出費がかさむのは厳しくても、できれば削りたくないのが子供の学費。
文部科学省のデータによると日本の高等学校進学率は97%で、ほぼ全員が進学していることになります。
幼稚園(3歳)から高等学校までの15年間で、私立と公立での学費にはどの程度違いがあるのか、年間の平均額で見てみましょう。
目次
私立幼稚園、公立幼稚園に必要な学費
幼稚園の年間学費
幼稚園でかかる年間の学費の総額は公立で22万、私立は50万円です。
幼稚園の場合は公立より私立に通う子供が多く、幼稚園の数では63%、園児数では83%が私立に通っています。
そのため私立は公立の2倍で高い!というよりも、公立は安くていいなぁといった感想が聞こえそうです。
幼稚園の学校教育費
学校教育費は授業料の他に遠足代やPTA会費、納付金や制服代も含みます。
学校生活に関わるお金をすべてまとめているものです。
この差の中で大きいのはやはり授業料です。
公立が6万円で私立は21万円なので、3倍以上の差があります。
幼稚園は義務教育ではないため、小学校以降にあるような具体的な学習指導要領はありません。
私立は幼稚園ごとの教育の特色が強く、園ごとの差があります。
市町村によっては「私立幼稚園就園奨励費」があり、収入や子供の数にもよっても変わりますが実際の出費はもう少し抑えられます。
そういったことから、実際の入園に際してはよく確認する必要がありますね。
幼稚園の学校外活動費
学校外活動費とは学校とは関わらない学習に使う費用を指していて、塾やピアノといった習い事にかかる費用に加えて図書代も含んでいます。
こちらも家庭ごとの差が大きいところです。
学校外活動費は公立が8万円、私立が14万円と2倍弱の違いがあります。
週に1回1時間の習い事で5000円~10000円と設定している習い事が多いので、何か一つ以上は習い事をしている家庭が多いということになります。
私立小学校、公立小学校で必要な学費
99%が公立小学校に、1%が私立小学校に通っています。
公立の学費データは各家庭の差が非常に大きいものを平均していますが、私立のデータはそれぞれの家庭にそこまで大きな差はないものと考えられます。
小学校の年間学費
小学校の学費は、公立が年間32万円なのに対して私立は153万と約5倍です。
金額で考えると120万の差になり、6年間で考えると700万円の違いです。
小学校の学校教育費
学校教育費は公立が6万円、私立が89万円と10倍以上の差があります。
小学校は義務教育で、公立の授業料は無償となっています。
対して私立は47万円です。一番の差はこの授業料です。
続いて公立8000円、私立23万円と大きな差の要因となるのが学校納入金等です。
入学金や検定料、PTA会費などを指しています。
入学金だけとっても、2万円のところもあれば30万円というところもあります。
どちらかというと都心部は高額な印象があります。
入学金の他に寄付金を募る学校もあります。
小学校になると幼稚園とは違って校外学習が増えます。
林間学校や修学旅行のような泊りがけのものもあります。
授業料ほど大きな額ではないにしても、無視はできません。
公立が7000円なのに対して私立は43000円です。
私立は小学校でも海外へ行くことも多いので費用がかかりますが、公立は国内でかつ同じ地方の観光地がメインなため高額にはなりません。
小学校の学校外活動費
公立の学校外活動費は22万円、私立は60万円です。
その中でも学習塾にかかる費用が、公立は5万円で私立は20万円です。
もちろん授業についていくためという理由もありますが、大きな理由は中学受験ではないでしょうか。
公立と比べると私立は中学受験を考える生徒の割合が多いため、進学塾にお金をかける家庭が多くなり、学校外活動費の平均が上がっているということです。
私立中学校、公立中学校で必要な学費
中学校における私立の割合は7%と小学校よりは多いものの、少数派であることは変わりません。
中高一貫教育の学校もあり、高等学校への準備機関という位置づけもあります。
中学校の年間学費
中学校の学費は公立が48万円、私立が133万円です。
小学校より差は小さいものの3年間で250万円と考えると大きな差です。
中学校の学校教育費
学校教育費は公立が13万円、私立が102万円と約8倍の差があります。
小学校と同様、公立の中学校も授業料が無償となっているのに対して私立は44万円です。
差の半分はこの授業料ということになります。
小学校でも差の大きかった納入費は中学校でも依然大きな違いがあります。
公立は1万円、私立は28万円です。
小学校と同様20万円以上の違いがあります。
さらに大きな違いがあるのは通学関係費です。
公立は3万円で私立は14万円です。公立には学区があり、基本的に自宅から近い学校に通学します。
徒歩または自転車なので交通費はかかりませんが、私立では電車などの公共交通機関を使うことも多いため交通費がかかります。
また、制服にかかる費用も含みます。有名ブランドやデザイナーを起用した制服の多い私立は値段が張る場合が多いです。
中学校の学校外活動費
学校外活動費は、公立私立ともに31万円です。
金額だけ見ると同じですが使われ方には違いがあります。
公立は1,2年次が控えめで、3年次に一気に数字が跳ね上がっています。
私立は3年を通じてほぼ横ばいです。
これは高校受験を意識したものと考えられます。
私立高等、公立高校に必要な学費
高等学校になると私立の割合は3割程度となります。
義務教育ではなくなり、公立も私立も試験を受けて入学する点が小学校中学校と異なります。
高校の年間学費
高等学校の学費は、公立が41万円で私立が100万円です。
私立の学費は小学校・中学校と比べると最も金額は低くなっています。
高校の学校教育費
学校教育費は公立が24万円、私立が74万円と3倍の差があります。
違いの大きな要因となるのは小学校・中学校と同様授業料で、公立は8千円、私立は26万円です。
公立は「高等学校等就学支援金制度」があるため、所得制限はあるものの授業料の実質負担はない家庭も多いようです。
納入金も公立5万円、私立23万と4倍程度の違いがあります。
通学関係費の差は公立8万円に対し私立11万で、中学校に比べると差は小さいと言えます。
私立には学区制度がありませんので、公立に通う場合も公共交通機関の利用が多いことも理由の一つです。
高校の学校外活動費
学校外活動費は公立が17万円、私立が26万円です。
1.5倍という差はありますが、年次・内訳とも少しずつの違いが積み重なった結果です。
小学校・中学校と比べて金額は下がりましたが、理由は卒業後の進路が進学だけでないため塾や家庭学習を必要としない子供の割合が増えたことが関係しているのかもしれません。
幼稚園から高等学校卒業までの15年間の学費総額
最後に私立の学校に通った場合の学費のパターンをご紹介します。
幼稚園から高等学校まですべて公立に通った場合は523万円、私立に通った場合は1770万円なので、3倍以上の差が出ます。
金額で比べると1200万円です。
私立小学校に通うのは1%ということから、15年間私立に通うというのは稀なケースかもしれませんが、数字にしてみると公立と私立の差は大きいことが実感できます。
高額だとしてもできる限り子供には良い教育を受けさせたいのが親心です。
家庭によって事情は様々ですが、数字と向き合い、そしてもちろん子供とも向き合って、家庭に合ったライフプランを考えたいですね。