「自由研究」の本来の意味は、テーマを自由に決めて工作したり、観察したり、研究したりすることを言います。
これが小学校で実施されるのは、「子どもに主体的に学んでほしいから」という思いがあるからでしょう。
そのため、どんな内容を選んでも、お子さんが主体性を持って実施すれば、それは「自由研究」になります。
けれど、せっかくですからお子さんの思い出に残り、かつお子さんの好奇心を伸ばして論理的な思考能力も培えるようなテーマがよいですよね。
さらに学力の向上にも繋がれば、言うことなし!
自由研究のネタ(どういうテーマで行うか)については、さまざまなブログで紹介されていますので、ここでは、理系大学院卒で論文執筆経験のある筆者が、我が子の理科自由研究において表彰された実績から「理科の自由研究はどうまとめればよいか?」をご紹介していきます。
目次
自由研究の構成!テーマ・背景や理由・条件と材料・結果・考察を考えよう
小学校の理科の自由研究は、大学や企業らの研究者と同じ、「研究論文」だと考えましょう。
しかし難しく考える必要はありません。
研究計画を立て、材料や道具を揃え、実験(研究)を行い、結果を得た後は考察を行う。それだけです。
一般の論文では、以下のような流れになっています。自由研究のネタを決めたら、次の構成で考えてみましょう。
自由研究のタイトルやテーマ
たとえば「塩の実験」のように抽象的な言葉にせず、「塩の結晶を美しく作る方法を、材料から考察した」など、具体的に、かつ自分の言葉で書きましょう。
研究前はざっくりとだけ決めておいて、結果や考察を書いてから最後に書いても良いです。
自由研究の背景(目的や興味を持った理由など)
そのネタに興味を持ったきっかけは必ずあります。
それを思い出して、なるべく具体的に書きましょう。
また、研究テーマについて、よく知られている内容や、一般的な情報を背景として書くのも良いでしょう。
研究・実験方法
研究・実験を実施した場所や用いた器具や材料、条件などを書きます。
たとえば複数の研究・実験を行うのであれば、なぜそのように場合分けをしたのか理由も書くとわかりやすいです。
結果
研究・実験結果を書きましょう。
大学研究者の論文でも、必ずデータが貼付されています。
それと同様に、結果は文字だけではなく、写真や実物を必ず貼るようにしましょう。
親御さんも協力して、なるべく客観的に書くことをオススメします。
考察
結果から考えられる考察を、必ず書きましょう。
自由研究で入賞を狙うには?押さえておきたい2つのポイント
市町村や大会にて入賞を狙うなら、研究(実験)は絶対に1種類だけで終わらせてはなりません。
1種類とは、たとえば、草木染めの自由研究で、1種類の布と1種類の草だけを使うことを指します。
入賞を狙うなら、必ず複数の研究を組み合わせましょう。
理由は主に下記の2点です。
1種類だけの研究では、たいてい誰かの自由研究とかぶってしまう
入賞を目指すには、「そのお子さん」だけが実施した、「そのお子さん」だけの研究結果である必要があります。
1種類だけの研究では、必ずと言っていいほど、誰かが以前に実施しています。
それでは「そのお子さん」だけの結果ではありません。また、単純に研究結果の冊子も薄くなるので、審査員となる先生方の心象もよくありません。
研究とは、試行錯誤の繰り返し!頭をフル回転させてアイデアを出そう
自由研究において重要なのは、手を動かして研究(実験)し、その結果の考察から新たな実験を行うなど、試行錯誤を繰り返していくことです。
入賞した我が子の例では、「光合成の観察」をしました。
植物が光合成をすればでんぷんが生成され、ヨウ素液で染まります。
例えば日向に植物を置いておき、葉の一部分だけアルミホイルでくるめば、アルミホイルでくるんだ部分だけヨウ素液で染まらなくなります。
テーマとしては非常にありきたりのものです。
しかし、実験をするうちに、「葉の種類によって脱色ができない」植物があることがわかりました。
ヨウ素液で染める前にエタノールで脱色をしなければならないのですが、葉によっては全然色が抜けなかったのです。
そこで、いろいろな葉を試しました。緑の葉や茶色っぽい葉。厚い葉や薄い葉。
日向に生える植物と日陰に生える植物。
さらにエタノールでの脱色条件を変えてみたり、ヨウ素液で染める時間や液量を変更したり、対照実験として日陰に置いておく場所も工夫したりしました。まさに試行錯誤です。
結果として、どの葉を用いて、エタノール脱色時間は何分が良くて、ヨウ素液で染まりやすい条件を見つけ出し、さらに「何故そうなったのか」を考察してまとめたのです。
市の理科自由研究展にて、見事に入賞しました。
「そんなの実験する前に思いつかない」という親御さんもいるかもしれません。
しかし、テーマを決めて研究(実験)をするうちに「じゃあここをこう変えたらどうなるだろう?」という疑問は自然と湧くものです。
たとえば虫に関する研究であれば、天気や場所、時間を変えたらどうなるだろう。
割れないシャボン玉を作りたいのであれば、シャボン玉をもう少し大きくすることはできるかな、濃度を変えたらどうだろう、色を変えることはできないかな?と、色々とアイデアが出てきたりしますので、ぜひお子さんと一緒に考えてみましょう。
自由研究では親は口出ししすぎないように!アドバイス程度に留めておくといい理由
お子さんと一緒に考えてみましょうとオススメはしましたが、親御さんが自由研究のレポートに口を出しすぎるのは、実はよくありません。
審査員は、親の意見に必ず気づくからです。
入賞した我が子の例を紹介しましたが、逆に入賞しなかったときの例もご紹介します。
そのときは、身近なものを溶かしたり燃やしたりしてどうなるかを観察したのですが、筆者が口を出しすぎて、「無水和物」「炭素」などの単語を書かざるを得ない考察になってしまいました。
試行錯誤を繰り返し、学校では選ばれたのですが入賞にはいたりませんでした。
理由は恐らくこの、考察内容の専門性の高さだと考えています。
理科の自由研究は、小学生のお子さんだけで立案・実施するのは難しいです。
親御さんのアドバイスは、もちろん必要です。そこは審査員もわかっているでしょう。
しかし親が口を出しすぎて、小学生が自分では考えつかないような結果や考察になってしまってはいけません。
あくまでも親御さんは「アドバイス」に留め、意見を述べすぎないようにしましょう。
まとめ
理科の自由研究は、お子さんの好奇心を育て、論理的思考を培うのに効果的です。
入賞を目指すのであれば、複数の研究(実験)を重ね、お子さん主体でしっかりと考察を書きましょう。
親御さんとお子さんとで一緒に考察をすれば、ステキな夏の思い出にもなるはずです。