子どもに何か得意なことを1つでも持ってほしい、と願う親御さんは少なくないですよね。
その中で成績優秀でいてほしい、スポーツ万能であってほしいなどたくさんの理想像があるのではないでしょうか。
しかし成績優秀であったり、スポーツ万能であったりすることは確かに魅力的ですが、それだけでいいのでしょうか。
これからの時代に必要なのは「人間力」とも言われています。
では「人間力」とはいったい何のことで、「人間力」を高めるのに必要な教育「情操教育」の一環として「絵」が与える効果についてみていきましょう。
目次
そもそも「人間力」とは何?
「人間力とは、社会を構成し運営をするとともに、自立した1人の人間として力強く生きていくための総合的な力」とされています。
自分なりの目標を持ち、自分を高め、相手のことを思いやることができる、そんな人が現代では仕事ができる人として、一目置かれる存在となっています。
この「人間力」を育むために必要なのが「心豊かな人を育てる情操教育」とされています。
情操教育を簡単におさらいしてみよう
では「情操教育」とは何かについてお話したいのですが、今回は6つの基本だけお伝えします。
- 情操教育とは「心を豊かにするための教育」のこと
- 情操教育は「科学的(論理的)情操教育」「道徳的情操教育」「美的情操教育」「宗教的情操教育」の4つに分類することができる
- 情操教育は3歳くらいまでに始めるとよい
- 情操教育は教室やスクールに通わなくても家庭で行うことができる
- 情操教育に大切なのは様々な体験をすること
- 情操教育=自分の頭を使って動くことができるようになる=よりよい社会を構築する
情操教育については、「幼児期の情操教育で心豊かな子供を育てよう」の記事で、具体的な情操教育の方法なども紹介していますので、興味がある方はぜひ覘いてみてください。
情操教育に絵を用いよう!身近なものでチャレンジ!
絵を描いたり、鑑賞したりすることは、情操教育の「美的情操教育」に分類されます。
絵を使った情操教育の方法には「絵を描く」と「絵を観る」という2つの場合がありますので、場合分けして家庭で出来る方法などについてご紹介していきます。
絵を描くことによって得られる効果と家庭で出来る方法
子どもの多くは絵を描くことが大好きです。
絵を描くことで自分の思いを表現したり、伝えたりすることができるからです。絵を描くことは表現力を高めるだけでなく、想像力や好奇心を高めることもできます。
一つのことに集中できる空間を作ろう
絵を描く時はなるべく音や物などに邪魔されない環境がよいでしょう。
子どもの集中力はあるようで時にないからです。
落ち着いて1つの事に集中できる空間に慣れることも、子どもの成長の中には必要な経験です。
画材は身近にあるものを活用
何で絵を描くか、それによって準備も少しずつ変わってきます。
年齢が低いうちは、画用紙とクレヨンがよいでしょう。
クレヨンは幼児でも扱いやすく、色鉛筆などと比べても紙に色が乗りやすい画材です。
色はたくさん準備する必要はありません。基本的な12色セットがあれば十分です。
年齢が上がるにつれ、手がさらに発達してきたら、その他の画材で絵を描くのもよいうかと思います。
色鉛筆やペン、クレパス、絵具、コピー用紙、段ボール紙などいろいろと変化があると子どもも飽きずに絵を描くことができるので試してみてください。
完成したら必ず褒めてあげる
最初から上手に絵が描ける子はいません。
最初はただの点からはじまり、線になり、丸になり、やがて認知能力の向上とともに大人が見ても「何か」が分かる絵になっていきます。
ですので、寛容な心で子どもの絵を受け入れていただきたいです。
「何この絵」「そんなの○○じゃない」などの言い方をされてしまうと、子どもは委縮していまいます。
自分の絵が認めてもらえないことに対して自信をなくし、絵を描くことをやめてしまう可能性があります。
子どものやりたい気持ち、絵を描く達成感、表現できた高揚感、親に褒められたという満足感を満たしてあげることで、次の製作への意欲にもつながっていくはずです。
絵を描くことによって、さまざまな表現方法を学び、創意工夫する力を高めていくことができるでしょう。
絵を観ることによって得られる効果と家庭で出来る方法
「絵を観る」と言われると、はじめに「美術館」が思い浮かぶのではないでようか。
最近では大小さまざまな美術館で名画の企画展が行われていますが、そのような場所に小さい子どもを連れて行くのは非常に難しいかと思います。
「絵を観る」=「名画を観る」ことではありません。それでは、身近に絵画に触れられる方法をご紹介していきます。
まずはたくさんの「絵本」をみせよう
絵本は年間約4000点が出版されていると言われています。
しかし、絵本は一般書や実用書と違い、長い期間読まれているロングセラーの本も非常に多いのが特徴です。
本屋に行くと、大人でも子どもの頃に読んだ絵本を見て嬉しい気持ちになったりしますよね。
そんなたくさん出版されている絵本ですが、非常に様々な絵のタッチで描かれています。
力強い絵、やさしい絵、淡い色合いの絵、濃い色彩の絵、と様々です。
まずは絵本を観ることからはじめてみましょう。
家庭の中で「名画」が鑑賞出来る
でもやっぱりすばらしい「名画」に触れさせたいと思ったら、「名画カード」というのが販売されていますので、そのような教材から取り入れてみるのもよいかもしれません。
解説も付属しているので、あまり知識がなくとも子どもと一緒に楽しむことができそうです。
何より周りに気をつかわず、ゆっくりと鑑賞できるのは魅力的です。
他にも、「ミッフィーとえかきさん」(美術出版社)、「うつくしい絵」(偕成社)などの絵本タイプのものもありますので、好みのタイプのものを選ぶことができます。
本物に興味が出てきたら美術館デビューをしよう
「名画」にも興味が出てきて、大人の言っていることを理解し、自分の気持ちをコントロールすることができるようになったら、美術館デビューをしてもよいかと思います。
カードや本では表現しきれない、本物の大きさや細かなタッチを自分の目で確かめることができるのは素敵です。
絵を観ることによって見識を深め、想像力を高めることができるでしょう。
絵を描き、絵を観ることで情操教育に繋げよう!
私たちの周りにはたくさんの絵が溢れています。
難しく考えず、親子できれいな絵を観て「きれいだね」と言えたり、素敵な絵を観て「素敵だね」と言えたりする感覚を身に付けましょう。
そうすることで、わざわざ何か特別なことをしなくとも、自然と子どもの心は豊かになり、力強く「自分」をしっかりもった大人になることができるでしょう。