
幼稚園入園を見据えて、食事のマナーを身につけさせたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
社会生活を送る上で欠かせない食事のマナーは、幼少期から身に付けておきたい大切な生活習慣の一つです。
しかし、いざ教えようと思っても「食事のマナーってたくさんあるけれど、何をどのように教えたらいいのか分からない……」とお困りの方も多いですよね。
ここでは、幼児期の食事のマナーや掴み食べについて、元幼稚園教諭の目線から、入園前までに身に付けたい具体的な食事のマナーについてもお話しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
幼児期の掴み食べ!子供が掴み食べをするメリットは?
「掴み食べは行儀が悪い」「掴み食べは後片付けが大変」など、さまざまな意見から掴みたべをさせない家庭も増えていますが、子どもの成長にとって掴み食べは非常に大切なプロセスです。
掴み食べのメリットとしては
- 掴んで食べることで、手先が発達する(物を握る力加減が分かる)
- 自分で食べることで食事に意欲的になる
- 食べ物を五感で感じ取り、興味・関心が広がる
などが挙げられます。
掴み食べは、後片づけが大変なイメージがありますが、メニューや食事環境を工夫することで、汚れは最小限に抑えられます。
乳幼児期に食事の楽しさを知り、さまざまな食べ物に興味関心を持つことは、幼児期になって好き嫌いなく食べることや、意欲的に食べることにも繫がります。
ぜひ取り入れて欲しい食事のワンステップです。
掴み食べはいつ頃に卒業させるのがいい?
掴み食べを十分にさせることが大切ですが、いつまでさせたらいいのか悩みますよね。
掴み食べは、スプーンやフォークが上手に使えるようになると自然と卒業する子どもが多いですが、スプーンやフォークを上手に使えるようになっている状態でも、掴み食べを好んで行うようであれば、無理にやめさせずにしばらく様子をみましょう。
2~3歳を目安に、掴み食べからスプーン・フォーク・お箸に移行できると良いですね。
子どもがなかなかスプーンやフォークを使いたがらない場合は、同年齢の子どもと食事を取る機会を作って食事の様子を見せることも良い刺激になります。
絵本や動画などを活用してスプーンやフォークを身近に感じられるようにするのもおすすめです。
子どもが「ぼくも、わたしもやってみようかな?」と思えるようなきっかけ作りを心がけ、2~3歳、そして入園前を目安に掴み食べが卒業できるようにしましょう。
幼稚園入園前までに身に付けたい!幼児期の食事マナー5選

ここからは、幼稚園入園前までに身に付けたい食事のマナーを5つご紹介します。
食事のマナーはすぐに身に付くものではなく、繰り返し行うことで自然と身に付くものです。
幼稚園入園後は、すぐにお弁当や給食がスタートするため、入園を見据えて早い時期から食事のマナーを意識することをおすすめします。
1.「いただきます」「ごちそうさま」の挨拶をする
食事の前には席に座って手を合わせて「いただきます」の挨拶をすること、食べ終わったら「ごちそうさま」の挨拶をすることは、食事マナーの基本です。
当たり前のことのように感じますが、挨拶のマナーが身に付いていない子は意外にも多く、挨拶をせずに食べ始めようとする子や、食べたらすぐに遊びだしてしまう子もいます。
曖昧になりがちな食事の挨拶ですが、自発的にきちんと挨拶できているかを入園前に確認しておきましょう。
2.席に座って食べる、途中で遊ばない
子どもの食事の悩みで多いのが、ご飯に集中できず席を立ってしまったり、遊びだしてしまったりすることではないでしょうか。
食事に集中できないときは、注意するばかりではなく、環境を工夫することから始めるのがおすすめです。
たとえば、
- 子どもの席からおもちゃが見えていないか
- 机の上は散らかったままになっていないか
- テレビなど気になる音がないか
など、落ち着いて食べられる環境作りを意識するだけで変わってきます。
「今日は一緒にお買い物に行って買ってきたお魚が入っているよ」、「この野菜面白い形しているね」など、食事の内容に興味が持てる会話を楽しむこともおすすめです。
幼稚園入園後は、自分の席に座ってお弁当を食べたり、給食を食べたりするため、食事の環境を整えながら、食事に集中し、席に座って食べる習慣は身に付けておくといいですね。
3.スプーン・フォーク・お箸を使って自分で食べる
「子どもがなかなか食べないから」「上手に食べられず落としてしまうから」と言っていつまでもご飯を口に運んであげていると、自分で食べる習慣がなかなか身につきません。
子どもが食べやすい大きさを意識して調理をすることも大切ですが、2~3歳を過ぎたら食べにくい食材にも挑戦し、自分で食べる力が身に付くようサポートしてあげることも大切です。
始めは上手く食べられず汚してしまったり、「もう食べたくない」と投げ出してしまったりしてしまうかもしれません。
頑張る姿を見守りながら、上手に出来たときには十分に認め、成功体験を積み重ねていけるといいですね。
お箸は興味を持ち始めたら、矯正箸を使用しながら徐々にステップアップしていくとスムーズに正しいお箸の持ち方が身につきます。
入園時には正しいお箸の持ち方が身に付いている子もいますが、大半はまだスプーンやフォークをメインに使用しているので焦らずに子どものペースで練習をしていきましょう。
4.口に食べ物を入れながら話さない、音を立てて食べない
会話をしながら楽しく食事をすることも大切ですが、口に食べ物を入れた状態で話すことは、行儀が悪いことだとしっかり伝えましょう。
コロナ渦で幼稚園でも黙食を行う園も増えていますが、食べながら話をすると、口の中の食べ物を飛ばして衛生面でも問題があります。
口の中に食べ物が入っていない状態で話すことを普段の食事で繰り返し伝え、身に付けるようにしましょう。
また、食べ物を噛む時にくちゃくちゃ音を立てないことも大切な食事のマナーです。
一緒に食べている周りの人が嫌な思いをしないように食べることも、少しずつ意識できるように声掛けできるといいですね。
5.食事の準備・片づけを行う
幼稚園入園後は、お弁当や給食の準備、片付けを自分自身で行う必要があります。
お弁当の蓋が自分で開けられる、食事後にお弁当やスプーン・フォークを自分で片付ける習慣も身に付けておきたいものです。
家庭では、簡単な配膳のお手伝いをお願いしたり、食事後は自分が使用した食器やスプーン・フォークをキッチンに運んだりするなど、食事前後の準備・片づけができるようになっているといいですね。
入園前は、お弁当セットを出したり、しまったりする練習を繰り返し行っておくと安心です。
食事のマナーは、言葉で伝える前にまずは大人が正しい手本をみせてあげることが大切です。
食事の前後は、調理や配膳、食事の援助で忙しく、挨拶をせずに食べたり、つい動きながら食べてしまったりすることもありますよね。
しかし、大人ができていなければ、子どものマナーは身に付きません。
まずは、親御さん自身も食事マナーが曖昧になっていないか見直してみましょう。
お子さんのペースに合わせて食事マナーを身につけていきましょう
今回は、幼児期の掴み食べや食事のマナーについてお話しました。
食事のマナーを身に付けることは、これから幼稚園・小学校とさまざまな社会生活を送る上で非常に大切なことです。
今回ご紹介した食事マナーを入園前までに身に付けておくと安心ですが、食事マナーが身に付くタイミングにも個人差がありますので、無理なくお子さんのペースに合わせて指導していくようにしましょう。