今回は、運動神経の発達時期である「ゴールデンエイジ」時期に注目して、その時期の大切さや食事について食育インストラクターの筆者よりお伝えしていきます。
目次
「ゴールデンエイジ」とは?
ゴールデンエイジとは、4歳頃~12歳頃の年中~小学校6年生までの時期を指す言葉です。
さらにその中で4歳~8歳頃までを「プレ・ゴールデンエイジ」、9歳~12歳を「ゴールデンエイジ」と呼ぶことが多いですが、明確に何歳から何歳までがゴールデンエイジであるという決まりはありません。
この「ゴールデンエイジ」の時期が大切だというのは、「スキャモンの発達・発育曲線」を見れば分かるかもしれません。
「スキャモンの発達・発育曲線」とは
スキャモンはアメリカの医学者・人類学者です。そして、こちらがスキャモンの発達・発育曲線です。
(いきいき健康研究所より引用)
この曲線については、成長が分かりやすくまとめられているため、家庭科の教科書などにも掲載されていることも多いので、目にしたことがある方もいるかもしれません。
スキャモンによると、「神経系型」の発達は5歳頃までに急激に発達し、12歳頃には神経系の発達はほぼ100%、つまり大人と同じになります。
このことから、12歳までに脳が刺激され、様々な動作を経験することで、運動神経も発達させることができると考えられているのです。
一度作られた神経回路は消失することはありません。
この時期に運動能力の下地をつくっておくことが、運動神経のよさに関係してくると言えるでしょう。
ゴールデンエイジ期の食事
もちろん様々な運動をすることも脳を刺激するために大切ですが、その時期の食事内容も大切になってきます。
子どもの健やかな成長にはよく「運動」・「食事」・「睡眠」のバランスが大切だと言われています。
成長期のこの時期は、生活に必要なエネルギーに加え、成長に必要なエネルギーをプラスしていく必要があります。
ゴールデンエイジ期に必要なエネルギー量
では具体的にどのくらいのエネルギーが必要なのでしょうか。
まずは「食事摂取基準」を参考にしてみましょう。
男の子のエネルギー必要量
2020年に「厚生労働省健康局健康課栄養指導室」が公表している「推定エネルギー必要量」を見てみましょう。

「男性10~11歳運動活動レベルⅢ」の者が必要とするエネルギーは、2,500kcal/日、「男性30~49歳運動活動レベルⅡ」の者が必要とするエネルギーは2,700 kcal/日となっています。
その差は200kcalですが、あんぱんで言えば約1個分の違いです。
女の子のエネルギー必要量
また女性では「10~11歳運動活動レベルⅢ」のものが必要とするエネルギーは2,350 kcal/日であり、「30~49歳運動活動レベルⅡ」の者が必要とするエネルギーは2,050 kcal/日です。
そのため、大人の女性より、活発な運動をする女児の方がエネルギーを必要とします。
大人と変わらないくらいのエネルギーが必要!
このように、ゴールデンエイジ期の子どもには大人と変わらないくらいのエネルギーが必要であることを覚えておきましょう。
子どもが食べても食べても「お腹がすいた!」とっていると、大丈夫なのか心配になり、「我慢しなさい!」と言いたくなってしまうかもしれませんが、大人と同じくらいの食事をしないとエネルギー不足になってしまうのです。
ゴールデンエイジ期の食事で取り入れてほしいこと
また食べられるということは大切な能力です。
食事と身体作りは密接に関わっています。
いずれ夢中になれるスポーツに出会ったとき、そのスポーツに見合った身体を作るためには、食事が大きく関係してきます。
きちんと食事を摂る習慣をつけましょう。
まずは「食生活」を整えましょう!
基本は「1日3食、バランスよく食べる」ことです。
朝食を食べなかったり、食べても少しだけになってしまっていないでしょうか。
朝食を摂ることは、午前中の集中力を高めるだけでなく、規則正しい生活習慣作りに大切です。
朝食を食べるために、少し早く起きるようにさせたり、まったく食べない子は牛乳やオレンジジュース、小さなおにぎり1個でもいいので食べる練習をさせましょう。
バランスの良い食事を意識しよう!
また、バランスのよい食事を出すためには「一汁三菜」を意識しましょう。
「一汁三菜」とは、主食・汁もの・三菜(主菜1品+副菜2品)のことです。
しかし、なかなか忙しい生活の中で三菜を準備するのは大変に感じるかもしれません。
ですが難しく考える必要はありません。
主菜はメインとなるたんぱく質を用意します。肉や魚、卵などです。副菜2品は納豆で1品にしたり、冷奴で1品、サラダで1品にすることもできます。
週末などの時間がある時に煮物などを作り置きしておくと、忙しい時でも考えず出すことができるので楽になるかもしれません。
また、汁物を野菜たっぷりにしても副菜の1つと捉えることができるでしょう。
なるべく食材が被らないようにすることや、色が被らないようにすると栄養素の偏りを押さえることができます。
「補食」も活用していきましょう!
それでも1度に多くの食事を摂ることが難しい場合もあるかと思います。
そのような場合には、「補食」を活用しましょう。
「補食」とは、「必要なエネルギーを摂取するために3食以外に食べるもの」のことです。
補食で大切になることは「脂質の少ないもの」を食べることです。
炭水化物や不足しがちなビタミンやミネラル、食物繊維が多いものがよいでしょう。
例えば、サンドイッチよりはおにぎりの方が補食としてはオススメです。
スナック菓子やチョコレートは脂質が多い食品ですので、ただの間食になってしまいます。
お子さんがなんらかのスポーツをするような場合には、さらに補食の「タイミング」も大切になってきます。
豊かな食経験をさせましょう
スポーツ選手になるわけじゃないのに、そんなに栄養に気を付けないといけないの?と疑問に思う方もいるかもしれません。
しかし、この時期の身体作りはとても大切です。
目に見えないところで急激に子どもの体は成長しています。
丈夫な身体作りのためにも、食事の内容に少し意識を向けてみませんか。
子どもの時に作られた身体は大人への身体作りの土台になります。
また、幼い頃の食事習慣は大人になった時に、自分の食事を考える知識となり、役立てることができるでしょう。