中学受験の勉強を4年生のうちからスタートするというご家庭は多いのではないでしょうか。
受験勉強が本格化する5年生・6年生に備えるためにも、4年生から基礎固めを行うことは非常に大きな意義があります。
一方、4年生の家庭学習時間はどのくらいなのか、最初からハードスケジュールで勉強しなくてはならないのかなど、疑問点も多いかと思います。
特に家庭学習は、各ご家庭の日々の生活習慣に深く関係しますので、親御さんとしては気になる点も多いでしょう。
この記事では、塾講師の経験から4年生で中学受験勉強をする場合の、家庭学習の勉強スケジュールや注意点などをお話ししていきます。
目次
自宅での勉強時間は無理させすぎ?少なすぎ?4年生に必要な勉強量
近年、中学受験の勉強を4年生から開始するケースも少なくありません。
ただ、4年生の勉強量は5年生・6年生ほど本格的ではなく、まずは勉強に慣れを作り、少しずつ基礎固めを行う形になります。
通塾ペースも週2日程度が一般的で、比較的余裕のあるスケジュールになるでしょう。
また、家庭学習の時間も5年生・6年生ほど多く確保する必要はなく、まずは無理のない範囲で勉強をスタートすることが大事です。
家庭学習時間は一日1~2時間程度みておきましょう
4年生の家庭学習時間は、一日で1~2時間程度が一般的と言えます。
このあたりは各ご家庭で変わってくると思いますが、最低でも一日1時間は勉強することを目安にしてみてください。
一方、これらの範囲を超え、いきなり長時間の勉強をさせるのは好ましくありません。
4年生のうちからいきなりハードスケジュールで勉強しても、子どもはまず集中できないからです。
特に4年生は受験勉強を開始したばかりの時期ですし、まずは短時間でも集中する習慣を身につけたほうが効果的です。
いきなり長時間の勉強をさせれば良いわけではなく、まず「集中して勉強する癖をつける」ことに焦点を置く必要があります。
休日はもう少し勉強時間を増やしても良いかもしれません
休日で時間的な余裕があれば、3時間程度勉強してみても良いでしょう。
休日はまとまった時間を確保しやすいので、集中して勉強できるチャンスでもあります。
ただ、たとえ休日で余裕があるとしても、いきなり何時間も勉強させるのは好ましくありません。
子どもの様子を見つつ、少しずつ勉強に慣れさせていくようにしましょう。
勉強量の多さより、集中できるかどうかを意識する
そもそも勉強というのは、ただやみくもに長時間勉強すれば良いというものではありません。
繰り返しますが、勉強に慣れていない子どもがいきなり長時間勉強しても、まず集中はできません。
それよりも、最初は短時間でも良いので、「この時間は集中して勉強する」というメリハリを意識させたほうが効果的です。
短時間でもスパッと集中して解く癖をつけ、少しずつ勉強に慣れを作っていく必要があります。
これは家庭学習でも同じであり、ただ勉強量を増やすより、集中して勉強できる環境を整えることを意識してみてください。
家庭学習のスケジュールを立てるときも、ただやみくもに勉強時間を確保するのではなく、短時間でもメリハリを持って集中できるようなスケジュールを意識しましょう。
勉強量よりも「集中して勉強する習慣の構築」を目指し、効果的な勉強計画を立てていきましょう。
4年生の家庭学習計画を立てるポイントと注意点
ここまでの話を大前提として、家庭学習のスケジュールを立てる際のポイント・注意点を整理していきます。
まず一日の大まかなスケジュールを決める
まずは一日の勉強スケジュールから決めていきましょう。
その際には、なるべく規則正しい生活を意識してください。
食事の時間や就寝時間などはなるべく統一し、空いた時間を勉強時間にするなど、規則正しい時間割を作ることが大事です。
こうすれば、「この時間は勉強する時間」「この時間は食事の時間」といったメリハリが生まれます。
この規則正しい生活リズムを続けることで、「この時間は勉強しなくちゃ」という意識が芽生えれば、勉強習慣が徐々にできあがります。
勉強する時間帯になったとき、子どもが自発的に机に向かうようになれば、なお良いでしょう。
このように、子どもにとって日々の勉強が当たり前の存在になることがカギです。
そのためにも規則正しい生活を心がけ、「この時間は勉強する時間」というメリハリを強調する必要があります。
最初は短時間で区切ってみる
繰り返しますが、いきなり長時間の勉強をさせても子どもは集中できないでしょう。
それよりも、最初は短時間で区切ってもいいので、その短時間で集中する感覚を覚えることが大事です。
それこそ最初は数十分で区切ってもいいので、まずは「集中して勉強する」という感覚を持ってもらい、少しずつ勉強に慣れさせましょう。
その際、スキマ時間なども活用すると効果的です。
休憩時間はしっかり確保する
一日1時間~2時間勉強する必要があるとはいえ、休憩を挟まず勉強させるのは好ましくありません。
最初は短時間で区切り、こまめに休憩をとらせましょう。
また、勉強に慣れてきた段階でも、適宜休憩時間は確保することが大事です。
数時間続けて勉強しても集中力は切れてしまうので、休憩時間を挟んだほうが集中力も持続します。
2時間勉強する場合でも、30分~1時間に1回は休憩をとらせるなど、無理のない範囲で勉強を進め、集中力を維持できるようにしましょう。
休日や通塾日における家庭学習スケジュールも決めておく
休日の勉強スケジュールや、通塾日における家庭学習スケジュールもあらかじめ決めておきましょう。
休日は平日より時間的な余裕があるため、少し多めに勉強時間を確保できるかと思います。
一方、通塾日であれば、普段より家庭学習の時間は確保しにくいでしょう。
休日の場合は勉強時間をどの程度増やすか、通塾日の場合は家庭学習時間をどこで確保するかなど、あらかじめ目安を決めたうえで、柔軟にスケジュール調整をすることが大事です。
この際にも、就寝時間などはなるべく統一するようにしてください。
平日でも休日でも、通塾日でもそうでなくても、日々の生活リズムはなるべく統一し、規則正しい生活を心がけることが大切です。
「この時間は勉強する時間」というメリハリを意識させるためにも、統一できる部分はしっかり統一し、勉強習慣を作っていきましょう。
スケジュール通りにはいかないので、あまり神経質になる必要はありません
受験勉強において規則正しい生活は必須ですが、あまりに神経質になることもまた避けるべきです。
勉強というのは、必ずしもスケジュール通りに進むわけではありません。
日によってはなかなか集中できない日もあるでしょうし、習い事や学校行事などの関係で思うように勉強が進まないこともあるでしょう。
特に4年生であれば尚更、習い事を続けながら勉強するケースも多く見られます。
もちろん一日の生活リズムや勉強スケジュールを崩さないに越したことはありませんが、「何かあったときは柔軟に変更する」という意識もまた大事です。
また、一度決めたスケジュールが子どもにとって負担が大きいようであれば、状況に応じて改善しなければなりません。
最初に決めたスケジュールを絶対に守らなければならないというものではないので、そこはあまり神経質になることなく、柔軟に考えていただければと思います。
4年生ではどの科目を重点的に学習すべき?
4年生のうちは5年生以降ほどの勉強ボリュームではなく、あくまで基礎固めが中心となります。
難しい問題演習ばかり解くような勉強ではなく、各科目の基礎をしっかり磨き、5年生以降に備えるといったイメージです。
ここで特に重要となるのは、やはり算数と国語でしょう。
算数であれば基本的な計算力、国語であれば基本的な読解力や漢字・語彙など、それぞれの基礎を4年生のうちからしっかり磨くことが重要になります。
どんなに難解な算数の問題でも、基本的な計算力がなければ正しい解答を導くことができません。
また、どんなに難しい読解問題でも、基本的な読解力や漢字力・語彙力がなければ回答は難しいでしょう。
基礎力というのは全ての根幹となるものであり、だからこそ4年生のうちに鍛えておき、受験勉強がさらに本格化する5年生以降に備える必要があるのです。
家庭学習でもこの点を意識していただき、計算力や読解力といった基本を重視した学習を計画してみましょう。
4年生向けの問題集などを活用する
家庭学習で勉強に慣れてきたら、問題演習も積極的に取り入れてみてください。
4年生向けの問題集なども多いので、そこで算数の計算力や国語の読解力を試し、しっかりアウトプットを行いましょう。
当然ですが、中学受験の入試問題は単なる知識の暗記では対応できません。
入試問題にはそれぞれ傾向があり、その傾向にしっかり慣れを作る必要があるのです。
だからこそ問題演習を積み重ねることが大切であり、問題演習を通じて入試傾向に慣れを作り、アウトプットを進める必要があります。
もちろん4年生のうちからいきなり難解な問題演習ばかり行う必要はありませんが、4年生向けの問題集などは積極的に活用し、家庭学習としてトレーニングを行いましょう。
もちろん先取り学習を進めてもOK
特に算数であれば、4年生のうちから先取り学習を進めるケースも多いです。
4年生までの範囲をしっかりおさえることは大前提ですが、そのうえで5年生以降の先取り学習を進めておくと、いざ5年生になって勉強が本格化したときに有利になります。
特に4年生向けの問題集などは、一部で5年生の内容が含まれていることもあります。
その場合、まず該当する5年生の範囲を先取り学習したうえで、問題演習でアウトプットを行う形になるでしょう。
このように、4年生までの範囲をしっかり学習することを大前提としたうえで、可能な範囲で先取り学習も家庭学習に取り入れると効果的です。
社会と理科の勉強はどうすべき?
社会と理科の勉強は、やはり5年生以降に本格化することが多いでしょう。
4年生のうちから社会・理科も含めて本格的に勉強するとなると、お子さんの負担も大きくなりがちです。
特に塾に通う場合、4年生から4科目全て受講するとなると、どうしても通塾ペースは増え、それだけ忙しいスケジュールになるでしょう。
4年生のうちはまだ習い事などもあるかと思いますし、あまりにハードスケジュールになるようなら、無理して4科目全て受講する必要はありません。
ただ、4年生から社会・理科の勉強自体を進めることはもちろん可能です。
例えば、塾では算数と国語だけ受講し、社会と理科は家庭学習で少しずつ知識を増やしていく、などの方法があります。
4年生向けの問題集なども多いので、家庭学習として社会・理科の勉強を少しずつ進めていくことは可能なのです。
特に社会と理科は、まず教科書の内容を正確におさえることがカギとなります。
4年生までの範囲を教科書で正確に理解し、4年生向け問題集でアウトプットを行い、余裕があれば5年生以降の予習もするなど、効果的な学習を進めていきましょう。
復習する時間を勉強計画に取り入れるようにしましょう
勉強というのは、定期的な復習が必要不可欠です。
一度に全ての内容を理解できる子どもはいません。
一回覚えた内容も、後になって定期的に見直し、その都度知識や実力を補強していく必要があるのです。
家庭学習においては、この復習の時間もしっかり取り入れるよう計画してみてください。
5年生・6年生以降で勉強が本格化すると、日々の勉強でも復習は当たり前の存在になってくるでしょう。
一方、4年生でまだ勉強をスタートしたばかりの時期は、復習がおろそかになるケースもしばしば見られます。
もちろん先取り学習や予習も重要ですが、復習する習慣も早いうちから身につけておくべきです。
例えば週末になったら一度復習するなど、スケジュールに復習時間を組み込み、習慣化するようにしてください。
まとめ
今回は、4年生で中学受験勉強をする場合の、家庭学習の勉強スケジュールや注意点などをご紹介していきました。
4年生のうちは5年生・6年生ほどの勉強量ではなく、家庭学習であれば一日1~2時間程度を目安にすると良いでしょう。
一方、通塾する日の家庭学習時間は1時間程度、休日で余裕がある場合は3時間程度といた形で、柔軟に調整することも大事です。
また、計画的な勉強スケジュールを実践するためにも、日々の生活はなるべく規則正しくする必要があります。
食事の時間や就寝時間などを統一し、空いた時間を勉強時間にすることで、「この時間は勉強する時間」「この時間は食事の時間」といったメリハリの意識が芽生えます。
こうした規則正しいリズムを持続することで、子どもの中でも少しずつ勉強が当たり前の存在となり、勉強習慣ができあがっていきます。
また、4年生のうちは基礎固めが特に重要ですので、算数の計算力や国語の読解力のトレーニングを特に意識すると良いでしょう。
さらに、記憶の定着を進めるためにも、定期的な復習は欠かせません。
週末にまとめて復習する時間を設けるなど、勉強スケジュールの中でも復習をしっかり取り入れ、知識・実力の補強を進めていきましょう。
こうした点に注意し、4年生として無理のない範囲で家庭学習を計画し、実力アップにつなげてみてください。