にわかに世間を騒がせる「新型栄養失調」という言葉をご存知でしょうか。
飽食の現代日本において、栄養失調になることなどあるの?と思われるかもしれません。
ここでは、「新型栄養失調」のチェックから、栄養を十分に摂取するために知っておくべきことをご紹介していきます。
お子さんの丈夫な体作りを目指しましょう!
目次
「栄養失調」と「新型栄養失調」
さて「栄養失調」と聞くと、どんなイメージでしょうか。
体が痩せ細ってしまっている、ご飯をきちんと食べていない子供と言ったイメージを持つ方が多いかもしれません。
「栄養失調」は日本でも起こっている
「栄養失調」とは健康を維持するうえで必要なエネルギーや、栄養素の摂取量不足によりもたらされた不健康状態のことを言います。
日本でも最近栄養失調で乳児が死亡してしまったというニュースがありました。
日本で「栄養失調」が起こっているということに疑問を抱いてしまうかもしれませんが、貧困問題は日本でも他人事ではありません。
しかし、今回考えたいのは、貧困による栄養失調ではなく、食べているのに栄養失調になっている「新型栄養失調」についてです。
「新型栄養失調」は栄養素が不足している
「新型栄養失調」という言葉ですが、現在学術的な定義がされていません。
使うメディアや企業によって若干、意味合いやニュアンスが変わっています。
おおむね「食事によって必要なカロリーは摂取できているのに、必要な栄養素が足りていないこと」を「新型栄養失調」や「現代型栄養失調」、「隠れ栄養失調」と呼んでいます。
お子さんは大丈夫?「新型栄養失調」に当てはまっているかチェックしてみよう
現代社会において、まさか子どもが栄養失調になっているとは思わないので、見逃してしまっている保護者も多いかもしれません。
しかし、体に長引く不調を感じている場合、もしかしたら何らかの栄養不足、栄養失調の状態なのかもしれません。
では、具体的に新型栄養失調の場合どのような症状がみられるのでしょうか。
まずは、文部科学省後援「健康管理能力検定」を参考に栄養失調のチェックをしてみましょう。
□お昼はおにぎりや麺類だけで済ませることが多い
□お菓子や菓子パンを食事代わりにすることがある
□ストレスや疲れの解消にスイーツは欠かせない
□水分補給には水やお茶よりも清涼飲料水を飲むことが多い
□揚げ物をよく食べる
□お腹が空くとイライラ、そわそわしてしまう
□忙しくて食事を抜くことがある
□ダイエット中なので肉や魚、卵などはあまり食べないようにしている
□生野菜サラダを食べることが多く、加熱した野菜はあまり食べない
□レトルト食品や冷凍食品、デパ地下のお惣菜をよく利用する
1つでも当てはまると「現代型栄養失調」の予備軍といえます。
多く当てはまった場合は、既に「現代型栄養失調」に陥っているかも知れないとのことです。
忙しいとついつい子どもに出すご飯もお惣菜になってしまったり、子どもが好きな揚げ物が多くなってしまったりということもあるかもしれません。
子供の症状からみられる新型栄養失調はこれ!
さらに、次のような症状が子どもに見られたら注意してチェック結果をもとに改善していきましょう。
□風邪をひきやすい
□手足が冷たい
□目が乾燥する、疲れている様子
□髪の毛がよく抜ける、切れる
□集中力が低下した
「新型栄養失調」を防ぐために!必要な栄養素の働きを知っておこう
上記の症状があれば、何らかの栄養素が不足している可能性があります。
ですが、症状によって不足している栄養素は違うので、どの栄養素が不足しているか考えていきましょう。
風邪をひきやすい
たんぱく質やビタミンA、C、D、亜鉛が不足している可能性があります。
- たんぱく質…ウイルスへの抵抗力を高める働き
- ビタミンA…粘膜を正常に保ち、細菌やウイルスから体を守る働き
- ビタミンC…ウイルスへの抵抗力を高める働き
- 亜鉛…新陳代謝を活発にし、免疫力を高める働き
手足が冷たい
たんぱく質や油脂、ビタミンE、鉄不足の可能性があります。
- たんぱく質…体温調節など、自律神経の機能をコントロールする働き
- 油脂…自律神経を正常にし、熱量を増やし、血流改善する働き
- ビタミンE…血行をよくする働き
- 鉄…血流不足を改善する働き
目が乾燥する、疲れている様子
ビタミンA不足の可能性があります。
- ビタミンA…目の粘膜を保護し、よい網膜の状態を保つ働き
髪の毛がよく抜ける、切れる
亜鉛不足の可能性があります。
- 亜鉛…ケラチン(髪の主成分)を合成し、髪の毛の成長を助ける働き
集中力が低下した
ビタミンB1不足の可能性があります。
- ビタミンB1…糖質の代謝をスムーズに行ない、脳に必要なエネルギーに換える働き
一つ一つの不足栄養素を考えるのは大変ですが、各栄養素の基本的な働きを知っておくと、様々な面で役立つので、ぜひ簡単にでも知っておいてください。
栄養素を知る他に栄養バランスが偏らない食事を心がけていきましょう。
栄養バランスのよい献立作りで意識したい3つのこと
忙しいと、ついつい簡単な食事になりがちですが、子どもの健康も気になるところです。
バランスのよい食事にするためには、どのようなことに気を付けていけばいいのか、見ていきましょう。
一汁三菜を心がける
主食…ごはんやパン、麺類など炭水化物をメインにする
主菜…肉や魚、卵、大豆などのたんぱく質を中心にする
副菜…野菜や海藻、きのこ、いも類などを多く使う
汁物…味噌汁やスープで、不足している食材を補う
色から食材を選ぶ
栄養について考えるのは苦手という人も、色を参考にすると栄養バランスがよくなります。
赤色…たんぱく質を含んだものが多い(肉や魚など)
緑色…ビタミンやミネラルを含んだものが多い(野菜や海藻など)
白色…炭水化物を含んだものが多い(ごはんやパン、麺類など)
黄色…脂質やカルシウムを含んだものが多い(牛乳やチーズなど)
橙色…ビタミンやミネラルを含んだものが多い(果物など)
「まごはやさしい」
昔から栄養バランスを考えるときに使われる「まごはやさしい」という言葉をご存知でしょうか。
健康に必要な栄養素を摂取する際に意識してみるといいかもしれません。
ま…豆:タンパク質やミネラルが豊富。大豆、納豆、豆腐など。
ご…ごま:たんぱく質、脂質、ミネラルが豊富。ナッツなども。
は…わかめ:カルシウムが豊富。ひじきやのりなども。
や…やさい:ビタミンが豊富。緑黄色野菜がおすすめ。
さ…さかな:DHAやEPAなどの疲労回復に効果がある脂質が豊富。青魚がおすすめ。
し…しいたけ:食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富。しめじやなめこなども。
い…いも:糖質やビタミン、食物繊維が豊富。じゃがいもや里芋など。
食生活に気をつけて丈夫な体を作っていこう
子どもの不調は見た目には分かりにくいものもあり、本当に健康に育っているか、心配になってしまうことも多いかもしれません。
「新型栄養失調」なんて言葉を聞くと、さらに心配になってしまうかもしれませんが、まずは子どもとしっかり向き合い、成長をよくみてあげましょう。
また、最近の調べで2500g未満の低出生体重児の出産が増えているのは、妊娠中の妊婦の新型栄養失調が原因と言われています。
もちろんこれだけが低出生体重児の要因とは言えませんが、しっかりとバランスの良い食事をすることで低出生体重児出産を減らせる可能性もありますので、妊娠中の食生活も大切にしてくださいね。
バランスの良い食事で、子供の健康を大切に育んでいきましょう。