様々な受験体験記がありますが、中学受験は、各ご家庭を取り巻く環境や通っている塾などによって状況が異なりますので、全てのご家庭に有効な情報というのはなかなか難しいかもしれません。
ここでは、中学受験をした我が家の体験をご紹介させていただきます。
私的な意見も含めこういう受験もあるんだな、受験をする家庭ではこういったこともあるのだな、と参考程度にご覧頂ければと思います。
中学受験は選択肢のひとつ
中学受験は、ひとつの選択肢です。
おそらく、地元学区の公立小学校を経て、お友達と一緒に学区の公立中学へ通うというお子さんも多くいらっしゃることでしょう。
我が家は、主人は「公立中学へ行くのが当たり前」という認識で、特に「私立」に対してのイメージはあまり良くありませんでした。
一方、筆者は兄が中学受験の塾通いをしているのを見ていたので、なんとなく自然な流れで自ら受験を希望し、私立中高一貫の学校へ進みました。
周りに受験する友達もいました。
主人と筆者は育った地域がまったく異なりますが、この認識の差は必ずしも地域によるものではないのかも知れません。
塾が密集している地域に住んでいると中学受験に特化した塾や中学受験用のクラスの情報が身近にあります。
こういった環境にいると、その選択肢を選ぶきっかけが増え、受験する比率が高くなることは間違いないと思います。
各家庭によっても多様の選択肢があります。
お兄ちゃんは受験するけど弟は受験しないという兄弟も珍しくはありません。
親御さんは、子ども一人一人の中学受験への適性を冷静に判断していらっしゃるのかも知れません。
単純に本人が嫌がることもあるでしょう。経済的な理由もあるかも知れません。
中学受験をさせる理由
筆者自身、我が子も絶対受験させる!と決めていたわけではありませんでしたが、逆に公立中学を知らず、高校受験に至っては予備知識ゼロ。
友人から高校受験の話を聞いてもちんぷんかんぷんで、漠然とした不安がありました。
またそれに加えて、親として”我が子を通わせたい”と思える学校の存在がありました。
そこで、まずは情報収集。
気になる学校や受験用の塾について調べ、具体的に受験が可能であるかの確認をしました。
さらに、子どもにとってそれは良い選択なのか。親の自己満足ではないのか。なども含め、夫婦で話し合い納得ができました。
親子会議で決めたこと
実際に塾や中学に通うのは子ども自身です。
親の気持ちだけで無理やり子どもを動かす訳にはいきません。
そんなある日、子ども(長男)と主人と3人で家族会議をしました。
「受験をするか否か」の相談ではなく、まずは「受験用の塾へ通うか否か」の相談でした。
本当に受験をするか否かは今後決めていくことだと思いました。
もちろん、最初に中学受験をすることについて説明はしました。
でも、小学生がそれを深く理解をするには予備知識や人生経験が少なすぎるのです。
もしかしたら「親主導」ということに抵抗がある方もいらっしゃるかも知れません。
(子ども)「○○になるために、行きたい学校があるんだ。」
(親)「そう!それなら、その学校を目指して塾へ行き、受験をしましょう。」
というパターンは理想的ですが、中学受験にそのようなケースは少ないのではないかと思います。
小学校受験ほどではありませんが、中学受験も親主導の傾向が強くあります。
また、塾へ通い始める時に「後で手遅れになると困るので、取りあえず始める」と、具体的に受験を決めないで塾に入る方も多いのが実状です。
志望校にもよりますが、例えば6年生になってから受験の準備を始めるとなると、かなりの資質や頑張りが必要になってくるのです。
我が家は家族会議の結果、「取りあえず通い始めてみる」という結論に達し、入塾しました。
筆者としては、もしこの先、「やっぱり受験はやめておく」とか、「行きたいと思える学校が無い」という展開になっても、勉強したことは決して無駄にはならないという思いもありました。
実際、塾へ行き始めてからは学校の勉強は深く理解できたようで成績も上がっていきました。
こうして、塾通いを決心した4年の夏から6年の受験まで、途中何度か挫折しながら受験へと向かって行きました。
小学生の子どもに受験の意味を理解することは難しい
繰り返しになりますが、小学生の子どもにとって、受験の意味を理解させるのは難しいことです。
「何度か挫折しながら」と書きましたが、勉強が嫌になってしまう時もあります。
親がいくら受験の必要性を説明しても、なかなか子どもの心には響かないでしょう。
その時に目標の学校があると、受験に向かう気持ちは強くなります。
各学校で開催される文化祭やオープンキャンパスに参加すると、学校の雰囲気がわかり、そこに通っている生徒と接することができます。
だんだん憧れの学校が実体として現れ、実際に通学する自分の姿が浮かんできます。
嫌な勉強のイメージは憧れの学校のイメージへと変わっていきます。
・・・と、そんなに上手くいかないことも多々ありますが、高学年にもなると、子どもは子どもなりに様々なことに悩みます。
テストの点数、小学校や塾の人間関係などなど。
その度に筆者も悩み、塾の先生に相談したこともありました。
親の希望はさて置き、子どもの気持ちに寄り添って進みたいものです。
中学受験をさせてよかったこと
受験をすることで、子どもがぐっと成長したのを感じました。
勉強が嫌になり塾を休んだこともありました。
小学校の親友が突然受験をやめてしまい、ショックで塾に行けなかった時もありました。
親として、受験への事前の努力はもちろん、受験数日前からの緊張感はまだ12歳の子ども達に耐えうるものなのか、と心配になるほどでした。
受験で学力とともに精神力もついたように思います。
受験を終えて爽やかな顔で中学に通い始め「毎日すごく楽しい」と言ってくれると、受験したことは間違いではなかったのかなという気がします。
最後に伝えたいこと
中学受験は「親子の受験」と言われ、その選択肢は悩ましいものです。
中学受験はせず、クラスメートみんなで同じ方向(高校)を向いて切磋琢磨する中学生活も貴重で輝かしいものだと思います。
受験は「合格」が「正解」ではありません。
その子に適している学校へ行けたかどうかが大切なのだと思います。
中学受験で第一希望の一流校に合格したけれど、校風が合わずに高校で受験をしなおしたというお子さんもいました。
「合格」が「ゴール」ではないのだと思います。
実際に入学してみないと見えない部分もありますが、受験の選択・学校の選択などその時、その時に親子で悩み、相談し、納得しながら進んで行ければ、先にある展開にも納得できるはずです。