中学受験の受験勉強は、小学4年生頃から塾などに通い始め本格化するのが一般的です。
しかし、低学年のうちから中学受験を見据えた生活習慣や学習方法を取り入れておくと、その後の受験生活にもスムーズに移行することができます。
そこで今回は、2人の子どもの中学受験を経験した筆者が、中学受験を見据えて低学年のうちに「しておくといいこと」をまとめてみました。
目次
中学受験をする子どもに必要な力(ちから)とは
中学受験では、色々な力が問われます。
学校の学習内容は理解する「基礎学力」はもちろん必須です。
その上に、
- 難しい入試問題を読み解く「読解力」
- 自分の言葉で解答や考えを表現する「表現力」など国語に関する力
- 正しく計算する「計算力」
- 図形問題に対応する力など算数に関する力
- 国語の漢字、語彙やことわざ、社会や理科の「知識力」
なども必要になってきます。
また、勉強とは少し違いますが、長時間、勉強できる集中力や持続力、学年が上がるにつれハードスケジュールになるので、体調を崩さず通塾・勉強をし続ける体力も必要です。
これらの力は、一見、本格的に受験勉強を始めてから身に付ける力ばかりに思えるかもしれませんが、実は低学年のうちから備えられることがあります。
では、実際にどのようなことをするのが良いのでしょうか。
中学受験を見据えて低学年のうちからしておくといいことは?
中学受験は、難しい入試問題に対応できる「学力」や「問題を解くテクニック」を身に付けなければなりません。
もちろん、それらは受験塾などで学ぶことができますが、本格的な受験勉強を始める前にその土台となる力(ちから)や習慣を身に付けておくと、スムーズに受験勉強に移行することができます。
そこでここでは、中学受験に必要な力を身に付けるために、時間に余裕がある低学年の間だからこそ「しておくといいこと」をご紹介します。
学習習慣を身に着けておく
中学受験の受験勉強では計画的に勉強することが何より大切です。
ですが、受験勉強が本格化してから計画通りに勉強しようとしても、なかなか上手くペースが掴めないお子さんがいます。
そこで、低学年のうちから身に付けておきたいのが、規則正しい生活習慣の中に組み込まれた「学習習慣」です。
難しいことではありません。
低学年のうちから、起きる時間、寝る時間をきちんと守る規則正しい生活をして、学校の宿題や家庭学習を決まった時間に行えばいいのです。
学習時間も低学年のうちは、長い時間取る必要はありません。
「〇時から××分」と決めたルールを守るようにすれば十分です。
低学年のうちは勉強時間も短くて済むので簡単なことに思えるかもしれませんが、計画(ルール)通りに勉強をする習慣を身に付けておけば、受験勉強が本格化して勉強時間が長くなっても、これまでと同じように学習習慣を維持することができます。
漢字や語彙、ことわざは低学年のうちから取り組む
中学受験の国語の問題では、漢字問題や語彙、ことわざなどの知識問題も出題されます。
読解問題を読み解くにも、記述を書くにも漢字や語彙の知識は必要不可欠です。
しかし、これらは低学年のうちから、先取りで学習することができる単元でもあります。
我が家でも、子どもたちが小学校に入学すると同時に国語辞典、漢字辞典、ことわざ辞典を用意し、使い方を教え、自学習で活用していました。
モチベーションアップのために、調べた言葉に付箋をつけるようにすると、調べ学習も楽しんで取り組むことができました。
漢字は、先取り学習の手段として小学1年生秋から漢字検定を受験し始めました。
その結果、4年生時には小学6年生終了程度の5級に合格、中学受験の漢字問題でも困ることはありませんでした。
このように、まだ知らない言葉や漢字も、低学年のうちから何度も目にする機会を作ることで、子ども自身もそれほど「勉強」と意識せずに学ぶことができますし、本格的に受験勉強を始める4年生のころには、漢字や語彙など力(ちから)がある程度身に付くことが期待できます。
「読むこと」「書くこと」に慣れておく
中学受験の問題は、国語はもちろん他の教科でも、問題文自体が長文で、読解力が必要なものが多くあります。
また、多くの難関校や公立中高一貫校では、200文字以上の記述問題が出題されるなど、文章力や表現力も必要です。
そこでおすすめしたいのが、低学年のうちから「読むこと」「書くこと」に慣れておくことです。
そう聞くと、有名な作家が書いた本や伝記、新聞を「読む」、読書感想文や教科書や新聞記事の要約を「書く」、といったような中学受験に少しでも繋がりそうなことをするべきなのでは?と考える方もいるかもしれません。
しかし、そうではありません。
低学年のうちから難しい、本人の好まないことをさせて、「読むこと」「書くこと」を嫌なものにしてはかえって逆効果です。
まずは、文字に慣れ、「読むこと」「書くこと」を楽しめるように誘導してあげてください。
「読むこと」に慣れておくためにしておくといいこと
例えば、本を読むことが好きでないなら、親子で一緒に読んだり、速く読む競争をしたり、1冊読んだらポイントやシールがもらえる、などゲーム性を持たせて興味を引くのも一考です。
読む本も、物語を好まなければ、子ども新聞の好きな記事や、好きなキャラクターが出てくる絵本などでも最初は良いと思います。
「書くこと」に慣れておくためにしておくといいこと
一方、「書くこと」のおすすめは、日記や絵日記です。
お母さんやお父さんと交換日記やお手紙交換をするのも、お子さんが楽しめる手段かもしれません。
最初は拙い文章でも、書くことを続けているうちに、文字を書くこと、自分の言葉で書くことに慣れ、また、速く書くことができるようになってきます。
このように、低学年のうちに「読むこと」、「書くこと」に慣れておくと、いざ受験勉強を始めたときに、長い文章を読んだり、記述で解答することに、「苦手意識」が少なくなっていることが期待できます。
正しく丁寧に計算する力を身に付ける
中学受験は「算数で決まる」といわれるほど算数は重要な教科です。
そして、その基本になるのはやはり、正しく迅速に計算する「計算力」です。
この「計算力」をつけるには、ある程度の訓練が必要です。
そこでぜひおすすめしたいのが、学校の計算の宿題や、家庭学習で行う計算ドリルなどはきちんと時間を計って行うことです。
また、計算過程や解答を丁寧な字で書く習慣も一緒に身に付けておくことも重要です。
なぜなら、中学受験の算数では、自分の字の読み間違いや、ひっ算の列がずれていたがために計算間違いになった、ということが本当にあるからです。
色々な問題集に手を出す前に、まずは学校や家庭学習で用意した計算ドリルで、丁寧かつ正しく、時間内に計算できるように繰り返し練習することから始めましょう。
作る・描くで図形に備える
中学受験の算数で、特に女の子のお子さんが苦手とするのが、「図形」問題です。
なかなか克服するのが難しい分野ですが、幼いころから絵を描くことや工作をするのが好きなお子さんは、比較的図形問題に抵抗がないといわれています。
「そう言われても、ウチの子は、描くのも作るのも興味がない」
と諦める前に、ぜひ試していただきたいのが、「書くこと」の例でもおすすめした「絵日記」です。
毎日でなくても良いので、その日あったことを簡単に絵に描いて、日記をつけるように勧めてみてください。
学校の自由勉強などの宿題があれば、この「絵日記」を提出するのもいいですよね。
「書く」、「描く」両方の訓練にもなりますし、先生からコメントがもらえれば子どもの励みにもなり、文章もチェックしてもらえて一石三鳥です。
また「工作」は、最近よく見かける、キャラクターのペーパークラフトなどを活用するのも一考です。
好きなキャラクターが出来上がることが分かれば、お子さんも興味を持って取り組めそうですし、立体を作ることで辺や頂点それぞれの関係を学ぶことができます。
低学年のうちに「本物」を見ておく
中学受験の経験者として、ぜひおすすめしたいのが、まだ時間に余裕がある低学年のうちに「本物」を見ておくことです。
動物園、博物館、植物園や科学館などに出かけるのもいいですし、家族旅行で史跡を巡ったり、自宅で昆虫を飼ったり、野菜など植物を育てるなどもおすすめです。
中学受験の勉強は、塾のテキストや問題集で必要な範囲や難易度を学習することができますが、どんなにテキストで勉強しても、なかなか理解できないこともあります。
例えば、理科で昆虫の挿図が1色刷りで分かりづらいことなどがあります。
そんなとき、すでに受験勉強が本格化している子どもの多くは「図鑑」やインターネットで調べて補足するのですが、それでも「本物」のインパクトにはかないません。
時間のある低学年のうちだからこそ、「本物」に拘っていただきたいです。
身体を動かして体力をつける
中学受験の受験勉強は、数年間、毎日続けなくてはなりません。
体調を崩すことなく、毎日計画通りに勉強し、週末の模試や特別講座にも参加するには、やはり体力が必要です。
そんな中学受験を見据えるからこそ、低学年のうちから身体を動かす習慣を持ち、体力をつけておきましょう。
スポーツ系の習い事ももちろん良いですが、放課後に友達と外遊びをする、週末に家族で山登りなどアウトドアを楽しむ、など気軽にできることで十分です。
飼っている犬の散歩や、夕食前に縄跳びをするなど、受験期になっても続けられることもおすすめです。
低学年のうちは楽しんで取り組めることから始めよう!
今回は、中学受験を見据えて低学年のうちから「しておくといいこと」をまとめてみました。
実際に試してみると、お子さんによっては気分が乗らないこともあるかもしれませんし、最初から全てを行うことも難しいでしょう。
大切なのは、「学ぶこと」や「勉強につながる行為」を嫌なことにさせないことです。
そのためにも、まずは無理せず、お子さんが楽しんで取り組めることから始めてみてください。