中学受験では、筆記試験のほかに面接が行われる場合もあります。
志望校の試験科目に面接が含まれる場合、具体的にどう対策するのか、そもそも面接は合否に関係するのか、気になる点も多いのではないでしょうか。
今回は、中学受験における面接対策のポイントについてご紹介します。
目次
面接試験が持つ意味とは?
面接試験は、受験生の人柄や性格などを判断するために行われます。
受験生と直接話すことにより、筆記試験ではわからなかった人柄・性格などの側面を判断することになります。
学校側としては、「この子は性格的に問題ないだろうか」「この子は本校の校風と合うだろうか」といった点を面接で判断します。
そのため、マナーを守ってきちんと受け答えをすれば、基本的には「問題なし」と判断されます。
あくまで学力を見る筆記試験の方が中心となるので、受験対策としてはやはり筆記試験に重きを置くべきでしょう。
ただ、いくら筆記試験の方が中心と言っても、試験科目に面接がある以上、ある程度対策をして臨まなくてはなりません。
入退室のマナーや服装、質問への受け答えなど、事前にシミュレーションをしておき、本番につなげる必要があります。
面接試験はどの程度合否に関係するの?
面接をどの程度重視するかは、学校によって若干異なります。
そのため、入試要項などで面接の時間や流れを確認するほか、入試に関するQ&Aなども確認し、面接の重要度をチェックしておく必要があります。
例えば「面接は合否にどの程度関係しますか」などの質問がQ&Aに書かれているケースもあるので、こうした情報は学校ごとに必ず確認してください。
先ほども述べたように、中学受験はあくまで学力を見る筆記試験が中心と言えます。
各学校の試験問題の傾向を踏まえ、科目ごとに実力をつけなくてはなりません。
筆記試験を中心に対策を進め、本番までに実力を磨いておく必要があるのです。
受験する学校の試験科目に面接があったとしても、まずは面接対策より筆記試験対策を優先して行う必要があるでしょう。
そのうえで、各学校で面接がどの程度合否に影響するのかを判断し、対策を進めていくことが大切です。
入試要項やQ&Aなどから面接の合否への影響を判断し、もしそのような情報がなければ、塾などから情報を集める必要があります。
面接試験の種類と面接試験の時間
面接試験は、個人面接、集団面接、保護者同伴の面接に分類することができます。
面接対策をするうえでは、こうした面接の種類についても知っておく必要があります。
個人面接
個人面接の場合、一人の受験生が面接官と面接をします。
面接官は複数人いる場合もありますが、一回の面接に参加する受験生は一人です。
集団面接
集団面接の場合、5人程度の受験生が集まり、同時に面接が行われます。
一回の面接に複数の受験生が参加するという形式に特徴があります。
保護者同伴の面接
受験生だけでなく、保護者が同伴して面接が行われるケースもあります。
受験生への質問はもちろん、保護者への質問も行われます。
面接試験の時間
面接の時間は、基本的には5~10分程度と言えます。
そのため、あまり長時間での面接は行われません。
こうした点からも、面接はあくまで参考程度と考えることができます。
ただ、少ない時間の中でも、志望動機や自分の長所・短所など、聞かれるべき点は聞かれます。
短時間の面接で焦らないように、事前に質問事項などを想定してシミュレーションする必要があるのです。
面接で聞かれる質問とは?
次に、実際の面接試験で聞かれることが多い質問について、整理しておきます。
具体的な質問事項としては、以下のようなものが挙げられます。
- 志望動機
- 通学経路(所要時間なども含む)
- 得意科目と苦手科目
- 併願校
- 家族について
- 小学校生活や友人関係など
- 長所と短所
- 入学後にやりたいこと
- 将来の夢
- 最近読んだ本
- 最近気になっているニュースなど
いずれの質問も、はっきりとわかりやすく答える必要があります。
また、提出書類の内容と食い違いがないように答えなくてはなりません。
さて、こうした質問事項で注意すべきポイントについて、以下でご紹介します。
志望動機
志望動機は必ず聞かれます。注意しなくてはならないのは、「なぜこの学校を選んだのか」を明確に示すことです。
「他の学校でもいいのでは?」と思われてはいけません。
つまり、「偏差値が高いから」「家から近いから」などの理由は避けなくてはならないのです。
「偏差値が高いから」と言っても、「他にも偏差値の高い学校はあるのでは?」と思われてしまいます。
「家から近いから」などの理由も、「他にも近い学校はあるのでは?」という話になってしまいます。
このような表面的な理由ではなく、その学校の校風や教育方針などを踏まえ、そもそも「なぜこの学校を選んだのか」を示さなければなりません。
子供も親も、偏差値だけで学校を選ぶケースは少ないでしょう。
志望校の校風や教育方針など、何か魅力に感じた点があるからこそ、子供は「この学校に行きたい」と考え、親は「この学校に行かせてあげたい」と思うのです。
こうした点を志望動機として示すことが大切です。
また、学校見学や文化祭などで感じたことがあれば、校風や教育方針も踏まえてアピールすると効果的です。
通学経路(所要時間なども含む)
通学経路や所要時間についても聞かれます。
乗り換えの経路や所要時間など、わかりやすく伝えましょう。
6年間通学する形になるので、子供自身がしっかりと把握し、自分の言葉で伝える必要があります。
得意科目と苦手科目
ある科目が不得意でも、面接に不利になるようなことはありません。
得意・不得意は正直に答えましょう。
なぜ得意になったかなど、理由も含めて示すとわかりやすく伝わります。
併願校
こちらも、他の学校を受験したからとって面接に不利になるわけではありません。
どの学校を受けたのか、正直に答えるようにしましょう。
ただし、どの学校に進学したいのかと聞かれる可能性もあります。そのため、「他の学校も受験したが、この学校に入りたい」という点はしっかりアピールする必要があります。
家族について
家族との仲や、家での過ごし方なども聞かれることがあります。
親の手伝いをすること、弟や妹の面倒を見ることなど、具体的に伝えましょう。
小学校生活や友人関係など
小学校生活で学んだことや、友人との思い出など、わかりやすく伝えましょう。
長所と短所
具体的なエピソードを踏まえ、客観的に長所・短所を伝えることが重要です。
特に長所・短所は子供一人で判断しにくいので、親と一緒にアピールポイントを考える必要があります。
入学後にやりたいこと
先ほどご紹介した志望動機のポイントとも関係しますが、その学校に入って具体的に何がしたいのか、聞かれることがあります。
こちらも校風や教育方針、さらには部活動なども踏まえ、しっかりとした理由とともに伝える必要があります。
将来の夢
将来やりたいことについて聞かれたら、こちらも理由とともにしっかりアピールしましょう。
入学後にやりたいこととつなげてアピールすることも効果的です。
最近読んだ本
最近読んだ本について聞かれたら、本のタイトルのほか、作者名や内容もしっかり言えるようにしておきましょう。
最近気になっているニュースなど
気になるニュースについても聞かれることがあります。
そのニュースに対する自分の考え方・意見も踏まえ、わかりやすく伝えましょう。
保護者に聞かれる質問とは?
保護者同伴の面接では、保護者に対する質問も行われます。
こちらも、志望動機、通学経路・所要時間、子供の性格や長所・短所などが聞かれます。
子供が答えた内容と食い違いのないように、保護者の方でもしっかりと伝える必要があります。
一方で、保護者に対する質問では、家庭での教育方針や子供との接し方なども聞かれます。
例えば、子供とどのような会話をするか、子供にどのような手伝いをさせているか、さらには子供が将来的にどのような大人になってほしいかなど、デリケートな部分で質問されることもあります。
こちらも、子供が答えた長所・短所や将来の夢などと食い違いがないように、あらかじめ整理しておく必要があります。
面接の注意点
面接である以上、入退室のマナーや服装には注意してください。
例えば入退室のドアの開け閉めは静かに行うこと、「失礼します」「よろしくお願いします」「ありがとうございました」といった言葉など、基本的なマナーはしっかりしておく必要があります。
細かいマナーについては、塾の面接対策や、中学受験の面接ガイドなどの本を活用し、整理しておくと良いでしょう。
服装については、通常は特に指定がありませんが、常識の範囲内できちんとした服装で臨む必要があります。
小学校に制服があれば、制服を着用して臨むと良いでしょう。
そうでない場合は私服を着用しますが、派手な服装は避け、フォーマルな服装にしましょう。
また、保護者の方はスーツの着用が基本となります。
面接対策のポイント
塾によっては、志望校ごとに面接対策をしてくれるところもあります。
面接は慣れが重要になるので、そうした対策があれば活用するようにしましょう。
もちろん塾の対策だけでなく、親と子供で面接対策を進めることも可能です。
特に子供は面接に対し、漠然とした不安を抱くケースも少なくありません。
塾の対策だけでは不安が消えない可能性もあります。
そのような不安を取り除いてあげるためにも、親が積極的に対策を進めることが好ましいです。
親と一緒に対策を進めると、子供にとっても高い安心感が生まれるからです。
また、面接では子供の長所・短所、性格などが聞かれますが、自分の客観的な長所・短所がわかる小学生は少ないかと思います。
一方、こうした子供の性格面は、親が誰よりも把握しているはずです。
だからこそ親が子供と一緒に面接対策を行い、子供の長所・短所、性格を整理したうえで、アピールポイントにつなげる必要があるのです。
塾の面接対策などで面接のポイント・答え方を知ったうえで、具体的なアピールポイントは親と子供が一緒に考えることが好ましいでしょう。
また、具体的な志望動機、細かい通学経路など、子供一人ではうまく整理できない部分も多いです。
このような点も、親と子供が一緒に整理することが必要です。
まとめ
中学受験では、学校によっては面接が行われることがあります。
基本的には筆記試験がメインとなりますが、面接がどの程度合否に影響するかは学校によって異なります。
そのため、面接がある学校を受験する際には、筆記試験対策をしっかりしたうえで、面接対策も行う必要があります。
また、入試要項やQ&Aなどを確認し、面接の情報を可能な限り集めておくことももちろん必要です。
塾の面接対策などと合わせ、親と子供が一緒に対策を進めることも重要です。
特に子供が抱える不安をなくすという意味で、親と一緒に面接対策をすることは重要な意味を持ちます。
代表的な質問事項やポイントを整理し、効果的な面接対策につなげてみてください。