中学受験生がテストや模試などでミスをするとき、解き直しでみえてくる「もったいないミス」などありますよね。
その問題ができていれば点数が80点を超えたかもしれない。その問題ができていれば第一志望校の合格判定が80%以上になったかもしれない。
そして悔やむミスのほとんどすべてが「歯が立たないような解けない問題」ではなく、「いつもは解ける」「解けたつもりなのにミスであっさり落としてしまった」といった、いわゆる「ケアレスミス」のはずです。
他のお子さんがとれる問題をミスで落としてしまうのは、とても悔しいですよね。
今回は中学受験の塾講師経験から、「ケアレスミス」をなくす方法を「ケアレスミスの種類」に分け、「種類ごとの解決法」としてわかりやすく解説していきます。
中学受験生によくみられる!ケアレスミスの5つの種類
ケアレスミスを5つの種類に分けて見ていきましょう。
1.問題の読み間違え
これは「正しいものを選びなさい」ではなく「誤っているものを選びなさい」のように何を求めるかを勘違いするミスが多くみられます。
最後まで読まないために「すべて選びなさい」や「~に続く形で答えなさい」「分数で答えなさい」「小数第2位以下は四捨五入して~」などを見落として解答するミスなどが考えられます。
2.単位の書き間違え
これは問題の読み間違えからもつながりやすいミスです。
単位変換のミスをはじめ、問題に合った単位にそろえていない、自分がしている計算は金額を求める計算なのか人数を求める計算なのか、はたまたcmで出したのかmで出したのかがわからない、などが考えられます。
3.自分で書いた数字の判別を誤る
これは1と7や、0と6など、自分が書いた数字が雑なために判別を誤って計算してしまうミスです。
0と書いたのに6のつもりで計算したら、もったいないですよね。
4.筆算のとき前後の数字が混ざる
これは筆算を小さく書くあまり前後の数字が混ざったり、桁数を縦に揃えずに計算をしたりすることで起こるミスです。
5.計算の順番を誤る、足し忘れかけ忘れなど
これは四則計算や複雑な計算で起こりがちです。
頭の中だけで計算しようとするあまり、かけ算わり算の前にたし算ひき算をしてしまうなど計算の順番を間違えたり、最後にたし算をするはずなのに足し忘れたりするなどのミスが考えられます。
受験生に意識させるべきケアレスミスへの考え方と向き合わせ方
「ケアレスミス」という言葉は使わない!ミスを具体的に分類する
模範解答と違っているだけで「ケアレスミスだね」「おっちょこちょいだね」で終わってしまっていませんか。
我が子のケアレスミスがなかなか減らないという親御さんは多いのですが、多くは「ケアレスミスだね」「次は注意しようね」で終わっているケースが見られます。
その結果、ケアレスミスが減らないのです。
それでもミスを減らしたいですよね。
それならば、「ケアレスミス」という言葉を使うのをやめてみましょう。
「ケアレスミス」でも、上記のようにさまざまな分類ができます。
集中力の問題で同じようなミスだと思いきや、よく見てみると違った性質を持つミスの仕方ばかりですよね。
大切なのは、「ケアレスミス」という言葉を使わず、ミスはミスでも「書き間違いなのか」「問題の読み間違いで、間違えているものを選ばなければならないのに正しいものを選んでしまったか」などのように、具体的にどんなミスをしているのかを考えることです。
繰り返し練習!ではなかなかケアレスミスは解決しない
さて、これらのケアレスミスに対して「もう一回解いてみなさい」「よく見て」「繰り返し練習しなさい!」と声をかけ、解決しようとしていませんか?
繰り返しになりますが、ここまでたくさんの種類のケアレスミスがあったように、ミスの内容はさまざまです。
よって、すべての種類のミスに対して「繰り返し練習しなさい!」と声をかけたところで解決するのは難しいでしょう。
たとえば筆算ミスや計算の順序ミスは、同じ計算のミスでもまったく違う性質のミスです。
一方は書いているのが原因で起こるミス、もう一方は多くは書き忘れなどが原因で起こるミスです。
想像がついたと思いますが、それぞれのミスに合わせて、注意することは変わってきます。
もったいないケアレスミスを防ごう!すぐに実践出来る5つの対処法
それでは、それぞれの「ケアレスミス」、いや、「具体的なミス」に対する対処法をご紹介します。
1.線や印をつけて、問題の読み間違えを防ぐ
問題の勘違いをしてしまいやすい場合、また、最後の条件などを読み飛ばす場合は、問題に線や印をつける方法が有効です。
何を求めるか、たとえばAの食塩水は何%なのかなど、線や印をつけているということは問題をよく読んで確認できたというサインとなります。
ただ、それでもよくわからないという場合は、単純に解き方を覚えていないなどの演習不足が考えられるため、復習に力を入れるといいでしょう。
そのときも、問題の必要な要素に線を引くなどしてみましょう。
2.計算のときに単位をつけて計算し、単位の書き間違えを防ぐ
たとえば速さの問題で、1500m÷30分=分速50mなどと、計算の段階で単位をきちんと書くことで、何を求めているのかが目で見てハッキリとわかるようになります。
しかしこれが1500÷30=50と書いたら、何を求めているかがわかりにくくなります。
これはまだいい方ですが、比の計算などが出てきたときは単位などの書き込みは重要です。
3=600などと書くのはやめましょうね。
比と具体的な数(mや金額など)は区別できるように書く必要があります。
よって、③=600円などと書くのが正しいです。
このように、単位をつけて計算をする、比の場合はマルなどで囲むなどの工夫をすると、答えを出す段階で単位が違っていれば、自分で気づきやすくなります。
3.字のクセを修正し、自分で書いた数字の判別ミスを防ぐ
6と0を間違えるなどのミスは、とにかく数字が区別できるように書くしかありません。
ただし「ていねいに書くように」「きれいに書くように」では不十分で、その前にどのように書くか手本を見せる必要がありますね。
そのうえで「ていねいに書くように」「きれいに書くように」です。
同じように書けたら褒めることも大切です。
4.スペースを広く活用し、筆算の前後の数字ゴチャゴチャを整理する
計算ミスの多くの原因は、ノートの端っこなどの狭いスペースに小さい字で書くことで起こります。
特に筆算の場合にはこの原因がよく当てはまります。
高学年になればなるほど字を小さく書いてなぜかノートもコンパクトに取ろうとし、節約志向になってきます。
ノートは勉強のためにあり、たくさん使った方が効率的な勉強が可能です。
大体、細かく書いてミスを連発していては、結果広々と計算スペースをとって計算し正解したときよりもノートを使ってしまい、かえって節約にもならないはずです。
ノートはもちろん計算スペースも、広々と使うべきです。
これだけで計算のミスが減る場合が多いです。
5.途中式や計算の順序を書き込み、計算の順番が見えるようにする
こんな計算問題があったとしましょう。
8-3×4÷2+6÷3+3
一見簡単そうな計算問題ですが、それでも最初に8-3をして間違えてしまうお子さんが多いです。
こういった四則計算などは、いきなり計算をするのではなく、計算の順番の道しるべを書くことでミスを減らすことができます。
たとえばこのようなトーナメント表のような形で計算の順番をはっきりさせておけば計算もしやすくなります。
このあとは計算を順番にしていきますが、かならず途中計算の後は残しておきましょう。
① 3×4÷2=6
② 6÷3=2
③ 8-6=2 (8-①の答え=2)
④ 2+2=4 (③の答え+②の答え=4)
⑤ 4+3=7 (④の答え+3=7)
答え…7
このように書いてもいいですし、以下のように図にていねいに書き込んでもいいでしょう。
ただ計算をするのではなく、足し忘れなどを防ぐための、正しい順序で計算するための工夫が必要です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
お子さんのケアレスミスをなくすためにも、どのようなミスが多いのか、分析をして対処していくことでもったいないミスを減らしていきましょう。