実力はあるはずなのに、入試本番や模試・試験に弱い、そんな受験生も少なくありません。
本番に弱い大きな理由は、やはり緊張が挙げられるでしょう。
ただ、人間なら誰しも緊張はしますし、緊張が絶対に悪いこととは言えません。
そもそも緊張を完全になくすことは無理なので、緊張を「抑える」という方向で、少しずつ克服していくことが当日は大事になります。
また、緊張以外の理由で本番に弱いというケースもあるので、いろいろな視点から原因を探ることも必要になります。
この記事では、塾講師の経験から、中学受験の入試本番や模試・試験に弱い子どもの特徴や対処法・克服方法などをご紹介していきます。
うちの子は本番に弱いかも・・・という親御さんは本番にお子さんがベストな状態で挑めるよう参考にしてみてください。
入試本番や試験に弱いのは変なことではない!実力が発揮できるようにすべきこと
まず意識していただきたいのは、入試本番や試験に弱いのは別におかしなことではないという点です。
普段は成績が良く、実力もあるはずなのに、なぜか本番や模試になるとうまく解けない、実力を出しきれない、そんなお子さんは多いのです。
人間、試験の場になれば誰しも緊張はしますし、普段通りの力が出せないこともよくあります。
もちろん、本番を突破しなければ合格はできないので、試験という場でなんとか実力を発揮できるよう、対策を考えなくてはなりません。
ただ、「入試本番や試験に弱い」という一点をもって、あまりネガティブに考えすぎないようにしてください。
本番や試験に弱いのも一つの性格ですので、変に思いつめず、本番・試験に強くなるような方法を冷静に考えていく必要があります。
入試本番や試験に弱い子供の特徴と対処法
入試本番に弱い子どもは、模試や試験全般を苦手とする傾向があります。
緊張しやすい、試験という場所が苦手、など、その理由は様々でしょう。
以下、入試本番や試験に弱い子どもの特徴と、その対処法をお話していきます。
緊張しやすいと、本番でうまく力を出せない可能性が高くなります。
冷静に考えれば解ける問題も、緊張によって冷静さが失われると、やはり間違えてしまうことが多いのです。
もちろん入試である以上、どんな受験生でも多少の緊張感があり、普段より焦って解くこともあるでしょう。
ただ、その緊張があまりに大きいと、普段解けるはずの問題まで間違えてしまうことがあるのです。
塾では成績が良く、実力もあるはずなのに、なぜか本番や模試でうまく結果が出ない場合、緊張が原因の可能性が高いです。
緊張を減らすために効果的なこと!
本番での緊張をなるべく減らす対策としては、本番と同じような経験をたくさん積むことがカギです。
一番効果的なのは模試で、本番さながらの緊張感を経験し、その中で自分の力を出していく練習を重ねる必要があります。
本番に弱い子どもは、模試や試験全般を苦手とする傾向がありますが、だからこそ模試や試験を通じ、少しずつ場慣れしていくしかありません。
もちろん無理は禁物ですので、いきなり多くの試験を受けさせるのではなく、少しずつ少しずつ慣れを作るイメージで経験を積むことが大事です。
すぐに緊張癖がなくなるわけではない!ある程度長い目で考えてあげよう
緊張しやすい性格の場合、試験で場数を踏んでもすぐに緊張しなくなるわけではありません。
これは性格的な問題もあるので、すぐに緊張癖がなくなるとは限らないのです。
ただし、性格的なことを否定する必要はなく、親御さんはポジティブに受け止めることが大事です。
模試や試験などを通じて場数を踏み、少しずつ少しずつ慣れを作る、これだけでも大きな効果があります。
また緊張ばかりしている・・・と捉えるのではなく、ある程度長い目で考え、緊張癖とうまく付き合っていくという考え方が大事です。
緊張しやすいからダメだ、と考えるのではなく、性格を個性と捉え、対処法を考えていきましょう。
場数を踏むことを軽視してはいけない!
「本番と同じような経験を重ねて慣れを作る」というと当たり前のことのように聞こえるかもしれません。
しかし、場数を踏むことを軽視してはいけません。
緊張というのは、不慣れが原因の一つとなります。
人間誰しも、不慣れな状況に陥ると自然に焦りが生まれます。
一方、慣れている状況下では自然にリラックスでき、平常心を保ちやすくなるのです。
であれば、まず試験という場に慣れを作り、「緊張感のある空間で問題を解く」という動作に慣れる必要があります。
これは場数を踏むことでトレーニングが可能であり、模試はもちろん、日々行われる小テスト等に至るまで、あらゆる試験を通じて少しでも慣れを作ることが大切です。
場数を踏むというと当たり前の話に聞こえるかもしれませんが、決して軽視せず、様々な試験をチャンスにして雰囲気に慣れていきましょう。
過度にプレッシャーを感じることはない!本番のことを考えすぎるのも禁物
繰り返しますが、緊張すること自体はごく自然なことで、別におかしなことではありません。
性格的なものもありますし、緊張がおかしいと思い込む必要はないのです。
そこで緊張=悪いことと考えすぎると、過度なプレッシャーが襲いかかります。
「絶対に緊張してはダメだ」と思いすぎると、かえって緊張しやすくなってしまいます。
ここは非常に難しいのですが、考えすぎてしまうとむしろ緊張のもとになるのです。
試験の場数を踏み、少しずつ少しずつ慣れを作ることが基本であり、そこで余計なプレッシャーを感じる必要はありません。
対策はもちろん重要ですが、考えすぎも禁物です。
リラックスして物事を捉える習慣も、本番での緊張を減らす練習になるでしょう。
完全に緊張をなくすのは無理!緊張をなくすではなく「抑える」対策をしましょう
そもそも、緊張を完全になくすことは無理です。
どんなに本番に強い子どもでも、全く緊張せず問題を解くことはほぼないでしょう。
本番に強い子どもは、全く緊張をしていないのではなく、その緊張を最大限抑えているのです。
緊張を完全になくすという話ではなく、緊張を「抑える」と考えてください。
緊張=ある程度自然なことと捉え、その緊張をなるべく抑えて解く、というイメージです。
そのためにも、模試をはじめ様々な試験を通じ、本番を意識したトレーニングが重要になるのです。
繰り返しですが、緊張は完全になくすものではなく、抑えるものです。
この点も意識していただき、過度にプレッシャーを感じることなく、日々本番を意識した対策を進めていきましょう。
どんなに緊張をしてしまっても最終的に試験を突破できればいい!
中学受験は、緊張しないことが目的ではありません。
中学受験の目的は、試験を突破して合格することです。
たとえ本番で緊張しても、問題がしっかり解け、合格さえできれば、それで中学受験の目的は達成します。
もちろん、本番で高得点を取るためにも、緊張をなるべく減らして冷静に解き進めることは大事です。
しかし、別に緊張しないことが目的ではないのです。
緊張を過度に気にしてしまうお子さんやご家庭は、いつの間にか「絶対に緊張しないこと」が目的になりがちです。
繰り返しますが、絶対に緊張しないのは無理であり、その緊張をなるべく抑えることが重要になります。
そして何より、受験の目的は絶対に緊張しないことではなく、試験を突破することです。
このような考え方もぜひ参考にしていただき、あまりプレッシャーを感じることなく、適度にリラックスした状態で捉えてみてください。
緊張しても実力を出し切れるケースもある
緊張で頭が真っ白になっても、本番でしっかり実力を出し切れた、という受験生も実は多いです。
これは経験のある方もいるかと思いますが、頭の中が真っ白になった状態でも、気がついたら実力を発揮していた、という事例はあります。
もちろん緊張はなるべく減らすに越したことはないですし、頭の中が真っ白になるのは決して好ましい状態ではありません。
ただ、日頃からしっかり実力を鍛え、本番を意識した対策を進めておけば、たとえ本番でかなり緊張したとしても実力を発揮していた、というケースはあるのです。
確かに緊張しやすい子どもは本番に弱いことが多いですが、緊張にもいろいろなケースがあります。
緊張=悪いことと考えすぎず、「絶対に緊張しないこと」を目的とせず、その緊張をなるべく抑えるという方向で日々の対策を考えていくことが大事です。
「日頃しっかり実力を鍛えていれば、本番で緊張しても解ける」くらいの気持ちで、ポジティブに考えることも忘れないようにしてください。
緊張以外の理由で本番になるとうまく解けない子の特徴と対処法
本番に弱い理由の大半は、やはり緊張と言えます。
ここまでお話しした通り、なるべく緊張を抑えて冷静に解くことがベストです。
一方、あまり緊張しないタイプの性格でも、なぜか本番になるとうまく解けないというケースもあります。
以下、こうした緊張以外の理由についてお話ししていきます。
試験の形式に不慣れなことが原因
各科目の知識は豊富なのに、試験になると問題が解けないという子どももいます。
この場合、試験の形式に慣れていないことが原因の一つでしょう。
当然ですが、入試問題は一問一答とは異なります。
もちろん一問一答に近い問題もありますが、ただ知識を問う問題だけではありません。
設問形式を見ても、選択肢問題、記述問題、計算問題など様々な問題があり、知識を答える適語記入問題だけではないのです。
そのため、こうした幅広い設問形式にある程度慣れていないと、試験で高得点を取るのは難しくなります。
もちろん受験生であれば、日頃の勉強でも問題演習を取り入れ、いろいろな設問形式に触れていると思います。
ただし、試験になると点が取れなくなるのであれば、日頃の問題演習がかなり偏っている可能性があるのです。
苦手な設問形式を苦手なままにしておいたり、特定の設問形式にそこまで触れていなかったり、など、いろいろな要因が考えられます。
少なくとも選択肢問題、適語記入問題、記述問題あたりのオーソドックスな設問形式については、いずれもしっかり慣れを作る必要があるでしょう。
もちろん、最終的には志望校の傾向に沿った対策が重要になりますが、オーソドックスな設問形式に慣れを作っておいて損はありません。
模試などでしっかり実力を反映するためにも各形式への慣れは重要になります。
試験という場で集中することが苦手
勉強自体に抵抗はなくても、試験で集中することが苦手という子どももいます。
勉強で何かを学んだり、何かを思考することは好きなのに、試験という場になると集中できなくなったり、興味が持てなくなったりするなどのケースがあります。
こうした子どもは、決して勉強そのものが嫌いなのではありません。
ゆっくり時間をかけて何かを探求したり、考察したり、研究のような勉強が好きなタイプと言えます。
ただ、こうした子どもは試験には抵抗感があったり、試験そのものに慣れていない場合があります。
何かを探求する際の集中力はずば抜けていても、試験で集中することは苦手、といったケースです。
このような子どもは、ひとまず試験そのものに慣れを作っていくことが大事です。
繰り返しますが、場数を踏むことを軽視してはいけません。
特に勉強そのものが嫌いではなく、基本的な集中力も備わっている場合なら尚更、試験の場数さえ踏めば問題は解決しやすいです。
もともとの学習スキルが高い分、「試験で集中する」という感覚さえ身につければ、自ずと成績も伸びてくるでしょう。
まとめ
今回は、中学受験の入試本番に弱い子どもの特徴や、対処法・克服方法などをご紹介していきました。
入試本番や模試・試験に弱い大きな理由は、やはり緊張と言えます。
緊張によって焦りが生じ、普段なら解けるはずの問題も解けなくなってしまったというケースも多く、本番では緊張を抑えて冷静さを保つことがとにかく重要です。
ただ、緊張すること自体はごく自然なことであり、過度にプレッシャーを感じることはありません。
「絶対に緊張してはいけない」と思いすぎると、かえって緊張癖が改善しない原因となります。
緊張する性格も個性ですので、ポジティブに捉えることも忘れず、冷静に対処法を考えていくことが大事です。
一番重要なのはとにかく試験の場数を踏むことであり、緊張感のある中で問題を解き進めるトレーニングを重ねる必要があります。
また、人間である以上、完全に緊張をなくすことは不可能ですので、緊張をなくすのではなく緊張を「抑える」という意識が大切です。
一方、試験の形式に不慣れな場合や、試験という場で集中することが苦手な場合など、緊張以外の理由で本番に弱い子どもも見られます。
本番に弱い理由は必ずしも緊張だけではないため、お子さんの性格等も踏まえ、いろいろな視点で原因を捉えることが大切です。
こうした点も含め、あまりプレッシャーを感じすぎず、改善点を少しずつ解決していけるようにしましょう。