受験をするなら気にせざるを得ない「偏差値」。
人を数字で測ることはできないと分かっていても、一世一代の大勝負ではやはり目安が欲しいもの。
中学受験でも模試や塾のテストで出た偏差値に一喜一憂しているのではないでしょうか。
でもその偏差値について、意外と正確に分かっている人は多くないようです。
「偏差値50は平均点」「通っている塾のテストは偏差値が低いのに他塾の模試では偏差値が高いのが不思議」なんて思っていませんか?
実は偏差値は、なかなか面倒な計算で求められるもの。
相対評価、つまり受けた人数や平均点で変わるものなのです。だからこそ偏差値は目安でしかなく、試験によって変わってきます。
余計な不安や油断を招くことのないよう、偏差値について知っておきたいことをまとめました。
目次
偏差値とは自分の位置を知るもの
偏差値と平均点は違います。
平均点の求め方はよく知られていますが、偏差値の求め方を知っているのは少数です。
詳しい計算を知る必要はないと思いますが、簡単に言うと統計学の分野です。平均点・標準偏差から割り出していきます。
偏差値50は真ん中の順位
偏差値のイメージは、順位で考えたほうが分かりやすいかもしれません。
偏差値50はちょうど半分の順位。100人いたら50位、500人いたら250人ですね。
偏差値60は上位16%
偏差値50は普通、60以上は優秀というのが一般的なイメージでしょうか。
偏差値60以上というのは、順位で言うとだいたい上位16%に入るレベルです。
1000人いたら160位、500人なら80位ですね。ちなみに偏差値70だと上位2%、超優秀ですね。
中学受験の偏差値は特殊
ゆとり教育の実施や少子化の影響で、中学受験率は増加し続けています。
大手進学塾の統計では、2000年には13%だった中学受験率が現在では20%を超えているということです。
自身は中学受験をしたことがないが子供は中学受験をする、という親御さんも少なくないでしょう。
その時に意識してほしいのが、大学受験と中学受験では偏差値が違うということです。
中学受験をするのは一部の小学生
中学受験の偏差値50は、全国の小学生の真ん中の順位ではありません。
全国の小学生のうち、中学受験を考える勉強熱心な20%の小学生の真ん中。大学受験をするときの偏差値50よりも条件が厳しいということです。
偏差値以上に子供は頑張っているということを忘れないで上げてください。
偏差値を「5」上げるとはどういうことか?
塾や家庭教師では「偏差値5アップを約束!」といった売り文句を見かけることがありますが、もう少し具体的な数字で考えてみましょう。
もちろん実際のテストでは点数や難易度にバラつきもありますので、目安と考えてください。
1000人で受けた模擬試験で偏差値が40だった場合、偏差値を5上げるには840位から690位まで登る必要があります。
60から65にするには160位から70位です。どちらがより難しいでしょうか。
やはり上位軍の中で順位を上げるほうが難しいでしょう。ミスは許されず、正答率の低い問題にも正解することが求められます。
つまり、「偏差値5」の価値は一定でないということです。
問題数や配点、受験人数によっては、「あと1問漢字で正解すれば偏差値が3上がる」ということもあります。
特に複数人が同じ点数を取った場合によく起こる現象です。偏差値なんてそんなものです。
試験によって異なる偏差値
偏差値のカラクリが分かると、試験によって結果が変わることも納得できるかと思います。
子供の実力や相性ももちろん関係はしますが、何よりも「受ける集団の実力が違う」ことが関わってくるのです。
極端な言い方かもしれませんが、成績の高い集団の模試では偏差値は低く出て、低い(裾野が広い)集団の模試では高く出ます。
四谷大塚や日能研の模試では首都圏模試センターよりも低い偏差値が出ると言われるのはこのためです。
模試によって偏差値はブレることが分かれば、単純に偏差値の上下で一喜一憂する必要はないと考えられるようになるのではないでしょうか。
偏差値は目安であり、絶対的なものではありません。気にしすぎないようにしましょう。
偏差値を広く長い目で見て分析しよう
偏差値は計算によって求められるものですが、イメージよりも曖昧で、本当に目安・参考程度に考えるものだということが分かります。
1上がった、2下がったと細かい数字で見でもあまり意味はありません。
大切なのはもう少し広く長い目で見ることです。
「目標は偏差値60」「50は切らないようにしよう」そんな風に、ひとつの区切りと考える程度が良いでしょう。
科目ごとの偏差値の差も見ておきます。算数は50、国語は60という場合は算数の勉強が必要だと分かります。
点数は取れなくても偏差値が悪くなければそれでよいのです。
受験では満点を目指すのではなく、受験者の中で上位に入れば良いのですから。
気にしすぎず、かといって関係ないと切り捨てることもなく、偏差値はちょうどよい距離で活用できると良いですね。