学校成績の指標の「内申点」。
この内申点は中学受験においてはどの程度必要なのでしょうか?
そもそも中学受験は首都圏や一部の地方で活発となっています。
中学受験講師の経験から、中学受験における内申点の必要性を解説します。
目次
内申点とは?
まず、内申点そのものについて確認しておきましょう。
内申点とは、通知表に記載される全教科の評定(1~5)を合計した数値です。
いわゆる学校での成績が分かる資料ですね。
その他、出席日数、特別活動の記録などを内申点とともにまとめたものを内申書(または調査書)といいます。
中学受験の場合は「調査書」とよばれるのが一般的です。
私立中学受験における内申点の必要性
さて、ここからが本題です。
高校受験では上記の内申書は必須となっていますが、中学受験においてはどうなのでしょうか。
私立中学受験では特に内申点の必要はなし
中学受験とは、「私立中学受験」を指す場合が一般的ですので、そのまま言葉の定義を使うと、中学受験には内申点は必要ありません。
ほぼすべての学校が学校成績の提出を出願条件に入れていません。
私立中学で内申点が求められない理由は?
これは中学受験の合格に求められる学力と、小学校の学習で身につけるべき学力の違いが関係していると考えます。
そもそも、中学受験に求められる学力は高度なものばかりです。
中学受験では、たとえば理科や社会は中学校で学習するような内容まで必要です。
また、算数は方程式のxやyは出てこなくとも、つるかめ算や食塩水、旅人算などの、いわゆる特殊算とよばれる問題も出題されます。
それを方程式を使わず、特殊な解法で解き進めていくのですね。
このように小学校の学習内容について定めている「学習指導要領」から飛び出しています。
一方小学校の学習内容は「学習指導要領」に定められている通り、文部科学省の検定済教科書を使い、忠実な学習を進めていくのが一般的です。
学校の授業と中学受験で求められるものは違う
こうして比較すると、中学受験に求められるものと小学校の学習に求められるものが大きく違うということがお分かりいただけるかと思います。
中学受験では、小学校の学習が完璧でも、「中学受験をする各学校が求めている学力」があることを証明できなければならないのです。
よって、私立中学受験では内申点は特に必要なく「当日の試験の結果で合否が決定する」のです。
シビアな勝負ですが、同時にフェアーな勝負なのですね。
提出を求められても出席日数ぐらいまでが多い
ただし、学校成績の提出がなくても、いわゆる調査書の提出が必要な学校もあります。
調査書のなかでも「出席日数」を求める学校が多いです。
その学校が求める学力を満たしているかは当日の試験の結果によって判断できますが、「出席日数」は根拠となる資料がないとわかりません。
そのため学校側は出席日数を資料として「もし入学してくれたら、6年間無事に通ってくれるのか」ということを判断しています。
公立中高一貫校の受検における内申点の必要性
中学受験は一般的に「私立中学受験」を指す場合が多いというのは前述のとおりですが、「公立中高一貫校受検」を含めることもありますので注意が必要です。
公立中高一貫校受検の場合は内申点が必要
私立中学受験は小学校で学習する内容よりもさらに高度な学力を求めているため、学校の成績よりも当日の試験結果で合否を判断したいのです。
しかし公立中高一貫校の受検はいわゆる適性検査とよばれ、ひとつは小学校での学習内容を理解したうえでの思考力・判断力・表現力が求められます。
同時に、小学校生活においての活動を前向きにおこなってきたかという記録も求められ、そういった要素を総合的に判断し合否を決定します。
公立中高一貫校では学校生活でも合否の判断をされる
さまざまな要素を総合的に判断する時間が必要なため、公立中高一貫校の合格発表は、私立中学受験の合格発表と比べて日数がかかるのです。
公立中高一貫校受検を目指すお子さんは積極的な態度で授業を受けることが、小さな要素として合格につながってきます。
そのことを考えると、公立中高一貫校の適性検査に合格しているお子さんは、学校の学習内容がバランスよくしっかりと理解できており、なおかつクラスなどでは積極的にクラス委員を務めるなどのリーダーシップを発揮するタイプが多いです。
ただし、リーダーシップを発揮するというのは向き不向きもあるでしょう。
そういった活発なお子さんばかりではなく、普段は物静かでも、とにかく積極的に前向きに学校生活を送っているお子さんも合格しやすい印象があります。
まとめ
中学受験における内申点の必要性は、私立中学か公立中学かよって大きく異なります。
中学受験と内申点という内容でお伝えしました。
けれども、私立だから不要、公立だから必要と割り切ってはいけないと思います。
なぜなら、「学校の勉強」も「受験勉強」も、どちらも子供にとって大切なものだからです。