中学受験では、偏差値が一つの目安となります。志望校を決める場合、必ず偏差値は考慮するかと思います。
しかし、偏差値だけで判断することは好ましくありません。
偏差値だけでなく、過去問との相性も考慮する必要があります。
今回は、塾講師の経験から中学受験における偏差値と相性のポイントをご紹介します。
目次
志望校は偏差値だけで決めてはいけない!?
偏差値が足りなくても、相性が良ければ受かる場合があります。
反対に、偏差値が足りていても、相性によっては受からない場合もあります。
「本来相性が良いはずなのに、偏差値が足りないから受験を諦めてしまった」、あるいは「過去問の相性が悪いにもかかわらず、偏差値的には足りていると考え受験し、失敗してしまった」というケースがあるのです。
いずれも、偏差値だけで判断してしまった例です。
偏差値はもちろん基準の一つです。偏差値を全く考慮しないで志望校を決めるわけにはいきません。
偏差値はあくまでも数値上の目安として捉える
「偏差値が足りなくても、相性が良ければ受かる場合がある」というケースも、あまりに偏差値が足りていない場合は難しいです。
ただし、偏差値だけが基準ではありません。相性も含め、総合的に考える必要があります。
受験は、最終的には試験問題との相性です。これは中学受験も例外ではありません。
例えば記述が苦手な子は、記述問題が多い試験とは相性が悪いです。
一方で、記述が苦手でも記号問題が得意であれば、記号問題が多い試験との相性は抜群です。
このように、子どもの得意分野と出題傾向を照らし合わせ、相性を把握する必要があります。
偏差値はあくまで数値上の話なので、試験問題との相性までわかるわけではありません。
模試の結果では偏差値が足りていても、実際に過去問を解くと正答率が悪いというケースはしばしば見られます。
反対に、偏差値が足りていなくても、過去問を解いてみたら正答率が高かったというケースもあるのです。
試験問題との相性は学校との相性?!
よく言われることですが、学校の試験問題には学校の特色が現れます。
例えば記述問題が多い学校であれば、記述での表現力を重視する傾向があります。
記述問題は「説明しなさい」などの指定が多く、文章による表現力や説明力を重視するからです。
実際に入学した後でも、授業などで記述を求められることが多いでしょう。
もし、あまりにも記述問題と相性が悪い場合、もし入学できたとしても、記述を重視する校風と合わない恐れがあります。
もちろんこれは極端な例ですが、あまりにも過去問と相性が悪い場合、無理に受験させることは好ましいとは言えません。
記述問題が苦手だからといって、表現力に問題があるわけではありません。
記述が苦手でも、口頭での表現力や説明力が高いお子さんは多いです。
このような子どもに合った学校は、もちろん存在します。
相性を努力で合わせる場合
過去問だけで校風が全てわかるわけではありません。
また、過去問と合わない場合に、絶対に志望校を変えなくてはいけないのかというと、そうでもありません。
過去問との相性が悪くても、お子さんが本当にその中学校に行きたいと考えているのであれば、むしろ相性を合わせるくらいの努力が必要です。
受験生がやる気にさえなっていれば、親としても応援するべきです。
どうしても相性が悪い場合
ただ、どうしても過去問と相性が合わないケースもあります。
その場合、お子さんにとっても負担が大きく、何より合格する確率が下がってしまいます。
その際には、学校自体との相性が悪いと判断し、他の志望校を検討することも一つの方法です。
このようなケースもあるので、偏差値だけで判断することは危険です。
志望校の試験問題との相性を見極める3つのポイントとコツ
試験問題との相性を見極めるには、過去問を重点的に分析する必要があります。
ここでは、「記述問題」「途中式・考え方を書かせる問題」「総合問題」に分け、ポイントを整理してみます。
記述問題
記述が苦手な子の場合、記述問題が多い試験との相性は悪くなります。
偏差値が足りていても、なかなか得点に結びつかないケースが多いです。
記述問題は、一般的には国語・社会・理科で出題されます。
特に国語では記述問題の出題が多いです。
記述問題が数問程度であれば、他の問題でカバーすることはできます。一方で、記述問題の割合が多い場合、記述ができないと致命的です。
また、数問程度の記述問題だとしても、得点が高い場合もあります。問題数だけでなく、得点分布もチェックすることが大切です。
記述問題が多いかどうかは、比較的わかりやすい目安です。
相性を見極める際には、最初に検討しておくと良いでしょう。
途中式・考え方を書かせる問題
算数は答えだけを書かせる問題が多いですが、途中式や考え方を書かせる問題もあります。
これは学校によってかなり差が出る部分です。学校によっては、ほとんどの問題で途中式・考え方を書かせる場合もあります。
途中式・考え方を書かせる中学校を受験する場合、書き方を重点的に対策することになります。
ただ、途中式・考え方を書くのが苦手な子供もいます。対策をしてもなかなか得点に結びつかない場合、相性が悪いと言えます。
途中式・考え方が問われない学校もあります。子供の相性によっては、検討すべきでしょう。
総合問題
社会と理科では、複数の分野を含めた総合問題が出題されることがあります。
社会であれば、一つの大問に地理・歴史・公民分野の問題が含まれるといった出題です。
総合問題は、子供によって得意・不得意が比較的分かれます。
知識を横断的に整理することが得意な子供は、ある程度柔軟に対応できます。一方で、複数の分野の知識を同時に整理することが苦手な子供もいます。
このような子供は、分野ごとの出題でないとスムーズに解けないケースが多いです。
総合問題が多いか少ないかも、相性を見極める重要なポイントです。
総合問題があまりに苦手な子の場合、なるべく総合問題が少ない学校を選ぶことも一つの方法です。
ただし、総合問題が出題される中学校は多いので、ある程度の対策は必要です。
総合問題は慣れが大きく関係するため、対策によって慣れていけば、得意分野に変わる可能性もあります。
偏差値だけでなく過去問からも志望校を選定基準に
中学受験は、偏差値とともに相性を考慮する必要があります。
過去問との相性があまりに悪い場合、子供にとっては大きな負担になります。また、合格する確率も下がってしまいます。
偏差値は重要な目安ですが、実際に合格するには試験問題を突破するしかありません。
必然的に、試験問題との相性も考慮することになります。そのためには過去問を重点的に分析し、相性を見極める必要があるのです。
お子さんの得意分野と苦手分野を把握したうえで、試験問題に向いているかどうか、検討してみましょう。
偏差値からは見えない部分が、きっと見つかるはずです。