ここでは、桜蔭中学校を合格するための入試傾向や各教科の特徴などをご紹介していきます。
筆者自身、桜蔭中学校高等学校を卒業し、現在は大学での勉強に加えて、中学受験をする生徒さんの指導を行っています。
自身の中学受験経験と指導経験を踏まえて、桜蔭中学校に合格するために必要なことをお伝えしたいと思います。
目次
桜蔭中学校の入試についての概要
桜蔭中学校の入試では、国語、算数、理科、社会の4科目の筆記試験と、面接試験が実施されます。(2021年度は新型コロナウイルスの影響で、面接試験は口頭ではなく記述式での実施でした)
国語、算数の配点が100点であるのに対し、理科、社会は60点であるように、国語と算数に比重が置かれています。
桜蔭中学校の入試における各教科の特徴
国語と算数に得点の傾斜があることをお伝えしましたが、次に各教科の問題の特徴について細かくご紹介します。
国語
国語は、記述式の設問が他校に比べて非常に多く、高い読解力と記述力が求められます。
国語の問題は、説明的文章(説明文など)と文学的文章(物語文など)の2題構成です。
説明的文章では、設問同士のつながりや問題文の条件をしっかりと意識した上で、作問者が何を問いたいのかまで把握する必要があると感じています。
一方、文学的文章は、人間関係を通して成長していく主人公の様子が描かれた文章が多いような印象を受けます。
心情の変化を正しく読み取り、それを記述することが求められます。
算数
筆者の受験経験と指導経験をふまえますと、受験生間で1番差がつきやすい科目だと考えています。
難易度が高いと言われがちですが、難易度は設問によってかなり違います。
全問正解しなければ合格できないような試験ではありませんので、取るべきところでしっかりと得点を稼ぎ、どれだけそれ以外の問題で得点できるかが合否を分けるカギとなってきます。
また、他校よりも数の性質や規則性に帰着させる問題と立体図形に関する問題の出題が多い印象を受けます。
理科
理科は、ひらめきよりも、知識とそれに基づいて考える力が求められていると考えています。
作図問題よりは計算問題が多いです。
典型的なパターン問題を完璧に解けるようになっていることが必要です。
社会
地理、歴史、公民から出題されますが、公民の問題数が、地理、歴史に比べると比較的少ないです。
しかし、時事問題と絡めたものや、深い知識を問うものも見受けられ、正確な知識が必要です。
問題数に対して時間はそれほど多くないので、問題文やグラフを素早く理解するための、読解力と処理能力も求められていると考えています。
各教科の対策と勉強法
各科目の出題の特徴についてご紹介しましたので、次に桜蔭中学校の出題傾向に合わせた対策と、勉強法をご紹介します。
国語は設問のつながりや設問の条件を意識しよう
国語は、読解力や記述力が求められますが、それ以前に長い文章や読みにくい文章でも、しっかりと最後まで読み切らなければなりません。
まずは、日頃から文章を読む習慣をつけ、長文や難しい文章に対しての抵抗を徐々に無くしていくことが大切です。
しっかりと文章を読み切ることができれば、少しずつ読解力も向上すると思います。
桜蔭ならではの記述式の問題演習は、塾にお任せするのが最善でしょう。添削を受ける中で、記述の方法や正しい読解の仕方を学んでいけると思います。
また、漢字やことわざ、慣用句についての知識も求められますので、6年生になる前から、学習を進めておくことをおすすめします。
桜蔭中学校の入試問題は特に、設問のつながりや設問の条件を意識すると、作問者の意図が見えてくることが多いです。そのレベルに到達すると十分に合格できるラインだと言えるでしょう。
算数は基礎の上で、それらを幅広く使いこなせる能力をつけよう
算数は、第一に受験生のほとんどが解けるような問題で失点しないようにすることが大切です。
そのような問題は、基礎問題や計算問題ですので、日々計算のトレーニングを積んでおく必要があります。
基礎ができていないと、応用問題を解くことはできません。焦りがあるかもしれませんが、まずは基礎を徹底すべきです。
戦略として、いわゆる捨て問を決めて、あとの問題でしっかり得点する、という考えも桜蔭の入試では特に有効的ですが、取捨選択をできるようになるには、十分な演習が必要です。
こちらも国語同様、塾の演習授業を受講するのが良いでしょう。演習授業の中で、他の生徒さんと同じ問題を解いて、得点すべき問題を把握していく作業は非常に大切だと思います。
数の性質や規則性に帰着させる問題がある、と先に述べましたが、例えば、一見図形の問題に見えるものも、実は規則性について問われていた、というケースが見受けられます。
桜蔭中学校の算数は、基礎の上で、それらを幅広く使いこなせる能力が求められている印象を受けます。
理科・社会は努力量が得点に比例します
理科、社会は、基本的な知識を持っていることを前提とした出題がなされています。
さらにその知識を基に考える力、問題を把握する力、処理能力が必要です。
パターン問題を繰り返して、それを完璧にしてから、6年生の秋頃に過去問を始めるのが良いでしょう。
理科に関しては計算問題(分野としては水溶液など)がありますので、算数同様、計算力が問われます。日々の計算トレーニングが有用です。
また、理科、社会の配点が低いからといって算数だけに注力してしまう生徒さんがいますが、それは得策とは言えないでしょう。
奇を衒ったような問題はほとんど出題されないため、努力量が得点に比例することが多いからです。
過去問の使い方
最後に過去問についてご説明します。
過去問は6年生秋頃から始めるのがベストだと考えています。
しかし、過去問にふれて難しさを実感するために、5月頃に一度、軽く確認しておくことをおすすめしています。良い刺激になると思います。
以上、桜蔭中学校合格に求められることをご紹介しました。この記事が少しでも中学受験をするご家庭の参考になれば幸いです。