東大・京大と早慶、わが子を進ませるとしたらどちらか?
どちらが将来幸福になれる確率が高いのか?
日本の学府の最高峰の東大・京大と私学の雄・早慶、親からすればいずれも羨望の的ですが、結局就職はどちらが有利なのか?
企業の採用担当者の目線を交えて見ていきましょう。
目次
早慶と東大・京大のそれぞれの就職先は?
早慶の学生の就職先はバラエティに富んでいます。業界、職種、企業の規模も様々ですし、公務員や士業も多い。
一方、東大・京大は下記のような進路が目立ちます。
- 大学院
- 官僚
- 外資
- ベンチャー・起業
- 重厚長大産業の老舗
- メガバンクなど大手金融
官僚はイメージしやすいですね。毎年100人近くが中央省庁に進んでいます。
また、やはり多いのは大学院への進学です。
法学部で4分の1、文学部でも3~4分の1が進学しています。
理系はさすがに多くの学部卒生が院に進みます。理系も合わせると学部卒生の約半数が大学院に進むのです。
ベンチャーや起業は一度事業会社に就職してから、退職して後に進む進路と考えてもよいかもしれません。
早慶に対する企業の信頼は厚い
大多数の企業では、早慶の学生を書類選考で落とすことはあまりありません。
最近は学部までしっかり見るようになって来たため、下位学部は難しいという意見もありますが、書類の段階では残しておく企業の方が圧倒的に多いでしょう。
早慶ならば不条理な「書類不合格」の扱いを受けることは稀ですから圧倒的に有利です。
また実際に早慶の学生は企業にとっても大変有用な存在です。
能力(学力)が高い上に労を惜しまず、汚れ仕事も厭わない。企業としては使いやすいし、いずれは幹部を任せられるポテンシャルもある。
やや頭でっかちに感じられる(あくまでイメージだけです)東大・京大よりも採用しやすいと思う人事担当者が多いのもある意味納得です。
学閥も1つのメリット
それから、学閥というものもあります。
早稲田は東大の3倍以上、慶応も2倍の学を擁しますので、ビジネス界で活躍するOBの絶対数も東大・京大にくらべて非常に多いわけです。
学閥の功罪についてはここでは触れませんが、その恩恵に浴したいなら慶応で三田会に入会すればよいことですし、一匹狼を志向するならそうすればよいだけです。
ちなみに早稲田は慶応と違い、伝統的に群れないことをよしとする校風がありますが、最近では早慶のそうした違いも線引きがぼやけてきています。
東大・京大は「先輩、OBが多い企業なら」
東大卒・京大卒を雇いなれている企業と、滅多にお目にかかったことがない企業はハッキリと分かれそうです。
日本の経済成長の礎になり、100年に近い歴史を誇るような大企業では、これまで多くの東大・京大の卒業生がその歴史を作り上げてきました。
しかしそうした企業はほんのごくひと握りです。
誰もが知るような有名企業でも、東大・京大生が社内にゴロゴロ居るようなところは滅多にありません。
そうした企業では「今年から東大生を積極的に採用しよう」となるでしょうか?
やはり「東大慣れ、京大慣れ」していない企業にとっては東大・京大出身者はどう扱ってよいものか、躊躇してしまいます。
辞められてしまうリスク
「分相応」などと言いますが、東大生、京大生は上の就職先ランキングを見てお分かりの通り、やはり能力相応の厚遇企業を志向するようです。
外資系のコンサルティングなどは入社数年目で年収が1000万を超えるなんていうのも珍しくありません。
もちろんそれには厳しい職務が待っているのですが、それをこなせるだけの自信のある学生が門を叩き、それを受け入れられるだけの包容力と財力を持つ企業が受け入れるという構図が成り立っているようです。
つまり、東大・京大生がふつう志向しないような企業としては、もしそういう能力の高い学生が求職してきても「ミスマッチ」になることを心得ているのです。
「ミスマッチ」と解っていながら採用してしまうと「中途退職」という現実が待っています。
学生も入社して数年もすれば「ここは自分が居るべき場所ではない」と感じてしまうのではないでしょうか。
長く勤めて欲しいと考える企業は多い
「物足りなさ」なのか「居心地」なのか、それは判りませんが、日本の企業はまだまだ、新卒採用時に「この学生はずっと我が社に留まってくれるだろうか」という基準で選考をしているところが多いのが現実です。
東大・京大生のように実力一本で世の中を渡り歩いていこうというタイプは外資系が合うのも頷けます。
ちなみに、退職者の補充にどのくらいの募集採用費用がかかるかご存知ですか?
もちろんピンからキリまでありますが、文系のゼネラリストの採用で安ければ100万円前後、高スキルで専門性のある人材を求めれば200万円以上はザラです。
東大・京大の下位層が「とばっちり」を食う?
このように能力ひとつで切り拓いていける優秀な東大・京大生ですが、そうしたハイレベルな学生は実は上位層だけと言われます。
上位下位の基準は大学の成績だけでは測れないので、一概には言えませんが、学生の半数は東大というネームバリューにふさわしいだけの能力があるかが疑わしいと言います。
東進ハイスクール講師の林修先生も各メディアで言及し懸念を抱いているほどです。
つまり上位層は東大・京大も楽々合格できたわけで、ストイックなほど受験勉強を頑張って、ギリギリで合格したレベルでは早慶とあまり変わらないのではないかという見方もあるのです。
厳しい受験勉強を乗り越えただけでも、十分賞賛に値すると思うのですが。
ブランドイメージで逆に敬遠されてしまう
そこで心配するのは、こうした中~下位層と言われる東大・京大生が大学のブランドイメージのせいで、あまり東大の採用実績がない企業で敬遠されてしまうことです。
彼らは大学で「天才」というべき上位層にも接してきて、自分の能力も解っているはずなので、早慶の学生もたくさん入社するような、いわゆる「普通の有名企業」に応募することもあるはずですが、しかし「ウチでは手に余る」と言って慇懃にお断りされてしまう可能性が否定できないということです。
企業の人事担当は自分の会社に相応なレベルの学生を採用することをひとつの指針としています。
自社のレベルに合わない東大生を採用しても、近いうちに出て行かれてしまうというリスクを解っているのです。
年齢的に難しい文系院卒
中途採用はすっかり定着し、市場は活況を呈しています。
労働市場全体も徐々に欧米化しており、スキルを活かしてより待遇の良い業界や企業を渡り歩くというのはもはや珍しいことではなくなりました。
そのような中、中途で応募する学生の特徴も変わってきています。
この数年で多くなったのは海外からの留学生と、国公立大大学院出身者です。
とくに大学院出身者は元々どの大学を卒業したのかが分からないことが多く、(明記する必要がない就活サイトが多い)採用側からすると悩ましいところがあります。
もちろん難関の院試験を突破しているので優秀なことは間違いないのでしょうが、学問を究めたいという意欲が強かった人たちが一般企業への就職に切り替える(切り替えざるを得ない)時点で、企業側としては「意欲」という点で疑問符が付きます。
そういう方の職歴を見ると、やはり一般企業や事業会社での就業経験がなく、アルバイトや塾講師などの経歴が多いのです。
優秀なのは疑いの余地はない、しかし20代後半で就業経験がない。つまり実務で活かせるスキルがあまりない。そして就業意欲もあまり感じられない人を企業が採用するかといえば、やはり厳しいと言わざるを得ません。
ただし文系の院卒の方で語学が達者な方は非常に多いです。
当然日常会話からビジネス会話へブラッシュアップをかけないといけませんが、これを突破口にすることは可能ですので付け加えておきます。
親の選択
例えば現在、中学受験あるいは高校受験を控えている親御さんとして、早慶の附属を狙える学力がある場合に、早慶の附属を狙うか、東大京大を狙える最難関進学校(開成、麻布など)を狙うかで迷われると思います。
もし自分が親でこの立場だったとしたら、どちらを選ぶか?ちょっと想像してみると面白いかもしれません。
早慶は下からの持ち上がりが非常に多いです。例えば慶応であれば、大学生のおよそ5分の1が附属上がりなのです。
中学、高校から受験して慶応や早稲田の附属校に合格できるというのは、同学年の本当に上位数パーセントのトップ層ですから、御三家を受験する層と学力的にはほぼ差はありません。
進学校に行くか、早慶附属に行くかは、本当にご家庭の方針や好みの問題だけです。
学校の選択に正解はない
しかしどちらを取った方が将来わが子がより幸せを掴みやすいか、なんて分かるはずもないのですから、結局はその時に「よかれと思った方」を選ぶしかなく、正解などないのです。
企業もちゃんと解っています。
大学受験という厳しい課題を乗り越えてきた(たとえ志望校に行けなかったとしても)学生も、附属校で部活動に専心したり広い交友関係を築いてきた学生も、どちらも評価します。
そこで優劣をつける採用担当者はまずいないと考えてよいのではないでしょうか。
これが「就職試験は、『最後は個人の人間力』だ」と言われる所以です。
では、人間力とは?
そうですね、、、コヴィー博士のベストセラー『七つの習慣』の第一~三の習慣などがよい手本になるかもしれません。