アドラー心理学から学ぶ「嫌われる勇気」に秘められた子育ての極意

アドラー心理学から学ぶ「嫌われる勇気」に秘められた子育ての極意

アルフレッド・アドラーという人物を知っているでしょうか?

2013年に発売された「嫌われる勇気」という本がベストセラーとなり、一気に知名度があがった人物です。

彼はフロイト、ユングと並んで世界の三大精神理論家として有名な人物で、その思想は「アドラー心理学」として確立されています。

「嫌われる勇気」はアドラー心理学を哲人と青年が対話していく中で解説していくという形で書かれています。

中には人はどうすれば幸せになれるか、というような哲学的な内容にも触れているため、一見難しそうに見えるが読んでみると現実に即した形でわかりやすく書かれているため非常に読みやすいです。

ここでは、その思想を通して子育てに応用していく方法を述べていきたいと思います。

パターン1:自分に自信を持てない場合

この本に出てくる青年は自分の学歴や外見にコンプレックスを持っていて、必要以上に他人からの目が気になっています。

しかし、そんな青年に対して哲人は、そのように世界を複雑で難解なものにしているのは青年自身の主観が原因であると言います。

青年は自分のことを性格が歪んでいると思っていたり、自意識過剰であったりすると思い、自分のことを嫌っています。

これに対しても哲人は「自分が他人との関係の中で傷つかない」ということを「自己の目的」としてしまっているために、それを対人関係に自分が踏み込んでいかない理由として意識的に自分の短所だけを見るようになっているというのです。

アドラーのあらゆる理論の根本にある「人間の悩みはすべて対人関係の悩みである」という考え方は非常に的を得ていると思われます。

これは自分に自信が持てない、劣等感の強い子供のときにも同じことが言えます。

自分に自信を持てない子供、それは学力であったり、運動能力であったり、外見であったりするかもしれません。

そして自信がないからとどんどん対人関係を狭くし、内向的になりがちです。

しかしそれは「自分が他人と比べて傷つく」ことを恐れているために起こるのです。

くらべる対象を他人ではなく、自分自身としてみればどうでしょう。以前よりも点数が上がった、前より早く走れるようになった。

こう考えればコンプレックスを持つ必要などなくなってきます。

絵を描く子供

パターン2:他人に認めて欲しいと思わない、思わせない

走る子供たち

人は自分の周囲の人間、ときに先生であったり、親であったり、上司であったり、友達であったりに「認めて欲しい」という「承認欲求」を求めます。

しかしアドラーはこの承認欲求を求めることも否定しています。

自己の価値を認めたいがために他人からの承認を求めるが、そのために対人関係で悩むことになることが多い。

アドラーに言わせると「人は他人の期待を満足させるために生きているのではない」ということです。

他人がくだす評価というのは「他者の課題」であるため「自己の課題」ではない。

誰かに誉められたり注意されたりするのは自分の手が及ぶ範囲ではないため自分が自分のするべきことをしっかりとする。

こうして他者と自己をわけて考えることで対人関係に悩まなくなるといいます。

そこででてくるのが「嫌われる勇気」なのです。

他者からはできれば嫌われたくない。できれば承認欲求を求めたい。しかし、すべての人間に嫌われないように生きることは自分の自由を奪う生き方であり実際にはできることではない。この「嫌われる勇気」を持つことが重要なのです。

ではそれを子供にどう伝えていけばよいか。

これは「誰かから誉められるためにやる」のではなく「自分が今だれかの役に立っている」と思う共同体感覚を持たせることです。

過去に失敗したから次に失敗すると注意される。未来が不安だからとりあえず行動しない。ということではなく、「いま」自分が考えて動くことの延長線上に過去や未来があるだけだと考えるのです。

そうしていくことで子供は「いま」自分の行動を考えてしていくようになります。

その考え方をしていくと過去にしばられて、くよくよと悩むということもしなくなっていきます。

まとめ

子供が悩んでいたらまず、何について悩んでいるのかを理解するようにしましょう。

それが勉強、運動、外見、どれをとっても他人とくらべてであるということをわからせていかなければいけません。

ただし、他人のことを無視して自分が好き勝手にしていいということではありません。

必要以上に他人からの目を意識することなく、他人に誉められるからする、怒られるからしない、というのではなく、自分がすることでだれかの役に立つ、自分は自分のするべきことをしっかりと行う。

そういうところを大事にしなくてはいけないと子供に伝えてあげてください。