モンテッソーリ教育は今や世界中で注目されている教育法で、Amazon創立者のジェフ・ベソス氏やGoogle創立者のセルゲイ・ブリン氏、最近では藤井聡太棋士がこの教育を受けたことは有名ですね。
日本でも今後モンテッソーリ教育は増えていくと考えられています。
しかし、モンテッソーリ教育という言葉を耳にしたことはあるけれどどのような教育法か知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、モンテッソーリ教育を取り入れている保育園に保育士として勤めていた筆者が、徹底解説していきます。
目次
モンテッソーリ教育が生まれた背景
まず、“モンテッソーリ”とは何でしょうか?これはマリア・モンテッソーリという女性の名前から来ています。
約110年前、女性医師だったイタリア出身のマリア・モンテッソーリは、知的障害児と接する中で、感覚教育法というものを考案しました。
そして子どもの発達のためには何が必要かということを考え、貧困層の子ども達が通う「子どもの家」という場所を国から責任者として任されることになりました。
彼女はそこで子ども達の姿を観察して、子どもが感じていることや欲求、発達段階を踏まえた上で、必要なものを用意し、環境設定をして試行錯誤しながら築き上げていったと言われています。
それがモンテッソーリ教育の原点です。
特徴
モンテッソーリ教育の最大の特徴は、「子どもには、自分で自分を育てる力が備わっている」という「自己教育力」があることを前提に、子どもが自分で物事を達成しようとする「敏感期」と言われる時期に、子どもが「お仕事」をするという点です。
この敏感期を0〜3歳の前期、3〜6歳の後期と分けて考えられています。
そして「お仕事」とは、子どもが行う活動のことを指します。
それぞれの子ども達の発達に合ったお仕事を用意することで、子ども自身が持つ知的好奇心や意欲を引き出し、自己形成するということが目的です。
子供の意欲を引き出す環境!4つの特徴とは
モンテッソーリ教育において、子どもが学ぼうという意欲を自発的に引き出すための環境構成が最も大切です。
環境構成には4つの特徴があります。
1.整理された環境
子どもの発達段階に合っていて、やってみたい!と興味を引く教具を用意し、子ども自身が自由に選んでお仕事をできる環境をつくることが大切です。
例えば1歳の子どもは「積む」「はめる」「押す」「引っ張る」「開ける」「閉める」握る」「叩く」という発達をします。
そして2歳になると「つまむ」「はがす」「通す」「はさむ」「貼る」という発達をします。
もちろん全員が全く同じように発達するということではないので、子どもをよく観察して、今どのような発達段階なのか見極めていきましょう。
縦割りクラス
家族のように、あえて年齢で区切らずに異年齢を混合にして学ぶ環境を作ります。
異年齢クラスにすることによって、子ども達は社会性を身に付けることができます。
教具の用意
お仕事には、「日常生活の練習」という目的があります。
子ども達が社会性や協調性を持って自立して生活できるように、子どもに合ったサイズで、五感を刺激する知育玩具を用意して、お仕事に取り組んでいる間は大人は温かく見守ります。
教具は、大人が日常生活で使用するものと同じように陶器やガラスなどを使うことで、物を大切に使うことを覚えます。
ちなみに筆者の保育園では、トレーにガラスのコップを2つ用意し、片方のみ水を適量入れたものを用意することで、2歳の子どもが夢中になって水を入れ替えるというお仕事をしていましたよ。
お仕事を行う場所
子どもが集中してお仕事に取り組める場所を用意します。
お仕事の内容によって、椅子に座って行うものや床で行うものがあるので、それぞれの教具に適した場所を確保しましょう。
子供を見守る「援助者」がとるべき対応
モンテッソーリ教育では、子どもを見守る大人のことを「援助者」と言います。
子どもの自立性を育むために「見守る」ということが大切なのですが、いつもはできるのに「今日はできない!やりたくない!」ということは、大人でもあるように子どもにもあります。
体調や空腹、眠気など、コンディションが悪いと、そういった思いを色々な形で自己表現します。
「やって!」と子どもが言う時は「自分でやってね」と拒否するのではなく、「分かったよ、手伝うよ」と受け入れることが、より次の自立への後押しになります。
そこで手伝ってしまうと、それが当たり前になって自立しなくなってしまうのではないかと考える方もいるかもしれません。
しかし、モンテッソーリ教育において子どもが「助けて欲しい」と思った時に助けてもらえるという安心感をしっかりと心の中に育むことが大切なのです。
そうすることで、困った時は助けてもらえるという安心感が常にあるので、「何でも挑戦してみよう!」と様々なことに取り組むことができ、それが自立に向かっていくということに繋がります。
そのため、子どもが困っている時は受け入れるという姿勢が、援助者には必要です。
まとめ
モンテッソーリ教育は子どもの権利に主体を置いています。一人ひとりを尊重して、子どもが主体的に動き、自由が確保されているということが一般教育と大きく違うポイントです。
そして、モンテッソーリ教育は保育園や幼稚園などの施設に通わなくても、家庭で行うことも可能です。
どのような環境にしても、これからは子ども達の「やりたい」という気持ちを大切にして、積極性や意欲を大人が引き出せるようにしていきたいですね。
今後の社会において、子どもの社会的自立はとても重要視されています。
今回初めてモンテッソーリ教育を知ったという方も、気になっていたという方も、ぜひ導入してみてはいかがでしょうか。