幼児教育の重要性は近年ますます注目され、幼児教室も通室者も年々増えています。
しかし、他の習い事と同様に、幼児教育で伸びる子と伸びない子の違いは、親御さんのお子さんへの接し方も関係します。
どのご家族も愛情たっぷりに我が子を育てていらっしゃいますが、少し力を入れるポイントがずれてしまうと、伸びるお子さんも伸びなくなってしまう場合があるのです。
今回は、幼児教室の講師として私自身が見てきた経験をもとに、お子さんの力を伸ばすためにも幼児教育や、習い事をさせる際にも共通している大切にしてほしいポイントを解説していきます。
目次
1.「過干渉」に気を付けましょう
幼児教育に関心を持たれる親御さんは、お子さんのことをたいへんよく考えていらっしゃいます。
それゆえに、お子さんに苦労をさせないようにと障害を取り除いたり、お子さんではなく親御さんがお子さんの代わりに行動してしまったりと「過干渉」になってしまう場合があります。
ヒントを与えすぎてしまうと子どもの力を伸ばすことが出来なくなる
幼児教育においては、たとえば「答えのある問題に取り組むお子さんを、正しい答えに誘導してしまう」、「ヒントを与え過ぎてしまう」というような行動として現れます。
このような状態が続くと、お子さんは「母親の言う通りにするのが正しいこと」だと誤学習してしまい、自分の頭を使って考えるという、幼児教育で身につくはずの大きな強みを身につける機会を失ってしまいかねません。
まずは子供自身の持つ能力の種、可能性を信頼してあげましょう。
2.「放置」「先生任せ」は望ましくない
「過干渉」も問題ですが、「放置」「先生任せ」も問題です。
幼児に分類される年齢では、親のサポートなしにできることは限られています。
反対に言えば、お子さんは、もっとも身近な存在である親のサポート次第であらゆる力を伸ばすことができるのです。
それを引き出すのが幼児教育の役目です。
この「サポート」とは、何もつきっきりで学習のめんどうを見る、という意味ではありません。
お子さんの関心の方向や「今やっていること」に興味を持っていただきたいのです。
子どもの学びには親も一緒に楽しむことが大切
子どもの力を劇的に伸ばす一番効果的な栄養は、「親は自分の味方である」「自分は親に信頼されている」「自分は親に愛されている」という実感です。
たとえば幼児教室にただ通わせているだけで、「内容に興味がない」「お子さんがそこで何を楽しみ、学んでいるか興味がない」と子ども自身が感じてしまうと、それだけでモチベーションを保つことができなくなります。
どうかおうちでの宿題や会話を通じて、お子さんの学びを親御さんも一緒に楽しんでいること、お子さんの成長が嬉しいことなどを伝えてあげてください。
3.「目先のこと」にはとらわれない
「目先のこと」とは、たとえば「今取り組んでいる問題」「今日のレッスン・宿題」など、具体的な取り組みができたかできないか、ということです。
お子さんは、せいぜいまだ人生数年目。
大人と比べてしまうと、当然経験が不足しています。それが当たり前です。
だから、大人の価値観で「このくらいできるだろう」と判断するのは危険です。
人間、案外経験に頼ってものを考えたつもりになっています。
しかし子どもはその経験を持たず、たとえば幼児教室で出題された問題に対しても、自分の頭ひとつで勝負していることも多いのです。
子どもが考えている過程を大切にして褒めてあげよう
一生懸命、考えています。
それはとても素晴らしいことです。
見守る大人、つまり親御さんは目先の結果や問題の正誤などにとらわれず、まずは我が子が頭を使って考えていることを認め、その過程をたくさん褒めてあげてください。
柔軟な思考回路を伸ばす鍵となります。
4.「理想」を押し付けない
親ならば誰しも、「教育方針」を持っているものです。
しかし時たま、親御さんがその方針にがんじがらめになってしまい、お子さんが置いてけぼりになってしまっている場合があります。
「何で椅子に座らないの?」「何で集中できないの?」「なんでこれが解けないの?」と「理想と違う部分」を見つけて叱る前に、一瞬立ち止まってみてください。
忘れてはならないのが、親子は別の人間だ、ということです。
別の人間同士ですから、操縦は不可能です。
どちらかがどちらかの思い通りに動くことなどできません。
「教育方針」はお子さんが目指す姿ではなく、あくまでも親の行動指針なのです。
押し付けられると子どもは努力から逃げてしまう
幼児教室でも、講師から見たらとても積極的にレッスンに参加しているお子さんなのに、親にとっての「合格点」に達していないために、レッスン中やレッスン後に毎回叱られてしまう、というケースがありました。
そういったお子さんは、必ず言い訳をするようになります。
苦しみから逃れるための行動です。
そして、それまでできていた、全力で考える努力もいずれやめてしまいます。
省エネにシフトするのです。
お行儀の良いお子さんにはなるかもしれませんが、幼児教育に携わる者としては、こういった例に悲しみを抱かざるを得ませんでした。
親の理想はお子さんに押し付けるものではなく、親自身の行動を考えるためのものだととらえてみてくださいね。
5.「我が子」を信頼しましょう
幼児教育でお子様を伸ばせる親御さんとは、一言でいえば「我が子を信頼している」親御さんです。
子どもは学び、吸収する能力に長けています。
大好きなお母さん、お父さんに信頼されているという安心を得ている子どもは、その力を何ものにも妨げられずに発揮することができます。
どうかお子さんをひとりの人間として信頼し、その頭脳で考えた過程も結果も、まずは肯定してみてください。
そしてその信頼・肯定は、「わかっているだろう」などと思わずに、必ず言葉にして伝えてあげてくださいね。
最後に
いかがでしたでしょうか?
幼児教育を取り入れるならば、子どもには最大限の力をつけて伸ばしてあげたいものですよね。
5つのポイントを参考にしていただき、お子さんの幼児教育に取り組んでみてください。