中学受験を目指すお子さんにとって模試を活用することは、志望校合格を勝ち取るために必要不可欠です。
しかし、模試には色々な種類があり、実施回数も多いため、どの模試をどれだけ受ければよいのか迷うご家庭も多いようです。
そこで今回は、実際に2人の子どもの中学受験を経験した筆者が、中学受験の模試について、上手な受け方や活用法をご紹介します。
目次
中学受験の模試!何をどれだけ受ければよい?
中学受験生のために開催される「模試」は、受験本番さながらの雰囲気の中、そのときの自分の実力を量ることができ、また、より多くの受験者の中での順位、志望校の合格判定などを知ることができるなど、メリットは数多くあります。
そのため、中学受験をするなら「模試」は必要不可欠です。
しかし、その「模試」は、主催者(塾)や目的により種類が多くあるため 全てを受けることは出来ません。
では、どのような模試をどのくらい受ければ良いのでしょうか?
中学受験用の模試には、通っている塾の月例テストやクラス分けテストなど学習内容の定着を確認するための模試と、主に6年生になって受けることになる、志望校の合格判定が出る模試があります。
このうち、月例テストやクラス分けテストは、中学受験のために塾に通い始めると、多くは必須受験です。
一方、主に6年生になってから受けることになる志望校の合格判定が出る模試ですが、これは次のように分類されます。
中学受験模試の種類と選択
中学受験を目指すお子さんが受ける模試のうち、学習した単元の定着を確認する月例テストやクラス分けテストは、通う塾のカリキュラムに必要なので毎回受けるのが基本です。
問題は、6年生になってから始まる合格判定系の模試や志望校別模試です。
前でも触れたとおり、合格判定系の模試や志望校別模試は、開催する塾やその目的により色々あるため、よりお子さんの志望校対策に即した選択をする必要があります。
合格判定系
合不合判定テスト(四谷大塚)、合格判定テスト(日能研)、統一合判模試(首都圏模試センター)など。
合格判定系模試は、基本的にお子さんが通っている塾が開催または推奨している模試・回数を受けていれば問題ありません。
なぜなら、中学受験塾では、受験本番までの学習カリキュラムが しっかり研究されており、そのカリキュラム上必要と判断された模試が年間スケジュールに組み込まれているからです。
それでも、違うタイプの合格判定模試を受けてみたい場合は、母集団の大きさや難易度の違うタイプを1、2回受験してみるのも良いでしょう。
首都圏で受けられる合格判定系の模試のうち、合不合判定テスト(四谷大塚)と合格判定テスト(日能研)は比較的難易度が高く、中堅校から難関校を受験するお子さん向けであるのに対し、統一合判模試(首都圏模試センター)は前の2模試に比べてやや難易度が低く、中堅校以下を受験するお子さんに向いているといわれています。
ただし、時間的に難しい場合は、無理に受ける必要はありません。
時間的に余裕がないのに他の模試を受けて、普段の学習や宿題、受けた模試の解き直しなどができなくなっては、 “マイナス”の効果しか得られません。
なお、大手塾の模試の案内がない塾に通っている場合や受験塾に通っていない場合は、大手塾に通っているお子さんと同じ頻度になるよう、2ヵ月に1回のペースで合格判定系模試を受験しておくと、入試本番まで良いペースで模試を受けることができます。
志望校別系(私立型)
学校別サピックスオープン(SAPIX)、志望校別オープン(早稲田アカデミー)、学校別判定テスト(四谷大塚)など。
御三家や早慶附属校など最難関校といわれる私立校の受験を予定している場合は、志望校別模試を受けることをおすすめします。
これらは、各学校の入試問題が長年に渡り研究された問題が出題され、試験も本番同様の時間配分で実施されるので、まさに入試本番の疑似体験ができます。
また、同じ志望校を目指すライバルたちが母集団となるので、合格判定の信頼度も高く、その後の志望校対策にも非常に役立ちます。
なお、志望校別模試は、お子さんが通っている塾が開催している場合はそれを受けることを基本とし、しっかり解き直しをすることが大切です。
他塾が開催している志望校別模試も気になると思いますが、志望校別模試は合格判定系よりも難易度が高く、解き直しにも時間がかかるのが通常なので、こちらは「時間的に余裕がある場合」や「1度くらい他の環境で受けてみたい」と思ったら受ける、程度で考えておくのが賢明です。
志望校別系(公立中高一貫型)
適性検査型模試(首都圏模試センター)、都立中合判(ena)、公立中高一貫校対策実力判定(四谷大塚)など。
公立中高一貫校の受験を予定している場合は、適性検査型の模試を受けることを おすすめします。
特に、私立型の勉強をしながら公立中高一貫校を併願する場合は、普段の勉強時間のほとんどは私立型の対策に費やし、適性検査型の勉強の時間が取りづらいため、適性検査型の模試をフル活用することが合否を分けるといえます。
とはいえ、受験できる適性検査型の模試を全て受けることは、時間的にも日程的にもできませんよね?
私立型の勉強をしながら公立中高一貫校を併願する場合は、志望順にもよりますが、入試本番までに適性検査型の模試を2~3回を目安に受験し、あとは過去問を解くことで補うのが現実的なところといえるでしょう。
これらの模試が受験年の6年時、特に夏休み後の9月からは、毎週末なにかしらの模試が実施されているような状態になります。
中学受験の模試を最大限活用するために!
「模試」は受けるだけでは、意味がありません。
ここでは、「模試」を受けるときのちょっとしたポイント、受けた後や結果の活用法について具体的にご紹介します。
模試を「入試本番」の最高の練習場所にする
模試は、「入試本番」を意識して試験に望める絶好の機会です。
我が家では「模試」を受けることをより有意義にするために、以下のことに気を付けていました。
- 模試会場が選べるときは、私立中学の会場(志望校があれば尚良い)を選ぶ
- 遠い会場で受験する回も設定する
- 友達と一緒に会場に向かわない
- 筆記用具や時計など持ち物は入試当日を見据えたものを持参する
模試によっては、普段通っている塾の他に、私立中学が会場となっているものがあります。
「私立中学の会場」の良いところは、学校で受験する雰囲気をそのまま体験できるところで、1度は体験しておくことを強くおすすめします。
特に、志望校や受験予定校が会場になっている場合は、本番とほぼ同じ環境で試験に臨めるわけですから、ぜひ選択してください。
また、会場までの距離や時間も色々なパターンを経験しておくために、あえて遠い会場を選ぶこともおすすめです。
我が家では、まだ回数が浅いうちは遠い会場を選び、朝早く起きることや長時間の移動を体験し、反対に、受験直前期は体調管理と少しでも時間を捻出するという観点から、家から近い会場を選ぶなど様々な会場を選択しました。
毎回違う環境で受けた経験は非常に良かったと感じています。
さらに、入試本番の緊張感を演出するためにも、友人と一緒に試験会場に向かうことはせず、持ち物なども入試で使えるもので揃えました。
休みの日の半日、時間を割いて受ける「模試」です。1回1回、緊張感をもって臨めるように準備しましょう。
模試は「復習」してこそ役に立つ
いくら模試を受けても、受けっぱなしでは何の役にも立ちません。
受けた模試は必ず解き直しをしましょう。
ただし、間違えた問題、解けなかった問題を全て解けるようにならなくても良いケースがあります。
例えば、志望校別模試は、解けなければならない基本問題から ごく少数の受験生しか正答できない高難度の問題が出題されますが、合格点をとれれば良いので、正答率が低い問題は正解できなくても良いわけです。
入試直前期になればなるほど、こういった正答率が低い問題や、自分がどうしても苦手で解くことがなかなかできない、いわゆる「捨て問」を見極めることも大切になってきます。
そのため、9月頃までの模試ではすべての問題を解けるように復習し、直前期に差し掛かったら、「捨て問」を見極めることも視野にいれて解き直しをするようにしましょう。
なお、「解くべき問題」、「解けなくても良い問題」はお子さんの得意・不得意によっても違いがあるので、塾の先生にテストの直しを見てもらいながら確認してください。
模試の結果の活用法
模試の結果には「偏差値」や「志望校の合格率」が記されていて、そちらばかり注目してしまいがちですが、模試はあくまでも「模試」です。結果が良くても悪くても、過度に気に留めないようにしてください。
「偏差値」や「志望校の合格率」より大切なのは、模試を復習し、その上で正解すべき問題は取れているか、今回間違ったけど解けていた問題、今後解けるようになっておきたい問題、時間配分は適当だったかなどを検証することです。
実際に我が家でも、模試の結果についてくる正答率表と実際の答案を見比べて、解けなかった問題を「この問題は正答率が高いから絶対取りたい問題だね」、「この問題は時間があれば解けた」、「これは時間があっても解けなかった」など、子どもと一緒に検証しました。
模試の結果が悪いと、親もつい感情的になりがちですが、怒ってもイライラしても成績は上がりません。
お子さんと一緒に、模試の結果を検証してその後の対策を考えることが、志望校合格の道につながります。
模試を受けるときは入試本番を想定して臨もう!
中学受験生にとって受験本番を想定した環境でテストに向き合える「模試」は、志望校合格を勝ち取るためにも、絶対必要な試験です。
ですが、模試をいくら受けても、偏差値や合格判定だけに着目し、解き直しや答案の検証をしなければ模試を受けた意義も半減してしまいます。
受験勉強で忙しい中、長い時間を費やして受ける模試です。
模試を受けるときは「入試本番」を想定し緊張感をもって臨み、終了後は必ず解き直しや答案の検証をして、その後の受験対策に役立ててください。