理科が苦手な小学生は多く、どうやって勉強すれば得意になるのか、気になる親御さんも多いでしょう。
理科は暗記科目として考えていいのか、知識を覚えるだけではダメなのか、思考力はどうやって鍛えるのか、疑問点も多いかと思います。
この記事では、小学生の理科の特徴や、つまずきやすいポイント、苦手にしないための勉強法などをご紹介していきます。
目次
理科の勉強で子供がつまずきやすいポイントはどこ?
最初に、理科全般に共通する、つまずきやすいポイントを整理してみましょう。
(理科は生物・地学・物理・化学の4分野から成り、それぞれでつまずきやすいポイントがありますが、この点は詳しくは後述します。)
理科は暗記科目なのか?
理科を暗記科目として考えると、あらゆる分野でつまずく原因となります。
確かに理科は4分野で暗記事項が多いですが、知識や用語を暗記するだけでは対応できません。
なぜなら理科は、自然現象や科学に対して「なぜそうなるのか?」を考えていく科目だからです。
実験や観察はその典型で、考察や検証を繰り返し、「なぜそうなるのか?」という科学的思考を深めていくことになります。
もちろん用語名などはしっかり暗記しなくてはなりませんが、その知識だけでなく、科学的・論理的な思考力を磨くことを常に意識しなくてはなりません。
原理・原則を理解することが大切
科学的思考を行うには、原理・原則の理解が必要不可欠です。
例えば物理では「てこの原理」が登場しますが、こうした原理に基づいて思考を行い、必要に応じて計算も行い、問題を解いていく形になります。
原理・原則がわかっていないと、そもそもどう解けばいいのかがわかりません。
知識の暗記とともに、こうした原理・原則をしっかり理解し、そのうえで「なぜそうなるのか?」という科学的思考を進めていく必要があります。
知識の暗記と原理・原則の理解は違う
理科に登場する原理・原則の理解は、知識や用語の暗記とはやはり異なります。
知識や用語は、理屈抜きでそのまま覚える場合もあるでしょう。
特に名称や用語であれば、「なぜそうなるのか?」ではなく、とにかくまず覚えることから始まります。
一方、原理・原則の理解は、名称や用語の暗記とは異なります。
まず「なぜそうなるのか?」という流れを知り、そこから仕組みを理解しなければなりません。
理科は、こうした原理・原則を理解したうえで、様々な問題ごとに「なぜそうなるのか?」を考えていく形になります。
しかし、そもそも原理・原則を理解する段階でも「なぜそうなるのか?」という思考が必要なのです。
名称や用語の暗記と同じような感覚で捉えると、なかなか原理・原則の理解は深まりません。
その背景や流れをしっかり理解することを意識してみてください。
もちろん暗記項目の対策は必須
理科は暗記だけではないとご説明しましたが、もちろん暗記項目はしっかり覚える必要があります。
特に生物や地学分野では暗記事項が多いため、用語や名称などはきちんと正確に覚えなくてはなりません。
暗記が苦手な場合、五感を使って暗記する(書いて覚える・声に出して覚えるなど)、時間をこまめに区切って集中して覚える、といったコツを実践してみてください。
また、背景や関連事項をおさえながら覚えるとより効果的です。
計算問題も登場する
理科では計算問題も多く登場します。
特に中学受験では難解な計算問題が出題されることも多く、基本的な計算力の定着は欠かせません。
物理や化学では特に計算が多く、計算が苦手だとどうしてもつまずきやすくなります。
算数のドリルなどでしっかり基礎的な計算力を鍛え、理科に活かすようにしましょう。
一方、計算問題でも原理・原則の理解が重要です。
例えば振り子の計算問題であれば、振り子の法則(糸の長さが同じなら周期は同じ、など)をきちんと理解していないと、そもそも解き方がわかりません。
計算力を鍛えるトレーニングももちろん必要ですが、まずは原理・原則をおさえ、しっかり思考することが大切です。
分野別のつまずきやすいポイントと対策
次に、ここまでの話を大前提として、分野別のつまずきやすいポイントや対策についてお話ししていきます。
生物・地学・物理・化学の4分野がありますが、分野ごとに特徴は異なるので、それぞれの傾向に沿った対策が必要不可欠です。
生物は根気よく暗記をしていこう
生物は暗記項目が比較的多く、細かい知識も多く登場します。
特に動植物の名前、人の体のつくりなどは覚える事項が多く、暗記が苦手な子どもがつまずきやすい分野でもあります。
また、中学受験の理科ではかなり細かい生物の知識が問われるため、注意しなくてはなりません。
ポイントは、まず理屈抜きで暗記できる部分から何度も繰り返して覚えることです。
動植物の名前や人体の名称などは、理屈抜きのシンプルな暗記事項ですので、ここは根気よくトレーニングを繰り返し、なんとか覚えていきましょう。
一方、生物分野でも計算問題が出題されることがあります。
例えば人体の血液の循環など、計算問題として出題できる分野もあり、注意が必要です。
また、理科ならではの思考力が問われる問題も多いので、「なぜそうなるのか?」という思考は常に必要になります。
地学は原理・原則をしっかり理解することが大切
地学も生物分野同様、暗記事項が多く見られます。
ただ、単純な暗記というより、原理・原則をしっかり理解したうえで暗記事項を覚えていく、という側面が強いです。
例えば月の満ち欠けなどは、その仕組みや原理を理解することが何より重要です。
名称などは理屈抜きの暗記になりますが、仕組みや原理の理解がないと学習が進まない場合が多いので、まずは「なぜそうなるのか?」を特に意識する必要があるでしょう。
一方、月の満ち欠けなどをはじめ、地学は子どもが興味を持ちやすい単元も多いです。
そして小学生のうちは、興味があることなら仕組みや原理も覚えやすいので、好奇心が「なぜそうなるのか?」という思考につながりやすくなります。
ただし、天体の動きなどをはじめ、つまずきやすい複雑な単元もあります。
こうした分野は図やイラストからイメージをつかむと理解しやすいので、資料集も積極的に活用し、天体の動きなどのイメージを膨らませ、理解を進めることが大切です。
物理は苦手に思う子供が多数!図やイラストから視覚的に理解していこう
物理は暗記事項が比較的少なく、原理・原則の理解や計算力が特に重要になります。
まずは物理に関する基本的な原理・原則、法則をおさえ、「なぜそうなるのか?」を常に考え、理解を深めなくてはなりません。
例えば電磁石に関する問題は、どれだけ原理・原則を理解しているかがカギです。
一方、電磁石の仕組みは一般的にイメージしにくく、苦手とする子どもも少なくありません。
生物や月といった身近な事象に比べると、電気の流れなどは実際に目に見えず、どうしてもイメージが難しくなります。
電磁石に限らず、物理にはこうした単元が多いため、苦手に思う子どももやはり多いです。
そのため、資料集などをしっかり活用し、とにかく図やイラストから視覚的に理解する必要があります。
また、計算問題も多いので、なるべく多くの問題演習に触れ、計算に慣れることが大事です。
ただし、原理・原則をしっかり理解していないと計算問題は解けないので、まずは「なぜそうなるのか?」を意識して基礎を磨くことを意識しましょう。
実験から化学は理解を深めやすい!
化学分野も計算問題が多く、計算が苦手だとどうしてもつまずきやすくなります。
暗記項目・知識、原理・原則をしっかりおさえることは大前提ですが、多くの計算問題に触れ、より実戦的な力を磨くことが求められます。
また、物理同様、イメージしにくい単元が多いため、こちらも資料集などを活用して視覚的に理解することが重要です。
例えば気体・液体の性質など、一見しただけではイメージしづらい分野がかなり多く、根気よくコツコツと原理・原則を確認しなくてはなりません。
「なぜそうなるのか?」を特に意識し、日頃から論理的に思考する習慣をつけましょう。
一方、化学分野は実験から理解を深めやすいので、実験が好きな子どもは化学に興味を持ちやすく、得意にできる場合が多いです。
ただ、化学に興味があっても計算は苦手、という子どももいますので、計算力は計算力でしっかり鍛えなくてはなりません。
小学校で習う理科!苦手科目にしないための勉強法
さて、ここまでの話も踏まえ、理科を苦手にしないための勉強法・コツについて、ここでまとめて整理しておきます。
天気や星などまずは身近な現象から興味を持たせる
勉強の細かいコツなども大切ですが、まずは理科そのものに興味を持ってもらうことが大切でしょう。
興味があればあるほど「なぜそうなるのか?」という思考も働きやすくなります。
特に理科の勉強では、生物や天気、月、星など、身近な現象がたくさん登場します。
まずはこうした身近なものから興味を持ってもらうと、理科そのものに対する抵抗感が低くなります。
なるべく小学校低学年のうちに理科に関係する現象に興味を持たせ、抵抗感のないうちに理科の勉強をスタートさせると良いでしょう。
「なぜそうなるのか?」という思考は必要不可欠
すでに何度もご説明していますが、とにかく理科は「なぜそうなるのか?」という論理的思考が非常に大切です。
理科は覚えるべき知識もたくさんありますが、単なる暗記科目ではなく、知識と思考力の両方を活用する必要があります。
まずは各分野の原理・原則について、「なぜそうなるのか?」を考えながら理解を深めましょう。
また、原理・原則を理解して終わりではありません。
その知識を使いながら問題を解く際も、問題ごとに「なぜそうなるのか?」を考えなくてはならないのです。
日々思考力を磨き、科学的な考え方を鍛えることが大切になります。
イメージしにくい単元は視覚的に覚える
特に物理や化学などは、日常生活の中でイメージしにくい単元も多く見られます。
こうした単元は、資料集などをしっかり活用し、とにかく視覚的に覚えてイメージを膨らませる必要があります。
まずは図やイラストを見てイメージを植え付け、それを自分の頭だけで想像できるようになることが大切です。
ただ文章を読んで知識や原理・原則を全て理解できる子どもはそうはいません。
視覚的に覚えることを常に意識し、イメージ力を鍛えることを心がけましょう。
中学受験の理科!苦手にしないためのポイントと勉強法
中学受験の場合、さらに注意すべきポイントがあります。
小学校で習う理科の内容に加え、より高度な読解力や情報処理能力などが必要になるからです。
以下、「中学受験の理科」に関するポイント・勉強法についてもお話ししていきます。
読解力を鍛える
中学受験の理科は、各大問のリード文が長い傾向があり、読解力も求められます。
また、理科の試験時間は30分程度の場合もあり、短い試験時間で素早く読解しなくてはなりません。
こうしたリード文には慣れが必要ですので、長めのリード文がある問題に多く触れ、読解力・情報処理能力を鍛えるようにしましょう。
もちろん国語の勉強で読解力を磨くことも必要です。
計算問題や記述問題も多い
中学受験の理科では計算問題はもちろん、記述問題が出題されることも多いです。
計算問題に関しては、とにかく基礎的な計算力を身につけたうえで、原理・原則に基づいて計算を進めていく練習が重要になります。
また、計算問題を解く際には、なるべく途中計算もまとめるようにしましょう。
過程をきちんと整理する習慣をつけると、「なぜそうなるのか?」という思考力向上にもつながります。
一方、記述問題は国語の力も求められますので、読解力同様、国語の勉強を通じて鍛えることも大切です。
そのうえで、理科の知識や原理・原則に基づいて思考し、しっかり記述で説明できるようにする必要があります。
資料の読み取りが苦手な場合
図やグラフ、表など、資料も多く登場します。
特に実験問題や観察問題など、資料の情報量が多い問題もあり、情報処理能力はしっかり鍛えなくてはなりません。
資料の読み取りを苦手とする子どもは多く、ここでつまずいてしまうケースも少なくありません。
なるべく早い段階で資料が多い問題に触れ、まずは慣れを作る必要があります。
膨大な資料が登場する問題ばかり解く必要はありませんが、ある程度の資料のある問題は定期的に解いておき、抵抗感をなくすことが大切です。
総合問題形式にも注意が必要
中学受験の理科では、一つの大問に各分野が混ざって出題される総合問題も見られます。
複数の分野が横断的に出題されるため、設問ごとに頭の中で知識を切り替え、解き進めなくてはなりません。
この総合問題形式にはかなりの慣れが必要になります。
「今自分はどの分野の問題を解いているのか」「この設問はあの分野の知識が必要だ」「こちらの設問は別の分野の知識が問われている」といった形で、頭の中で各分野の知識を柔軟に使い分ける練習が重要です。
こちらも問題演習を通じ、実戦的な力を磨くようにしましょう。
身近な現象などから理科を得意科目にしていこう
今回は、小学生の理科でつまずきやすいポイントや苦手にしないための勉強法などをご紹介しました。
まず大前提として、理科は暗記に加えて「なぜそうなるのか?」という思考が必要になります。
暗記科目として捉えるとなかなか理科は得意になりません。
もちろん覚えるべき事項はたくさんあり、暗記も必要ですが、「なぜそうなるのか?」という論理的・科学的思考を磨くことが非常に重要です。
また、原理・原則の理解が必要不可欠であり、単なる知識の暗記とは明確に異なります。
4分野ごとに基礎知識や原理・原則を理解したうえで、思考する習慣をつけ、実力を伸ばしていくことが求められます。
また、中学受験の理科の場合は、難しい記述問題や計算問題も多く登場するほか、リード文が長い、資料が多い、総合問題形式の出題もある、といった注意点があります。
こうした部分でつまずいてしまう受験生も多いので、中学受験の理科の傾向に沿った対策が重要です。
このように、細かい勉強法やポイントはたくさんありますが、まずは小学校低学年のうちに理科に興味を持ってもらうことも大切でしょう。
身近な現象など、子どもが興味を持ちやすい分野も多いので、なるべく早い段階で子どもが理科への興味関心を高めてくれることが理想です。
こうした点を踏まえ、ぜひ理科を身近に感じ、得意科目にしてみてください。