中学受験を目指したその日から、懸命に受験勉強してきたお子さんが念願の第1志望校に合格したら、親子共に大変喜ばれるでしょうし、「中学受験に成功した」と感じられるでしょう。
しかし、全てのお子さんが第1志望校の合格を勝ち取れるわけではありません。
では、そのお子さんは中学受験に「成功」できなかったのでしょうか?
そもそも、中学受験の「成功」とは、どんなことでしょうか?
そこで今回は、2人の子どもの中学受験を経験した筆者が、経験したからこそ言える中学受験を成功させるためのアドバイスをまとめましたので、参考にしてみてください。
目次
中学受験の「成功」とは
皆さん、中学受験の「成功」とは、どんなことだと思いますか?
中学受験は、志望校合格を目指すものだから、受験校全てに合格すること、第1志望校に合格することはもちろん「成功」でしょう。
しかし、第1志望校に合格できずに併願校に進学しても、「我が家は中学受験に成功した」というご家庭も少なくありません。
なぜなのでしょうか。
第1志望校に不合格でも「成功」のわけ
我が家には中学受験を経験した2人の娘がいますが、長女も次女も受験校全てに合格する「全勝」はかないませんでした。
特に次女は、自身が強く希望していた第1志望校が不合格だったので、合格発表直後はかなり落ち込んだはずです。
長女も通っている塾から「全勝できる」と太鼓判を押されていたにもかかわらず、1校の合格を逃す結果となり、周りの大人の方が慌てたくらいでした。
それでも、我が家は「中学受験をして本当に良かった」と感じていますし、全勝や第1志望校の合格を逃しても、結果的に「成功」したと思っています。
その理由は、
- 進学した学校を子どもが十分に楽しんでいる
- 進学した学校が我が子に相応しい学校だと感じている
- 進学した学校の指導内容に満足している
- 中学受験を通して子どもの成長を感じることができた
- 中学受験の勉強を通して しっかりした学習習慣が身に付いた
などが挙げられます。
長女が全勝できなかったことや、次女が第1志望校に合格できなかったことは、見る人から見れば「失敗」に見えるでしょう。
しかし、我が家の受験の目的は「自分(子ども自身)が行きたいと思った中学に進学する」ことでした。
その目的を果たせた我が家の子どもたちの受験は、我が家にとっては「成功」です。
他にも我が家のように第1志望校に不合格だったり全勝できなくても、中学受験を「成功した」と感じているご家庭は多くいらっしゃいます。
中学受験の「成功」の形はそれぞれ
そうはいっても、中学受験は「受験」ですから、第1志望校に合格することのみが「成功」と考える方もいるかもしれません。
一方で、我が家のように子どもが行きたいと思える学校に進学できたことを成功と考えるご家庭も多いでしょう。
つまり、ご家庭や価値観によって中学受験の「成功」の形は違うのです。
ただ、どのような結果となっても、お子さんが中学受験を目指して長い期間ひたむきに受験勉強をし続けたことは絶対に無駄にはなりません。
たとえ目指していた結果が得られなくても「成功できなかった」という負のイメージで終わることは決してお子さんの将来のプラスになりません。
言い換えれば、第1志望校に合格できなくても、「目標に向かって頑張れた」、「〇〇はできた」との達成感や、結果に納得して「中学受験をしてよかった」とお子さんに感じさせることが、その後のお子さんにとても大切なのです。
そして、親御さんもその思いを本当の意味で共有することが、中学受験を「負のイメージ」で終わらせないために必要です。
中学受験を「成功」させるために大切なこと
中学受験をするからには、第1志望校合格を目指すのは当然ですし、合格できたら大変喜ばしいことです。
しかし、どんなに努力していても、どんなに合格確実といわれても「不合格」になるお子さんはいらっしゃいます。
では、中学受験を目指すお子さんが「合否」に関わらず中学受験を「成功」で終えるにはどうしたらよいのでしょうか。
次から、中学受験を経験したからこそ分かる、中学受験を「成功」させるためのアドバイスをお伝えしていきます。
受験校は慎重に、念入りに
中学受験は合否だけが「成功」ではないと言いながら、できるだけ避けたいのが1校も合格することができない「全落ち」です。
「全落ち」を避けるには、お子さんが確実に合格できるレベルの学校、偏差値で10~15は余裕がある学校も併願校に組み込んでおくことです。
我が家の長女は、当初自分が行きたいと思える2校以外は受験しないと言っていましたが、それでも一緒に学校を見て回り、この学校ならと思えた偏差値が10程度低い学校も受験しました。
その理由は、やはり子ども本人が「自分が通ってもいいと思える学校しか受験しない」といっても、親として万が一の「全落ち」のリスクを避けたかったためです。
ほぼ確実に「合格」できる学校となると、本来の実力から偏差値がかなり低い学校になるでしょうし、中にはお子さんの偏差値から10も低い学校に進学させるつもりはないというご家庭もあると思います。
しかし、たとえ進学しなくても、「合格」体験をしておくことが、後のお子さんの力や自信につながります。
そのためにも、お子さんが「合格」を体験できるよう、お子さんの学力(偏差値)から併願校を入念に検討することは必要ですし、中学受験生を抱える親がすべき重要な役目です。
より客観的に検討するためにも、塾の先生に相談することも おすすめです。
受験する学校は全部「行きたい学校」
中学受験では、第1志望校に合格できるお子さんは3割に満たないといわれています。
つまり、中学受験をする多くのお子さんは、第1志望でない学校に進学することになるのです。
だからこそ、受験する学校すべてに「行きたい理由」を見つけておくことが大切です。
第1志望校以外は目にも入らない状態では、第2志望や第3志望の学校に進学したときに、お子さんは「第1志望校に行けなかったから、仕方なくこの学校にきた」と、進学を不本意に思ってしまいます。
そしてそれは、お子さんだけでなく親御さんにもあり得る現象です。
しかし、お子さんが6年間過ごす学び舎が「仕方ない学校」で良いわけがありません。
そのためにも、受験する学校には、全て「行きたい理由」を見つけ、それらを親子で共有しておきましょう。
我が家でも、「〇〇中なら、●●部に入部かな?!」、「△△中は文化祭が素晴らしいから実行委員をやるといいかも」と、受験する全ての学校それぞれに魅力や入学後の楽しみを見つけ、親子で良く話していました。
第1志望校に憧れ、そこを目指して懸命に勉強することはとても良いことです。
しかし、たとえ第1志望校以外の学校に進学することになっても、その後の6年間を楽しく充実して過ごせるように、他の併願校についてもきちんと調べて、「行きたい理由」を見つけておくことが大切です。
まさかの結果のときのアドバイス
我が家では、受験直前期に入ってから子どもにかけていた言葉あります。
「これだけ勉強してきたのだから、あとは運と縁。」
「神様が一番良い道に導いてくれるよ。」
少し無責任な言葉に聞こえるかもしれませんが、子どもが本気で努力する姿を見続けてきたからこその言葉です。
中学受験に「絶対」はありません。
合格確実といわれていても、模試で毎回上位に入っていても、不合格になるお子さんはいます。
当日に体調不良に陥ってしまい実力が出せないことだってありますし、たまたま入試に苦手分野ばかりが出題されてしまうことだってないとは言えません。
「まさか」の結果は誰にでもあり得ますし、「不合格」となれば やはりお子さんは落ち込みます。
ですが、努力してきたことは後の力になることは絶対です。
だからこそ、「まさか」の結果が出たときに、お子さんが必要以上に落ち込んだり自分を責めたりしないように、親御さんはしっかり見守り、どんな結果になろうとも受け止めてあげてください。
間違っても、お子さん以上に親御さんが落ち込んだり、悲しむようなことはしないでください。
親御さんがそんな状態では、お子さんはいつまでたっても気持ちを切り替えられません!
中学受験を成功させるために、経験者だからこそ伝えたいこと
今回の記事を書くにあたり、我が家の長女(高1)と次女(中1)それぞれに「中学受験をして良かった?」と聞いてみました。
すると、異口同音に「良かった」と答えました。
理由は、「何か(ここでは勉強)に一生懸命取り組む経験ができたから。中学受験をしていなかったらこの経験はできなかったと思う。」、「今通っている学校がメチャクチャ楽しいから。」とのこと。
この答えを聞いて、我が家の中学受験は「成功」だったと改めて確信しました。
中学受験は志望校合格に向けて長い期間勉強するものですが、その「成功」には色々な形があります。
お子さんの努力する姿を見守り、親も共に戦えば、必ずや ご家庭それぞれの「成功」に辿り着くはずです。
お子さんと「成功」を喜び合えるその日まで、頑張ってください!