近年、中学受験の勉強を小学校4年生からスタート、もしくは低学年から通塾を始めるケースが多くなっています。
一方で、4年生の勉強ボリュームはどのくらいなのか、通塾ペースはどのくらいか、いきなりハードスケジュールで勉強する必要はあるのかなど、疑問点をお持ちの親御さんもいらっしゃるかと思います。
この記事では、中学受験の勉強において4年生のうちにしておくと良いこと、反対にまだしておかなくていいことについて塾講師の経験からお話ししていきます。
受験勉強を実りあるものにするために、4年生として何をすれば良いのか、ぜひ参考にしてみてください。
目次
4年生の勉強ボリュームはどのくらい?
新4年生と言われる3年生の2月から塾に通わせ、なるべく早くから準備を進めておきたいと考えるご家庭も多いです。
一方、4年生の受験勉強は、5年生以降に比べると比較的余裕があります。
4年生からいきなり5年生・6年生並みの勉強を開始しても、子どもの負担が大きくなるばかりで効率的とは言えないからです。
まだ勉強習慣が身についていない子どもも多いですし、いきなりハードスケジュールで勉強をさせるのは好ましくありません。
子どもが抵抗感なく勉強できるよう、まずは無理のない範囲で勉強をスタートし、少しずつ基礎を固めていくことをご家庭でも意識してみてください。
4年生の通塾ペースと勉強内容
基礎固めが中心となる4年生のうちは、通塾ペースも5年生・6年生に比べると少なく、週2日程度になるでしょう。
もちろん各ご家庭の方針などで個人差はありますし、一概には言えませんが、週2ペースの通塾で少しずつ基礎固めを進めていく形になるかと思います。
例えば算数であれば計算力、国語であれば漢字力や基本的な読解力など、全ての基礎となる力をまずしっかり磨かなくてはなりません。
5年生・6年生のような難しい問題演習を行うわけではなく、まずは無理のない通塾ペースで勉強がスタートします。
夏期講習や冬期講習などの季節講習
4年生といえど、夏期講習や冬期講習などは実施されます。
講習期間中は数日間連続で塾に通い、これまでの復習などを集中して行います。
また、塾の新4年生のカリキュラムは3年生の2月からスタートするケースが多く、この場合は4年生になる前に一度春期講習を経験する形になるでしょう。
このような講習は4年生といえども行われるため、その期間は週2以上の通塾ペースとなります。
ただ、それ以外の期間に関しては、5年生・6年生と比較するとかなり余裕のあるスケジュールになっています。
中学受験のスタート!4年生のうちにしておくと良いこと
ここまでの話を大前提として、4年生のうちにしておくと良いこと、逆にまだしなくていいことについてお話ししていきます。
まずは4年生でやっておくと良いことについてです。
勉強習慣を整えておくこと
受験勉強を始めたばかりの頃は、まだ勉強習慣自体が身についていない場合もあるでしょう。
そのため、まずは「集中して勉強に取り組む」という習慣を定着させる必要があります。
最初は短時間の勉強でも良いので、その短時間で集中する感覚を覚えさせ、少しずつ勉強を習慣化させましょう。
5年生・6年生になれば、必然的に受験勉強の難易度は上がり、スケジュールもハードになります。
その時期に備えるためにも、4年生のうちから勉強習慣を整え、集中して勉強する癖をしっかり身につけることが大事です。
集中するためにもメリハリを意識させる
この時間は勉強、それが終わったら遊んでいい、といったように、日々の生活でメリハリを意識させることも大事です。
集中して勉強する習慣をつけるには、このメリハリが欠かせません。
ただ漠然と机に向かっているだけではなかなか集中できませんし、気がついたら遊んでいたなどのケースも多いです。
それよりは、最初は短時間でも良いので「この時間は勉強」というメリハリを意識させ、その中で集中して勉強させるよう、環境を整えることが大事です。
スケジュールをしっかり意識させる
塾の宿題などを効率的に進めるためには、スケジュールを意識させることも重要です。
どの日までにどの宿題を終わらせれば良いのか、今日はどのくらい勉強すれば良いのかなど、スケジュールを確認して計画的に勉強する習慣をつけましょう。
特に4年生で勉強を始めたばかりの頃は、こうしたスケジュールや計画に関心を示さない場合もあります。
これでは勉強の効率が下がり、ついつい勉強中に遊んでしまうなどの弊害も生まれます。
こうした事態を避けるためにも、「この日までにこの勉強をする」「今日はこの勉強を終わらせる」といったスケジュールを意識させ、勉強に計画性を持たせることが大切になります。
こうしたスケジュールや計画性を意識することは、5年生・6年生で受験勉強が本格化したとき、必ず活かされるはずです。
夏までに基本的な勉強習慣を作っておこう
夏休みには夏期講習があり、数日間塾に通って勉強する形になります。
それまでに、上記で述べたような基本的な勉強習慣を作っておくことが好ましいです。
塾のペースや日々の受験勉強に慣れ、短時間でも集中する機会が増えていけば、少しずつ勉強習慣ができあがります。
そこで夏休みに入り、夏期講習を経験することで、いよいよ受験勉強の現実味が増してきます。
夏の勉強を有意義なものにするためにも、夏までに基本的な勉強習慣を作っておくことを意識してみてください。
復習の習慣を身につけておく
勉強において、復習は全ての基本となるものです。
一度に全てを覚えられる子どもはいません。
学習した内容は定期的に復習しなければならず、復習によって知識を少しずつ強化する必要があるのです。
この復習の習慣を、ぜひ4年生のうちから身につけておいてください。
復習は5年生・6年生になっても必ず行います。
しかしながら、この復習がおろそかになってしまう受験生は意外に多いのです。
せっかく4年生から受験勉強を開始するのであれば、この復習の習慣を早めに身につけ、5年生・6年生に備えておくようにしましょう。
親御さんのほうからも、繰り返して勉強することの重要性をしっかり教えてあげてください。
解き直しの習慣を身につける
復習の一つとして、解き直しの習慣も身につけさせると良いでしょう。
5年生・6年生になれば問題演習は一気に増えます。
そして問題演習において、間違えた問題の解き直しは非常に重要な意味を持ちます。
4年生が行う問題演習は、5年生・6年生ほどのボリュームではありませんが、それでも間違えた問題を復習・解き直す習慣を身につけておいて絶対に損はありません。
問題の解き直しから弱点・改善点を把握しよう
問題集にしろテストにしろ、問題というのは、解きっぱなしで終わらせてはいけません。
どこの分野・単元でミスをしたのか、どこの知識を間違えて覚えていたのか、どこで問題の意図を誤解していたのか、など、間違えた部分はしっかり分析し、復習しなければならないのです。
そこで問題の解き直しも行い、解答手順を再確認しなければなりません。
ここで弱点を把握し、改善点をしっかり改善し、次に繋げることが重要なのです。
しかし、この復習・解き直しが意外に甘い受験生も多いです。
だからこそ、4年生の早い段階で復習・解き直しの習慣を身につけ、習慣化しておくことが重要になります。
もちろん、4年生のうちは5年生以降のようなボリュームの問題演習を行う必要はありません。
ただし、問題演習そのものは必ず存在するので、そこで「間違えた問題はしっかり復習して解き直す」という習慣を身につけておくことが大事になります。
とにかく基礎固めを意識すること
繰り返しますが、4年生のうちからあまりに難易度の高い問題演習を行う必要はありません。
まずは基礎固めを意識し、受験に必要な基本をしっかり学ぶようにしましょう。
算数の計算力、国語の漢字力や基本的な読解力はもちろん、社会・理科の基本知識など、少しずつ丁寧におさえていく必要があります。
受験勉強というと難しい勉強のイメージがありますが、いずれの科目も基礎がしっかりしていなければ難問も解けません。
その基礎固めを重点的に行うのが4年生なのです。
そして、上記で述べた復習・解き直しの習慣も、この基礎固めを進めていくうえで非常に大切になります。
長い中学受験生活を乗り切る為に!4年生のうちはまだしなくていいこと
次に、4年生のうちからまだしなくていいことについてです。
上記で述べた話も踏まえ、ポイントを整理していきます。
通塾が始まったからといっていきなりハードスケジュールで勉強させてはいけない
先ほど述べたように、4年生のうちはまず勉強習慣を整え、集中して勉強する癖をつけること、復習を定期的に行うことなど、勉強の基本を知ってもらうことが大切です。
ここでいきなりハードスケジュールで勉強させるのは絶対に避けてください。
これから勉強を習慣化させようという段階で、いきなりたくさんの量の勉強をさせても、子どもはまずついてこれません。
子どもの中で勉強への抵抗感が強まれば、最悪の場合、勉強嫌いになってしまうおそれもあるのです。
これでは勉強の習慣化どころではなく、逆効果になってしまいます。
こうした事態を避けるためにも、余裕のあるスケジュールのもとで少しずつ勉強を進めていくようにしましょう。
通塾ペースにしても、いきなり5年生・6年生並みのスケジュールにする必要はありません。
ここは個人差もあるかと思いますが、それこそ週2日程度を目安に、無理のない範囲で勉強を進めてみてください。
高度な応用問題や難解な知識に触れる必要はない
基礎固めが重要な意味を持つ4年生のうちは、あまりに高度な応用問題や難解な知識に触れる必要はありません。
もちろん受験勉強である以上、4年生でも応用問題は登場しますし、中には難しい知識も含まれますが、5年生・6年生レベルの難易度とは異なります。
そもそも受験勉強は、難しい知識を暗記すれば良いというものではありません。
難しい問題をたくさん解けば実力が上がるわけでもありません。
難しい知識も問題も、しっかり基礎を鍛えたうえで触れるべきであり、その基礎を鍛える段階が4年生となるわけです。
最初からハイレベルな勉強をすれば良いというものではなく、それよりも入試に必要な基礎をどう鍛えるかを意識しなくてはなりません。
こうした点も踏まえ、4年生として行うべき勉強と、まだ行わなくていい勉強は何か、常に考えていくことが大事です。
習い事をやめる必要はまだない
4年生の段階では、まだ習い事をやめることは考えなくて良いでしょう。
4年生のうちはまだスケジュール的に余裕がありますので、勉強と習い事の両立は十分可能なはずです。
このあたりは各ご家庭・お子さんの事情によりますので、一概には言えませんが、4年生は5年生以降より時間的な余裕があるのは事実でしょう。
特に小学生のうちは遊ぶことや習い事も大切ですし、4年生のうちからいきなり受験勉強だけを優先する必要があるとは言えません。
確かに、受験勉強を機に習い事をやめるケースもありますが、受験勉強と習い事を両立するケースもごく普通に見られます。
お子さんの意思を尊重し、なるべく両立する方向でスケジュール調整をすると良いでしょう。
4年生のうちは勉強習慣を作るということを意識しておきましょう
今回は、中学受験の勉強において4年生のうちにしておくと良いこと、まだしておかなくていいことについてお話ししていきました。
中学受験に備えて4年生から受験勉強を開始するケースも多いですが、4年生のうちから5年生・6年生並みの勉強をする必要はありません。
4年生は、まずは勉強習慣を作り上げる段階となります。
集中して勉強する癖をつけること、復習する習慣をつけることなど、勉強の基本となる習慣を構築し、5年生・6年生に備える必要があるのです。
ここでいきなりハードスケジュールで勉強をさせても、子どもの負担が大きくなるだけで効果的とは言えません。
勉強習慣をしっかり身につけさせるためには、まずは無理のない範囲で勉強を開始し、少しずつ勉強を日常的なものにしていく必要があります。
また、4年生のうちは基礎固めが重要な意味を持つので、難易度の高い問題ばかりを解くのではなく、まずは基本知識を少しずつ定着させることが大切です。
さらに、復習・解き直しの習慣をしっかり根付かせることも重要でしょう。
復習が甘い受験生は意外に多いので、4年生のうちから復習・解き直しの重要性を意識させ、しっかり習慣化しておきましょう。
こうした点を意識し、4年生としてできること、逆に4年生ならまだしておかなくていいことを整理し、実りある受験勉強をスタートしてみてください。