私立高校を舞台とした連続テレビドラマで「教師が生徒のやる気をアップさせる方法」として紹介されたこともあり、大注目を浴びている“ペップトーク”。
聞きなれない言葉ですが、うまく活用することで、育児やさまざまなシーンでのコミュニケーションにおいて相手からの印象が良くなったり、子どものやる気がアップするなど、良い効果が期待できる方法です!
今回は、そのペップトークについてご紹介していきます。
目次
ペップトークって何?
ペップトークとは、「“シンプル”でかつ“ポジティブ”な言葉を使って相手を励ますコミュニケーション」のことです。
「Pep」は英語で、「元気・活気・活力」という意味を持ちます。
もともとは、アメリカで、本番には緊張しがちなスポーツ選手に対して、コーチや監督が短い激励の言葉を贈っていました。
これがペップトークの始まりです。
しかし、「シンプルだけれど力強さをくれる前向きな言葉」は、スポーツの世界だけでなく、さまざまな人に喜び・やる気・活力を与えます。
いまでは、学校などの教育現場、会社、そして家庭でも、さまざまなコミュニティーで活用されていて、「言葉の力が人を動かす教育法」としても注目されています。
ペップトークの特徴は誰にでも出来る!
このようなペップトークですが、その特徴は「意識や練習をすることで、誰にでも簡単にできること」そして「ポジティブな思考や言葉がけを続けることで、自分自身もより前向きになっていける」ということです。
教育現場や会社などで上に立つ者として本格的にペップトークを学びたい場合には、『一般財団法人日本ペップトーク普及協会』のセミナーを受講するなど、効率的かつ効果的に学ぶことも可能です。
しかし、ご家庭で子どものしつけや教育に取り入れたい場合には、本格的に学ばずとも言葉を少し変えるだけで、「結果として同じことを伝えているのに、伝わり方や相手(子ども)の目の輝きが変わる」という効果が見られるでしょう。
家庭で実践できるペップトーク
では、家庭でよくあるケースに触れながら、ペップトークの使い方について考えてみましょう。
子どもにネガティブな言葉をかけない!
例えば宿題がわからないと放り出しそうな子どもに対して
- どうしてわからないの!そんなのもできないの!
- まだ半分しか終わってないの?さっさとやりなさい!
というような言い方をしてはいないでしょうか?
「宿題なんてやりたくない」というネガティブな気持ちを、なんとか立て直してがんばっているところに、「わからない」というストレスや自己嫌悪感が加わっている状態です。
そこに、「わからないことを怒られたというストレス」そして「自分はダメなんだという失望感」という三重苦に陥ってしまいます。
子どもに自信を持たせる
自分のことを肯定的に捉える自己肯定感が崩落してしまうと、子どもはあらゆることに自分に自信が持てなくなります。
その事態が重くなると不登校や非行、そして親子の信頼関係が完全に崩れてしまう、という状態も招いてしまう可能性があるのです。
子どもの自己肯定感を高めるにはとにかく褒めること!
「宿題がわからないと放り出しそうな子ども」へのコミュニケーションとして、ペップトークを取り入れてみるとどのようなコミュニケーションになるのでしょうか。
- 難しいのにがんばっているね!
- ◯番まではできているね、すごい!
これらは一例ですが、できない部分を強調するのではなく、「できている部分」や「がんばろうとしている姿勢」について、褒めながらさらに可能性を追求していってあげる姿勢で寄り添ってあげましょう。
そうすると子どもは、
「褒められた!」「頑張ろう!」
という気持ちになります。
なにより、実際にはできていない自分に対しても、
「頑張りを認めてくれて、自分はできると励ましてくれた」
ということが子どもにとってはとてもうれしいのです。会社や学校においても同じですよね。
日頃密に関わっている相手から認められること。これは、誰だって嬉しいのです。
闇雲に使うのはNG!ペップトークを使う際の注意点
「励ます」というと代表的な言葉として「がんばれ!」が思い浮かびますよね。
しかし、子どもが机で宿題で悩んでいるのに、台所やソファなど別箇所から
「がんばって、よく読んだらきっとわかるよ」
このように一見励ましの言葉だけをかける…それは、実は子どもにとって良い励ましではないのです。
「頑張れ」だけではだめ!
同じ「できる」という言葉でも、自分が取り組んできた過程を寄り添って見て応援してくれている相手から言われるのと、他のことに夢中になりながらとりあえず励ましの言葉だけかけられている、という状況では、子どもにとって全然意味が違います。
後者は、子どもにとっては「見放されている」と映ってしまうのです。
ペップトークは相手に寄り添うことを前提に!
運動会の徒競走中等、遠くからしか声がかけられないような状況であればその場で親の「がんばれ」が聞こえると嬉しいという場合もあります。
しかし、ペップトークの元となったスポーツ選手の例でも同じよう、本番前・日頃から、きちんと寄り添い、相手の良い所も苦手な所もすべてを知り認めた上で、相手に応じた言葉を選んであげることが必要です。
宿題や勉強、または学校での悩み事、小さな子どもだとかんしゃくを起してわめいてしまっている状況などにおいては、パパ・ママは忙しいですが自分のしたいことの手を止めましょう。
そして子どもの元へ行き、一緒に問題を考えたり子どもの現状を認めてあげる過程を経ることで、ペップトークは初めて育児において意味をなすのです。
ペップトークとは相手を認めてあげることを意識することが大切!
ペップトークは、なにも今目の前に起こっている問題や課題だけに対して、ポジティブなコミュニケーションを目指すだけではありません。
育児でも、夫婦間でも、仕事仲間や友人たちに対してでも、「あなた(その人)自身がかけがえのない大切な存在である」ということを、意識して伝えていくことが大切です。
- 「あなたと出会えてよかった」
- 「生まれてきてくれてありがとう」
- 「たとえ○○できなくても、私があなたを大切に思う気持ちは変わらない。精一杯取り組んでおいで」
これらのように、相手の存在そのものを認めてあげることで、不思議と元気が湧いてくるものなのですね。
自己肯定感を育てるためによく使われる手法ですが、広い意味ではその言葉がけもペップトークであり、良好な人間関係やかたい信頼関係を築く過程において、やはりとても重要なカギを握っているコミュニケーション方法だと言えるでしょう。
認めてあげることで、子どもの自己肯定感は育つ
親子の場合、言葉に出さずとも親は子のことを「かけがえのない存在」と思っていることでしょう。
しかし、子どもは悩みを抱えたりうまく問題を解決できなかったり、日々叱られることが続くと、「パパ・ママはこんな自分のことなんて…」と悲観的になってしまう場合もあるのです。
時々でも良いので、子どもに“言葉”で伝えてあげてください。
「どんなあなたでも、あなた自身が大切」だということを、そうすることで子供の自己肯定感は育ちます。
ペップトークをぜひ子育てに活用してみませんか?
いかがでしたか?
ペップトークは誰にでもでき、成果も比較的早く出やすく、自分も前向きになれる方法です。
つい子どもにイライラしてしまいがちなシーンでも、子どもがなぜそのような行動をとるのかを考え、子どもの気持ちを考えながら一呼吸おいて、言葉を選んでみませんか?
家庭内でのこのようなコミュニケーションが習慣化することにより、子どももいつしかポジティブな言葉、相手が気持ち良いと感じる言葉を選んで話すようになるでしょう。
子どもの今後の人間関係でも良い結果がもたらされる期待ができるペップトーク、ぜひ試してみてくださいね。