小学校受験に挑戦する、と決心したら、次なるステップとして志望校選びがあります。
筆者は幼児教室の講師を務めていたため、小学校受験を希望されるご家族からご相談をいただく機会が多々ありました。
志望校選びはお子様ご自身とご家族の数年先どころか人生さえも左右しかねない、重大な選択となります。
だからこそ、皆様たいへん悩まれ、迷われます。
「志望校がなかなか決まらない」と、出願の時期になって焦ってしまう方も毎年いらっしゃいます。
お子様の個性やご家族の教育方針と学校の校風や教育方針が合致するかどうか、という点がもちろん大事な選定基準になりますが、それだけでなく、さまざまな観点から検討する必要があります。
この記事では、小学校受験で志望校選びをする際、いつ始めればいいのか、どんなふうに選べばよいのか、どんな観点を持てばよいのか、6つのポイントをご紹介していきます。
目次
1.志望校選びはできるだけ早くスタートする
志望校選びは、早く始めるに越したことはありません。
多くのご家族は年少時に、小学校受験をするかどうかを決めていますが、その決心をした時点で、志望校の候補を考え始めるようにしましょう。
早くから動けば、それだけ情報を得る機会も早くから持てます。
お子さんの成長などを観察しながら年中のうちに志望校が決定していると理想!
志望校決定までの時間も長いので、お子様の個性や成長をじっくり観察しながら、焦らず考えることができます。
年中のうちには、志望校が決定しているのが理想です。
年長からは、多くの受験塾が志望校別対策を始めるからです。
また、第何志望まで決めるかはご家庭によって様々です。
複数受験する場合は受験日程はもちろん、試験内容や合格難易度、お子様やご家族の体力なども考慮して、無理のないスケジュールになるようにしてください。
2.通える場所にある学校から選ぶ
志望校によってお引越しをなさる場合は別ですが、ご自宅からの通学経路、通学時間は優先度の高い観点です。
ほとんどの場合、少なくとも6年間は同じ校舎に通うこととなります。
年齢や季節ごとの毎朝毎夕の通学の様子をシミュレーションしてみてください。
基本的に電車通学が多いでしょうが、雨の日も沢山ありますし、電車の遅延や運休といったトラブルも生じます。
万が一の災害が起きることもあります。
通学時間が極端に長かったり、経路が複雑だったりする場合、非常時の対応に難航するかもしれません。
何より、通学が長時間であればあるほど、どうしてもお子様の負担は増加します。
習い事などの放課後時間も通学時間を選ぶ一つです
習い事や通塾を含む課外活動についても考慮を要します。
これらを踏まえると、乗り換え回数はできるだけ少なく、どんなに遠くても、ご自宅の玄関から校舎まで片道60分程度で通える学校から選ぶのが現実的ではないでしょうか。
志望校選びを何から始めたら良いか迷われている方は、まずは通える場所にある小学校をピックアップするところから始めてみてください。
なお、学校によっては出願条件として通学時間の制限を設けているところもありますので、ご注意ください。
3.お子さんに合う環境から選ぶ
小学校6年間は、人格の礎を築く時期です。
だんだんと抽象的な思考ができるようになっていく過程で、自己について他者について、人間関係や社会について、子どもたちは深く考えるようになります。
そのような時期に、お子様を取り巻く環境は重要です。
共学か別学かは、その環境を決定づける要素の1つです。
お子様の家庭内外での様子をよく観察したうえで検討するのがよいでしょう。
どちらの環境で育ったから将来的に有利不利、というものではありません。
共学か別学かで悩んだら家族以外の視点を検討材料の一つとして取り入れてみましょう
一般的に別学の方が学業成績が良くなる傾向はありますが、お子様ご自身が過ごしやすいと思うか、その環境がお子様に合っているかどうかが重要です。
よりのびのびと思考し行動できるのはどちらか、という観点から選びましょう。
また家庭外での様子を、幼稚園や保育園の先生や習い事の先生などに機会あるごとに詳しく訊ねておき、ご家族以外の視点も検討の材料として取り入れましょう。
外部の意見を聞くと、どこでもリラックスしていられるタイプのお子様は共学を、想像力豊かな慎重派タイプのお子様は別学を勧められることが多いかもしれません。
4.エスカレーター式の進学を希望する可能性があるかどうか
附属の学校にエスカレーター式で内部進学する生徒が多い、途中で外部を受験する生徒が多い、あるいは附属の進学先がそもそも存在しないなど、学校によってさまざまです。
これは基本情報となりますのですぐに調べがつきますが、いざ検討段階となると悩ましいところでしょう。
最近は附属の進学先がある場合でもどこかのタイミングで外部受験に挑む方が増えており、学校側も支援体制を整えてきています。
そのため、内部進学制度を有することが受験の足枷になるという事態はさほど心配せずとも大丈夫です。
内部進学という選択肢を温存しておきたいか否かで考えましょう。
5.試験の形式がお子さんに合うかも大切なポイント
学校側は、当然各校教育方針を反映した試験を実施しています。
ですから、試験形態がお子様に合うかどうかも選定の際のポイントとなります。
筆記試験(ペーパー試験)、口頭試験、行動観察、指示による運動や工作(指示行動)、面接など、課される試験内容の組み合わせやどれが重視されるかに、学校の特色がよく現れます。
受験を検討される方は幼児教室などに通われるでしょうが、担当の先生の力も積極的に借りて、志望校候補となる学校の試験の情報を早めに集めておきましょう。
行動観察はリーダーシップを取れるかを見極めている訳ではなく、学校の教育や生活に合うかを見極めています
最近は、社会の流れを鑑み、行動観察を重視する学校が増加傾向にあるようです。
行動観察はお子様の特性を観察し、「学校の教育方針や生活に合うか」を見極めるための試験です。
リーダーシップを取れるか否かを見ているわけではありません。
時折、うちの子は物静かだからダメ、引っ込み思案だからダメ、ととても気にされているご家族がいらっしゃいますが、全くそんなことはありません。
思い込みで選択肢を狭めてしまうことになっては非常に勿体ないので、その意味でも確かな情報収集を心がけましょう。
なお、国立を希望される場合は、試験の他に抽選が行われる学校も多いのでよく留意する必要があります。
6.教育方針と校風がお子さん、家庭と合うかどうか
最も重要視される方が多いポイントが、校風や教育方針です。
ご家族が大事にされている教育の方向性と学校の教育方針が合うかどうか、お子様が健やかに成長していけそうな校風か、じっくりと検討しましょう。
忘れてはならないのが、その学校での生活が、お子様だけでなくご家族とも合うかどうかです。
たとえば、給食の有無や学校行事、父母会の様子などは、ご家族の生活に直結する事柄です。
しっかりと情報を得てイメージを持ち、ご家族のライフスタイルを変えなくても済みそうか、あるいは学校に合わせて変えることが可能か、現実的な目線で考える必要があります。
気になる学校の説明会には必ず足を運び、じかに学校の様子を知ってから、志望校を絞り、志望順位をつけてゆきましょう。
まとめ
小学校受験は、それ以降の受験とは違い、どうしてもお子様をご家族がリードして進めることになります。
ですから、ご家族がしっかりと見通しを持って動き、お子様に寄り添いながら丁寧に準備できるかどうかが鍵です。
ご家族のお子様を思うお気持ちが、お子様の未来に結実しますように。