国語の読解力と記述力の鍛え方!読解力は読書だけでは鍛えられない?

国語の勉強をする小学生国語の読解力と記述力はどう鍛えれば良いのか、疑問に思う親御さんも多いのではないでしょうか。

読解力も記述力も、それぞれの特徴に合わせた鍛え方というものがあります。

読書をすれば自然に読解力・記述力が鍛えられるわけではありません。文章を読むときに意識すべき筆者の主張、文章を書くときに意識すべき書き方など、それぞれのポイントを知ることが大切になるのです。

この記事では、国語の読解力と記述力の鍛え方について、ポイントをご紹介していきます。

読解力は読書だけでは鍛えられない?

まず、読解力からお話します。読解力については、「読書をすれば読解力は自然に身につくのでは?」と考える方も多いでしょう。

しかし、読書だけに任せるのはあまり効果的とは言えません。

最初にその理由からご説明します。

読解力=想像力ではない

まず注意しなければならないのは、「読解力は想像力とは異なる」という点です。

国語の問題というのは、ヒントは全て本文に書かれていることが大原則であり、その本文の内容を正確に読み取ってこそ、初めて問題に正解できます。

逆に言うと、本文と直接関係のないことを勝手に想像し、その想像をもとに問題を解いてしまうのは危険、ということになります。

国語における読解力とは、「書かれていることを正確に読み取る力」であり、決して想像力を意味するわけではありません。

まずこの点をおさえておきましょう。

想像力より読解力を鍛えなくてはならない

例えば記号問題で、「本文の内容に沿って正しいものはどれか」という問題が出たら、どう解けば良いのでしょうか。

言うまでもなく、本文に書かれていることを正確に読み取ったうえで、その趣旨と合致する選択肢を選ぶことになります。

ここで、「本文にはこう書いてあるけど、自分はそうは思わない。こういう内容の方が適切なんじゃないか」などと想像してしまうと、そもそも問題を解くことができないのです。

あくまで問題に正解することが目的なので、そのためには想像力より読解力を鍛えなくてはなりません。

読書だけでは想像力に頼るおそれがある

読書を繰り返すと、確かに読解力も想像力もある程度身につきます。しかし、読解力と想像力のどちらが鍛えられるかは、子どもによります。

もし、読解力より想像力の方が鍛えられ、想像で読んでしまう癖がつけば、かえって読解力が下がるおそれもあるのです。

もちろん読書が悪いわけではありませんが、読書をすれば必ず読解力が鍛えられるわけではなく、むしろ想像力に頼る癖がついてしまう場合もあるので、注意しなくてはなりません。

読解力を鍛えるためのポイント!

次に、ここまでの話を踏まえ、読解力を鍛えるポイントを整理していきます。

筆者の言いたいことを真っ先に考える

文章には、筆者の言いたいこと・テーマが示されています。

読解力を鍛えるには、「この文章で筆者は何が言いたいのか?」を真っ先に考える癖をつけましょう。
想像で筆者の言いたいことを推測するのではなく、あくまで本文の内容から筆者の言いたいことを考えなくてはなりません。

自分の主観で読むのではなく、本文を客観的に捉えて筆者の主張を読み取る必要があります。

指示語に注意すること

国語の問題では、「それ」「この」などの指示語が多く登場します。

文章を読むときは、これらの指示語が何を指しているのか、その都度きちんと確認しましょう。

指示語の指している内容がわからないと、文章の内容もなかなか頭に入りません。

ただ漠然と文章を読むのではなく、「それ」などの指示語の内容をその都度チェックし、論理展開を追っていくようにしてください。

本文は最後まで読むことが大原則

国語の問題は、「傍線部①とあるが、これはどういうことか?」などと聞かれる設問があります。

この場合、特に傍線部①の周りにある文章を注意深く読み、内容を判断していくことになるでしょう。

しかし、このような問題が多いからといって、傍線部の周りだけを読めばいいということにはなりません。本文の内容を正確に読み取り、問題を解くには、本文は全部読む必要があります。

筆者の言いたいことを正確に把握したいなら、その筆者が言っていることを最後まで確認することが大原則だからです。

よく「人の話は最後まで聞く」と言われますが、これは文章においても同じです。

文章を最後まで読まず、なんとなく想像で判断するようなことはNGですので、注意しましょう。

語彙力もコツコツと鍛えておきましょう

読解力を高めるには、もちろん語彙力も鍛える必要があります。

難しい文章であれば語彙・言い回しも複雑になりますので、文章を正確に理解するためにもある程度の語彙力は必須です。

例えば、「傍線部①とあるが、これはどういうことか?」といった設問で、その傍線部①に難しい語彙・言い回しが含まれていれば、その表現の意味を理解していないと正答は難しいでしょう。

読解力向上のためにも、漢字も含めて語彙力はコツコツ鍛えておいてください。

子どもに文章の要約をさせて読解出来ているか確認しましょう

子どもの読解力がどの程度鍛えられているか、その都度確認することも大切です。

読解力を確認する方法としては、やはり文章の要約が挙げられるでしょう。

要約は文章の論旨を簡潔にまとめることを意味するので、文章を正確に読解できていれば、それだけわかりやすい要約が書けるはずです。

いきなり長い文章を要約させるのは子どもにとってハードルが高いため、まずは短めの文章から要約をさせ、きちんと読解できているかどうか確認してみてください。

記述力を鍛えるためのポイント!

低学年からの受験準備

次に、記述力の鍛え方についてです。

国語の問題では、記号問題や書き抜き問題のほか、「〇十字以内で答えなさい」といった記述問題も多く出題されます。

こうした記述問題に対応するためには、読解力だけでなく、自分の言葉で説明する記述力も求められます。

以下、こうした記述力を鍛えるポイントについてご紹介します。

まずは落ち着いて設問の指定を確認する癖をつけましょう

記述問題というのは、設問の指定通りに書いて初めて評価されます。

設問の指定が守られていない記述は、いくら文章がうまくても評価されないのです。

まずこの点を意識し、設問の指定内容をきちんと確認する癖をつけましょう。

例えば、「傍線部①とは具体的にどういうことですか。〇十字以内で説明しなさい。」「傍線部①とありますが、それはなぜですか。○十字以上〇十字以内で説明しなさい。」といった設問であれば、字数指定を守るのはもちろん、「どういうことですか」「なぜですか」の部分に沿って記述する必要があります。

また、「問題文中の言葉を使って〇十字以内で答えなさい。」「自分の言葉を使って〇十字以内で説明しなさい。」などの設問も、字数指定に加え、「問題文中の言葉を使って」「自分の言葉を使って」などの指定を守って記述しなくてはなりません。

こうした指定内容を確認したうえで、記述するようにしましょう。

「設問の指定を確認する」と言うと、当たり前のことのように聞こえますが、意外に指定を守らず記述してしまう子どもは多いです。

焦って解くのではなく、落ち着いて指定内容をしっかり確認する習慣が大切になるのです。

記述の文末表現を適切に!

上記で例に挙げた設問を例に、ご説明します。

例えば「傍線部①とありますが、それはなぜですか。○十字以上〇十字以内で説明しなさい。」という設問であれば、「それはなぜですか。」と聞かれているので、「~であるから。」「~であるため。」といった書き方で答えます。

また、「傍線部①とは具体的にどういうことですか。〇十字以内で説明しなさい。」であれば、「~ということ。」といった答え方になるでしょう。

このように、記述の文末表現には十分に注意してください。

もし、「傍線部①とは具体的にどういうことですか。」と聞かれている問題で、「~であるから。」「~であるため。」などと答えると、設問の指定を守っていないことになります。

まずは文末表現が設問に沿ったものになっているか、きちんと確認しなくてはなりません。

わかりやすく簡潔に伝えることを心がける

記述力というのは、いわば話す力と同じです。

「読解力=人の話を聞く力、記述力=人に話す(説明する)力」、と考えるとイメージしやすいかと思います。

そして、人に説明するときは、わかりやすく簡潔に伝えなくてはならず、これは記述力も同様です。

「〇十字以内で答えなさい」といった字数指定を守るのは大前提として、その指定の中で、採点者にわかりやすく簡潔に伝える必要があるのです。

主語がはっきり書かれているか、理由を聞かれている場合にはその理由がはっきり書かれているか、などをチェックし、採点者の目線に立って記述するようにしましょう。

模範解答を見て書き方を真似することも大切

記述力を鍛えるには、問題集などの模範解答を見て書き方を真似することも大切です。

例えば「それはなぜですか。」と聞かれている問題であれば、模範解答には「○○があり、□□となったから。」などと書かれているでしょう。

ごく簡単な例ですが、「あなたが国語を嫌いに思っているのはなぜですか。」と聞かれたら、「以前、テストで悪い点を取ったことがあり、苦手意識を持っているから。」などと答えることになります。

この例でいえば、「悪い点を取ったことがある」「苦手意識を持っている」という要素を組み合わせ、国語を嫌いに思っている理由を説明しています。

また、さらに一歩踏み込み、「国語を得意にするために、どんなことを実践したいですか。」などと聞かれたら、「漢字や読解問題の練習を増やし、基礎からもう一度学んでいきたい。」といったように具体的に答えると良いでしょう。

上記はあくまで簡易な例ですが、問題集にあるような模範的な書き方を見て、記述のニュアンスをつかんでおくことは非常に重要です。

お子さんの読解力と記述力を鍛え方!ポイントを意識しながら家庭でも取り組んでいきましょう

今回は、読解力と記述力の鍛え方についてご紹介しました。

読解力を鍛えるには、まず読解力と想像力は異なるという点から意識し、筆者の主張を本文から論理的に把握する習慣をつけましょう。

決して自分の想像で判断するのではなく、あくまで本文に根拠を求める姿勢が大切です。

また、「それ」などの指示語の内容はきちんと確認し、論理展開を正確に追っていき、本文はきちんと最後まで読むようにしましょう。

そのほか、語彙力を鍛えておくことはもちろん、本文の要約などを通じて読解力の確認をすることも効果的です。

また、記述については、まず設問の指定を守ったうえで、適切な文末表現を心がけましょう。

「〇十字以内で答えなさい」などの指定を守るほか、聞かれている内容(「どういうことですか。」、「なぜですか。」など)に合わせ、「~ということ。」「~であるから。」といった適切な文末表現で記述する必要があります。

もちろん、採点者にわかるように、わかりやすく簡潔に記述することも忘れてはいけません。

そのほか、問題集などから模範的な記述解答を確認し、書き方のイメージをつかんでおくことも大切です。

以上のように、読解力も記述力も、鍛えるにはそれなりのポイントがあるのです。

ただ文章を読んだり、ただ文章を書いたりするだけでなく、それぞれのポイントを意識した鍛え方が重要になります。

お子さんの国語の勉強を見るときなど、ぜひ参考にしてみてください。