中学受験で開成、麻布、武蔵の御三家を目指す意味はとは?

御三家の受験勉強中学受験における「御三家」とは都内の有名進学校で、名門中の名門の開成、麻布、武蔵の3校ことを指すのが普通です。

御三家はいずれも劣らぬ進学校ですが、もしお子さんがそれらを目指すのなら、御三家を目指す意味を少し掘り下げてみる必要があるかもしれません。

御三家と言われる中学校の偏差値

まず下記をご覧ください。

  • 開成・・・71
  • 麻布・・・68
  • 武蔵・・・64

これは四谷大塚の80偏差値でみた偏差値です。このようにそうそう簡単に入れる学校ではありません。

御三家の中でも偏差値トップの開成は東大合格者数140人超(2021年)で断然日本一です。

これで36年連続トップという驚愕の強さです。

麻布も86人で4位。こちらは70年以上に渡って連続のトップ10入りを果たしており、負けず劣らずの実績。

また一時低迷していた武蔵も2021年は28名を東大に送り込み地力のあるところを見せています。

もちろん東大の合格者数だけでランク付けをするのは乱暴ですが、この3校がいかに難関校かは解っていただけると思います。

開成・麻布・武蔵、各校の特徴

各校はそれぞれが独自の魅力を備えています。紙幅がないので詳細は割愛しますが、3校とも当て嵌まるキーワードは「自由」です。

  • 開成・・もっともバンカラ、自由だが生徒同士の繋がりが強い
  • 麻布・・外向的な自由さ、奔放さ
  • 武蔵・・内向的な自由さ、こだわりの強さ

と、こんなところでしょう。

授業は3校とも同様で、大学受験を意識したカリキュラムに固執していません。

かといって大学附属校のような授業でもありません。教師によって個性があり、楽しいけれど受験には役立たない授業をする教師も多いようです。

進度は中高一貫ですので早いのですが、6年間まったく塾なしでは大学受験は厳しいでしょう。

「せっかく御三家に入れたのに、大学受験ではまったく成果が出なかった」という事態にならないように気をつけなくてはいけないのも御三家の特徴です。

最近は「塾要らず」を標榜する学校も多いのですが、少なくともこの3校はそういう学校ではありません。

正直、学校任せでは大学受験は難しいです。

「御三家」という呼称について

ちなみにこの「御三家」という呼称ですが、中学受験で使い始めたのは誰なのかは正確には判っておりません。

マスメディアが使ったのが最初という説が有力ですが、ではこの3校を指定したのも同じメディアなのか、塾が営業戦略の一環として使い始めたという説もあります。

いずれにしても、これは中学受験に関係する人々の総意で決められたわけでも何でもないということも付け加えておきます。

御三家に入学するということは

御三家に限らずではありますが、中学受験をして中高一貫進学校を受験するということは、「必ず大学受験をする」ということです。案外これを忘れている方が多い。

模試の偏差値と偏差値表を見比べただけ、あるいは文化祭の見学だけで受験校を決めていませんか?

でも、受験校を決めるときに一番重要なのは「6年後は必ず大学受験をする」という事実を認識しておくことです。

しかも多くの場合は国立大学を受験するということを想定しておくべきです。

私大に行きたいのなら、その大学の附属校を受験すればいいのです。

たとえば「早慶に行かせたい!」のであれば、早慶の附属を受け、6年間を受験以外の学問、部活動、友達作りに充てた方が有意義な場合もあります。

御三家に合格するような優秀な生徒は、やはり国立の最難関の東大、京大、東工大、一橋を目指すことが多くなります。

高校2~3年になると最難関を目指す雰囲気になってきますので、その雰囲気に乗っていけるのかどうかが重要です。

「うちの子は運よく御三家に入れたけど、東大なんてとてもとても」と言う方が居ますが、もし本音で言っているのなら、「だったら、早慶附属に行けばよかったのに」と思ってしまいます。

つまり、御三家を受験するひとつの物差しとして「国立最難関を目指す気構えがあるか」というところを今一度確認しておくことをお薦めします。

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御三家たる所以

たとえ志望大学が私大だろうが国立だろうが、そんなことは関係なく、この3校を受ける人は少なくありません。

そう、これらの学校にはコアなファンがついているのです。つまり将来の大学受験などといった打算的な要素を超越して惹かれる魅力があるということです。

武蔵が東大合格者数で低迷した時期がありました。

実は今でも「武蔵の代わりに駒場東邦を御三家に入れるべきだ」なんていう声もあります。

それでも武蔵には武蔵ならではの魅力があって、多くの受験生が低迷期であっても支持をし続けました。

彼らにとっては「御三家」なんて括りはどうでもよく、また学校側もそのスタンスなのです。この潔さがコアなファンを産み続ける秘訣なのかもしれません。

コアなファンというのは、上記したように「ウチは麻布の自由さに大いに共感を抱いている」とか「偏差値は70を越えていたけど、武蔵の深く思考する授業をどうしても受けたいので武蔵にしました」とか、そういうことを考える人たちです。

こういう人たちを見ると「御三家は一日にしてならず」と痛感させられます。

卒業した大学よりも「開成OB」ということを誇りに社会に出て行く人も居るくらいですから。やはり長年に渡り醸成されてきた校風があってこその「御三家」という気がします。

御三家至上主義の危険

塾の誘導で御三家を目指すことには違和感を覚えます。

中学入学後も「伸びしろ」があるという確信が持てるなら別ですが、進学校にはなるべく余裕を持って入学させてあげるのが良いと考えます。

また必ずしも御三家でなくてはいけないのか?という点に疑問を感じるのも事実です。御三家至上主義が視野を狭めてはいないかという懸念もあるのです。

教育方針や授業内容は多様化しており、学校にもそれぞれ個性が出てきました。

むしろそうしないと私立学校は生き残れないですし、教育が多様化するのはこれからの日本の政治経済界の発展のためには大変意義のあることだと思います。

若い能力をより伸ばすには、それぞれの才能がもっとも適合する環境で学ぶことが必要ですから、選択肢はもっと広げてよいと思います。

御三家は素晴らしい歴史と伝統を持ち、今でも更に進化しているのですが、だからと言って御三家一点集中は下記のような危険や矛盾を孕んでいることも頭に入れておいてください。

1.校風に憧れるのは子どもではなく親である

子どもは文化祭や体育祭の非日常な学校の姿など、表層的な一面だけを見て、それを志望動機にしてしまうので、校風云々のレベルまで洞察ができないのです。

よって子どもが「校風が好き」と言うのは親の受け売りである可能性が高いのです。

2.その学校のよさを実感するのは卒業してから

よく親御さんやOBが、母校をお子さんに勧めることがあります。しかし人は過去を美化するクセがあるもので、実際在学当時はあまり楽しくなかったことも少なからずあったはずです。

美化された過去の印象だけで、お子さんに母校を推奨することは危険かもしれません。

3.情報は憶測でしかない

御三家についてはメディアにおいても情報量が格段に多いため、OBでもないのに当該校についてよく知っているつもりになりがちです。

親がたとえ御三家のOBであったとしても、他の2校についてはよく知るはずもないのです。あくまで情報は情報であって、正しい取捨選択が必要になります。

中学受験で御三家を目指す意味

偏差値40の学校に行っても「やるヤツはやる」し、御三家に行っても「やらないヤツはやらない」、結局は個人の問題だ。そんなことをよく耳にします。

確かにそうかもしれませんが、全面的に賛同しかねます。

御三家に入っても東大や医学部に行くのは圧倒的頭脳の持ち主か、強靭な意志の持ち主です。つまり御三家とはいえ、そこまでの超絶な能力はないお子さんの方が多いのです。

しかし、御三家に行く意味はそうした「超」のつく優秀層に触れることができることなのです。

つまり「普通のお子さん」に「確変」を起こさせる刺激が充満している環境が御三家にはあるのです。

こうして考えると「『偏差値表の上の方にあるから』というだけで選んではいけない」というのは詭弁だと考えます。

御三家に限ったことではないですが、偏差値表の上の方にある学校は概して上述したような良い環境を持ちます。

よく偏差値が高い方の学校を選んで失敗したという体験談を見聞きしますが、確率的には、やはり偏差値の高い学校の方が良い学校であることが多いのは否定できません。

私立のアピールポイントはなんと言っても進学実績ですから進学実績を上げるためには優秀な生徒を集める必要があります。

優秀な生徒が進学実績を上げれば、それに追随する優秀な生徒がまた集まって、そうして良好なサイクルが回り始めます。

長く良い伝統を持つ学校はこうして作られていくため、「名門校=優秀な学力を持つ学校」という式が成立するのではないでしょうか。

御三家には、いや、御三家に留まらず優秀な生徒が集まる学校には、お子さんを確変させる刺激が無数に漂っているのです。

それこそが、中学受験で御三家、ひいては偏差値の高い難関校を目指す意味なのです。