中学受験と高校受験の大きな違いとは?選択する際に知っておきたいポイントと注意点

中学受験と高校受験の違いとは

中学受験にすべきか高校受験にすべきか、悩んでしまうご家庭も少なくありません。

入試傾向はどう違うのか、大学受験に有利なのはどちらか、など、疑問点も多いかと思います。また、親としてどの程度受験に関わるべきなのか、迷ってしまう場合もあるでしょう。

この記事では、中学受験と高校受験の主な違いや、選択する際のポイント・注意点などをご紹介していきます。

中学受験と高校受験は別物として考えるべき?

中学受験と高校受験は、入試問題の傾向、受験勉強の期間、親がどの程度関わっていいのか、など、あらゆる点で違いがあります。

中学受験をするか高校受験をするかは、各ご家庭の状況、お子さんの性格等も踏まえ、総合的に判断しなければなりません。

同じ受験とはいえ、中学受験と高校受験は別物と考え、それぞれメリット・デメリットを考慮すべきでしょう。

まずは中学受験と高校受験の主な違いについて、ポイントを整理していきます。

中学受験と高校受験の主な違いとは?

中学受験は「受験しない」という選択肢も

そもそも中学受験というのは、私立、国立、公立中高一貫校で行われるものです。

一般的な公立中学校は受験の必要がありません。

つまり中学受験をしなくても、どこかの中学校に進学することは可能です。

平たく言ってしまえば、中学受験は絶対に必要なことではなく、「受験しない」という選択肢もごく普通に存在します。

一方、中学受験をしなかった場合、ほとんどの中学生が高校受験を経験します。

中高一貫校でない限り、高校に進学するなら受験が必要だからです。

国公立、私立を問わず、何らかの形で受験を行うため、中学受験のように「受験しない」というわけにはいきません。

中学受験は特に目的意識が必要

中学受験は必ずしも必要なことではないため、「なぜ受験するのか」という目的意識を明確にする必要があります。

もちろん高校受験も目的意識を持つことは大切ですが、高校に進学するなら受験が必要である以上、受験は「やらなくてはいけないこと」となり、ある程度モチベーションも身につくでしょう。

しかし中学受験は「やらなくてもいい」という側面が強く、目的意識が強くないと子どものモチベーションは続きにくくなるのです。

また、中学生はある程度自分で判断できる年ですが、小学生は様々な面で親のサポートを必要とするでしょう。

中学受験はしばしば「親子の二人三脚で乗り切るもの」と言われますが、まさにその通りで、「なぜ受験するのか」という目的意識は親子でしっかり共有しなければなりません。

入試問題の傾向が違う

高校受験の場合、公立高校なら基本的に教科書の内容から出題されます。

私立高校は独自の問題や難易度の高い問題も目立ち、学校ごとの対策が重要ですが、公立高校なら対策にそこまで差はありません。

一方、中学受験の場合、学校によって難易度も傾向も大きく変わります。

基本レベルが中心の学校もあれば、難問・奇問の目立つ学校もあります。

また、基本レベルとはいえ、合格ラインが高めの学校もあり、この場合は高得点勝負になります。

このように、傾向に沿った対策の重要性は中学受験のほうが高いでしょう。

受験勉強の期間に差がある

中学受験勉強は、学校の勉強より量が多く、さらに様々な傾向に慣れを作る必要があります。

そのため、ある程度長い期間をかけてコツコツ勉強を続ける形になり、小学校4年のうちから受験勉強を開始するケースも少なくありません。

一方、高校受験の場合、受験勉強が本格化するのは中学3年生くらいでしょう。

もちろん内申点も関係しますし、中学1年生からそれなりに対策は必要です。

また、基礎固めとして中学1年・2年の勉強が大切なのは当然で、早めに受験を意識するに越したことはありません。

ただ、中学1年・2年のうちは、あくまで学校の勉強に対する対策が基本です。

しかし、中学受験の場合、学校の勉強の対策とは異なる、さらにハイレベルな対策を数年かかって行う必要があるのです。

その意味で、受験勉強期間としては中学受験のほうが長いと言えます。

親の関わり方も最大の違いが出てくる

これは中学受験と高校受験の最大の違いとも言えます。

先ほど述べたように、中学受験は親子の二人三脚で乗り切るべきです。

もちろん過度な干渉は好ましくありませんが、学習状況、子どものモチベーション、目的意識、志望校の最新情報などは親子で適宜共有し、その都度サポートを行い、まさに二人三脚で進める必要があります。

また、志望校・併願校を決める際にも、親のほうで「こんな学校もあるよ」と提案する機会も多いでしょう。

子どもの意思を尊重しつつ、親がいろいろな選択肢を提案することも大切であり、あらゆる面で親のサポートが重要な意味を持ちます。

一方、高校受験の場合、中学受験のような親のアプローチはあまり見られません。

中学生ですし、ある程度一人で考えたい年頃でもあります。

ある意味、小学生に対するアプローチより難しい場合があり、親がどの程度関わるのかは非常にデリケートな問題です。

もちろん放置していいことにはならないので、子どもの学習状況やメンタル面など、様子はしっかり見なくてはなりません。

見守るのと放置するのとでは大きく違うので、必要があればきちんと相談に乗るなど、適宜サポートは必要です。

ただ、中学受験のようなサポートとは異なるという点は意識しておくべきでしょう。

中学受験をする小学生

大学受験を見据えるなら中学受験をするべき?高校受験をするべき?

中高一貫校は、大学受験を見据えたカリキュラムになっていることがほとんどです。

高校受験をする必要がないため、最初から大学受験に備えて基礎からみっちり勉強でき、6年間で効率的に実力を伸ばすことが可能です。

特に難関の私立中高などは難関大学の合格・進学実績も豊富で、その実績を踏まえて受験したいと考えるお子さん・ご家庭も多いでしょう。

一方、高校受験の場合、当然ながら中学校では高校受験のための勉強をしなければなりません。

大学受験に備えた勉強は高校入学後からとなり、中高一貫校のように最初から大学受験に合わせた勉強ができるわけではありません。

また、高校受験が終わってあまり時間が経たないうちに大学受験の勉強を始める形になり、カリキュラム的にも余裕が少なくなります。

中高一貫校が絶対に有利とは言えない?

ただし中高一貫校も、中学受験で燃え尽きてしまい、いざ中学校に入学してもなかなか勉強に身が入らないといった弊害もないわけではありません。

その点、高校受験は受験を経験したのち比較的すぐ大学受験勉強が待っているので、勉強に抵抗感のないうちに大学受験勉強を開始できると言えます。

このように、中学受験と高校受験のどちらが大学受験に有利か、一概には言えません。

ただし、中高一貫校のほうが、6年間で受験に備えてじっくり勉強できる環境自体は整っています。

そのため、高校受験を経ず最初から大学受験に備えたいと考えるご家庭は、やはり中学受験を検討する場合が多いでしょう。

中学受験か高校受験か決めるときに考えるべきこと、注意すべきこと

ここまで、中学受験と高校受験の主な違いについてご紹介しました。

同じ受験でも両者は大きく異なり、結局中学受験が良いのか高校受験が良いのか、悩んでしまう方も多いと思います。

以下、中学受験か高校受験かで迷ったときに考えるべきこと、注意してほしいことについても触れておきます。

あくまで目安ですが、ぜひ参考にしてみてください。

親子の二人三脚か、子どもの自主性か

受験を通じ、親と子で何かを達成したいと考える場合、やはり中学受験を経験して損はありません。

これは合格に限った話ではなく、たとえ中学受験で志望校に合格できなかったとしても、親子の二人三脚で何かに取り組むという経験はそれだけで大きな価値があります。

もちろん中学受験は志望校合格が目的ではありますが、得るものは何も合格だけではないのです。

一方、「受験に関してはあくまで子どもの自主性を尊重したい」と考える場合、中学受験より高校受験のほうが適していると言えます。

高校受験は中学生が自分一人である程度考えることができ、自主性・主体性を持って何かに取り組み、達成するという経験ができます。

もちろん親のサポートもある程度必要ですが、子どもの自主性を育てるという意味では、高校受験は大きな意義があります。

小学生のうちはなるべく遊ばせてあげたい場合

先ほどもお話したように、中学受験はとにかく受験期間が長く、子どもの負担も大きくなります。

ハードスケジュールになるため、遊ぶ時間も減ってしまいます。

特に受験直前期は、勉強ばかりの日々になることも覚悟しなくてはならず、だからこそ親のサポートや声かけが重要な意味を持ちます。

一方、そもそも小学生にそこまで勉強させたくない、と考えるご家庭も多いです。

小学生のうちはなるべく遊ばせてあげたい場合は、中学受験ではなく高校受験を選択する形になるでしょう。

繰り返しますが、中学受験は絶対に必要なものではなく、あくまでお子さんの希望や親子の目的意識に沿って行うものです。

子どもの性格や各ご家庭の教育方針に照らし、中学受験をさせる選択肢もあればさせない選択肢もあります。

このあたりは俯瞰的に捉え、お子さんや親御さんにとって最適な選択になるよう、より広い視点で考えることが大切です。

子どもが明確な志望を持っている場合

子どもが早くから「○○中学校に行きたい」「○○高校に行きたい」という明確な志望を持っているなら、まずは子どもの意思を尊重すべきでしょう。

この場合は当然、志望校によって中学受験か高校受験かが変わります。

志望校に中学校からの募集枠しかないなら中学受験を、高校からの募集枠しかないなら高校受験を突破しなくてはなりません(※中高一貫校でも、高校での募集枠がある場合があります)。

ただ、偏差値や学力的に、志望校に合格する可能性が低い場合もあるでしょう。

いくら子どもが早い段階から「この学校に行きたい」と思っていても、難易度的に難しく、途中で諦めることもあるかと思います。

その場合、親のほうから別の学校を提案するなど、適宜サポートが必要になります。

このあたりは塾や学校が行うより、親が行ってこそ大きな意味があるのです。

子どもが明確な志望を持っていたなら尚更、その志望をやむを得ず変更する場合、親がしっかりとサポートをしてあげてください。

偏差値だけで決めないこと

これは中学受験・高校受験を問わず言えることですが、志望校を決めるとき、決して偏差値だけで判断はしないでください。

いざ入学してみたら雰囲気が合わなかったなどの事態になりかねないからです。

また、受験を乗り切るには目的意識やモチベーションが重要ですが、偏差値だけで決めた学校に対し「この学校に行きたい」と思える子どもはそうはいません。

もちろん偏差値は重要な目安ですが、学校の雰囲気や校風、教育方針などもしっかり確認し、子どもの意思に沿って志望校を決め、目的意識・モチベーションにつなげる必要があります。

特に中学受験なら尚更、目的意識が重要になります。

先ほども述べたように、中学受験は「やらなくてもいい」という側面が強いため、「この学校に行きたい」という思いが強くないとモチベーション維持は難しいのです。

こうした目的意識・モチベーションのためにも、学校生活の雰囲気や主な活動内容など、現場の情報もしっかりチェックし、志望校を決めていきましょう。

早いうちから大学受験を見据えたい場合

これに関しては、やはり中学受験のほうが何かとメリットがあります。

高校受験をすることなく、中学1年からじっくり基礎を磨いて大学受験に備えることができるため、実力も盤石なものになりやすいです。

中高一貫校に入れば大学受験に絶対有利、とまでは言えませんが、「早めに大学受験の準備をする」という点においては、高校受験をしなくていい中学受験に分があるでしょう。

各学校の大学合格・進学実績のほか、6年間のカリキュラム等もしっかり事前に確認し、志望校・併願校を検討しましょう。

中学受験後の燃え尽きには十分注意すること

ただし先ほどもお話したように、中学受験で燃え尽きてしまい、中学入学後に勉強しなくなった等のケースもないわけではありません。

これではせっかく中学受験を経て志望校に合格しても、その後大きくつまずいてしまいます。

そうならないよう、燃え尽きには特に注意しなくてはなりません。

特に受験期間で過度にプレッシャーを与えてしまうと、合格という目的が達成されたのち、燃え尽きるおそれがあります。

ただ「勉強しなさい」と言うのではなく、「何のために中学校に行くのか」という目的意識をその都度明確にし、子どものモチベーションを下げず、自然な形で受験勉強ができるよう、日頃から意識する必要があります。

また、受験が終わったら一度しっかり休ませてあげ、メンタルにも余裕を持たせるようにしてください。

受験中でも受験後でも、間違っても「勉強しなさい」とだけ言うのは避けるようにしましょう。

中学生の勉強時間

まとめ

今回は中学受験と高校受験の主な違いや、選択する際の基準・注意点など、ご紹介しました。

中学受験と高校受験は、入試傾向から受験期間、親がどのくらい関わるべきかなど、様々な違いが見られます。

また、大学受験を見据え、高校受験の必要がない中学受験を選択し、早めに大学受験の準備をしたいと考えるご家庭もあります。

一方、小学生のうちはなるべく遊ばせてあげ、受験は高校受験からというご家庭も見られます。

このように中学受験と高校受験はどちらにも良さ・メリットがあり、一概にどちらか良いか判断するのは難しいでしょう。

お子さんの性格やご家庭の教育方針なども踏まえ、中学受験と高校受験のどちらにするか、慎重に決める必要があります。

決して偏差値だけで判断するのではなく、また「中学受験は大学受験に絶対に有利」といった断定的な見方でもなく、あくまで俯瞰的・総合的に考えなくてはなりません。

お子さんの意思もしっかり尊重し、どちらが向いているか検討してみてください。