問題点を整理しなくてはなりません。

例えば、進度が早すぎる塾はお子さんに不向きである、逆にのんびりした塾はお子さんの性格に合わない、集団塾の雰囲気が合わない、逆に個別指導塾の雰囲気が合わないなど、いろいろな観点から問題点を分析する必要があります。

また、単にお子さんのモチベーションが低い場合や、なかなかやる気になっていないような場合は、転塾以前に、各ご家庭の取り組みでお子さんの勉強姿勢を改善できることもあります。

こうしたお子さんの性格や各ご家庭の教育方針を再確認することは、次の塾を選ぶ際にも重要なことです。

特に転塾の場合は尚更塾と合うか合わないかは慎重に決めるべきで、あらゆる観点から検討するためにも子どもの性格や親の教育方針は今一度整理しておく必要があります

今の塾に残って問題点を解決できないか検討してみる

問題点を洗い出したら、その問題点は今の塾に残って解決できないのか?という点も検討してみてください。

例えば塾側と相談し、先生を変えてもらう、授業内容を簡単にしてもらう、クラスのレベルを変えてもらうなど、今の塾で対応可能な問題であれば、とりあえず塾に残って様子を見るという選択肢もあります。

繰り返しになりますが、いきなり転塾するのは避けるべきであり、今の塾に残れるならなるべく残る方向で調整したほうが良いでしょう。

もちろんあまりに塾と合わない場合は転塾したほうが良いですが、転塾を決める前に今の塾に残る選択肢についても柔軟に検討してみてください。

2.「転塾すれば子どもが勉強してくれる」とは限らない

塾に通い始めても子どもが勉強してくれない場合、塾の教え方が悪いのでは?と考えてしまうこともあるでしょう。

ただ、この場合、塾を変えれば子どもも勉強してくれると考えるのは危険です。

特に、お子さんがまだ勉強に興味関心を抱いておらず、モチベーション・やる気が起きないような場合、塾を変えても勉強してくれるとは限りません。

安易に転塾を決めるよりも学習習慣の構築から徹底させるべきであり、それは塾だけでなく各ご家庭の取り組みも大きく関係します。

目的意識をお子さんと共有できていますか?家庭で改善出来る問題点は意外に多い

先ほど少し触れましたが、勉強に対する子どものモチベーション・やる気が低く、なかなか勉強してくれないような場合は、各ご家庭の取り組みによって問題点を改善できることも多いです。

例えば、最初は短時間の家庭学習からスタートし、短時間でもしっかり集中する習慣を続ければ、少しずつ勉強習慣ができあがります。

勉強習慣が積み重なると、お子さんの中で勉強に対するモチベーション・やる気も維持されやすいでしょう。

このような家庭学習の構築は、日々のスケジュール調整も含め、各ご家庭の判断で行うことが可能です。

また、「あの中学校に行くために受験勉強をする」「中学校で苦労しないために小学生のうちから学力を伸ばしておく」など、勉強の目的意識を持たせることも大事です。

「なんのために勉強するのか?」を意識できれば、おのずとモチベーション・やる気も高まるでしょう。

こうした目的意識の構築にあたっては、親子でしっかりコミュニケーションをとり、親子で「なんのために勉強するのか?」という目的意識を共有することが大事です。

このように、お子さんのモチベーション・やる気を引き出すのは、各ご家庭の力も非常に大切になります。

子どもが勉強してくれないからといって、塾を変えればすぐ問題が解決するわけではありません。

勉強しない理由が子どものモチベーション・やる気の問題であるなら尚更、まずは親子でできることは何か?という点を踏まえ、親子の二人三脚で問題を解決していくこともぜひ意識してみてください。

個別指導塾では学習習慣の構築もできやすい

学習習慣の構築にあたり、各ご家庭ができることもたくさんありますが、塾側にお子さんの学習習慣を作ってもらうこともできます。

特に個別指導塾であれば、勉強習慣が身についていない子どもでも通いやすく、少しずつ勉強に慣れを作っていくようなカリキュラムも編成されています。

通っている塾が個別指導塾の場合、お子さんがなかなか勉強してくれない旨を伝え、塾でも学習習慣の構築に焦点を置いてくれるよう相談してみると良いでしょう。

個別指導塾は個人個人の状況に合わせてカリキュラムを組んでくれますので、こうした相談もしやすいです。

一方、集団塾の場合はこのような個別の対応は難しくなります。

どうしてもお子さんが家で勉強してくれない場合で、家庭の取り組みでもなかなか改善せず、塾で学習習慣を身につけてもらいたい場合などは、やはり個別指導塾への転塾を検討したほうが良いでしょう。

塾の教え方が原因で子どものやる気がなくなってしまった場合

もちろん、塾の教え方が原因で子どものやる気がなくなってしまったようなケースであれば、転塾をしたほうが良いでしょう。

残念ながら、子どもと塾の相性が悪いケースでは、先生の教え方がどうしても合わない、先生の教え方がかえって子どものやる気を削いでしまう、などの事例も一部見られます。

お子さんのやる気やモチベーションが明らかに下がった場合、まずは話を聞いてあげてください。

塾の環境が原因で子どもが塾に行きたくないと言い出したり、先生の教え方がどうしても合わないと主張するようであれば、一度塾側とも相談し、転塾も含めて検討する必要があります。

その結果、子どもに合った塾に転塾できれば、勉強に対するモチベーション・やる気もおのずと回復するでしょう。

3.親が勝手に転塾する・しないを決めないこと

転塾するかどうかは、親が勝手に決めて良いことではありません。

特に、子どもが今の塾を気に入っている場合に、親が一方的に転塾させるのは絶対に避けるべきです。

これでは子どものモチベーション・やる気が下がるだけですし、最悪の場合勉強が嫌いになってしまうおそれもあります。

また、たとえ子どもが今の塾を好きではない場合でも、親がいきなり転塾を決めるのは好ましくありません。

さらに、子どもが正当な理由で転塾したいと考えているときに、親が子どもの意向を無視し、無理やり今の塾に通わせ続けるのも好ましくありません。

子どもにとっては、自分が関与しないところで勝手に自分のことを決められると抵抗感が強くなります。

このように、どのケースでも、転塾する・しないは親だけが決めて良いわけではないのです。

確かに、小学生の勉強は親の関与も多くなりますし、子ども一人で塾選びをすることは難しいですが、だからといって親だけが全て決めて良いことにはなりません。

子どものやる気やモチベーションを削がないためにも、転塾を検討するときは親子でしっかりコミュニケーションをとり、今後の方針を決めていきましょう。

転塾先を決めるときの注意点

次に、転塾先を決めるときの注意点についてです。

当然ですが、今の塾以外ならどこでも良いということはなく、指導方針などを踏まえて慎重に新しい塾を選ばなくてはなりません。

また、転塾はお子さんの負担も大きいので、なるべく負担が少ないタイミングを選んで転塾することも大事です。

以下、こうした点も含め、ポイントを整理していきます。

転塾の原因を今一度整理する

自分に合った転塾先を見つけるためにも、転塾の原因を今一度整理しておく必要があります。

今の塾のどこが子どもに合わなかったのか、どのような方針がご家庭の希望にそぐわなかったのか、ポイントを再度整理しましょう。

特に転塾であれば尚更、お子さんに合う塾は慎重に選ばなくてはなりません。

集団と個別指導のどちらがお子さんに合うのか、お子さんの性格に合う教育方針はどのようなものかなど、今一度問題点を洗い出しておいてください。

転塾先の情報をきちんと把握する

転塾先の候補となる塾は、一度しっかり見学してみる必要があります。

また、体験授業があれば積極的に活用することも大事です。

こうした見学や体験授業などを通じ、教室内の雰囲気や指導方針などの情報をしっかり把握し、比較検討するようにしましょう。

塾を選ぶときは、このような現場の情報が非常に大切になります。

もちろん塾の公式サイトなどでも様々な情報をチェックできますが、同じ会社の塾でも各教室によって雰囲気は若干変わります。

こうした現場の雰囲気は、実際に教室に足を運び、見学や体験授業などを通じて確認したほうが良いでしょう。

また、今は様々な口コミがインターネット上に見られますが、こうした口コミだけで判断するのも危険です。

しっかり足を運んで実際の教育現場を見て、総合的に判断するようにしてください。

もちろん、通塾の際の交通アクセス、塾の周辺環境などもきちんとチェックする必要があります。

このあたりは転塾に限らず、塾を選ぶ際に共通するポイントですので、改めて注意しておきましょう。

転塾はタイミングに注意すべき

転塾を決めたとしても、その転塾のタイミングには十分注意する必要があります。

そもそも転塾はお子さんにとっても負担が大きいので、なるべく負担が少ないタイミングで行うべきでしょう。

転塾目安のタイミングは学期が終わるとき

転塾のタイミングとしては、学期が終わるときが一つの目安になります。

学期が終わって休み期間に入ると、お子さんの生活にも時間的な余裕が生まれるでしょう。

そのタイミングで転塾をすれば、お子さんの負担も比較的軽くなります。

一方、忙しい学期の途中でいきなり塾を変えたりすると、環境の変化にお子さんがついていけないおそれもあります。

ただでさえ新しい環境に移行するわけですから、とにかくお子さんの負担をできるだけ軽減する方向で転塾先を絞っていくことが大事です。

また、一つの学期が終わると、夏期講習や冬期講習、春期講習が行われますが、それらの講習のタイミングで新規に入塾するケースも多く見られます。

講習の時期は通常より塾に通う回数が増えますので、新しい塾に早くなじみやすいというメリットも大きいでしょう。

転塾は慎重に判断をし、お子さんの意向を反映させるようにしましょう

今回は、転塾を検討する際に何を注意すべきかについてお話ししていきました。

塾はお子さんの性格や親御さんの教育方針に合った塾を選ぶことが大事であり、どうしても今の塾が合わなくなったら転塾を検討することもあるでしょう。

ただし、合わないからといっていきなり転塾したり、塾を頻繁に変えたりするのは好ましくなく、転塾するかどうかはいろいろな観点から慎重に判断しなくてはなりません。

転塾のメリット・デメリットもしっかりおさえ、お子さんと親御さんにとって最適な選択になるよう検討することが大事です。

転塾をする前にもう一度問題点を洗い出し、今の塾に残って問題点を解決できないか?という点も考慮してみましょう。

また、勉強習慣がまだできあがっていないお子さんの場合、転塾をしたからといって勉強してくれるとは言えません。

まずは家庭学習の充実など、各ご家庭でできることも意識し、そのうえで転塾するかどうか検討してみてください。

さらに、転塾するかしないかを親だけが決めるのではなく、しっかり子どもの意向を反映させるようにしましょう。

そして、転塾先を決めるときはしっかり現場の情報もチェックし、実際の教室の雰囲気や指導方針などをあらかじめ確認することが大事です。

また、学期が終わるときなど、なるべくお子さんの負担が重くならないタイミングを見計らって転塾できるようにすると良いでしょう。

これらの点も踏まえ、転塾するかどうかは親子でしっかり話し合い、ベストな選択となるよう比較検討していきましょう。