中学受験の過去問!効果的な取り組み方と演習時のポイント

過去問に取り組む小学生中学受験を目指すお子さんにとって、実際の入試問題に触れることができる過去問はとても重要です。

第一志望校はもちろん併願校の過去問を解くことは、入試本番に向けた対策として必ず行うべきことですが、実際に始めてみると思うように点数が取れなかったり、予定通りに進めるのが難しくなったり、と、悩ましいことも出てきます。

そこで今回は、2人の子どもの中学受験を経験した筆者が、中学受験の過去問演習について、経験したからこそ分かった効果的な取り組み方や知っておくと良いポイントについてご紹介します。

中学受験の過去問演習の目的

中学受験を目指すお子さんなら、必ず取り組むことになる過去問演習。

その目的は主に以下にまとめられます。

  • 受験校の出題傾向・難易度の把握
  • 入試時間や問題数の把握と時間配分や解答用紙(解答欄)などの練習
  • 自分の得意分野、苦手分野の把握
  • 受験校の出題傾向・形式とお子さんの相性の確認
  • 入試本番を意識した実践練習

色々ありますね。

これらは全て入試本番までに確認しておきたい重要なポイントで、通っている塾からも同様の説明があると思います。

ここで筆者が特に注目しておいていただきたいのは、受験校の出題傾向・形式とお子さんとの相性です。

入試問題は、難易度が高い大問を数個出題する、記述が多い、難易度はそれほどでなくても問題数が多い、など学校によりその特徴が本当に様々です。

そのため、難易度(偏差値)が同じ程度の学校であっても お子さんと問題との相性によっては、想像以上に得点が取れる場合もありますし、その反対もあります。

ですが、過去問演習でお子さんとの相性を確認しておくと、対策すべきポイントがより絞れますし、条件の近い学校でどちらを受験するか悩んだときの判断材料にもなります。

以上の観点からも、過去問は第一志望校の学校はもちろん、併願校、いわゆる「滑り止め」のつもりで受験する安全圏の学校であっても解いておくのが重要です。

では、次から過去問演習について具体的な取り組み方や、実際に中学受験を経験したからこそ分かる過去問演習のポイントについてご紹介します。

中学受験の過去問!演習方法やポイント

中学受験の勉強をする小学生志望校や併願校の過去問演習は中学受験において必須ですが、始める時期や演習量など不安に感じているご家庭も少なくないようです。

そこで次から、中学受験を経験したからこそ分かる、実際に過去問を進めていく方法や演習するときの環境、演習時のポイントなどをお伝えしていきます。

中学受験の過去問!始める前に知っておきたいこと

まず、過去問演習をするときに親子で心に留めておきたいことは、「現段階での学力」で解いているということです。

入試直前期ならまだしも、過去問演習を始めたばかりのときは、まだ合格点が取れなくても不安を感じたり心配する必要は全くありません。

たとえ入試直前であっても、満点をとれないのは普通です。

よほど学力に余裕があるお子さんなら満点もあり得ますが、多くの受験者は合格点の前後に分布し合否を分けています。

そんな入試問題を、まだ受験勉強期間を残しているお子さんが合格点をとれなくても慌てる必要はありませんよね?

「小学6年生の年明け、入試本番までに合格点が取れる実力が備わればいい。」

万が一、過去問が解けないとお子さんが落ち込んでも、そう声をかけて励ましてあげてください。

中学受験の過去問!いつから始める?

過去問演習を始める時期は、夏休み明けの9月から始めるのが良いでしょう。

我が家の子どもたちも、通っていた塾からの指導もあって、6年生の夏休み明け、9月頃から始めました。

その理由は上でも触れたように、あまり早くから始めてもまだ実力が備わっていないため解けない問題が多い可能性があり、子どもが無用な心配や落ち込みをしてしまうからです。

反対に、開始時期が遅くなると十分な過去問演習ができなくなる可能性があります。

過去問演習には、丸付けと解き直しを含めると算数や国語は 1.5~2時間、理科や社会はそれぞれ1時間程度と1校の1回分(4教科)だけでもかなりの時間が必要です。

そのため、受験校数にもよりますが、10月頃には始めないと受験校全ての過去問演習を行うことが難しくなります。

なお、過去問は学校別の過去問題集(書籍)の他、インターネットなどでダウンロードできるものもありますので、受験する可能性がある学校のものは夏休みが終わる頃には全て入手しておきましょう。

中学受験の過去問!どのくらい解けばよいの?

過去問の演習量は、志望校順により異なります。

第1志望は5回分から10回分、第2志望は5回から3回、他の併願校は優先順位により3~2回分を演習し、いずれも時間をあけて再演習するのがおすすめです。

なお、よく「何年分」と耳にしますが、中には試験日程を複数設けている学校もあるので、ここでは「何回分」としています。

また、過去問演習の順番は、年度を続けて解く方が出題の分野が偏らずに演習できるようです。

ちなみに、我が家の子どもたちは、直近の過去問は直前期の腕試しにとっておき、2年前のものから遡って行いきました。

中学受験の志望校選び

中学受験の過去問!実際に解くときのポイント

過去問演習を少しでも効果的に行うために、出来る限り以下の点に配慮して行いましょう。

  • 解答用紙は原寸大にコピーする
  • 問題は本の状態でなくプリントアウトやコピーした状態で用意する
  • 自室の勉強机など、周りに気を取られるものがない環境で行う
  • 試験時間を厳守し、できれば開始と終了の声掛けを親がする
  • 入試本番と同じ条件で行う(途中で席を離れたり、お茶を飲んだりしない)
  • 筆記用具、腕時計などは入試本番で使用するものと同じものを使う

過去問はいわゆる「赤本」などを購入して用意することが多いと思いますが、入試当日と少しでも条件を近くするために、解答用紙は原寸大にコピーをして用意しましょう。

解答欄の大きさや余白などを事前に体験するために、これはぜひ行ってください。

できれば問題も本を見ながら解くのではなく、コピーしてプリントの状態にして行うのをおすすめします。

本の状態のままだと問題文の字も小さく、本の厚みのため開いた状態で維持するのに押さえが必要など、扱いづらいからです。

万が一の、カンニング対策にも有効です。

また、過去問を解くときは、普段リビングなどで勉強している場合でも、周りに何もない静かな場所で行いましょう。

勉強のための掲示物などがある場合は、事前に外しておくか隠しておくのも忘れないでください。

試験当日と同じような流れを作っておこう

始める前には事前にトイレに行き、入試本番でも使える筆記用具で行うのも本番の練習になります。

試験時間を測る際は、できれば「はじめ」と「終了」は親御さんが声をかけるようにすると、緊張感をもって演習することができます。

大切なのは、入試本番を想定して行うことです。

常に緊張感をもって臨みましょう。

持ち物を確認する受験生

中学受験の過去問!子どもの中学受験を経験したから分かること

受験勉強をする6年生我が家の子どもたちが過去問演習をするときに一番苦労したのは、演習時間の確保です。

本来なら、入試本番と同じ時間に1教科目を開始し、休憩を取りながら当日と同じ時間割りで行うのが理想ですが、普段の通塾や受験校別講座、模試などで、それを実際に行えるだけのまとまった時間はなかなか取れないのが実情でした。

そのため、1日に全教科を演習できないときは、1校1回分の1~2教科を塾のない平日の放課後や夜の時間などに分散して行いました。

でも、安心してください、集中して取り組める環境で緊張感をもって行えば、教科を分散して実施しても目的は果たせます。

行きたい学校だからこそ過去問の解き直しはしっかり取り組もう

また、過去問の解き直しは、その日のうちに行いましょう。

我が家の子供たちは、過去問専用のノートを用意して、解いた解答用紙を左ページに貼り、右ページに解き直しをしていました。

こうすることで、過去問の進捗管理もでき、解けなかった問題を塾の先生に聞くときにも、すぐに差し出すことができて非常に効率的でした。

なお、我が家のこどもたちに過去問の取り組み方について聞いたところ、2人とも「過去問が一番先生に質問した」と答えました。

たしかに、自分の行きたい学校の入試問題ですから、解けなかった場合は解けるようになるまで復習しておく必要があります。

一方で、解けなくても良い「捨て問」も見極める必要がありますが、これもお子さんの得意不得意によって異なります。

その点、普段から指導してもらっている中学受験のプロである塾の先生なら、お子さんにあった最善の策を指導してくれます。

我が家の子どもたちも、塾の先生に質問することで、「解くべき問題」、「解けなくてもよい問題」を見極める目も鍛えられたように感じています。

志望校合格のために通っている塾です。

入試直前まで、しっかり塾を活用しましょう。

放課後の過ごし方

最後に

志望校の過去問を解いて合格点が取れないと、自信を無くしてしまうお子さんもいるかもしれません。

しかし、過去問はまだ受験勉強の途中に解くものなので合格点に達しないことは多々あることですし、回を重ねることで「入試問題」に慣れ、得点も取れるようになってくるものです。

大切なのは、そのことをお子さんにも理解してもらい、そして「できないところが分かって良かった」、「ここを取れれば合格点に届く」とお子さんの気持ちを前に向け、「ここを頑張れば合格できるかも」と合格のイメージを持たせることです。

そのためにも、過去問は解いたら しっかり解き直しをし、得点できる問題を精査して本番の得点力を高めてください。