お子さんの一人歩きや言葉の理解が進んでくると、少しずつ便器やおまるで用を足せるよう練習を始めていきますよね。
このトイレトレーニングを始める時期は、お子さんの発達や親の考え方によって1~3歳頃とさまざまです。
トイレに誘うのと並行して考えたいのが、「トイレトレーニング時のパンツをどうするか」ということですよね。
目次
比較する5つのトイレトレーニングパンツ
今回は、以下5種の下着(パンツ)類の特徴を紹介しながら、トイレトレーニング時におけるそれぞれメリット・デメリットを紹介していきます。
紙オムツ | この記事では、生後すぐから使用できるタイプの一般的な紙オムツを指し、トレーニング用のものを省きます。 |
紙トレーニングパンツ | 濡れた実感がわかりやすい、トレーニング専用の紙パンツ。文中では以降「紙トレパン」とします。 |
布トレーニングパンツ | トレーニング専用の吸水性を考慮して層になっている布パンツ。文中では以降「布トレパン」とします。 |
布パンツ | 一般的なパンツで大人用と同じような作りになっているもの。布トレパンを除いた幼児用パンツを指します。 |
パッド | 女性用生理ナプキンのように、下着に貼り付けるタイプのオムツ。 |
特徴を比較しながら、お子さんの成長の度合いや、それぞれのライフスタイルに応じてうまく活用してみてくださいね。
※なお、ここから具体例や年齢を交えての紹介となりますが、育児情報・筆者の保育士経験・育児経験をもとに挙げさせていただいています。
使用感や年齢は目安としてお考えくださいね。
1.紙オムツ
生まれてすぐからこれまで使用してきた紙オムツです。
メリット
- 別アイテムを買い足さなくともトイレトレーニングをはじめられるので、親子とも気楽
- うまく言えなくとも漏れはほとんどないため、掃除や洗濯の手間が省ける
- 下着内でうんちをしてしまった際にも、場所を問わず安心感がある
- 濡れて親が気づかなかった際にも、冷えや風邪につながりにくい
- まだ失敗続きの段階で子どもが「紙オムツはイヤ!」とならないため、外出等への気苦労が少ない
- 紙トレパンよりコスパが良い
デメリット
- これまでとの変化がない(気持ち悪さがない)ため、子どもに「トイレに行こう」「はき替えよう」という自覚が芽生えにくい
- 分厚くゴワつきやすいため、トイレで排泄できても下着の上げ下げが1~2歳の子どもには難しい
- 2歳を越えると「紙オムツだから失敗しても大丈夫」という気持ちを持つ場合もある(自尊心を傷つけない意味では良いが、「トイレに行かなくても良い」となると後が大変となる)
- オムツのみをはかせ続けて3歳を越えると、「オムツが楽」「失敗が怖い」等この先も長くオムツを手放せなくなる場合も
ポイント
「親が楽」「子どもも(失敗しても)安心できる」という面では、外出をよくしたり忙しい場合には助かるアイテムとなります。
しかし、トレーニングの面では、「親は意識して根気強く誘う」「子どもはトイレにかなり関心を持っている」という継続条件でないとオムツはずれには一番時間がかかる方法になるかと思います。
「お出かけの際は紙オムツ」とメリハリをつけたり、「体調不良の日はトレーニングをお休みしよう」と親子でその都度シーンやルールを決めながら、他のアイテムと合わせて使用されると良いと思います。
特に、一人っ子で未就園の場合には、トイレに行ける(子どもの)憧れやライバルがいないため、「自分で行かなくちゃ」という意識を芽生えさせるためには濡れる(嫌がっても他下着を使用し濡らす)経験も大切ですね。
2.紙トレーニングパンツ
トイレトレーニング専用のものとなっているので、紙オムツのコーナーではパッケージモデルやデザインにもお兄ちゃん・お姉ちゃん感が際立っています!
メリット
- おしっこ1回分であれば、漏れにくいのに濡れた感じをしっかり実感できる(紙オムツの10倍ほど感じるようです)
- 下着の柄が変わったり薄くなっている等見た目でもわかりやすいため、子どもが「お兄ちゃん(お姉ちゃん)に近づいた」と意識を高めてくれる場合もある(※中には紙オムツと紙トレパンのデザインがほぼ変わらない銘柄もあります)
- 紙オムツ同様に、使用後は破棄できるため掃除や洗濯の手間も減らせる
- 自分で言えない場合にも、紙オムツ同様ラインやふくらみで排泄がわかりやすいので、「出たね」と声をかけたり着替えに誘いやすい
- 親が気づくのが遅れた場合にも、布類に比べると冷えやかぶれを抑えることができる
- 短時間の外出時や、トレーニングがほぼ完了した際の外出時にも安心感が持てる
デメリット
- 濡れ感のわかりやすさは、「紙オムツ<紙トレパン<布類」となるため、紙トレパンでも濡れた気持ち悪さを一切感じない子どももいる
- 基本的におしっこ1回分は吸収してくれるが、量が多い時やうんちも出た場合には漏れてしまう場合もある(外出時も絶対安心ではない)
- 紙オムツよりコスパが悪い
ポイント
「濡れた感じがわかる上漏れにくい」紙トレパンはありがたい存在ですが、「外ではまだ不安だし家用ではコスパが悪い」と紙トレパンを使用しない場合、または早期から保育園に通っている場合等では園の方針に従っていくと「紙トレパンの存在を知らぬ間にトレーニングが完了した」という場合もあるようです。
必須アイテムではありませんが、トレーニング中1袋ストックしておくと、いざという時役立つアイテムです。
3.布トレーニングパンツ
布トレーニングパンツは、お店によって種類豊富であったり1種類(1つの段階)だけの場合もありますが。
層の厚さによって段階分けがされており、基本的には以下の3つがあります。
- 6層:自分から「おしっこ」を言えない段階
- 4層:「おしっこ」を言えたり尿意を感じたら自らトイレに行こうとできる
- 3層:トイレで成功することが増えてきた、下着をおろす際間に合わない程度
「層と」は吸水層の厚みを表します。上例でいうと、6→4→3とステップアップしていきます。
希望の段階のものが最寄りのお店にない場合にも、ベビー用品店やベビー服のインターネット通販で購入することができます。
メリット
- 紙トレパンよりも濡れ感がわかりやすいため、トレーニングに適している
- 子どもが「パンツをはく」という成長感を味わいやすい
- うんちも布パンツよりはブロックしてくれる
- 3~4歳頃には「オムツは恥ずかしくてイヤ」となる場合も多いが、その場合にも抵抗なくはいてくれやすい
- カラーやデザインのバリエーションが豊富で、子どもは好きなものを選ぶことができモチベーションが上がる
- 6層は一定量のおしっこであれば布が吸収してくれるため周囲が汚れにくい
- 洗って繰り返し使用できるため、コスパが良い
デメリット
- 3歳を越えたり体が大きい子に合う6層の布トレパンは圧倒的に少ない(95cm以上の布トレパンは大抵4層以下)
- 3・4層の布トレパンは漏れることも多く(布パンツよりまし、という程度)外出等には安心できない
- 軟便時には程度によるがほぼ流れる
- 洗濯物が増え、4・6層は特に乾きにくい
- 段階的に多量に購入していくと、結果使用期間が短くコスパが悪くなる場合も
- 上理由より、「数枚ずつ様子を見ながら購入」がコスパ的には良いが、見極めが難しかったり保育園が各段階のものを多量に持参するよう指示する場合もあるので悩ましい
ポイント
布トレパンは、家の中で「濡れた実感は持たせたいけれど掃除の手間が…」という親の悩みの折衷案としては、6層(慣れてきたら4層)はおすすめです。
また、後述のパットと合わせたり、子どもがゴワつく下着を嫌がる場合には3層もトレーニングの協力な助っ人となってくれるでしょう。
ただし、やはりずっと家にいるわけにはいかず、公共の場でも迷惑をかけたり荷物が増えるのはできれば避けたいですよね。
子どもも風邪をひきやすくなってしまいます。
他アイテムとうまく組み合わせたり、おしっこの間隔を掴みながら短時間の外出から始める等、工夫をしてみましょう。
4.布パンツ
大人と同じ薄手のパンツです。
最終的に目指すゴールではありますが、トレーニングに使用する場合には時期の見極めや親の根気も問われます。
メリット
- おしっこが出ると必ず濡れ感が生じ、子どもが不快がる(「出た」と言いやすくはなるが、言わない子もいるが気づいている場合がほとんど)
- 周りもすぐにおしっこが出たことに気づいてあげられる(床が濡れるため)
- 洗いやすい・乾きやすい・嵩張らない等お手入れ面で便利
- 動きやすさや通気性に優れている
- デザインや仕様(大人と一緒)を子どもが気に入る場合が多い
- 専門店でなくとも取り扱っている店が多く、長く使えてコスパも良い
- 布パンツでのトレーニングを根気強く続けることは、一番オムツはずれへの近道と言われている
デメリット
- うまく伝えられない、親がしばらく離れて気づかなかった等の場合、足先まで一気に冷えて風邪をひきやすい
- 下着内でうんちが出た際にも一番大変
- 当面はとにかく掃除が大変
- 洗濯物が増える
- 完全に布パンツのみ(紙類との併用なし)でトレーニングをしようと思うと、相当の枚数が必要
- 布を快適と感じるのは良いことだが、紙オムツを不快・恥ずかしい等完全に拒否をするようになる場合もあり、そうなると就寝時や外出時が大変
- 保育園と自宅との足並みがそろわず悩むパターンも多い
ポイント
保育園の方針では布オムツや布パンツでトレーニングを早期に終えようと努めている園もあります。
一例ですが、園で1歳になった頃より吸水性の一切ない布パンツを用意するよう指示された場合についてです。
もちろん当面は間に合わないことばかりなので日々の洗濯が増えるのに加え、家でもオムツを嫌がり、そして失敗することにもイヤイヤとなってしまい…と親子共に大変な場合もあるようです。
最終的には早くトイレに行けるようになるし、その方法が親子共にあえばよいのですが、足並みが合わない場合には苦労も多いです。
また、男女とも女児用布パンツを持参するよう言われる例もあり(形状的な理由)、2歳頃の男の子はそれを激しく嫌がって心理面からトレーニングが不調だった(家ではお気に入りの男児用を用意したようですが)という話も聞いたことがあります。
また、紙パンツや紙トレパンが今ほどなく、「自分たちは布パンツで子育てをしてきた」という祖父母が激しく布パンツを勧めてくる場合もあるようです。
濡れ感を知るためや、子どもがどんな反応をとるのか等、やってみるのは大切なことですが、保育園や祖父母も含め、「まだ我が子には難しい」「今のライフスタイルに合わない」と親が感じたら、一度相談されてみるのも良いと思います。
5.パッド
最後は、直接はくこれまでの下着とは少し異なりますが、トイレトレーニング用のおしっこ吸収パッドについて紹介します。
メリット
- オムツのように足を動かしたり大きな動きを必要とせず引き抜けるので、寝ている子どもを起こさず取ることができる
- お気に入りの下着に貼り付けられる
- 種類によるが、1回程度のおしっこを吸収でき濡れ感もわかる
- トレーニング完了後も、ドライブや体調不良時等、シーンに応じて使用できる
- 3歳頃~の子どもには、オムツをはくより心理的抵抗が少ない場合が多い
- 失敗しても下着が汚れにくいので、子どもの「汚してしまった」という傷つきを防げる場合もある
- 適度に使用することで、家事負担面やコスパにおいても優れていると感じられる
デメリット
- ゴワついて子どもが嫌がる場合がある
- ヨレて結局漏れてしまう場合もある
- ヨレてテープ面が子どもの肌につくと、肌トラブルの原因ともなる
- 種類によっては大きさや吸水性が不安なものも(ほぼトレーニングが完了した頃に使用するのが良い)
- 就寝中に引き抜くことは容易だが、再度装着する際にはオムツをはかせるより手間となる場合も(就寝時用の長時間パッドもあるが、こちらはトレーニングには紙パンツ同様のデメリットがあるため、使い分けが必要)
- ドラッグストアや一般店では取扱いの無い場合も多い(ベビー用品店やインターネット通販で購入できる)
ポイント
こちらも、不可欠なアイテムではありませんが、うまく取り入れることでトレーニングを応援してくれるアイテムとなるでしょう。
短い・小型のパッドを使用する場合には、男女で装着位置が変わりますので漏れないよう注意をしてあげてくださいね。
また、コスト面や「共用できると便利」と、生理用ナプキンで代用しようと考える方もおられるようですが、ナプキンは経血を吸収する目的のものですので用途が違います。
実際失敗したという口コミも多く見ますし、ベビー用に開発されたパッドではありませんので、パッドをトレーニングに使用するのであれば、必ず専用の物を用意してあげてくださいね。
まとめ
トイレトレーニングは、早期に始めることにもスロースタートをすることにも、どちらにもメリット・デメリットがあります。
「子どものためならどんな汚れも、外出我慢や不便も、子どものイヤイヤも、気長にすべて笑顔で受け止められる!」親にそれだけの覚悟があれば良いのですが、実際には親の負担や生活との折り合いをつけていかなければ難しいですよね…。
少しでも楽しく、親子共に負担にならないようポジティブにトレーニングを進めていくためには、アイテム選びや使うタイミングも重要です!
例えばですが、最後に挙げたパッドは、1歳になりたての頃よりは、トレーニングが完了してきた頃に向いています。
また、紙トレパンはSやMサイズがない場合もあるので、紙トレパンでトレーニングを少しずつしていきたい場合には、「子どもがオムツLサイズの体型(10kg前後~)となる頃に機会を見て」(小柄な子だと2歳を過ぎてもブカブカなことも)という考え方も良いでしょう。
今は下着以外にも楽しくトイレトレーニングに取り組めるアイテムや、情報源もたくさんありますよね。
焦りや人との比較は禁物、オムツは必ず外れます。
それまでをどう乗り切るか、我が子にとっての最良のアイテムや方法を考えてみてくださいね。