国語の読解問題に苦手意識を持つ小学生は多く、どうやって勉強すれば良いかわからないと悩んでしまう子ども・親御さんも見られます。
確かに、読解問題は細かい知識を覚えていくような勉強とは異なるため、具体的な勉強法がわかりにくいかもしれませんが、文章を読む際のコツは多いです。
この記事では、塾講師の経験から、小学生の国語の読解問題を得意にするコツについて、読み方のポイントもふまえてご紹介していきます。
読解力を高めることは国語以外の科目にも役に立ちますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
読解問題が苦手な子どもに共通していることは?
国語の読解問題を苦手とする子どもは多いです。
また、読解問題は何かを暗記したり覚えたりする勉強とは異なり、具体的にどう勉強すれば良いかわからないと考える子どもも多いでしょう。
一方で、読解問題が苦手な子どもはある程度共通点もあります。
まずはその共通点を知り、どこを改善していけば良いか、ポイントを整理していきましょう。
本文に書いていないことを想像してしまう
読解問題には説明文・論説文、小説文・物語文、さらには随筆文などがありますが、いずれも「本文に書いてあることは何か?」を意識しなくてはなりません。
ここで本文に書いていないことを勝手に想像し、自分の憶測で内容を誤解してしまうと、読解問題を正確に解くことはできないのです。
読解問題を苦手とする子どもは、この「本文に書いてあることは何か?」をあまり意識していない場合が非常に多いです。
例えば説明文であれば、筆者の問題提起や主張を正確に読み取り、「筆者が言いたいことは何か?」を理解する必要がありますが、ここで「自分はこう思う」「自分は筆者の主張に賛同しない」などと主観を入れてしまうと、本文を正しく理解できない原因になります。
説明文の論理展開を追うときは、とにかく「筆者が言いたいことは何か?」を意識して内容を理解することが大事で、そこに自分の主観や気持ちを入れてはいけないのです。
また、小説文はいろいろな登場人物の心情を読み取る必要がありますが、明らかに本文とは異なる心情を勝手に想像し、「自分はこう思う」と主観を入れて読んでしまうと、正しく読解することはできません。
このように、どんな読解問題でも「本文に書いてあることは何か?」を意識し、「自分の主観を入れない」という気持ちで読むことが大切なのです。
指示語をあまり意識していない
読解問題に限らず、文章というのは「これ」「この」「それ」「その」などの指示語が多く登場します。
文章を正しく読解するうえでは、こうした指示語が何を指しているかを整理しながら読まなくてはなりません。
特に説明文・論説文の場合、論理展開を追ううえで指示語は非常に重要であり、指示語の内容を一つひとつ整理しながら丁寧に読む必要があります。
しかし、読解問題が苦手な子どもはこれらの指示語をあまり意識していないことが多いです。
「これ」「それ」などの指示語の内容を理解せずに読むと、当然ながら文章の内容もだんだんわからなくなってしまいます。
そのくらい指示語は文章において重要な役割を持っているので、流し読みをせず、指示語の内容を意識しながら丁寧に読むことが大切です。
接続詞の意味をうまく理解できていない
接続詞を理解することも、文章を正しく読解するうえで非常に重要です。
接続詞は文章と文章をつなぐ役割を持ち、「だから」「つまり」「そこで」「したがって」「しかし」「でも」といった様々な言葉があります。
これらの指示語の意味をうまく理解できていないと、やはり文章を正確に読みこなすのは難しくなります。
「しかし」「でも」を例に挙げてみましょう。
これらは逆接の意味を持ち、前文から予想される内容ではない文章をつなげる際に使います。
例えば、
「一生懸命走った。しかしバスに間に合わなかった」
などがあります。
前文の「一生懸命走った」という文章から通常予想される内容は、「(一生懸命走ったから)バスに間に合った」となるでしょう。
しかしそうならなかった話として、「一生懸命走った。しかしバスに間に合わなかった」のように「しかし」という接続詞を使います。
一方、「だから」「したがって」などの接続詞は順接の意味を持ち、前文に続く内容を示したり、前文の事柄が理由となって後の事柄が発生するときに使います。
例えば、
「一生懸命走った。だからバスに間に合った」
などがあり、この例で言えば「一生懸命走った」という前文の内容が「バスに間に合った」という事柄の理由・原因となっています。
さらに、接続詞は順接や逆接以外にも、並列・累加、対比・選択、説明・補足、転換の意味を持つ言葉もあります。
こうした接続詞の意味を正確に理解していないと、文章がどういう流れでつながるのか、その論理展開や前後関係がわからなくなってしまうのです。
特に読解問題が苦手な子どもは接続詞に不慣れなことが多いため、まずは簡単な文章で良いので接続詞の意味を理解し、慣れを作ることが大切になります。
すぐに実践できる読解問題を得意にする4つのコツ
ここまでの話を大前提として、以下、国語の読解問題を得意にするコツについて整理していきます。
1.主観を入れず読む練習を行う
繰り返しますが、国語の読解問題は「本文に書いてあることは何か?」を常に意識しながら読む必要があり、そこに「自分はこう思う」「自分は筆者の主張に賛同しない」といった主観を入れてはなりません。
まずは、この主観を入れずに読む練習を繰り返しましょう。
最初は短めの読解問題でかまいません。
とにかく本文に書かれていることは何なのか、説明文であれば筆者の主張は何か、小説文であれば心情・場面がどう変わっていくのかなど、主観を入れず読むトレーニングを重ねましょう。
説明文・論説文は論理展開をきちんと追う
説明文・論説文の場合、筆者の問題提起は何か、それに関して筆者はどう主張しているかなど、本文の論理展開を一つひとつ追っていく必要があります。
そこで「自分はその主張には賛同できない」「その意見はおかしいと思う」などの主観を入れず、とにかく筆者が伝えたいことは何か?という点を意識しましょう。
また、文章の論理展開を追ううえで、指示語と接続詞にも注意してください。
特に筆者の問題提起や主張などを示す文に「その」「この」といった指示語がある場合、当然ながら指示語の内容を理解していないと筆者の言いたいことを正確に把握できないおそれがあります。
そうならないよう、それぞれの指示語が何を示すのか整理しながら読む癖をつけることが大事です。
また、説明文・論説文などでは「しかし」「つまり」「例えば」といった接続詞も特に意識して読みましょう。
逆接の「しかし」は話の流れをおさえるうえで重要になりますし、「例えば」の後には重要な例が示され、「つまり」の後は何か重要な内容がまとめられていることが多いです。
このような接続詞にも注意し、筆者の主張を丁寧に追っていきましょう。
小説文・物語文は心情・場面の変化を追っていく
小説文・物語文の場合、説明文・論説文のような論理展開とは異なり、物語の場面や登場人物の心情の変化を追っていく必要があります。
登場人物がどのような気持ち・心情なのか、物語の場面がどう変化していくのか、場面や心情の変化のきっかけになった出来事は何かなど、本文の描写から把握していくことが大事です。
もちろん、ここでも「本文に書いてあることは何か?」を常に意識しなければならず、明らかに本文から読み取れない心情まで勝手に自分で想像してはいけません。
特に小説文・物語文は感情移入しやすい分、自分の主観も入りやすくなります。
自分の主観や想像だけで「この登場人物はこういう気持ちのはずだ」「この後、場面はこう変わるはずだ」などと判断してはならず、あくまで「本文に書いてあることは何か?」を常に考えなくてはなりません。
特に登場人物の心情について問う設問であれば尚更、自分の主観ではなく本文にある描写から心情を読み取り、きちんと根拠のある解答を導き出す必要があります。
また、小説文・物語文を読んでいると「この登場人物のこういう言動に賛同できない」などと感じるかもしれませんが、そのような主観と読解も分けなくてはなりません。
このように、小説文・物語文は何かと主観や想像が介入しやすいですが、きちんと本文に根拠を求めるようにしてください。
2.設問を解くときに意識しておくといいこと
国語の設問は、本文にある傍線部について、「傍線部とはどういうことか?」と問われる問題が多いです。
記号の選択肢問題で問われる場合のほか、記述問題で説明しなければならない場合もあります。
いずれにせよ、「傍線部とはどういうことか?」と問われる問題でも、常に「本文に書いてあることは何か?」を意識しなくてはなりません。
ここでも自分の主観を入れるのではなく、きちんと本文に根拠を求める必要があるのです。
例えば、記号の選択肢問題で「傍線部とはどういうことか?」と問われたら、本文に書いていない内容の選択肢を選んではいけません。
もちろん、どの選択肢の文章も本文と一言一句全て同じ言葉ではないので、この場合は傍線部の内容を正しく言い換えている選択肢を選ぶ必要があります。
この「言い換え表現」は、本文の表現と多少異なりますが、明確に本文に書かれている内容なのです。
また、記述問題で「傍線部とはどういうことか?説明しなさい」などと聞かれたら、こちらも本文と異なる主旨の内容を記述してはいけません。
「あなたの考えを述べなさい」などの指定がない限り、「傍線部とはどういうことか?説明しなさい」と聞かれたら、傍線部に書かれている筆者の主張通りの内容を自分の言葉で説明する必要があります。
この場合、傍線部の内容を簡単に言い換えている箇所が本文中にあることも多いので、そちらも参考にしつつ自分の言葉で説明しましょう。
このような「言い換え表現」を意識することも、読解問題の大きなカギとなります。
3.指示語の内容を正確に
先ほども触れましたが、説明文・論説文も小説文・物語文も、あらゆる読解問題で指示語は非常に重要な役割を持ちます。
「その」「この」などの指示語が意味するものを正確に理解しないと文章を正しく読解することは難しく、これはどの読解問題でも共通しています。
指示語が登場したら特に注意する習慣を日頃から身につけ、指示語を流し読みしないように注意してください。
また、指示語の内容を理解する際には、指示語を含めた文章全体をきちんと見ることが大切です。
いくら「その」「この」などの指示語の内容を理解したとしても、文章の中で「誰が何をした」「何がどうした」という主語・述語の部分がわかっていなければ、文章全体の内容理解は深まりません。
指示語も含め、なるべく文単位で内容を考える癖をつけ、何が言いたいのか細かく把握するトレーニングを重ねましょう。
4.接続詞のトレーニングを行おう
先ほども少し触れましたが、接続詞を大きく分類すると、「順接」「逆接」「並列・累加」「対比・選択」「説明・補足」「転換」があります。
「順接」「逆接」は先ほどご説明した通りですが、そのほかの「並列・累加」「対比・選択」「説明・補足」「転換」についても理解しなくてはなりません。
「並列・累加」は内容を追加する「さらに」「それから」などがあり、「対比・選択」は「または」などが代表例です。
また、「説明・補足」は「なぜなら」「つまり」などが、「転換」は「さて」「ところで」などがあります。
また、これらの接続詞の意味は、きちんと例文を確認しながら覚えていくことが大切です。
接続詞だけを見てもイメージしにくいため、例文を見て実際に接続詞がどう使われているのか確認し、理解を深めていきましょう。
また、代表的な接続詞の意味を正確におさえたら、ドリルなどの問題演習を通じて実力を鍛えていくことも大事です。
接続詞の問題演習には、2つの文章の間に空欄があり、その空欄に当てはまる接続詞を選択肢から選ぶなどの形式があります。
こうした空欄補充形式の問題を繰り返し解くことで、接続詞の内容理解も深まっていくはずです。
そこで培った実力を読解問題でも活かし、接続詞に注意しながら文章の流れを正確に追っていけるようにしましょう。
まとめ
今回は、小学生の国語の読解問題を得意にするコツについてお話ししていきました。
読解問題を正確に読みこなすには、とにかく「本文に書いてあることは何か?」を常に意識し、主観を入れずに読むことがポイントです。
説明文・論説文であれば筆者の問題提起や主張をきちんと把握し、一つひとつの論理展開を追っていかなくてはなりません。
そこで「自分はこう思う」などと主観を入れてしまえば、筆者の言いたいことを正確に把握しにくくなってしまいます。
また、小説文・物語文では心情・場面の変化を本文の描写から読み取る必要がありますが、そこで登場人物の心情を勝手に想像したり、本文に書いていない場面まで勝手に想像したりしてはいけません。
どのような読解問題も、きちんと本文に根拠を求めることが重要であり、主観を入れずに読むトレーニングを積み重ねることがカギになります。
また、指示語や接続詞に注意しながら読むことも、読解問題を得意にするうえで必要不可欠です。
文章を正しく理解するうえで指示語の内容を正確にすることは必須であり、さらに接続詞の意味を正確におさえることも本文の流れを追ううえで重要なことです。
こうした点も踏まえ、日頃から読解問題のトレーニングを重ね、内容を正しく読み取る習慣をつけていきましょう。