中学受験勉強が本格化!新6年生になる前に確認しておきたい4科目毎のポイント

新6年生に向けて勉強している受験生

中学受験において6年生は一番重要な時期であり、通塾なども含めてハードスケジュールな日々を送ることになります。

そんな6年生のスタートをスムーズに切るためにも、基本の復習やわからない箇所の確認など、事前に念入りな準備を進めなくてはなりません。

この記事では、塾講師の経験からいよいよ受験勉強が本格化する6年生を前にやっておきたいことについてお話ししていきます。

各科目のポイントも含め、ぜひ参考にしてみてください。

6年生になるとハードスケジュール!5年生のうちから準備しておくべきこと

中学受験の勉強は小学校4年生や5年生からスタートするケースが多いですが、6年生になると一気にハードスケジュールになります。

日々の生活の中で受験勉強が最優先事項となり、習い事などを辞めるケースも多いでしょう。

勉強量や通塾ペースが増え、よりハイレベルな勉強を進める形になり、4年生・5年生のような感覚で考えるのは危険です。

そんな6年生のスタートをスムーズに切れるよう、5年生のうちから準備できること、意識しておきたい心構えはたくさんあります。

また、6年生になる前の春休みは、春期講習をはじめ、これまでの復習を効率的に進める大きなチャンスです。

自分の苦手分野・単元、多くの受験生がつまずきやすいポイントなど、6年生になる前に一度再確認し、本格的な受験勉強に備えておくことが重要になるのです。

2月から新小6のカリキュラムが始まり一気に忙しくなる

大手の進学塾などは、5年生の2月から新小6のカリキュラムがスタートすることが多いです。

この場合、なるべくその前に苦手分野の復習などを行い、2月からのスタートをスムーズに切れるようにしましょう。

こうしたケースでは、5年生の2月が6年生の始まりと考え、早めに準備をしておくことが好ましいです。

特に集団塾の場合はあらかじめカリキュラムが一律に決まっており、5年生の2月から新小6として一気に忙しくなることもあるため注意してください。

以下、6年生(新小6)に上がる前に意識しておきたいことを一緒に整理していきましょう。

新6年生になる前に受験生が意識しておきたい心構え

「わからない」をなるべく減らしておくこと

4年生・5年生から受験勉強を始める場合、6年生に上がる前に全範囲を学習し終えるケースも多いです。

この場合、6年生になってからは総復習の段階となり、分野・単元別に難易度の高い問題演習を繰り返すなどして、より入試傾向に沿った実力を磨いていきます。

さて、ここで意識していただきたいのは、「総復習は6年生になってからゆっくり進めれば良い」と安易に考えてはいけないという点です。

いくら総復習の段階といっても、6年生は難しい問題演習をひたすらトレーニングするなど、より入試本番に沿った勉強となります。

そこで各分野の基本の理解が甘ければ、そもそも問題演習が満足に進まない可能性があり、それでは問題演習を経て必要な実力を鍛えていくという流れが不十分になってしまいます。

そうならないよう、6年生に上がる前に苦手分野などはしっかり復習し、「わからない」をなるべく減らしておくことがカギとなるのです。

6年生というのは、5年生までで習った全範囲をのんびり復習すれば良いわけではありません。

6年生になってからではなく、6年生になる前にもう一度基本をしっかり復習し、なるべく「わからない」を減らし、本格的な受験勉強に備えることが大事です。

わからない範囲が多いと授業に追いつけなくなる

わからない範囲が多い状態で6年生になると、そもそも塾や家庭教師の授業についていけなくなるおおそれがあります。

特に集団塾の場合、一度授業についていけなくなると後で追いつくのは大変で、わからない範囲がますますわからなくなったというケースも目立ちます。

また、個別指導塾や家庭教師の場合でも、当然ながら授業についていけない状態は好ましくありません。

確かに、個別指導塾や家庭教師は生徒の理解度に応じた対応ができるため、一度授業についていけなくなっても、その場で復習をするなどの措置は可能でしょう。

ただ、これでは授業が予定通りに進まず、実力がなかなか伸びないおそれがあります。

集団塾でも個別指導塾でも、家庭教師でも、わからない範囲を減らした状態で授業に臨むに越したことはないのです。

この点もぜひ意識していただき、わからない範囲や苦手分野は冬休みや春休みなどで重点的に復習することが大切です。

授業数・通塾ペースが増えることを話しておく

6年生になると授業数や通塾ペースが増えることは、事前にお子さんに話しておきましょう。

4年生・5年生のような授業量だと思って6年生になると、子どもはスケジュールのギャップにびっくりすることがあります。

ハードスケジュールになることへの抵抗感を少しでも減らすために、親のほうからも6年生になると忙しくなることは伝えておいてください。

6年生のスタート時からいきなり焦ったり息切れしたりしないように、具体的なスケジュール内容を親子で共有しておくと良いでしょう。

勉強時間を少しずつ増やしておく

6年生になっていきなり勉強時間を増やしても、子どもにとって抵抗感は大きくなります。

それよりも、5年生のうちから少しずつ家庭学習の時間を増やすなどして、長時間の勉強に徐々に慣れを作っておきましょう。

例えば、2月あたりから新小6としてのカリキュラムが始まる場合であれば、その前から少しずつ勉強時間を増やし、抵抗感を少なくしておくことが大切です。

そして春休み・春期講習を機に勉強習慣をさらに強固なものにしていくといった流れで、本格的な受験勉強に備えていくと良いでしょう。

このように、いきなり勉強時間を増やすのではなく、無理のない範囲で早めから準備をするという心構えが大切です。

6年生になる前に確認しておきたい!算数・国語・理科・社会の勉強ポイント

中学受験勉強をする男の子

算数・国語・社会・理科のいずれも、各分野の基本を幅広くおさえ、苦手分野は特に重点的に対策し、6年生からの勉強に備えなくてはなりません。

このことを大前提として、以下、科目別に特に意識していただきたいポイントについてご説明します。

算数の確認ポイント

文章題が苦手な場合は要注意

算数というのは、ただ計算だけを行えば良いわけではありません。

多くの問題は文章題形式で出題され、文章から問題の条件や設定を把握しなければならないのです。

この文章題が苦手な場合は特に注意が必要で、6年生になる前に文章題のトレーニングを重ねておく必要があります。

例えば割合や速さの問題など、文章から内容をうまく把握できず立式ができないというケースは多いです。

そして、こうした頻出分野をはじめ、6年生から学習する内容は文章題の文章も複雑になります。

しっかり文章を読み、そこから条件・内容を理解して計算式を作り、答えを出すという流れを丁寧に行わなくてはなりません。

これは6年生になる前に今一度確認しておきたいポイントです。

文章題の出来具合をチェックし、文章を流し読みしていないか、条件・内容の読み取りが甘くないかなど、細かく確認しておきましょう。

計算ミスが多い場合

計算ミスが多い場合、とにかく計算問題のトレーニングを重ねるしかありませんが、何が原因で計算ミスをしているのか、その傾向を把握することも大事です。

例えば、時間ばかりを気にして焦って解くからミスが多いのか、それとも計算手順を間違えているからミスが生まれるのか、その両方なのかなど、ミスの原因や傾向も合わせて分析しておきましょう。

焦って解いている場合、時間を意識することは良い心がけですが、それで計算の精度が下がるのは好ましくありません。

まずは落ち着いて丁寧に解く練習を重ね、正確な計算を行うという意識を強く持ちましょう。

最初は多少時間がかかっても良いので、とにかく丁寧に計算する習慣をつけ、少しずつスピードアップを図ることが大事です。

一方、計算手順を間違えている場合は、もう一度基本に戻って理解を深めなくてはなりません。

四則計算の基礎をはじめ、間違っている場合は致命傷になってしまいます。

特に小数や分数が混ざった計算でつまずく受験生は多いので、これらの基本も含めてもう一度理解を深める必要があります。

決して甘く考えず、6年生に上がる前に基礎を再確認し、正確な計算手順をおさえておきましょう。

図形が苦手な場合

図形は算数の中でも頻出分野の一つであり、図形に苦手意識があると6年生になって苦労することが多いです。

そのため、6年生に上がる前にもう一度図形の基本を確認し、それぞれの公式、面積や体積の求め方などを再度チェックしましょう。

また、とにかく図形をイメージしながら学習する習慣をつけることが大事です。

例えば扇形の場合、「円の一部である」というイメージがあれば、円の公式に「中心角÷360」をかけるという手順が理解できるでしょう。

一方で、この「円の一部である」というイメージがない場合、扇形の公式を見ても理解は深まりにくいです。

こうしたイメージの重要性は、他の平面図形、そして立体図形でも共通しています。

特に6年生で扱う図形の問題は、立体をはじめ複雑な問題が多く、いかに頭の中で図形をイメージできるかがカギとなります。

日頃から図形をイメージしながら解く癖をつけ、6年生に備えておきましょう。

国語の確認ポイント

読解問題が苦手な場合

国語の読解問題というのは、「本文に書いてあることは何か?」を常に意識し、自分の主観を入れずに読むことが大事です。

一方、読解問題が苦手な子どもは、本文に書いていないことを勝手に想像してしまう傾向があります。

例えば説明文・論説文は「筆者が言いたいことは何か?」を正確に把握しなければなりませんが、ここで「自分はこう思う」「自分は筆者に賛同できない」などと主観を入れて読んでしまうと、筆者の主張を正しく読み取れない要因になります。

また、小説文・物語文であれば登場人物の心情や場面の変化を読み取ることになりますが、ここで自分の主観を入れ、「この登場人物はこういう気持ちのはずだ」「この後の場面はこう変わっていくはずだ」などと勝手に判断してはいけません。

説明文・論説文も小説文・物語文も、他の随筆文なども、あくまで本文に根拠を求めることが重要であり、本文に書いていないことを想像や憶測だけで判断してはいけないのです。

読解問題が苦手な場合、「本文に書いてあることは何か?」を意識して主観を入れずに読むトレーニングを重ね、6年生以降の難しい読解問題に備えましょう。

漢字などの知識問題もコツコツ勉強しておく

漢字の読み書きは、とにかくコツコツ勉強を重ねて知識を深めていくしかありません。

一方で、ただ単に暗記するだけでは理解が深まらないこともあるので、熟語とセットで覚える、例文から熟語のイメージを膨らませる、同じ漢字を使う熟語と関連づけて覚えるなど、より記憶に残りやすい方法で学習してみましょう。

もちろん漢字の勉強は6年生になっても続けるものですが、6年生になる前に苦手な漢字を一度再確認し、知識を深めておくと効果的です。

また、四字熟語や慣用句・ことわざなどは、とにかく例文とセットで理解する必要があります。

例文を見て、その言葉・表現が実際にどのような使われ方をしているのか確認し、理解を深めておきましょう。

社会の確認ポイント

社会は暗記科目のイメージが強いですが、単なる暗記で対応できるほど中学受験の社会は甘くありません。

地理・歴史・公民のいずれも理解すべきことは山ほどあり、単に用語だけを暗記しても理解は深まらないのです。

関連事項と合わせて覚える、背景を理解するなど、より記憶に残りやすい形で一つ一つ知識を深めることが大事になります。

例えば歴史の人名であれば、名前を覚えるだけでなく、その人物が何をしたのか、歴史にどのような影響を与えたのか、どんな時代背景があって行動を起こしたのかなど、背景まで詳しく整理しないと理解は深まりません。

入試問題は単なる一問一答形式の問題ではなく、細かい背景や関連事項も含めて応用的な内容を聞いてきます。

だからこそ、それぞれの人物が歴史にどう影響を与えたのか、どんな出来事と関係があるのかなど、日頃から横断的に整理しておくことが重要になるのです。

もちろん、人名や出来事名など、名称そのものは理屈抜きで覚えなくてはなりませんが、その背景まで理解しないと入試問題に対応することは難しくなります。

また、このような背景や関連事項との整理は地理や公民にも言えることです。

用語の暗記だけで乗り切れるものではないという点は6年生になる前に再度確認しておいてください。

理科の確認ポイント

理科も社会と同様、単なる暗記で対応できる科目ではありません。

また、理科は生物・地学・物理・化学の4分野からの出題となり、これら4分野それぞれで特徴が大きく異なるので注意が必要です。

例えば生物と地学は暗記事項も多いですが、物理と化学は計算も多くなるなど、それぞれの特色に沿った対策が必要になります。

また、理科で重要になるのは原理・原則の理解で、「なぜそうなるのか?」という理屈を理解しなくてはなりません。

例えば物理の「てこ」の問題であれば、まず「てこの原理」がわかっていないと問題は解けなくなります。

こうした原理・原則をまず理解し、「なぜそうなるのか?」という理屈を論理的におさえなくてはならないのです。

そして、このような論理的思考というのは用語名の暗記とは大きく異なり、普段の勉強から「なぜそうなるのか?」と思考する習慣をつけておくことが重要になります。

特に6年生で扱う応用的な問題は、あらゆる場面で論理的思考力が求められます。

このことも6年生になる前に十分意識していただき、日頃から思考する癖を大事にしましょう。

通塾している小学生

まとめ

今回は、中学受験の勉強で6年生に上がる前にやっておきたいことについてお話ししていきました。

中学受験は4年生や5年生から勉強を始めることが一般的ですが、6年生になると一気にハードスケジュールになるので注意が必要です。

勉強量は増え、通塾などでさらに忙しくなり、受験勉強が最優先される生活になるでしょう。

いよいよ受験勉強が本格化する形になりますが、その前に基本の復習などを行い、6年生のスタートをスムーズに切れるようにすることが大事です。

わからない箇所はなるべく減らし、レベルアップした授業にも対応できるよう、準備する必要があります。

また、5年生の2月から新小6のカリキュラムがスタートすることも多いので、5年生の2月を6年生の始まりと捉え、その前に念入りな準備を進めましょう。

さらに、いきなり勉強時間を増やすのは負担が大きいため、6年生になる前から少しずつ勉強時間を増やしていき、慣れを作っておくことも大事です。

もちろん、科目別の特色をおさえ、それぞれの頻出分野やつまずきやすいポイントの対策を進めておくことも必要になります。

これらの点も踏まえ、6年生という重要な時期のスタートを有意義なものにしていきましょう。