中学受験は難しい設問を読み解いて自分で考えて解答を導き出す力も重要ですが、実はその解答力を支える「暗記」もとても大切です。
そこでここでは、2人の子どもの中学受験を経験した筆者が、中学受験で必要な「暗記」について、効果的な暗記方法やすぐできる工夫をご紹介します。
目次
中学受験に必要な暗記とは?
中学受験で「暗記」と聞くと、何を思い浮かべますか?
理科や社会の一問一答形式の問題や国語の漢字や慣用句など、いわゆる「知識問題」と呼ばれるものを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
もちろん、これら「知識問題」も「暗記」が必要なものです。
しかし中学受験の「暗記」はそれだけではありません。
実は「暗記」が必要ないと思われる算数でさえも、「基本事項」といわれる基本的な解法や問題を早く正確に解くために頻出の計算を暗記することが求められます。
つまり、中学受験では、その解答力を下支えする「基本事項」や「知識問題」を正確に「暗記」する必要があるのです。
そのボリュームは想像以上に膨大のため、取り掛かれるところは早くから始めるのも一考です。
そして、「暗記」が必要なことは、しっかり定着するまで何度も繰り返すことが大切です。
中学受験の勉強を始める前から出来ること
中学受験に必要な「暗記」のうち、社会や理科、国語の漢字や語句などの「知識問題」は、中学受験の勉強を本格的に始める前からできることがあります。
パズルやカードを活用することで低学年から始めてみよう
例えば、社会の知識問題のうち基本となる都道府県の名前や形、県庁所在地、川の名前、山の名前、地図記号などは、低学年向けの地図や地図パズル、カードなどを活用すると小さなお子さんも取り組みやすいです。
また、国語の漢字や語句なども、低学年のうちから先んじて取り組めるものの1つです。
これらを親子で問題を出し合ったりして遊びやゲームのように取り組んでおくと、いざ本格的に受験勉強を始めてからも「暗記もの」を勉強することへの抵抗が少なくなりますし、何より中学受験に必要な「知識問題」に繋がります。
さらに、「暗記」することに慣れ「暗記」が得意になれば、そのまま受験勉強においても自信につながり、モチベーションも上がります。
子どもにあった暗記法を定着させよう
ただし、気を付けたいことがあります。
お子さんによっては、暗記をするときにより効果的な方法がそれぞれ違う場合があるということです。
例えば、壁に日本地図や九九のような覚えたい計算を貼っておいても、それをじっくり見て覚えることができるタイプのお子さんもいれば、そうでないお子さんもいます。
実際に我が家の子どもたちは、壁に貼ったものを見て覚えるタイプではなく、日本地図・都道府県の形はパズルで、九九は暗唱で、漢字などは実際に手を動かして書いた方がより暗記が定着するタイプでした。
受験勉強を本格的に始める前は時間的な余裕も十分にあるので、お子さんが楽しんで「覚えること」に取り組める方法やゲームを色々試してみながら、お子さんに合った暗記方法を探してみてください。
「暗記」しやすい環境作りをしよう
本格的に中学受験の勉強を開始すると、覚えることが次から次へと出てきます。
また、一度覚えても忘れてしまい覚え直さなければならなくなるのも受験ではよくある話ですし、受験勉強で乗り越えるべき大きな壁の1つといえます。
そこで本格的に中学受験の勉強を開始したら、家の中も「暗記」をしやすい環境を整えるのがおすすめです。
ポイントは、「覚えたいことを すぐ目にできる」環境です。
いつも勉強をしている机の周りに普段使用しているテキストはもちろん、なかなか暗記できないことを書き出したノートなどを置いておき、すぐに調べたり確認できる環境を作りましょう。
すぐに目にできる環境の整え方
特に理科の植物や昆虫など、テキストや問題集では分かりづらい挿図は、本物の写真を見た方が覚えられることが多いので、図鑑か電子辞書を用意しておくのも良いですね。
我が家では中学生用の電子辞書を1台用意しましたが、とても役に立ったと感じています。
壁や目に付くところに覚えたいことを貼るのも「すぐ目にできる」環境といえますが、「貼ってある様子」が普段の風景になり、目に留まらなくなることを避けるためにときどき貼る場所を変えると良いようです。
付箋やメモに覚えたいことを書いて貼り、覚えたら剥がすなど効果を可視化するのも、モチベーションアップにもつながり、覚えたいことを簡単に更新・管理できるのでおすすめです。
「暗記」は覚えるまで繰り返す!
実際に中学受験の受験勉強を始めると、なかなか「暗記」ができず困惑するお子さんも少なくありません。
しかし、中学受験で暗記する必要がある「基本事項」や「知識問題」はそのまま基礎力となります。
言い換えれば、「基本事項」や「知識問題」など暗記すべきことをしっかり定着させれば、基本問題レベルは解けるだけの力が養えるのです。
やはり「暗記」は必須です。
暗記を定着させるポイント
そこで重要になるのが、「いかに暗記を定着させるか」ですが、それには以下のようなポイントがあります。
- 自分の覚えやすい覚え方で覚える
- 関連のあることはまとめて覚える
- 定着するまで繰り返す
実際に「暗記」に取り組むときは、ただやみくもに「暗記」するのではなく、自分なりに覚え方を工夫すると、その印象が残りより覚えやすくなるようです。
例えば、理科の不完全変態の昆虫を覚えるときに、ただ覚えるのではなく、自分でノートにまとめたり、語呂合わせを作ってみるなど工夫してみます。
また、社会などは都道府県ごとに県庁所在地や名産品なども一緒に覚える、歴史問題は年号と出来事に加え、どんな人物が関係していたかなど関連する事項をまとめて覚えるのも効率的でおすすめです。
「繰り返し」勉強をする際の効率的な勉強方法
そして、一度覚えたら、今度は定着するまで「繰り返し」ます。
この「繰り返し」も色々な方法が考えられますが、我が家で行っていたのは3色ボールペンと単語帳の活用です。
テキストや問題集などを解いて間違えた問題にチェックをすると思いますが、その際、我が家では1回目の間違いは赤、2回目は青、3回目は緑、と色を分けてチェックしていました。
そして、3回目の緑がついた問題は、単語帳に書き写して後に親子でゲームのように問題を出し合って確認したり、移動時間などの隙間時間に復習するようにしました。
このように、なかなか暗記ができない問題は書き出しておくと復習しやすく、またその時の勉強時間に応じて臨機応変に問題を選別して勉強することができて、非常に効率が良く おすすめです。
「暗記」は繰り返しで制覇する!
中学受験の「暗記」は基礎力に直結するだけに、しっかり定着させたい力です。
この「暗記」を定着させるために大切なのは、インプット&アウトプットを繰り返すこと。
そして、その繰り返しをいかに効率よく効果的に行うかが、時間が限られている受験生にとって大きなポイントとなります。
今回ご紹介した3色ボールペンと単語帳など、自分がなかなか覚えられないことを洗い出して まとめ、それを覚えるまで繰り返すことが、効率よく効果的に「暗記」を定着させる近道です。