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中学受験では、中間層を指す「ボリュームゾーン(ボリュームゾーン層)」という言葉がしばしば登場します。
難関校を目指す場合、このボリュームゾーンから抜け出し、トップ層に入っていくことが重要になります。
一方で、トップ層に近づくにはどうすれば良いのか、そもそもボリュームゾーンとトップ層の違いは何か、疑問に思う親御さんも多くいます。
この記事では、塾講師の経験から、中学受験におけるボリュームゾーンとトップ層の違いやトップ層に入っていくために意識すべきこと、見直すべき勉強習慣などについてお話ししていきます。
目次
中学受験におけるボリュームゾーンとは?
中学受験ではしばしばボリュームゾーン(ボリュームゾーン層)、略して「ボリュゾ」という言葉が話題になります。
ボリュームゾーンとは、受験勉強をしている子どもの中で一番人数が多い層、つまり中間層のことを指します。
明確な定義があるわけではありませんが、偏差値で言えば45~55あたりの中間層を指す場合が多いです。
中学受験で偏差値上位の難関校を目指す場合、このボリュームゾーンから抜け出し、トップ層に入っていくことが何よりも大事になってきます。
もちろん、入試は本番で実力を出す必要があり、トップ層だからといって絶対に合格できるとは限りません。
同じように、なかなかトップ層に入れなかったとしても、直前のラストスパートで実力が上がり、本番でその実力を発揮して合格を勝ち取るケースもあります。
このように、トップ層だから絶対に安心というわけではありませんし、受験勉強は最後まで何があるかわからないものです。
ただ、難関校を目指す場合、なるべくトップ層であるに越したことはないでしょう。
成績を伸ばし、ボリュームゾーンから脱するにはどうすべきか、日々の勉強習慣の見直しなどを考えることが重要になります。
ボリュームゾーンは悪いことなの?
一方で、最初に考えておきたいのは、そもそもボリュームゾーンが悪いことなのか?という点です。
近年は中学受験に対する捉え方も多様化しており、必ずしも難関校を目指すことが全てとは言えません。
中堅校でも人気の学校は多く、偏差値や大学進学率ばかり重視する傾向も徐々に変わっていくでしょう。
ただ、中堅校を受験する場合でも、当然ながら成績が良いに越したことはなく、ただのんびり受験勉強をすれば良いわけではありません。
難関校を目指すトップ層とまではいかなくても、気を抜いて勉強して良いことにはならず、志望校の傾向に沿った念入りな対策が重要になります。
また、偏差値上位の学校を志望して受験する場合は、当然ながらトップ層にいて損はありませんし、トップ層であれば確かな学力が身についているはずです。
これらの点を大前提として、以下、ボリュームゾーンとトップ層の違いやトップ層に入っていくための心がけなどを整理していきましょう。
トップ層とボリュームゾーン層の受験勉強をする時の大きな違い!
勉強が集中したものになっている?
トップ層の受験生は、とにかく勉強中の集中力が高いです。
勉強というのはただ机に向かえば良いわけではなく、集中できるかどうかで勉強の質は大きく変わります。
たとえ短時間でもしっかり集中すれば効果がありますし、逆に長時間机に向かっていても集中できていなければ効果は下がります。
もちろん受験勉強である以上、ある程度長い勉強時間は必要になりますが、ただ長く勉強すれば良いわけではありません。
そして、トップ層の受験生は勉強における集中力が非常に高く、短時間の勉強でも長時間の勉強でも効率的に学習を進めています。
「やらされている感」がないか?
受験勉強は、「あの学校に行きたい」という強い意志が重要です。
しっかり目的意識があり、「あの学校に行くために今、勉強をする」というモチベーションがあってこそ、受験勉強は継続できるのです。
トップ層の受験生は、こうした目的意識が特に強い傾向があります。
「やらされている感」がなく、自発的に日々勉強に取り組み、少しずつ実力を鍛えています。
一方で、受験勉強に対して「やらされている感」が強いと、勉強に対するモチベーションはなかなか上がりません。
偏差値上位の難関校を志望している場合でも、
「あの学校に行きたい」「あの学校に行くために今、勉強をする」
といった目的意識が薄いと、日々の勉強に対して「やらされている感」が増え、なかなか勉強に身が入らない原因になります。
特に難関校を目指すのなら尚更、目的意識を常に確認してモチベーションを維持しなくてはなりません。
気持ちの問題ではありますが、受験生のトップ層はこうしたメンタル面でも強さが見られます。
復習をきちんと行っている?
受験勉強というと、次々に新しいことを学習していくイメージが強いでしょう。
確かにそれは事実ですが、だからこそ、定期的な復習が非常に重要になるのです。
復習をおろそかにすると、わからない箇所が多いままで次の単元・分野に進むことになります。
そして次々に新しいことを学習していくと、いつのまにかわからない箇所が膨大に増え、勉強に行き詰まってしまいます。
そうならないよう、その都度復習を行い、わからない箇所をなるべく少なくして勉強を進めることが大事になります。
受験生のトップ層は、こうした復習も念入りに行う傾向が強いです。
暗記だけになっていないか?
中学受験で学習する範囲は非常に多く、中には暗記すべき事項もあります。
特に社会や理科に登場する様々な用語の名称など、理屈抜きで暗記すべきものも多いです。
一方で、受験は暗記だけで太刀打ちできるものではなく、より深い理解のもと、実力を鍛えていかなくてはなりません。
例えば歴史の人物名や出来事の名称などは、その時代背景までしっかり理解して覚えるべきであり、ただ暗記だけしても歴史の流れはなかなか理解できないでしょう。
そして、きちんと歴史的背景を知っていないと、少しひねった問題が登場すると途端に解けなくなります。
特に難関校の入試問題であれば尚更、単純な一問一答形式の問題ではなく、より応用的でひねった問題がたくさん登場します。
その際に、歴史的背景の理解が浅いと応用問題に対応するのは非常に難しいのです。
これは社会の歴史の例ですが、このようなケースは社会の他の分野や理科でも言えることです。
この点、トップ層の受験生は各分野の理解が深く、暗記一辺倒になっていないという特徴があります。
もちろん基礎は大事!基礎がしっかり定着しているか?
受験勉強では、もちろん基礎をきちんと理解しておく必要があります。
受験のトップ層というと難問を多く解いているイメージがあるかもしれませんが、その難問も基礎がしっかりしていなければ解けません。
受験生が解けるレベルの難問は、基礎を応用して解答の糸口を探すものであり、とにかく基礎が盤石でなければならないのです。
また、あまりに難解すぎる問題や奇問など、トップ層でも解けない問題はあります。
そういった問題に時間を使うより、「絶対に落としてはいけない問題」を正確に解き、着実に得点を積み重ねていくほうが重要です。
そして、「絶対に落としてはいけない問題」を正確に解くには、もちろん基礎から正確にしなくてはなりません。
受験生のトップ層は、こうした基礎も深く理解しています。
基本的な計算力、読解力や漢字力、そして社会や理科の基本知識など、各科目の基礎を幅広く正確にしておくのは、実は簡単なことではありません。
基本だからといって甘く見ず、その基本を幅広く正確に理解し、あらゆる問題に応用していく必要があります。
トップ層に入っていくために!すぐに見直してほしい4つのこと
ここまでの話を大前提として、受験生のトップ層に入っていくためにできることは何か、整理していきましょう。
1.日々の勉強の集中力を上げよう
難関校を目指して勉強してもなかなかトップ層に入れない場合、その勉強が本当に集中したものになっているか?を見直してみましょう。
なんとなく長時間勉強しているように見えても、実際に集中した時間が少なければ勉強としての効果は下がってしまいます。
最初は短時間で区切っても良いので、その短時間でしっかり集中して理解を深める習慣をつけてみましょう。
集中力が十分に身についていない場合は、長時間机に向かってダラダラしてしまうより短時間で区切ってメリハリをつけ、その短時間ごとに集中したほうが効率的です。
集中というと当たり前の話に聞こえるかもしれませんが、とにかく勉強というのは集中力がモノを言います。
特に受験生のトップ層に近づくためには、日々の勉強における集中力をもう一度確認してみてください。
2.目的意識を再確認してみよう
どこか心の中でモチベーションが下がっていると、受験勉強を続けてもなかなか成績が上がらないことが多いです。
そこで成績が伸び悩み、さらにモチベーションが下がるという悪循環になってしまうケースも見られます。
そうならないよう、「自分はなぜ受験勉強をしているのか?」という目的意識を再確認してみましょう。
「あの学校に行きたい」「あの学校に行くために今、勉強をする」といった目的意識をもう一度意識し、日々のモチベーションにつなげてみてください。
先ほども述べたように、受験勉強は「やらされている感」が強いとどこかで行き詰まってしまいます。
「やらされている感」をなくして自発的な勉強に変えていくには、「あの学校に行くために今、勉強をする」という意思が必要不可欠なのです。
特に難関校を目指す場合であれば尚更、勉強の目的意識は常に確認し、高いモチベーションを維持する必要があります。
3.復習の習慣を身につける
先ほども述べた通り、受験勉強は定期的な復習が重要であり、復習がおろそかになると後になってかなり苦労します。
わからない箇所をなるべく減らして次に進むためにも、決して復習を甘く見ず、定期的に復習を行う習慣をつけましょう。
復習というと当たり前の話に聞こえますが、意外にこの復習が足りていない受験生は多いです。
復習の質を上げて自分の知識をその都度補強し、実力を鍛えていけば、自ずと受験生のトップ層に近づいていくはずです。
わからない箇所を放置せず、復習を念入りに行い、少しでも理解を深めることを心がけましょう。
4.基礎を深く理解しよう
繰り返しますが、入試というのは暗記一辺倒で対応できるものではありません。
暗記事項も含め、基礎を幅広く理解する必要がありますが、その理解を深めるには暗記だけではいけないのです。
先ほど社会の歴史の例を挙げましたが、ただ用語を暗記するだけでなく、その時代背景まで理解して初めて「基礎を理解した」と言えます。
基礎の理解は単なる暗記ではないので、ここは十分に注意してください。
また、基礎を幅広くおさえたうえで、「絶対に落としてはいけない問題を正確に解く」という心構えも大切になります。
特に入試は、わずか1問の失点が大きな差につながります。
とにかくケアレスミスを減らし、「絶対に落としてはいけない問題」の正答率を上げていくことを心がけましょう。
難問・奇問ばかりに目を向けるのではなく、基礎を幅広く正確に理解することを重視し、「絶対に落としてはいけない問題」をいかに正確に解くか?を意識することが大事です。
また、基礎を正確にしてこそ難問や応用問題にも対応できるようになります。
決して基礎を甘く見ず、幅広く理解を深めていきましょう。
まとめ
今回は、中学受験におけるボリュームゾーンとトップ層の違いについてお話ししていきました。
ボリュームゾーン層は偏差値で言うと45~55あたりの層を指すことが多いですが、難関校を目指す場合、やはりボリュームゾーンを抜け出してトップ層に入っていくことが大事になります。
また、トップ層の大きな特徴としては、集中力の高さや復習習慣の充実、確かな目的意識、基礎の定着などが挙げられます。
これだけ見ると当たり前の話に聞こえるかもしれませんが、実はこうした習慣を続けるのは簡単なことではありません。
机に向かってもなかなか集中できない受験生は多いですし、復習がおろそかになっている受験生、基礎が定着してない受験生も意外に多いのです。
トップ層の受験生は、こうした基本的なことを地道にコツコツ続けています。
また、こうした勉強習慣を続けるには「あの学校に行きたい」「あの学校に行くために今、勉強をする」といった目的意識も必要不可欠です。
トップ層に近づくためにも、「自分はなぜ受験勉強をしているのか?」という目的意識を再確認し、日々の勉強習慣を見直し、根気良く受験勉強を進めていきましょう。