中学受験の入試傾向!学校が求める生徒像・人物像とは?

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最近の入試傾向とは

近年の中学受験の入試問題は、以前にも増して多様化する傾向が見られます。

単なる知識の暗記では対応できない問題が多く、個性の強い問題も少なくありません。

このような入試問題の傾向は、最近導入された新学習指導要領の影響も一部見られます。

この記事では、最近の中学受験の入試傾向や、学校側が求める生徒像・人物像などについて、様々な観点からポイントをご紹介していきます。

入試傾向の多様化

中学入試の問題は、その時代によって一部違いが見られます。

長年、そこまで大きな変化は見られないのですが、その時々の世間情勢なども無関係ではなく、入試傾向は少しずつ新しくなっていきます。

また、学校が受験生に求める生徒像・人物像も多岐に渡り、学校の教育方針が入試問題に大きく影響するケースも多いです。

特に多様な生き方・働き方が見られる昨今、中学校・高校の在り方も様々で、その価値観は多様化しています。

こうした教育方針が各学校の入試問題にも反映されており、今後の中学入試はさらに多様化する可能性もあります。

そのため、その時々でどのような傾向の問題が出題されるのか、その特徴をおさえておくことも非常に重要なのです。

もちろん、まずは各科目の基本をおさえ、あらゆる傾向の問題に対応できるような基礎力・応用力を磨くことが必要不可欠です。

ただ、そこにプラスして、それぞれの時期に見られる傾向の分析も進めておいて損はありません。

中学入試傾向!それぞれの科目に共通していること

科目ごとの傾向についてお話する前に、まずはいろいろな科目に共通して言えるポイントからお話ししていきます。

新学習指導要領の影響

近年の中学入試の傾向は、新しく導入された新学習指導要領の影響も少なくありません。

中学校では2021年度から、高校では2022年度から新学習指導要領が導入されていますが、この新要領では思考力や判断力がこれまで以上に重視されています。

もちろん知識が重要であることは変わりませんが、さらに思考力や判断力、表現力などを磨くことで、問題解決能力を高めていくことにも焦点が置かれています。

この特徴が中学入試にも反映され、いずれの科目も論理的な思考力を重視する問題が増えているのです。

例えば算数では、ワンパターンの解法で解ける問題だけでなく、より思考を深めてコツコツ作業を進め、解答を導いていくような問題も増えています

また、国語はよりハイレベルな読解力が求められるほか、思考力が要求される設問も目立ちます。

社会や理科も、各大問のリード文が長く読解力が求められること、より高度な情報処理能力が求められることなど、暗記一辺倒ではなく、より高度な思考力が重視されています。

もちろん中学受験ですので、これまでも思考力を重視する問題はたくさんありましたが、近年の新学習指導要領の影響もあり、これまで以上に思考力を試す傾向が見られます。

思考力は物事を順序立てて考える力

思考力というのは、物事を順序立てて考える力でもあります。

普段から「なぜそうなるのか?」と思考する習慣を身につけておくと、物事を一つ一つ順序立てて整理するスキルが上がります。

そして、この「物事を順序立てて考える」というのは、上記で挙げた作業力や読解力、情報処理能力とも深く関係するのです。

これらのスキルは中学受験のみならず、高校受験や大学受験でも活用できます。

中学受験で中高一貫校に入る場合、高校受験を経ることはありませんが、大学受験の勉強を開始するとき、中学受験時に培った思考力は必ず活かされます。

もちろん作業力や読解力、情報処理能力も、大学受験勉強のあらゆる場面で活用できるでしょう。

さらに、こうした思考力は社会人になってからも当然活用でき、受験の枠を超えて非常に重要なスキルとなるのです。

この思考力が昨今の中学受験で特に注目されており、物事を順序立てて整理し、問題解決に導くという、社会人的な思考過程を重視していることがわかります。

思考力を重視するのは難関校だけではない!

入試問題で思考力を重視するのは、何も難関校だけではありません。

中堅校などでも思考力を試すような問題は多く見られます。

こうした問題は単なる知識の暗記で対応できるものではなく、日頃の勉強から思考力を磨くトレーニングを行い、それ相応の対策をしなくてはなりません。

もちろん難関校であればあるほど難問も増えますし、要求される思考力もハイレベルなものになるでしょう。

しかし、難関校以外の入試問題も、きちんと対策しないと対応が難しい出題構成となっています。

それだけ近年の入試問題は思考力や判断力などを重視しており、ワンパターンの勉強で対応するのは困難です。

中学受験の志望校選び

中学入試傾向!入試科目ごとの傾向とポイント

次に、科目ごとの傾向やポイントについてです。

算数

算数というと、それぞれの解法パターンや公式を覚えてトレーニングを重ねるというイメージがあるでしょう。

もちろんそれらも算数の重要なポイントですが、近年は思考力を重視する傾向の中、一筋縄ではいかない問題も多く見られます。

例えば、文章題の文章が長かったり、計算処理・作業が複雑化したり、など、思考を深めながら解き進めるような設問が目立ちます。

こうした問題は、ただワンパターンの解法に当てはめて素早く解く問題とは異なり、一つひとつ根気良く解かなくてはなりません。

また、図形や場合の数など、頻出分野の傾向も多様化しており、作図が必要な問題、補助線を多く使う問題、場合分けが複雑な問題など、手間のかかる設問も目立ちます。

思考を深めながら正確に作業を進めなくてはならず、根気良く続けるメンタルも重要になるでしょう。

国語

国語の読解問題は、よりハイレベルな読解力が求められる傾向にあります。

文章量の多い読解問題はもちろん、そこまで文章が長くなくても内容把握が難しい読解問題も見られます。

例えば、文章内に難しい専門用語が登場することがありますが、小学生では用語の意味そのものがわからない場合も多いでしょう。

しかしそこで諦めるのではなく、その用語の意味を文章の前後関係から推測したり、言い換え表現を探したりしながら、一つひとつ内容を把握していく力が重要になります。

また、そもそも本筋と関係のない専門用語が登場することもあり、その場合は用語に惑わされず、落ち着いて本筋を把握していく冷静さが求められるでしょう。

このように、求められる読解力も多様化しており、その都度思考しながら読んでいく習慣が大切になります。

さらに、1つの大問の中に2つの文章がある読解問題も増えており、こうした特殊な形式にはしっかり慣れておかなければなりません。

そのほか、複雑な選択肢問題(複数選択させる問題、選択肢の文章が長い問題など)、論述に近い記述問題など、高度な思考力が必要な設問も増えており、注意が必要です。

社会・理科

社会と理科も思考力を試すような問題構成・設問は多く見られます。

リード文が長い場合は特に読解力が必要ですし、資料などの情報が多ければ多いほど情報処理能力も必要になってくるでしょう。

そして、これらの力は思考力と深く関係し、物事を順序立てて考える思考力が大切になります。

もちろん、もともと社会も理科も暗記だけで対応できる科目ではなく、その背景や流れなども理解し、日頃から思考力を深めることが重要でしたが、近年は特に深い思考力を試すような問題が目立ちます。

特に社会と理科は、「なぜそうなるのか?」という思考を常日頃から行い、習慣にすることが非常に重要です。

例えば社会の歴史では、人物名や出来事の名称をただ暗記するだけでなく、「なぜそういう流れになったのか?」という時代背景を知り、そこから自分で思考を深めていくことが大切になります。

また、理科は実験・観察問題などをはじめ、「なぜそうなるのか?」を重視する分野が多い科目です。

物事の過程をしっかり理解し、日頃から思考する習慣をつけることで、各分野・単元の理解が深まります。

このように、もともと社会も理科も思考力が求められる科目ですが、近年の傾向も踏まえ、今後はさらに思考力を意識した勉強がカギとなるでしょう。

入試問題からみる!学校が求める生徒像・人物像とは?

最後に、学校側が求める生徒像・人物像についてです。

中学受験の入試問題では、その学校が求める生徒像がいろいろな設問に反映されることがあります。

当然ながら、中学校によって求める生徒像は異なり、それゆえに入試問題の傾向も学校によって多岐に渡る形になるわけです。

学校の傾向などを把握する際には、こうした生徒像・人物像についてもチェックしておくと良いでしょう。

多様化する生徒像・人物像

近年、多様な生き方・働き方が見られる中、中学校や高校、大学の在り方も多様化しています。

偏差値の高い大学が絶対に良いという価値観も変わりつつあり、難関大学を目指すだけが全てではありません。

中高一貫校も、大学受験だけに力を入れているわけではなく、個性的なカラーを強調する学校も増えています。

学力だけでなく、人間力や品性などを重視する学校も増えており、学校側が求める生徒像・人物像もとにかく多様化しているのです。

一概に言える話ではありませんが、こうした傾向は難関校以外で特に見られます。

難関校はやはり大学受験に注力する傾向も根強く、求める生徒像・人物像もそこまで大きく変わっているとは言えません。

一方、難関校以外の中学校・高校は必ずしも大学受験を重視しているわけではなく、より多様化する価値観に合わせ、独自のカラーを出す学校も増えています。

こうした学校は、学校側が求める生徒像・人物像を入試問題に色濃く反映させ、それゆえに特徴的な出題傾向になる場合もあります。

そのため、特に入試傾向に沿った対策が重要となり、求める生徒像・人物像も踏まえ、傾向分析を進めることが重要になるでしょう。

もちろん、難関校でも特徴的な入試傾向の学校は多いので、こちらも生徒像・人物像を含めて分析をすることが好ましいです。

学校側は知識だけを求めているの?

勉強というと、どうしても知識のイメージがあるかと思います。

受験勉強なら尚更、たくさんの知識を覚えなくてはならず、勉強=知識のイメージも根強いでしょう。

しかし、学校側は本当に受験生に知識だけを求めているのか?という点は一度考えておく必要があります。

もちろん、学校側が難しい入試の突破を要求している以上、一定の知識は求めているはずです。

各科目の基本知識をもとに、中学校・高校のカリキュラムを進めていくため、幅広い基本知識が必要となるのはもちろんでしょう。

ただし、知識一辺倒では、それこそ多様化する社会で役立つ思考力が身につきません。

知識に加え、そこから自分で思考する力が、最終的に問題解決能力につながり、その力が社会人になったときに様々な場面で生かされるのです。

表現力、読解力、作業力、情報処理能力なども思考力につながるもので、こうした実戦的な力がどの程度あるのか、学校側は入試で判断するわけです。

難易度はもちろん学校によって異なりますが、知識一辺倒でどうにかなる学校はなく、どの学校も一定の思考力を試しているはずです。

このように、学校が求める生徒像・人物像の観点からも、思考力などが重要になることがわかります。

御三家中学に合格するために

まとめ

今回は、最近の中学受験入試の試験傾向についてご紹介しました。

近年の中学受験は、新しく導入された新学習指導要領の影響もあり、これまで以上に思考力を要求する傾向が見られます。

思考力は社会人になっても非常に重要なスキルであり、中学校・高校でも重視されており、その傾向が入試問題にも反映されていると言えます。

もちろん中学受験である以上、幅広い分野の基本知識を正確におさえることは必要不可欠ですが、その知識に加え、以前にも増して思考力を試すような問題が多く見られます。

また、近年、多様な生き方・働き方が提唱される中、中学校、高校、大学の在り方も大きく変わっています。

必ずしも難関大学の合格が全てではなく、学力以外の側面を重要視する中学校・高校も増えています。

また、学校側は受験生に知識だけを求めているのではなく、多様化する社会で活用できる思考力を要求する傾向はやはり強いです。

このように、学校側が求める生徒像・人物像も多様化しており、これらがそのまま入試傾向に反映されることも少なくありません。

こうした点も踏まえ、入試傾向を様々な観点から分析し、対策を進めることが大切になります。