中学受験で「サンデーショック」という現象を聞いたことがある親御さんは多いでしょう。
サンデーショックは入試日の2月1日が日曜日の場合、一部のキリスト教プロテスタント系の学校が入試日を変更し、その結果難関校同士の併願か可能になるなど、併願戦略に大きく影響を与える現象です。
一方で、サンデーショックの注意点や受験全体に与える影響など、疑問点も多いのではないでしょうか。
この記事では、中学受験におけるサンデーショックのメリットや注意点、気をつけておきたいことなど、具体的なポイントをお伝えしていきます。
目次
中学受験におけるサンデーショックとは?
サンデーショックというのは、中学受験の入試開始日となる2月1日が日曜日である場合、一部のキリスト教系の学校が入試日を翌日以降にずらすことをいいます。
日曜日はキリスト教が定める安息日や日曜礼拝の日であるため、入試日が日曜日と重なった場合、宗教上の理由で入試日を移動させる形になるわけです。
サンデーショックの影響とメリット
東京都と神奈川県の中学受験は、基本的に2月1日が入試初日となります。
そして、いわゆる御三家などの難関校は、この2月1日だけを入試日とする学校が多いです。
複数の受験日程を設けている学校と異なり、これらの難関校は2月1日の一発勝負で入試を行う形になり、当然ながらこれらの学校同士を併願で受験することはできません。
しかし、もしサンデーショックが起こり、2月1日のみを入試日とする難関校が2月2日以降に入試日をずらした場合、本来併願できない学校を併願で受験できるという現象が起こります。
例えばA校とB校という難関校があり、ともに2月1日のみを入試日としていた場合、サンデーショックでA校が入試日を2月2日に移動したとすると、1日にB校、2日にA校を受験するという、通常では絶対あり得ない併願が可能となるわけです。
このように、中学受験におけるサンデーショックは併願の可能性を広げるチャンスでもあります。
サンデーショックには注意も必要
一方、サンデーショックはメリットだけでなく注意点もあります。
というのも、難関校の併願が可能となる場合、それぞれ受験生が増えて倍率が高くなるケースもあるからです。
例えば2月1日のみを入試日とするA校とB校という難関校があり、サンデーショックでA校が入試日を2月2日に移動した場合、1日のB校、2日のA校それぞれに多くの受験生が集中する形になります。
通常であれば、A校を受験する受験生はB校を受験できず、逆にB校を受験する受験生はA校を受験できなかったわけですが、サンデーショックでどちらか一方の入試日がずれた場合、A校・B校どちらも受験できるため、必然的に受験生は増え、競争が激化して倍率にも影響が出るわけです。
このような注意点もあるため、サンデーショックが起こる年は慎重に併願戦略を検討しなくてはなりません。
次に、こうしたサンデーショックのメリットと注意点について、さらに詳しくご説明していきます。
サンデーショック・プチサンデーショックの受験年にあわてない!知っておきたい6つのこと
1. 次のサンデーショックはいつ?
次のサンデーショックは、2026年の2月1日となります。
当然ですが、いつサンデーショックが起こるのかはあらかじめ正確に把握しなくてはなりません。
サンデーショックは数年に一度しか起こらない非常にレアケースなものです。
肝心の日程を誤解していては入試計画が大きく狂うことになるため、時期は正確に知っておいてください。
サンデーショックだけではない!プチサンデーショックにも注意
一方で、サンデーショックには「プチサンデーショック」と呼ばれるものもあります。
これは2月1日ではなく、2月2日や3日が日曜日になる場合に、宗教上の理由で入試日程がずれることを言います。
2月1日しか入試日のない学校の場合は直接関係がありませんが、2日や3日に入試日程がある学校を受験する場合、あらかじめ日程に注意しておいてください。
特に2月2日が日曜日になるケースは、2025年に起こります。
2月1日のサンデーショックは2026年ですが、その前の2025年にプチサンデーショックが発生することに注意しておきましょう。
2.キリスト教系の学校全てが日程をずらすわけではない
大前提として、キリスト教系の学校全てがサンデーショックで日程をずらすとは言えません。
サンデーショックは主にプロテスタント系の学校で多く見られ、キリスト教系であれば必ず日程が変わるわけではないのです。
例えば東京の女子御三家で言えば、女子学院中学校・高等学校はプロテスタント、雙葉中学校・高等学校はカトリックの学校となります。
過去のサンデーショックでは、女子学院中学校の入試日程が1日から2日に移動したのに対し、雙葉中学校は1日に通常通り入試が行われました。
このように、キリスト教系の学校全てがサンデーショックの影響を受けるわけではなく、あくまで入試日程は学校によるという点に注意が必要です。
このあたりは、プロテスタント系の学校も含めて入試日程を事前によく確認し、サンデーショックの影響で日程が変わるのか否か、学校ごとに正確に把握しておきましょう。
3. 競争が激化する可能性は十分考慮しておきましょう
先ほど少し触れましたが、サンデーショックが起こる場合、最難関校を受験する機会が増えるため、学校ごとに受験生が増えて競争が激化するおそれがあります。
通常であれば2月1日しか入試日のない難関校同士を併願することはできませんが、サンデーショックで日程がずれれば併願が可能になり、必然的にそれぞれ受験生が増えることになるからです。
確かにサンデーショックは併願の可能性が広がるチャンスではありますが、その分だけ競争の激化や倍率が上がる可能性は十分注意しなくてはなりません。
過去のサンデーショックのとき、入試日を変更した学校の倍率がどうなったか、十分に傾向を調べておくことが大切です。
4. サンデーショックの影響を受けるのは最難関校だけではない!
サンデーショックは御三家のような最難関校を中心に見られる現象ですが、その影響を受けるのは最難関校だけではありません。
例えば、もともと2月2日を入試日程とする学校の場合、サンデーショックの影響で2日に最難関校へ受験生が流れれば、出願者数が減少してしまう傾向があるのです。
このことを踏まえ、通常より多めに合格者数を設定する学校もあれば、逆に合格者数を抑えてくる学校もあります。
このように、サンデーショックを踏まえて各学校は様々な調整を行い、こうした対応は当然ながら学校ごとに大きく異なるのです。
サンデーショックの年は、こうした最難関校以外の学校にも影響があるということは知っておきましょう。
こちらも過去のサンデーショックのデータなどを確認し、志望校・併願校の合格者数や倍率などがどうなったか、事前に調べておくと良いでしょう。
5. 男子校ではサンデーショックは関係ないと言えるのか?
上記で述べた通り、サンデーショックで入試日を移動するのは主にキリスト教のプロテスタント系の学校です。
そして、男子校にはプロテスタントの学校が少ないため、男子が受けるサンデーショックの影響は女子に比べると少ないでしょう。
ただし、男子も全く関係ないとは言えず、共学校の場合は特に注意が必要です。
共学校によっては男女を混ぜて合格者数を出す場合があり、サンデーショックで女子の受験に影響があれば、その動向が男子にも影響する可能性はあります。
繰り返しますが、サンデーショックの影響は最難関校だけではなく、その他の学校の出願者数・受験者数、そして合格者数にも影響を及ぼすことがあるのです。
その関係で、共学校の男子など、全く無関係とは言えないことは注意しなくてはなりません。
6. 併願戦略は慎重に決めておくこと
ここまでご説明した通り、サンデーショックが起こる年はとにかく併願戦略を慎重に決めなくてはなりません。
最難関校同士の併願が可能だからといって、安易に併願を決めれば良いわけではなく、最難関校以外の学校の併願も含めて慎重に判断する必要があります。
各校の出題傾向はしっかりつかむこと
サンデーショックに限らず、併願校を決めるときは各校の出題傾向をしっかり把握することが大前提です。
例えば、第一志望校と出題傾向が大きく異なる学校を併願するのはどうしてもリスクが高く、それぞれの傾向に沿った対策に手間がかかります。
それよりは、なるべく志望校と出題傾向の似た学校を併願校としたほうが、受験対策としては進めやすくなります。
もちろん、お子さんや各ご家庭の希望によっては、傾向が大きく異なる学校をやむを得ず併願する場合もあるでしょう。
ただ、その時は受験対策としてどうしても手間がかかりやすいので注意しなくてはなりません。
このような注意点はサンデーショックにおける併願にも言えることで、最難関校同士の併願はもちろん、影響を受ける他校との併願も含め、各校の出題傾向はしっかり把握したうえで併願を決めていきましょう。
このあたりの戦略が甘いと併願で失敗してしまう要因になりますので、十分注意が必要です。
併願校の校風や教育方針などは必ず確認しておきましょう
これもサンデーショックに限った話ではありませんが、併願校の校風や教育方針などは必ずチェックしておいてください。
校風・教育方針や学校の雰囲気といった現場の情報が重要なのは、何も第一志望校だけではありません。
併願校に進学する可能性もある以上、きちんと教育方針などは確認し、お子さんの性格などに合っているかどうか、事前に比較検討しなくてはならないのです。
この点は併願全般に言える注意点としてしっかり意識しておいてください。
倍率だけに惑わされないことも重要です
過去のサンデーショックの事例から、志望校の倍率の変化などを確認しておくことはもちろん大切ですが、その倍率だけに惑わされないようにすることも重要です。
そもそも中学受験というのは、最終的にお子さんが「この学校に行きたい」という思いを持って成り立つものです。
サンデーショックというイレギュラーな事態が発生しようと、お子さんが本当にその志望校に行きたいのであれば、できるだけ希望通り受験させてあげるべきでしょう。
もちろんお子さんの学力や向き不向きを踏まえて志望校を決めることは大前提なのですが、そうやって決めた志望校であれば尚更、過去のサンデーショックにおける倍率の変化だけに惑わされるのはもったいないです。
もちろん、ここまでお話しした通り、サンデーショックのメリットと注意点はきちんと意識していただきたいポイントですが、倍率などの数値ばかり意識しすぎてしまうのもまた問題なのです。
このあたりの調整は非常に難しいかと思いますが、親子できちんと情報を共有し、併願戦略は塾ともしっかり相談のうえ、多様な視点から受験戦略を練っていく必要があります。
2026年のサンデーショックに備えて併願戦略は慎重に検討しましょう
今回は、中学受験におけるサンデーショックのメリットや注意点などをお話ししていきました。
次回のサンデーショックは2026年となり、キリスト教プロテスタント系の学校で入試日が変更になると予想されます。
東京と神奈川の女子御三家など、最難関校同士で併願が可能となり、受験の選択肢が広がるというメリットはやはり大きいでしょう。
一方で、難関校同士の併願が可能になれば、それだけ各校で受験者数が増え、競争が激化して倍率が上がる可能性もあります。
また、サンデーショックの影響を受けるのはこうした最難関校だけではなく、受験者が難関校に流れる可能性のある他の学校も、サンデーショックを踏まえて合格者数などを調整してくるかもしれません。
このような点も踏まえ、サンデーショックのときは併願戦略を特に慎重に決めていくことが大事です。
過去の事例をチェックし、倍率などがどう変化したのか、詳しく確認しておきましょう。
もちろん、過去の倍率だけに惑わされず、現在のお子さんの学力や向き不向き、そして学校に対するモチベーションなども含め、あらゆる観点から出願・併願戦略を練っていくことが重要です。