“鉄分不足”と聞くと、なんとなく若い女性に多いイメージが多いかもしれませんが、実は子どもの急速な成長期にも鉄分は不足しがちになります。
子どもの鉄分不足を見分け、鉄分を不足させないためには、どのような対策があるのでしょうか。
ここでは、具体的な鉄分不足の症状と、鉄が多く含まれている食材をご紹介していきます!
目次
子どもの鉄分不足はいつ起こるの?
鉄分は血をつくるイメージが強いですが、他にも脳の中枢神経の発達に大きく影響しています。
子どもの頃は2回、欠乏しやすい時期があることをご存知でしたでしょうか?
成長段階のどの時期に起こるのか詳しく見ていきましょう。
乳幼児期(生後9か月~2歳頃)
1番初めにやってくる鉄不足が心配になるのは、急速に成長する乳児期(生後9か月~2歳頃)です。
赤ちゃんは母親由来の鉄分を持っているため、生後間もない頃は心配する必要はありません。
しかし、4~5か月頃になってくると、その母親由来の鉄分も薄れ、かつ急速な成長に鉄分が不足しがちになってきます。
特に、完全母乳で育てていると、母乳には鉄分が多くは含まれていないため、鉄分不足になりがちになると言われています。
調整粉乳(粉ミルク)を使用している場合は、母乳より鉄分は強化されていますが、母乳より吸収率は低下します。
この時期に鉄分が不足した状態が3か月以上続くと、脳の発達に影響が出て、知的機能、運動機能、さらには社会性や情緒の発達にまで影響を与える可能性があると言われています。
児童期~青年期(小学生~高校生)
小学生から高校生までは体が大きく成長していく時期です。
筋肉や血液量も増えるため、多くの鉄分が必要になります。
そのため、成長期には鉄が不足し、「鉄欠乏性貧血」を起こすことがあります。
「鉄欠乏性貧血」を引き起こすと、集中力に欠けたり、疲れやすくなったり、イライラしやすいなどの症状がみられるようになります。
また、鉄不足は“うつ”や“パニック障害”にも関係しているといわれています。
鉄分不足になりやすい時期の鉄分摂取方法
乳児期(生後9か月~2歳頃)
生後9か月は離乳食も進み、順調にいけば3回食になっている頃かと思います。
離乳食が進んでいる場合には、離乳食に積極的に鉄分が多く含まれている食材を取り入れましょう。
もし、離乳食が進んでいない場合は「フォローアップミルク」の使用を検討しましょう。
「フォローアップミルク」は離乳食だけでは不足しやすい、鉄分やカルシウム、ミネラルなどを補うことができるミルクです。
フォローアップミルクは3歳まで使用できるので、食べムラがあるときにも心強い味方になってくれます。
児童期~青年期(小学生~高校生)
しっかりとしたバランスの良い食事を心がけ、なるべく食事から鉄分を摂取できるようにします。
食事の中で鉄分が摂取できるよう、意識して食材を選んでみてください。
それでも貧血などの心配がある場合は、病院でしっかりチェックしましょう。
貧血は血液検査をすればすぐにわかります。心配だからと、サプリメントにすがるのはやめましょう。
サプリメントは逆に鉄の過剰摂取になることもありますし、健康被害が出ないとも限りません。
本当に必要かは医師に確認してもらいましょう。
最近では鉄分が強化された牛乳やヨーグルト、チーズなどもありますので、そのような食品を利用すると少し安心感を得ることができますね。
鉄分不足を解消しよう!鉄が多く含まれているオススメの食材
“鉄分”といえば、レバーやほうれん草が思い浮かぶ方も多いかもしれませんが、他にはどんな食材が鉄欠乏不足にならな位のか、オススメの食材をご紹介していきます。
ヘム鉄と非ヘム鉄!鉄分の基本を知ろう
鉄には体内への吸収率が違う「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があるのをご存じでしょか。
「ヘム鉄」は主に動物性食品に含まれています。非ヘム鉄と比べて吸収率が高く、非ヘム鉄の5~6倍とも言われています。
「非ヘム鉄」は主に植物性食品に含まれています。
吸収率が摂取した量の5%以下と低いですが、動物性たんぱく質やビタミンCと一緒に摂取すると、吸収率が高まります。
鉄サプリメントに含まれているのはこの非ヘム鉄です。
ヘム鉄が多く含まれている食品
- レバー(豚、鶏、牛)
- 牛肉(もも肉、ひれ肉)
- 貝類(しじみ、あさり)
- 魚(マグロ、カツオ、イワシ、サバなど)
レバーは独特な臭みがあり、大人でも苦手な人がいますので、子どもだとさらに苦手な子は多いかもしれません。
下処理をするときに牛乳を使用することで、臭みも減りたべやすくなりますし、味付けなど調理などで工夫してあげると食べやすくなります。
レバーの中でも豚レバーは牛レバーより3倍の鉄分が含まれているのでおすすめです。
魚は日頃から食卓に出やすい食材なので、積極的に摂取しやすいかもしれません。
中でも、最近は空前の「サバ缶」ブームが起こっています。
レシピサイトなどでサバ缶をアレンジしたレシピが数多く紹介されています。
安価で、かつ火も入っているので調理が簡単という点もオススメです。
非ヘム鉄が多く含まれている食品
- 小松菜
- ほうれん草
- 大豆製品(豆乳、きな粉など)
- 卵黄
小松菜やほうれん草は鉄だけでなく、非ヘム鉄の吸収を高めるビタミンCも含まれているのでオススメです。
また、意外にも卵に非ヘム鉄が多く含まれています。
卵といえば、朝ごはんには欠かせない食材の1つかと思います。
朝ごはんは洋食派の人も、目玉焼きとオレンジジュースなどの組み合わせで鉄分の摂取を高めることができます。
非ヘム鉄は肉や魚と一緒に食べると吸収力が高まるだけでなく、ヘム鉄も摂れるので一石二鳥ですね。
鉄の吸収を阻害!子供の鉄分不足を感じたら摂取に注意すべき食材
鉄の吸収を高める食材もあれば、逆に阻害してしまう食材もあるので、注意しましょう。
- 緑茶、コーヒー、紅茶などタンニンを含むもの
- 食物繊維
- 玄米、ゴマ、とうもろこしなどフィチン酸を含むもの
玄米やライ麦パンなど健康に気を使う人に人気の食品ですが、鉄吸収の面を見れば、あまりオススメすることができない食品です。
お茶やコーヒーを飲む際は、食事とは時間をずらして飲むとよいでしょう。
鉄分はこまめに摂取することを心がけよう
鉄は吸収率が非常に低く、また多めに摂取したつもりでも1回に吸収できる量が決まっているため、吸収しきれない分は体外に排出されてしまいます。
そのため、1日3食こまめに摂取することを心がけるとよいでしょう。
また食材だけでなく、調理器具に鉄を使用すると微量ながら料理に溶け出し、摂取することができます。
“鉄分”と聞くとレバーのイメージがかなり強く、なかなか摂りづらそうな栄養素に感じますが、レバー以外にも鉄分含有量の高い食品はたくさんあります。
鉄分の特徴をきちんと理解して、効率よく鉄分を摂取してみてくださいね。
ちなみに、鉄分の多いと思われがちな“プルーン”は意外と含有量は少ないので、食べる際はお気を付け下さい。