子供のやり抜く力を育てよう!やり抜く力を身につけさせる3の方法

昨今、欧米の教育学で「グリット(GRIT)」という考え方が注目を浴びています。

このグリットとは、「やり抜く力」のことであり、このやり抜く力がないとよい結果は得られない、という考え方です。

では「グリット」とは具体的にどのようなことなのか、「やり抜く力」の大切さ、そして身につけさせるにはどうすればいいのか、考えていきたいと思います。

やり抜く力(グリット)とは

米の研究者である、アンジェラ・リー・ダックワースという研究者が、「成績は個人のやり抜く力で決まる」と説いています。

学業のみならず、社会での業績や貢献度なども、この「やり抜く力」で左右されるということです。

やり抜く力とは、短期目標だけでなく、長期目標や将来の自分の夢に向かって、自分の課題を「やり抜く」能力のことを差します。

アンジェラ・リー・ダックワースのホームページではグリットは以下のように定義されています。

Grit is passion and perseverance for long-term goals.
(グリットとは長期的な目標を叶えるための情熱と忍耐力のことである)

成功にはやり抜く力が必要

IQの高さや個人の持って生まれたセンスや能力だけでなく、このやり抜く力があるものが結果を残すことができると言っています。

即ち、このやり抜く力がないと、どのように素晴らしい才能を生まれ持っていようと、技術を身につけていようと、成果を得ることができないといえるのです。

では、やり抜く力はどのように身につけさせればよいでしょうか?

子供のやり抜く力を育てる方法

実は、やり抜く力を育てる方法はまだ一つに確立されていません。

しかし、有用なものとして挙げらえているものを3つご紹介します

1.プロセスを褒める

昔は叱って育てることが主流でしたが、現在は子どもの良いところを褒めて育てることが、保育や子育てや保育の現場では主流になっています。

褒めることで子どもの自己肯定を育み、自信を持って人生を歩んでいくことができることは広く知られています。

では、この「やり抜く力」ではどこを褒めて育てると良いのでしょうか。

やり抜いた場面を褒める

100点を取った時に頑張って勉強したのであれば、「よく勉強したね」、例え良い結果でなくてもその子が毎日頑張ったのであれば「毎日頑張って勉強したのは偉かったよ」などと言う具合に、頑張ったこと、つまりその子どものやり抜いた場面を褒めると良いのです。

100点を取ることも大切かもしれませんが、長い人生を歩んでいく中において「毎日コツコツと勉強した」という過程が大切で、コツコツ勉強すること、毎日続けることが成果につながって(または今回はつながらなかったが)頑張ったことが認めてもらえた、という体験がやり抜く力につながっていきます。

結果を褒めることも大切だけど

よくやってしまうのは「100点取れてよかったね」「上手にできたね」など、その子どもの行いに対する「結果」を褒める行為や、「可愛いね」「背が高いね」「器用だね」など、その子の生まれ持った外見や才能のような部分を褒める行為です。

褒められると確かにその結果には子どもも満足するでしょう。

また外見なども褒められると自信を持つとことでしょう。

しかし、「やり抜く力」を育てる場合は、結果や外見、生まれ持った能力を褒めるのではなく、その結果に至った過程(process)を褒めることが重要なのです。

2.親の成功体験を伝える

小学生くらいになると、偉人の伝記なども自分で読めるようになります。

こうした伝記や成功体験記を読むことも大切ですが、一番は子どもの身近な親の成功体験を話して聞かせることも、やり抜く力につながっていきます。

身近な人の体験は、子どもには新鮮に感じるでしょうし、親もやり抜いた経験があり、それを基に成功した(または努力した)という経験を知ることで、子どもは「大好きなお父さんやお母さんもそうだったんだ」という親近感を持つとともに、モチベーションアップにもつながります。

また、こうした親子のコミュニケーションもまた、子どものやり抜く力を育む材料にもなってくるのです。

3.自分で考えさせる

「かわいい子には旅をさせよ」「若い頃の苦労は買ってでもしろ」などの諺にも表現されていますが、失敗したり、苦労したりしたことから、どうすればよかったかということを子ども自身や子どもと一緒に考えることも、「やり抜く力」を育てるよい経験となります。

親の立場から、つい失敗しないように子ども自身が経験する前から、過干渉になったり、過剰なアドバイスをしたりしがちです。

しかし、子どもが失敗して「次にどうしよう」「成功させるためにはどうするか」ということを考えることで、最後まであきらめずにやり抜いてみようとするのです。

簡単に答えを教えない

子どもの失敗する様子を見守るのは、親として忍耐のいることです。

このような失敗をした時に「どうしたらよかった?」などと言葉を掛けて、子どもから答えを引き出すような工夫は非常に有効です。

大人が「こうしたら成功したよ」などと簡単に解決方法を導きだしてしまわず、たとえその答えが間違っていたり、遠回りであったりしても、子どもに考える時間を持たせることが大切です。

もちろん道徳的に間違っている答えの場合は軌道修正が必要ですが、あくまでも子ども自身が出した答えや解決策が大事で、自分で考えたことは、親が決めて「させよう」とした時よりもモチベーションが高く、取り組みや、最後までやり遂げようとする姿勢も顕著です。

レゴで遊ぶ少年

やり抜く力(グリット)は子供の財産に

子どものやり抜く力は、小さな子ども時代から育まれ、学業だけでなく、社会人になってもその子の生きる力として発揮されるのです。

大人のちょっとした工夫や言葉掛けで、子どもは、やり抜く力を身につけ、その子自身の大きな財産のひとつになることでしょう。

結果だけを見るのではなく、結果を生んだ過程に焦点を絞り、褒めたり、一緒に考えたりすることで子どものやり抜く力を積み重ねていきたいですね。