子どもの成長が楽しみな一方で、日々成長していく姿を見ていると、思春期での反抗などにも少々不安などを考えてしまうことはありませんか。
多くの親が自分自身も思春期を乗り越えて大人に成長してきているはずですが、なかなかその当時のことを鮮明に覚えてはいないので、親としてどう向き合ったらいいか悩んでしまうこともあるのではないでしょうか。
今回は思春期に着目し、親子での関わり方について考えてみたいと思います。
目次
4つの思春期
まずは思春期について、1度整理しておきましょう。
思春期とは、大きく4つに分けることができると言われています。
前思春期(小学生高学年の頃)
思春期と言うと、中学生や高校生をイメージしがちですが、思春期のはじまりは小学校中学年頃からだんだんと始まってきます。
第二次性徴が始まり、ホルモンの分泌が盛んになり、少しずつ体と心のバランスが崩れやすくなってくる時期です。
“それまでは何でも話してくれたのに、話をしてくれなくなった”、“今まではしっかりできていたことができなくなった”など少しずつ変化が見られてきたら、思春期のはじまりと考えてよいでしょう。
さらに高学年になってくると、身体や脳が急激に発達したり、勉強が難しくなったり、高学年になることで受け持つ係りなどに忙しくなり、身体も心も疲れ、不安定になりやすい時期です。
思春期前期(中学生の頃)
中学生になると、自らの生き方を模索しはじめ、自立について考えはじめるようになっていきます。
子どもじゃないけど大人じゃない、そのような状態中で、親をはじめとした大人に不信になり、大人との関係よりも、同じ年代の友人たちとの関係の方を重視するようになっていきます。
また、身体の成長が大きくなり、そのことで戸惑い、不安になりやすくもなります。
“自分とは何か”を考え過ぎてしまうことで、登校拒否や摂食障害などが現れることがありますので、親は注意して見守ってあげることが大切です。
思春期中期(高校生の頃)
さらに社会が近くなり、最終的な自立について考え、どのように生きていくかを具体的に考えていく時期です。
中学生の頃よりは思春期特有の不安や混乱から抜け出すことができ、落ち着いた対応ができるようになっていきます。
それと同時に親からの独立心が強くなり、親以外の人物にあこがれや理想を描くようになります。
そのひとつが異性との恋愛関係です。恋愛感情もまた、思春期の特徴のひとつなのです。
思春期後期(学生の頃)
“モラトリアム”と呼ばれる心理状態を経たりしながら、アイデンティティ(自己同一性)を確立、自己実現へ向けて動いていく時期です。
自分は何がしたいのか、自分がやりたいことがわからない、自分は何者なのか、という課題に対し、様々な経験や役割を経て、自我を確立していきます。
成長している証し!思春期に見られる特徴
反抗的な態度
思春期の子どもに見られることが多い特徴です。
それまではいろいろな話をしたり、一緒に行動したりしていたのに、急にそっけなくなってしまったというようなことが見られます。
急に口をきかなくなってしまい、口を開けば「別に」、「うるさい」しか言わないなどの変化に、親としてもどのように接したらいいかわからなくなってしまうこともあるのではないでしょうか。
精神的不安定
思春期は心も身体も変化していきますが、自分自身の気持ちが追い付かず、不安や戸惑いが大きくなります。
自分の変化だけではなく、周りの人との違いを意識するようになり、その違いに葛藤が生まれます。
自分の気持ちとやらなければいけないことの間で窮屈に感じることもあるでしょう。
そのようなことが原因で些細なことでイライラすることが多くなります。
親との距離
親との距離を置くようになります。
しかし、完全に距離を置くことができず、ふいに距離を近づけてくることも、思春期初期には見られるので、距離感や接し方が非常に難しくなります。
思春期の子どもとの上手な関わり方
イライラしている時はそっとしておく
大人でもイライラしている時に話しかけられると嫌ですよね。
子どもも同じです。
何か考えたり、不安になったり、葛藤している時ですので、親としては「どうしたの?」と声をかけたくなりますが、そっとしておきましょう。
少し落ち着いていそうな時に声をかけてみましょう。
思春期の時期だからといって放任しない
思春期の子どもに何を言っても聞いてくれない、そんな悩みを持つ親御さんもいるかもしれませんが、だからといって放任してはいけません。
きちんと悪いことは悪い、ダメなことはダメと伝えましょう。
例えそれで「うるさい」と言われても、親としての責任はきちんと果たさなければいけません。
また、声をかけることで、親は自分のことをきちんと見てくれているんだ、ということが子どもにも伝わります。
そのような信頼関係は、子どもの成長に大きく影響していきます。
寄り添うことを意識する
子どもから何か相談された時、つい自分の価値観を押し付けてしまったり、上から目線でアドバイスしてしまったりしていませんか。
思春期の子どもたち、特に前思春期や思春期前期の子どもたちは子どもと大人の間で揺れ動いています。
そのような心理状態の時に、押し付けられたり、上から言われたりしても反発するだけです。
親から離れたいという気持ちと、ずっとそばにいたいと願う気持ちの間で揺れ動いていますので、親は子どもの気持ちに寄り添い、まずはじっくり話を聞いてあげましょう。
居心地の良い、安心できる場所があることが分かれば、子どもたちはまた外の世界へ向かっていくことができるでしょう。
親子関係の変化!?反抗期がない子どもたち
最近思春期特有の“反抗”がない子どもも多いそうです。
これは様々なパターンが考えられますが、ひとつに“親子関係の変化”があるのではないでしょうか。
最近では“仲良し甘やかし親子”と“関係が希薄な親子”が増えています。
前者は何をするにも一緒で、欲しいものもすぐに買ってもらえるため、反抗する必要がありません。
後者は仕事などで忙しく、そもそも一緒にいる時間が少ないため、反抗する場面がありません。
反抗がないからといって、思春期で心も身体も変化していることに変わりはありません。
笑顔の裏でもしかしたら悩んでいることを隠している場合もあるでしょうし、大人の見えないところで何らかの反抗が現れているかもしれません。
反抗することは自立を促すことにつながりますので、反抗期のようなものがない場合は、自立を促してあげる援助が必要になっていきます。
思春期は大人への通り道
思春期はいわば“通過儀礼”です。
多くの子どもが経験し、心も身体も大人になっていくと、いずれ思春期も終わっていきます。
心も身体も成長しているからこそ、“誰にでも起こるもの”として、周りの大人は見守り、時に寄り添い、声をかけて援助してあげましょう。