中学受験は小学校の勉強とは内容が違うため、受験勉強のために塾に通うお子さんがほとんどですが、そこで気になるのは、塾に通う他のお子さんとの関係、いわゆる「塾友」です。
そもそも、「塾友」は必要なのでしょうか?また、「塾友」とはどのような付き合い方をするのが良いのでしょうか?
そこで今回は、2人の子供の中学受験を経験した筆者が、中学受験をする子供の「塾友」について、“気になること”をまとめてみました。
目次
中学受験の通塾!塾友は必要?!
中学受験のために塾に通い始めるお子さんは、そこで同じ目的をもった子供と一緒に勉強をすることになります。
毎週決まった時間に顔を合わせていると、友達関係、すなわち「塾友」の関係になる子供たちも少なくありません。
しかし、塾は学校とは違い、受験勉強ができれば良いところです。
そのようなところで、そもそも「塾友」は必要なの?と気になりますよね。
結論から書くと、
『必ずしも必要ではない』
です。
なぜなら、良い関係を築ければ、「塾友」の存在はありがたいのですが、現実には、注意したい「塾友」も存在するからです。
では、どのような「塾友」なら良い「塾友」と言えるのでしょうか?
良い「塾友」とは?
良い「塾友」とは、言葉通り“切磋琢磨できる”関係にある「塾友」です。
学力が同じくらいだったり、志望校が同じだったりすると、テストなどで「負けたくない」、「抜かれたくない」と対抗心が出て、受験勉強に奮起することができます。
我が家でも、まさに切磋琢磨できる良い「塾友」に恵まれました。
上の子が通った塾のクラスにいたお子さんは、皆、同程度の偏差値だったのですが、テストは互いに抜きつ抜かれつで、適度な対抗心とプライドを持ち続けることができました。
一方で、休み時間には息抜き程度の会話をしながらも、互いにあまり踏み込まない、ちょうどいい関係を保てていました。
このように良いライバル関係を築ける「塾友」は、とてもありがたい存在となります。
注意したい「塾友」とは?
良い「塾友」ばかりだと助かるのですが、現実には、注意したい「塾友」もいます。
注意したい「塾友」とは、仲良くなりすぎた「塾友」です。
子供はどうしても、楽しかったり、楽だったりする方を選びがちですが、仲が良すぎる「塾友」がいると、塾でもその傾向が出てしまうのです。
塾の行き帰りに遊んでしまう、やってこなかった宿題や課題を教え合う、答えを写すなど悪知恵を共有する、などなど。
女子では、お揃いの文房具を持ちたいと一緒に買い物に出かける、なんてこともあります。
また、塾の帰りが遅くなるからと、お子さんにキッズ携帯やスマートフォンを持たせているご家庭も多いと思いますが、お互いの連絡先を交換して、帰宅してから塾友と連絡を取り合って時間が過ぎてしまうことも実際にあるようです。
さらに、稀なケースですが、中には受験勉強のストレスからか、友達に嫌がらせをする、嫌なことを言う、無視をするなど、問題行動をするお子さんがいるという話も実際に聞いたことがあります。
要は、子供が集まる場所なので、学校でもあるような問題が、塾でも起こり得るということです。
このように、受験勉強に集中できない要因をもたらす「塾友」ならば、居ない方が良いですよね。
これが、「塾友」が必ずしも必要でない理由です。
塾友とのちょうどいい距離の取り方と困った時の対処法
良い関係にも、悪い関係にもなり得る「塾友」ですが、できるなら、お互い高め合える良い関係の「塾友」が居てほしいものです。
それには「塾友」と程よい距離で付き合うことが重要になってきます。
程よい距離とは、“遊んだり慣れ合ったりするほど親密にならず、しかしお互いを意識しあえる距離“です。
子供同士でこの距離を維持するのは、なかなか難しいことですが、方法がないわけではありません。
その方法を次からご紹介します。
塾友との距離を取る方法
「塾友」と程よい距離を保つためには、塾友と仲良くなりすぎないように子供を誘導するのが大切です。
我が家では、「塾友」は勉強を一緒にする“仲間・同士”であって一緒に遊ぶ友達ではないと、ことあるごとに伝え、まず意識付けを徹底しました。
そして、お互い受験勉強をしに塾に通っているのだから、人の勉強の邪魔になることは絶対しないように、とも言い続けました。
塾の行き帰りは別々に行動するようにしておきましょう
もちろん、まだ小学生ですから、意図を全て理解することはできなかったと思います。
しかし、遊ぶときは小学校の友達と遊び、塾友は勉強する仲間で勉強の邪魔はしてはいけない、ということは認識できたようです。
また、家が近くの塾友が居ても、できるだけ行き帰りは別に行動するようにしました。
これは、後で事例を挙げますが、授業前に先生に質問がしたい、授業後に自習をしてから帰りたい、など、お互いの勉強ペースを相手に合わせないようにするためです。
携帯電話等の連絡先は交換しないようにしておきましょう
あと、できれば携帯電話等の連絡先は、交換させないことをおススメします。
普段からメールやSNSで連絡が取れると、それだけ親密度高くなりますし、宿題やわからないところを塾友に聞けると、子供は塾友に聞いてしまいがちです。
ですが、塾の連絡事項やわからない問題などは、本来ならば塾の先生に聞いてきてほしいことですよね。
メールやSNSなどに時間を取られないためにも、また、塾の先生との会話や質問のチャンスを減らさないためにも、塾友と簡単に連絡が取れる手段は絶っておいた方が賢明です。
いずれも途中から変えるのは難しいので、塾に通い始めるときにルールとして伝えておくのがポイントです。
「塾友」との関係が子供だけで解決できないときの対処法
「塾友」との付き合い方に関して最初から家庭内でルールを決めていても、子供同士も付き合いがあり、なかなか思い通りにできないこともあります。
そういうときは、塾の先生から伝えてもらったり、保護者の立場から相手に伝えることも必要です。
我が家の子供たちは塾の授業終わりに自習室を利用していたのですが、下の子のときに、塾友の自習が終わるのを待っていたり、反対に塾友が子供の自習が終わるのを待って一緒に帰るということが何度もありました。
待つ時間が数分程度なら許容範囲ですが、何十分も違うと、夜の貴重な時間を無駄にすることになってしまいます。
そのため、塾の先生にも終わった順に帰るように言ってもらうように伝え、塾友の親御さんにもお会いしたときに「夜も遅くなるし、学年が上がったら勉強時間もいよいよシビアになるので、お互い終わった時点で別々に帰らせましょう」とお話し、先方の親御さんにも理解していただきました。
塾友の問題は相手がいるだけに、我が子だけを注意してもなかなか改善しませんし、また、時間が経つとさらに解決しにくくなります。
塾友との関係で気になることがあったら、早めに塾の先生や大人同士で相談するなどして、小さい芽のうちに摘み取るようにしてください。
「塾友」と適度な距離を保てるよう見守っていきましょう
今回は、中学受験をする子供の「塾友」について、本当に必要なのか、距離の取り方などについてまとめてみました。
長い中学受験勉強の中、苦楽を共にでき、お互いを意識しながら切磋琢磨できる「塾友」は、受験勉強の励みを与えてくれて、とてもありがたい存在となります。
しかし、まだ小学生では、楽しみを優先したり、甘えることを容認する、困った「塾友」関係にも陥りやすいものです。
そうならないためにも、塾は“受験勉強をしに行く場所”という意識付けを徹底し、自分の勉強のペースを守り、携帯電話などの使い方に注意して、「塾友」と適度な距離を保てるよう、お子さんを見守ってあげてください。