小学校6年生の夏は、中学受験において「受験の天王山」などと呼ばれます。
小6の夏は、これまでの復習などを集中して行うことができる期間であり、秋以降の受験勉強につなげていく重要な場面でもあります。
この記事では、小6の夏がなぜ天王山と呼ばれるのか、合格までの道のりの中でどのような立ち位置にあるのか、さらには夏休みの勉強で疲れてしまった時の対処法なども含め、ポイントをご説明していきます。
目次
小6の夏はなぜ重要なのか?重要とされる3つの理由
「小6の夏は受験の天王山」という表現を聞くことも多いでしょう。
夏を有意義に過ごすことが受験突破のカギ、などと言われますが、そもそもなぜ夏が重要なのか、その理由からお話ししていきます。
1.まとまった時間を受験勉強に活用できる
これは当然の話ですが、夏休みは学校がないので、多くの時間をそのまま受験勉強に使うことができます。
1学期や2学期のように通学する必要がなく、朝からじっくり受験勉強に集中できるので、一気に実力を伸ばすチャンスになるわけです。
例えば、時間をかけて苦手分野を一度総復習したり、問題演習を進めて実戦的な力を鍛えたり、一度過去問を解いて慣れを作ったり、など、本番を意識した勉強を有意義に進めることができます。
2.朝から集中できることに大きな意味がある
朝から集中して勉強できる環境が何日も続くのは、休み期間しかありません。
休み期間以外だと、平日は学校の授業が終わってから受験勉強をすることになります。
休日にまとめて勉強することもできますが、それが何日も続くわけではありません。
休み期間というのは、朝から集中できることに大きな意味があり、そこで様々な受験勉強を進め、実力を伸ばすことができるのです。
3.夏は苦手分野を克服する大きなチャンス
同じ休み期間でも、夏休みと冬休みは大きく異なります。
小6の冬休みは受験直前期のため、問題演習や過去問演習など、より実戦的な勉強がメインになるでしょう。
一方、夏休みはまだ時間的な余裕があり、問題演習以外の勉強もじっくり進めることが可能です。
あらゆる分野の基本をもう一度復習し、時間をかけて実力を固めていくなど、より丁寧な勉強が可能となるわけです。
ここで重要になるのが、苦手分野の克服です。
これは夏休みの最も重要なポイントといっても過言ではありません。
秋以降になると問題演習や過去問演習が増えますし、冬以降はいよいよラストスパートに入ります。
苦手分野ばかり勉強するわけにはいかず、得点源となる得意分野の実力を落とさないよう、バランス良く勉強しなければなりません。
一方、夏ならまだ時間的な余裕があり、苦手分野を優先してじっくり復習することもできるのです。
夏はいろいろな分野・単元を総復習するチャンスであり、特に苦手分野を克服する大きなチャンスになるわけです。
この点は特に意識しておいてください。
合格までの道のりから考える!小6の夏休みの過ごし方
先ほどお話ししましたが、秋以降は問題演習や過去問演習などが増えます。
より本番を意識した勉強が増え、合格に必要な実力を鍛えていくわけですが、そのための準備を夏休みにしておくことが大切になります。
苦手分野の克服も、あらゆる分野の復習も、秋以降に行う実戦的な勉強の根幹となるものです。
いくら問題演習が重要だからといって、基本知識をおろそかにしてはいけません。
問題演習も過去問演習も、基本知識があってこそ有意義なものになります。
その基本知識をしっかり盤石なものにするチャンスが、夏休みとなるわけです。
このように、合格までの道のりを意識して夏休みの過ごし方を考えることが重要です。
まずは無理のないスケジュールを
中学受験生にとって夏休みが非常に重要なのはもちろんですが、あまりにハードなスケジュールを過ごしてしまうと、そこで子どもが燃えつきてしまうおそれがあります。
当然ながら秋以降も受験勉強は続きますし、夏の勉強による息切れは避けなくてはなりません。
塾の夏期講習などもあるかと思いますが、講習を無意味に受けすぎていないか、余裕のあるスケジュールになっているか、適宜しっかり確認しておきましょう。
受験勉強は、あくまで志望校合格のために行うものです。
ただ長時間勉強をすれば良いわけではなく、無駄のない勉強を効率良く進めなくてはなりません。
夏期講習を受講しすぎたり、無理やり長時間の勉強スケジュールを立てても、子どもの負担が大きくなり、かえって逆効果になってしまうのです。
この点には特に注意し、塾側とも相談しつつ、無理のないスケジュールを立てていきましょう。
一日の勉強スケジュールも決めておく
夏休み全体のスケジュールはもちろんのこと、一日の大まかな勉強スケジュールも決めておくと良いでしょう。
もちろん勉強内容はその日によって変わりますし、臨機応変な対応も必要ですが、大まかに勉強する内容を決めておいて損はありません。
やみくもにただ机に向かうより、何か目標があったほうが勉強ははかどります。
「この日のこの時間は苦手分野を復習する」「この日の午前は問題演習を少しやってみる」といった形で、大まかな内容でもいいので、少しずつ決めておくと良いでしょう。
また、朝は何時に起きる、夜は何時に寝る、といった日々の習慣も決めておくと効果的です。
この際も、無理に勉強を詰め込むのではなく、しっかり余裕のあるスケジュールを意識しましょう。
特に睡眠時間はきちんと確保しなければなりません。
頭をスッキリさせて日々の勉強に集中できるよう、睡眠はきちんと取り、体力を維持することが大事です。
苦手分野はわかっているようで意外にわかっていない!苦手分野の対策をとにかく徹底する
先ほども述べましたが、夏は苦手分野を克服する大きなチャンスになります。
夏休みのスケジュールを決める際には、とにかく苦手分野の対策を重視してみてください。
あらかじめ苦手な分野や単元を整理し、具体的にどこをどう対策していくか、しっかりスケジュールを決めていきましょう。
その際、なるべく紙に苦手分野を書き出して整理することが好ましいです。
苦手分野というのは、わかっているようで意外にわかっていないものです。
漠然と「この分野やこの単元が苦手」と思っていても、より具体的にどこが苦手か?という点までは把握しきれていないことが多いからです。
そのため、まずは紙に苦手分野を書き出し、そこで一度ポイントを整理してみてください。
そして、どこをどう対策するかを具体的に決め、スケジュールを練っていくことが大切になります。
夏休みを機に苦手分野が得意分野になる場合も
夏休みに苦手分野を基本からじっくり復習し、得意分野に変えていくお子さんも少なくありません。
苦手分野の対策は、塾の夏期講習を利用して復習を進めたり、自分でテキストや問題集を活用して復習とトレーニングを進めたり、など、いろいろな方法があります。
時間的な余裕が多いので、何日間か復習だけの日々を設けてみても良いでしょう。
とにかく夏休みを苦手分野克服の最大のチャンスと捉え、有意義に過ごしていくことが大事です。
問題演習や過去問演習も適宜進めていく
苦手分野の復習や基本の復習は夏休みにおける最優先事項ですが、問題演習や過去問演習も適宜進めていくことが大事です。
もちろん、基礎力が追いついていない段階で問題演習ばかりやっても逆効果ですし、基本知識の確認はしっかりやる必要があります。
そこを大前提としつつ、問題演習も適宜進め、本番の傾向に慣れを作ることが重要になるのです。
「基本の確認→問題演習でトレーニング」という流れをじっくり行えるのも、夏休みならではの強みです。
時間的な余裕があるからこそ、問題演習もその都度取り入れ、実戦的なトレーニングをすることが大切になります。
また、過去問演習については、夏休みの間に1度解いておくことが好ましいでしょう。
やはり本番の雰囲気を過去問演習で体験することは重要なことです。
秋以降、併願校も含めた過去問演習が本格化すると思いますか、夏の段階で1度は過去問に触れておいて損はありません。
親子で夏に疲れが出てきたときの対処法と捉え方
最後に、夏に疲れが出てきてしまった際の対処法・捉え方についてもお話ししていきます。
中学受験はただでさえ勉強する内容が多く、夏休みに朝からずっと勉強をしているとお子さんの負担も大きくなるでしょう。
ときには疲れも出るかと思いますが、これはごく自然なことであり、何もおかしいことはありません。
また、思うように勉強の成果が現れないとき、気持ちが疲れてしまうこともあるでしょう。
しかし、これも受験勉強ではごく自然なことで、過度に落ち込む必要はありません。
親も子どもも、疲れが出てしまったときは、まずはゆっくり休み、一度リラックスすることが大事です。
疲れが出てきてしまったときは、生活リズムを一度見直す
先ほども少し述べましたが、中学受験は体力勝負でもあります。
とにかく日々の睡眠時間はしっかり確保し、日中きちんと集中できるよう、体調を整えておかなければなりません。
お子さんが寝不足になっていないか、体調が悪くなっていないか、親のほうでその都度確認しておきましょう。
そこでお子さんの疲れがたまっているようであれば、無理に勉強をさせるのは絶対に避けてください。
まずは生活リズムを戻し、疲れを減らし、体調を整えることを優先しましょう。
また、親のほうも、なるべく生活リズムは整えておく必要があります。
中学受験は親の疲れがたまることも多く、親のほうでもしっかり体調を整え、寝不足は避けることが大切です。
親も子も日々健康に過ごし、親子の二人三脚で夏を乗り切っていきましょう。
思うように勉強の成果が現れないときの考え方
過度にプレッシャーを感じる必要はありません!
ここまで再三述べているように、小6の夏は確かに受験の天王山となります。
ただし、過度にプレッシャーを感じる必要はありません。
受験の天王山ということで、「夏が勝敗の分かれ目」などと言われることもありますが、この言葉を額面通りに受け取る必要はないのです。
夏が重要なのはもちろんですが、夏にうまく勉強が進まなかったとしても、受験を諦める必要はありません。
もちろん夏休みに怠けて良いという話ではなく、最大限やるべきことはやる必要があります。
ただ、なかなか苦手分野が克服できない、思うように勉強が進まない、といった悩みを抱えてしまうケースもあるのです。
その際に過度にプレッシャーを感じてしまうと、かえって逆効果となり、余計に勉強に集中できない原因となってしまいます。
そこで焦るのではなく、一度落ち着いて、改善点はどこか、今後どのような方針で勉強を進めていくべきか、その都度見直してみましょう。
また、お子さんにとって負担が大きすぎるスケジュールになっていないか、見直してみることも大切です。
最終的に本番で結果を出せば良い!
当然の話ですが、受験は本番で結果を出せば良いのです。
夏休みに結果を出すことが目的ではなく、本番で結果を出し、志望校に合格することが受験の目的です。
たとえ夏に勉強がうまくいかなくても、受験の目的が変わることはありません。
秋以降どうやって勉強を進めるか、改善点はどこか、そのあたりを冷静に見極めるためにも、過度に焦る必要はありません。
もちろん、実際にお子さんの成績がうまく伸びなかったとき、親としてもプレッシャーを感じてしまうことはあるでしょう。
それは無理もないことです。
ただ、そこはどうか一度冷静に捉えていただき、受験の目的を親子で再確認し、ときにはゆっくり過ごし、冷静な気持ちで再度勉強を進めてみてください。
そもそも勉強はすぐに成績に反映されない!徐々に結果がついてくる
そもそも勉強というのは、すぐに成績に反映されるわけではありません。
苦手分野なら尚更、どうしても対策に時間がかかることもあるでしょう。
夏休み中に勉強の成果が出るとは限らず、少し後になって徐々に成果が現れることもあるのです。
この点もどうか知っていただければと思います。
もちろん夏休み中に一定の成果を出すことも重要なのですが、それだけが全てではありません。
秋以降、場合によっては直前期の冬から一気に調子が出始め、そのまま入試に突入して合格した、というケースも見られます。
中学受験の勉強のやり方は一つではなく、子どもの伸びしろもワンパターンではありません。
この点もどうか意識していただき、日々の勉強を見直すときは見直し、自信を持って続けるときは続け、しばらく様子を見ることも一つの方法です。
夏休みは苦手分野を克服する大きなチャンス!朝から集中して有意義な期間にしよう
今回は、小6の夏が受験の天王山と言われる理由、合格までの道のりの中で夏はどのような立ち位置にあるのかなど、ポイントをお話ししていきました。
夏休みはとにかくまとまった時間を受験勉強に使うことができ、朝から集中して勉強できる日が何日も続く、非常に有意義な期間です。
特に苦手分野を克服する大きなチャンスでもあり、夏を機に苦手分野をもう一度基礎から復習し、得意分野に変えていくケースも見られます。
秋以降になると問題演習や過去問演習が本格化することもあり、苦手分野の復習・対策を満足に行えない可能性があるため、夏の間に苦手分野の対策を進めることは大きな意味があるのです。
一方、夏休みで時間的な余裕があるからと言って、無理のあるスケジュールを組むのは好ましくありません。
お子さんにとって余裕のあるスケジュールを立て、体調管理などもしっかり行い、無理のない範囲で効率的に勉強を進めることが大切です。
また、もし夏休みに勉強の成果が現れなくても、過度に落ち込む必要はありません。
受験の目的はあくまで志望校の合格であり、そのためには本番で結果を出せば良いのです。
夏休みに結果を出すことが目的ではないので、この点はどうか冷静に把握していただければと思います。
親子の二人三脚で、無理のない範囲で、夏休みを実りあるものにしてみてください。