人前で話すことが苦手と感じているお子さんはたくさんいるのではないでしょうか。
学校生活では自己紹介をしたり、自分の考えを発表したり、人前で話す機会は意外とたくさんあるものです。
人前で話をするとき、少しでも相手に言いたいことが伝わったり、良い印象を与えたりするためにはどのようにしたらよいのでしょうか。
教諭経験から子供が人前で話をするときのポイントをご紹介していきます。
お子さんの緊張がほぐれるヒントにしてみてください。
目次
なぜ人前が苦手なの?苦手と感じてしまう4つのこと
子どもだけでなく、大人でも人前で話をすることが苦手だと感じている人は多いのではないでしょうか。
では、なぜ人前で話をすることが苦手だと感じてしまうのでしょうか。
緊張してしまう
人前に立つと「緊張して苦しくなる」という人もいますが、緊張してしまうことは、人として当たり前の反応です。
ただ、その反応が強いか弱いかはその人によって違いますので、強い人ほど「あがり症」を意識してしまい、結果的にさらに強い緊張を引き起こしてしまうように思います。
人間は不安や恐怖を感じると「ノルアドレナリン」という物質が血液中に分泌されます。
これにより交感神経が活性化され、心拍数や体温、血圧が上昇し、動悸や発汗、赤面などの症状が出てきます。
自信がない
1度失敗してしまうと人間はその行為自体に恐怖を感じるようになります。
例えば「幼稚園の自己紹介で笑われた」という経験。
幼稚園児の年齢であれば、些細なことでも、悪気がなくても、笑いが起こってしまうこともあります。
しかし「笑われた」という印象だけが残ってしまうと、次に同じような場面に遭遇したときに「また笑われないか」という強い不安に襲われ、身体がこわばり、言葉が震えたり、上手く話せなかったりしてしまいがちです。
そうすると「また失敗してしまった」と負のスパイラルに陥ってしまい、どんどん自分に自信が持てなくなっている人も多いのではないでしょうか。
人前に慣れていない
小さな頃からプレゼンの練習や場数を踏むと、少しずつ発表することに慣れていくものですが、日本の教育ではプレゼンする機会が少ないと言われています。
さらに「生まれ月」も影響が多少あるかと感じています。
同じ学年でも、その中には約1年の開きがあります。
年齢が上がれば上がるほどその差は狭まりますが、年齢が低いうちはその差は結構大きいものです。
そのため、どうしても4月、5月生まれの子たちの方が早生まれの子たちに比べると、勉強ができたり、運動ができたりします。
そうすると発表する機会に恵まれることも多くなります。そのような些細な機会の積み重ねが、のちに大きな差になっているように感じます。
ハードルが高い
「上手く発表しないと」「しっかりやらないと」と考えてしまうと余計に緊張で固くなり、上手く考えがまとめられなくなってしまいます。
では、「上手い発表」とはどのような発表でしょうか。
発表やプレゼンの際に重要なのは「相手に伝える」ことです。
「上手くやる」ことを意識し過ぎてしまうと緊張が高まりやすいですが、「相手に伝える」ことを大切にし、そのためにはどうしたらよいかを考えていくことが、より良い発表、プレゼンに繋がります。
上手くやろうとせず、真剣さが聞き手の心を動かすはずです。
授業中の発表など、人前で話をする時のポイント!
1.体がこわばらないようにする
人は緊張するとよく「深呼吸」をしますよね。
深呼吸はリラックスする効果があると言われています。しかし、その効果を高めるためには様々な注意が必要なようです。
例えば、呼吸をするときは「胸式呼吸」よりも「腹式呼吸」がよいそうです。
腹式呼吸はお腹を膨らませたりへこませたりする呼吸法です。また「深呼吸して」と言われると、「吸って、吐いて」をするイメージが強いですが、これは間違った呼吸法と言われています。
緊張しているときは「過呼吸」の状態なので、「吐いて、吸って」の順がいいそうです。
お腹の中、体の中からすべてを出し切ってから、できるだけ鼻から空気を吸い、3秒程息を止めるとよいそうなのでぜひ試してみてはいかがでしょうか。
2.自信を持つための成功体験をしよう
よく緊張している人に「自信を持って」という声掛けをする人もいますが、その言葉で余計に緊張が高まってしまうこともあるので、注意が必要なフレーズだと私自身は感じています。
では、自信を持つためにはどうしたらよいのでしょうか。
1つは「成功体験」をすることです。
発表やプレゼンで自分の理想通りの発表ができ、さらにその内容が「良い評価」された時、人は自信を持つことができるのです。
しかし、すでに自信を無くしている人が、発表を成功させるのは非常に大変なことです。
もう1つはしっかり準備をすることです。
きちんと調べて、準備をすることで自分の発言に自信が持てます。少しでも「これで大丈夫かな」「間違っていないかな」と不安がよぎってしまうと、頭は真っ白になってしまいます。
そうすると、何を話しているか、自分でもよく分からない状態に陥ってしまいます。
気持ちが入っていない言葉が相手に届くはずがありません。そのような状態にならないよう、最低限準備をして人前に立つことは大切です。
3.相手が理解する、わかるようにすることを心がける
プレゼンなどで大切なのは「相手に伝える」ことと前述させていただきました。
つまり、相手が「理解する」「わかる」ことが大切です。
そのためにはいくつかコツがあります。
まず「例え話」をすること。例え話をすることで、難しいことが理解しやすくなったり、記憶に残りやすくなったりします。
また、話をする際に緩急、強弱をつけることで、話が間延びせず、相手に聞いてもらえる工夫のひとつになります。
4.発表の練習をしておこう
何でもまずは「練習」することが大切です。
スポーツする際でも、練習しなければ、上手くできるようにはなりません。
一流と呼ばれるスポーツ選手でも日々練習し、試合の前には必ずウォームアップをしますし、スラスラ原稿を読んでいるアナウンサーの方も、本番前には原稿読みの練習や発声練習をしています。
具体的には、練習する際はなるべく本番と同じような状態を作ります。
立って発表するなら立って読んだり、声に出したりしながら、何度も練習します。
時には家族や友人の力を借りて、人前で発表する練習をするのもよいでしょう。本番の時には何度も練習したという自信がお守りになってくれるはずです。
焦らず少しずつ克服していきましょう
筆者自身教員をしていますので、人前に立つ機会は非常に多いです。
昔から人前が得意であったかというと、どちらかと言えば人前が苦手な大人しい子の部類でした。
たくさんの子どもたちの前に立ち続けてきたことで、殆ど緊張するようなことはなくなりましたが、それでもやはり新年度で教える子が変われば、少なからず緊張はします。
しかし今までの経験や、授業に対する自信がそれをカバーしてくれているように思います。
そして、生徒の中にもやはり発表やプレゼンが苦手な子はたくさんいます。
ですが、学校生活を通して、少しずつ成長していく子が多いです。後はいつ1歩踏み出せるかです。
かつて教えていた子に人前で発表するのが苦手で、泣き出してしまうような子がいました。
しかし、その子も学校生活の中で少しずつ発表したり、先頭に立ったりする経験を通して、最後は卒業式で答辞を読むことができました。
「人前が苦手」は人にとって当たり前のことです。
そして、それはすぐには克服することはできません。少しずつ、ゆっくりでいいと思います。
苦手という気持ちで人前を避け続けるのではなく、自分の気持ちを伝えていけるようになると、世界も広がっていくはずです。